62 / 65
62.悪態!?
しおりを挟む
「は、はいぃ!」
んんっ!ずっと黙って下を向いていたので変な声が出てしまったがまあいいだろう。さあ俺の顔をよく見るがいい!
ジョーはキメ顔をしながら頭を上げ、胸を張り若干顎を上げ気味に仁王立ちした――――そして数秒間彼の思考は停止し固まった。
「さ、いきましょうエリーゼ姉様」
「はい皇女様」
「あの男のせいで大変だったと聞いたわ!」
「皇女様のお陰で解放されますわ」
「まあもっと早く言ってくれたら良かったのに!仕事なんか放棄して帰ってきましたのに!」
「まあ皇女様は冗談がお上手ですね」
「いえ、本気よ」
「…………」
遠ざかっていく皇女とエリーゼだったが、ジョーは皇女から目を離せなかった。
その眩いばかりの美しい姿に
ではなく
肥え太った姿に。
え?なんだあれは?いつも鏡で見ている自分の姿と重なるような体型は。いやいや、違う違う。自分は男だから良いのだ。女のくせしてなんだあのデブは……!?
それになんだあの特徴のないのっぺりとした顔はなんなんだ?取り立ててブスと言うほどではないかもしれないが、お世辞にも美しいとは言えない。
「んんっ!皇女様をお待たせする気ですか?」
は!
目の前から2人の姿が消え、馬車の御者が声をかけてくる。は、と意識がはっきりしたジョーは慌てて2人の後を追うために駆け出した。
ドスンドスンと地響きをさせながら。
~~~~~~~~~~
ジョーは来客室の椅子に腰掛けた後、愕然としたまま言葉を発することができなかった。その目は何度も皇女とエリーゼを行き来する。
目の前の女は間違いなく皇女……なんだよな。エリーゼの父である公爵の弟である陛下の娘。本当に目の前の2人は血が繋がっているんだよな……?
というか陛下ともちゃんと血は繋がっているのか?陛下もその妻である皇后もかなりの美形だ。どんな運命のいたずらでこんな不細工が産まれたんだ?
「あなたがジョーね。この私に仕えられることを光栄に思いなさいね?」
「は!?」
「まあたくさんの良い男を抱えた私があなたを閨に呼ぶことはないでしょうけれど、使用人に当たり散らすことなく大人しく日々を過ごすのよ?」
「は!?」
「エリーゼ姉様聞きまして?この国の皇女である私に『は!?』ですって。私にこのような態度ですものエリーゼ姉様はさぞ酷いことを言われてきたのでしょう!許すまじですわ!」
「え、あ……」
「人を見た目で判断してはならないことを承知で言わせてもらいますけど、あなた自分がどんな容姿か自覚していまして?醜く肥え太った身体!下の下顔!女神以上の美貌を誇るエリーゼ姉様の横に立つのさえ烏滸がましいのよ!」
「!?」
な、なんなんだ。自分だって物申せる顔じゃないだろうが!このブサイクな豚皇女が!
「私からしたらそれだけでも許せないのに、性格もクソで下品で自意識過剰で勘違い野郎で夢見る夢男君だなんてあり得ないわ!エリーゼ姉様の視界に入るのさえ許しがたし!」
「!?」
こ、この女はこんなにも魅力溢れるモテモテの俺の性格を非難しているのか!?お前こそあり得ないだろうが!
「これからは現実を見てちょうだいね?私の夫は他国の王子だったお方。それに私の今いる愛人たちも皆あなたより血筋が良いものばかり。もちろん見た目もね。心の中で何を思おうと勝手だけれどひたすら頭をヘコヘコと下げ過ごすのよ?」
「……っ……っ……!」
あらあら――エリーゼはジョーの顔が真っ赤になっているのに気づく。それは羞恥か、怒りか。
フーフーと荒い息を吐き、眉は吊り上がり、唇を噛み締め、身体はぶるぶる震えているから怒りだろう。しかも爆発寸前の。
でもジョーよく考えなさいね?相手は皇女なのよ?現実を突きつけられたからといって怒りを爆発させて良い相手かどうかくらいわかるわよね?
ダンッ!
