モブによるモブの為の狂想曲(カプリッチョ)

えりんこ

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物語は急激に加速して息切れをする

恋愛にマニュアルなんて存在しない

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アリーナあいつが今、他の男と会っている そう思うとムカムカするのは何故だろう?
昼間の事だってあいつが肩を並べて談笑しながら食堂に来た 只、それだけでカーとなってムシャクシャして・・・俺の婚約者なのにって思ったらいても経ってもいられなかった。

気がついたら唇を奪ってしまった 同意も無しに。先日の俺も最低だったが今日の俺はもっと最低だ
涙を溜めていた・・・当分、会いたくなかったと言われた 
挙句の果ては気絶させた。如何すりゃ良かったんだ?
一人 教室に残り悶々とした時間ときを過ごす。
今なら多分、談話室にいるのだろう
そんなエラルドを見て エドモンドは苦笑いしか出来ない

「お前でもそんな表情するんだな アリーナ嬢と一緒に居るお前を見ていると本当に面白い」
クックッと喉を鳴らしてエドモンドが笑う 
「昔は鞘の無い剣みたいだったのにな」
駄目だ・・・この人には全部ばれている・・・・・

なまじ 偉大な祖父や父親がいるおかげで周りから過剰な期待を掛けられて心が折れそうだった事
負けまいとして皆、敵に見えていた頃 俺