「お前何様だ!?俺を愛人にしたいんだろ!?だったらお前は頭を下げるべきで、俺に媚びへつらうべきだ!人の見た目をごちゃごちゃ言う暇があったら自分がまずどうにかしろよ!お前みたいな豚抱く気になんかならないからな!」
目の前の机を思いっきり叩いた後、目の前に座る皇女に罵声を浴びせるジョー。言ってやったとばかりに鼻からフンと息を吐き満足そうな顔をしている。
が、部屋の空気が殺伐なものへと変わったのに気づくと途端にオロオロしだす。
『なんて無礼なの』
『不敬罪だわ』
『牢屋行き……いや、豚箱行きよ』
『処刑よ』
皇女に付き従う侍女たちの囁き声にジョーは青褪めるが、さっと皇女が手を上げたことで侍女たちは閉口する。
「あなたが言うように私は見た目も良くないし、性格も良いとは言えないわ。あなたと一緒ね。でもあなたと私の違いがおわかり?」
「…………」
侍女たちが黙ったことで少し余裕ができたジョーは不機嫌そうな顔をして黙るばかりだった。
「あなたはただの男爵で私は皇女なの。即ち権力があるの。だから色々なことが許されるのよ?あなたはないない尽くしなのだからちゃんと頭を低くし黙って私の言うことを聞くしかないのよ?わかった?」
聞き分けのない子どもに言い聞かせるかのごとく優しく穏やかに言葉を紡ぐ皇女。
「………………わかるか。もういいお前の愛人になるのはやめる。エリーゼ」
だから名前呼び、しかも呼び捨てにすんなって言ってるだろうがと内心思いつつ、面倒そうに視線をジョーに向けるエリーゼ。ジョーはエリーゼと視線が合うと口を開いた。
「どうせお前まだ離婚の申請してないだろ?このままお前と夫婦でいてやる。ありがたく思えよ」
「な……!?」
ここまで愚かな勘違い花畑脳だとは……皇女はチラリとエリーゼを横目で見るとビクリと一瞬身体を震わせた。
そこには、悪魔の如き大輪の毒花を咲かせたような笑みを浮かべるエリーゼがいた。
んんっ!ずっと黙って下を向いていたので変な声が出てしまったがまあいいだろう。さあ俺の顔をよく見るがいい!
ジョーはキメ顔をしながら頭を上げ、胸を張り若干顎を上げ気味に仁王立ちした――――そして数秒間彼の思考は停止し固まった。
「さ、いきましょうエリーゼ姉様」
「はい皇女様」
「あの男のせいで大変だったと聞いたわ!」
「皇女様のお陰で解放されますわ」
「まあもっと早く言ってくれたら良かったのに!仕事なんか放棄して帰ってきましたのに!」
「まあ皇女様は冗談がお上手ですね」
「いえ、本気よ」
「…………」
遠ざかっていく皇女とエリーゼだったが、ジョーは皇女から目を離せなかった。
その眩いばかりの美しい姿に
ではなく
肥え太った姿に。
え?なんだあれは?いつも鏡で見ている自分の姿と重なるような体型は。いやいや、違う違う。自分は男だから良いのだ。女のくせしてなんだあのデブは……!?
それになんだあの特徴のないのっぺりとした顔はなんなんだ?取り立ててブスと言うほどではないかもしれないが、お世辞にも美しいとは言えない。
「んんっ!皇女様をお待たせする気ですか?」
は!
目の前から2人の姿が消え、馬車の御者が声をかけてくる。は、と意識がはっきりしたジョーは慌てて2人の後を追うために駆け出した。
ドスンドスンと地響きをさせながら。
~~~~~~~~~~
ジョーは来客室の椅子に腰掛けた後、愕然としたまま言葉を発することができなかった。その目は何度も皇女とエリーゼを行き来する。
目の前の女は間違いなく皇女……なんだよな。エリーゼの父である公爵の弟である陛下の娘。本当に目の前の2人は血が繋がっているんだよな……?
というか陛下ともちゃんと血は繋がっているのか?陛下もその妻である皇后もかなりの美形だ。どんな運命のいたずらでこんな不細工が産まれたんだ?
「あなたがジョーね。この私に仕えられることを光栄に思いなさいね?」
「は!?」
「まあたくさんの良い男を抱えた私があなたを閨に呼ぶことはないでしょうけれど、使用人に当たり散らすことなく大人しく日々を過ごすのよ?」
「は!?」
「エリーゼ姉様聞きまして?この国の皇女である私に『は!?』ですって。私にこのような態度ですものエリーゼ姉様はさぞ酷いことを言われてきたのでしょう!許すまじですわ!」
「え、あ……」
「人を見た目で判断してはならないことを承知で言わせてもらいますけど、あなた自分がどんな容姿か自覚していまして?醜く肥え太った身体!下の下顔!女神以上の美貌を誇るエリーゼ姉様の横に立つのさえ烏滸がましいのよ!」
「!?」
な、なんなんだ。自分だって物申せる顔じゃないだろうが!このブサイクな豚皇女が!
「私からしたらそれだけでも許せないのに、性格もクソで下品で自意識過剰で勘違い野郎で夢見る夢男君だなんてあり得ないわ!エリーゼ姉様の視界に入るのさえ許しがたし!」
「!?」
こ、この女はこんなにも魅力溢れるモテモテの俺の性格を非難しているのか!?お前こそあり得ないだろうが!
「これからは現実を見てちょうだいね?私の夫は他国の王子だったお方。それに私の今いる愛人たちも皆あなたより血筋が良いものばかり。もちろん見た目もね。心の中で何を思おうと勝手だけれどひたすら頭をヘコヘコと下げ過ごすのよ?」
「……っ……っ……!」
あらあら――エリーゼはジョーの顔が真っ赤になっているのに気づく。それは羞恥か、怒りか。
フーフーと荒い息を吐き、眉は吊り上がり、唇を噛み締め、身体はぶるぶる震えているから怒りだろう。しかも爆発寸前の。
でもジョーよく考えなさいね?相手は皇女なのよ?現実を突きつけられたからといって怒りを爆発させて良い相手かどうかくらいわかるわよね?
ダンッ!
「お前何様だ!?俺を愛人にしたいんだろ!?だったらお前は頭を下げるべきで、俺に媚びへつらうべきだ!人の見た目をごちゃごちゃ言う暇があったら自分がまずどうにかしろよ!お前みたいな豚抱く気になんかならないからな!」
目の前の机を思いっきり叩いた後、目の前に座る皇女に罵声を浴びせるジョー。言ってやったとばかりに鼻からフンと息を吐き満足そうな顔をしている。
が、部屋の空気が殺伐なものへと変わったのに気づくと途端にオロオロしだす。
『なんて無礼なの』
『不敬罪だわ』
『牢屋行き……いや、豚箱行きよ』
『処刑よ』
皇女に付き従う侍女たちの囁き声にジョーは青褪めるが、さっと皇女が手を上げたことで侍女たちは閉口する。
「あなたが言うように私は見た目も良くないし、性格も良いとは言えないわ。あなたと一緒ね。でもあなたと私の違いがおわかり?」
「…………」
侍女たちが黙ったことで少し余裕ができたジョーは不機嫌そうな顔をして黙るばかりだった。
「あなたはただの男爵で私は皇女なの。即ち権力があるの。だから色々なことが許されるのよ?あなたはないない尽くしなのだからちゃんと頭を低くし黙って私の言うことを聞くしかないのよ?わかった?」
聞き分けのない子どもに言い聞かせるかのごとく優しく穏やかに言葉を紡ぐ皇女。
「………………わかるか。もういいお前の愛人になるのはやめる。エリーゼ」
だから名前呼び、しかも呼び捨てにすんなって言ってるだろうがと内心思いつつ、面倒そうに視線をジョーに向けるエリーゼ。ジョーはエリーゼと視線が合うと口を開いた。
「どうせお前まだ離婚の申請してないだろ?このままお前と夫婦でいてやる。ありがたく思えよ」
「な……!?」
ここまで愚かな勘違い花畑脳だとは……皇女はチラリとエリーゼを横目で見るとビクリと一瞬身体を震わせた。
そこには、悪魔の如き大輪の毒花を咲かせたような笑みを浮かべるエリーゼがいた。
113
あなたにおすすめの小説
白い結婚に、猶予を。――冷徹公爵と選び続ける夫婦の話
鷹 綾
恋愛
婚約者である王子から「有能すぎる」と切り捨てられた令嬢エテルナ。
彼女が選んだ新たな居場所は、冷徹と噂される公爵セーブルとの白い結婚だった。
干渉しない。触れない。期待しない。
それは、互いを守るための合理的な選択だったはずなのに――
静かな日常の中で、二人は少しずつ「選び続けている関係」へと変わっていく。
越えない一線に名前を付け、それを“猶予”と呼ぶ二人。
壊すより、急ぐより、今日も隣にいることを選ぶ。
これは、激情ではなく、
確かな意思で育つ夫婦の物語。
殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!
さくら
恋愛
王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。
――でも、リリアナは泣き崩れなかった。
「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」
庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。
「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」
絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。
「俺は、君を守るために剣を振るう」
寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。
灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。
“足りない”令嬢だと思われていた私は、彼らの愛が偽物だと知っている。
ぽんぽこ狸
恋愛
レーナは、婚約者であるアーベルと妹のマイリスから書類にサインを求められていた。
その書類は見る限り婚約解消と罪の自白が目的に見える。
ただの婚約解消ならばまだしも、後者は意味がわからない。覚えもないし、やってもいない。
しかし彼らは「名前すら書けないわけじゃないだろう?」とおちょくってくる。
それを今までは当然のこととして受け入れていたが、レーナはこうして歳を重ねて変わった。
彼らに馬鹿にされていることもちゃんとわかる。しかし、変わったということを示す方法がわからないので、一般貴族に解放されている図書館に向かうことにしたのだった。
十年間虐げられたお針子令嬢、冷徹侯爵に狂おしいほど愛される。
er
恋愛
十年前に両親を亡くしたセレスティーナは、後見人の叔父に財産を奪われ、物置部屋で使用人同然の扱いを受けていた。義妹ミレイユのために毎日ドレスを縫わされる日々——でも彼女には『星霜の記憶』という、物の過去と未来を視る特別な力があった。隠されていた舞踏会の招待状を見つけて決死の潜入を果たすと、冷徹で美しいヴィルフォール侯爵と運命の再会! 義妹のドレスが破れて大恥、叔父も悪事を暴かれて追放されるはめに。失われた伝説の刺繍技術を復活させたセレスティーナは宮廷筆頭職人に抜擢され、「ずっと君を探していた」と侯爵に溺愛される——
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
「予備」として連れてこられた私が、本命を連れてきたと勘違いした王国の滅亡フラグを華麗に回収して隣国の聖女になりました
平山和人
恋愛
王国の辺境伯令嬢セレスティアは、生まれつき高い治癒魔法を持つ聖女の器でした。しかし、十年間の婚約期間の末、王太子ルシウスから「真の聖女は別にいる。お前は不要になった」と一方的に婚約を破棄されます。ルシウスが連れてきたのは、派手な加護を持つ自称「聖女」の少女、リリア。セレスティアは失意の中、国境を越えた隣国シエルヴァード帝国へ。
一方、ルシウスはセレスティアの地味な治癒魔法こそが、王国の呪いの進行を十年間食い止めていた「代替の聖女」の役割だったことに気づきません。彼の連れてきたリリアは、見かけの派手さとは裏腹に呪いを加速させる力を持っていました。
隣国でその真の力を認められたセレスティアは、帝国の聖女として迎えられます。王国が衰退し、隣国が隆盛を極める中、ルシウスはようやくセレスティアの真価に気づき復縁を迫りますが、後の祭り。これは、価値を誤認した愚かな男と、自分の力で世界を変えた本物の聖女の、代わりではなく主役になる物語です。
そちらから縁を切ったのですから、今更頼らないでください。
木山楽斗
恋愛
伯爵家の令嬢であるアルシエラは、高慢な妹とそんな妹ばかり溺愛する両親に嫌気が差していた。
ある時、彼女は父親から縁を切ることを言い渡される。アルシエラのとある行動が気に食わなかった妹が、父親にそう進言したのだ。
不安はあったが、アルシエラはそれを受け入れた。
ある程度の年齢に達した時から、彼女は実家に見切りをつけるべきだと思っていた。丁度いい機会だったので、それを実行することにしたのだ。
伯爵家を追い出された彼女は、商人としての生活を送っていた。
偶然にも人脈に恵まれた彼女は、着々と力を付けていき、見事成功を収めたのである。
そんな彼女の元に、実家から申し出があった。
事情があって窮地に立たされた伯爵家が、支援を求めてきたのだ。
しかしながら、そんな義理がある訳がなかった。
アルシエラは、両親や妹からの申し出をきっぱりと断ったのである。
※8話からの登場人物の名前を変更しました。1話の登場人物とは別人です。(バーキントン→ラナキンス)
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる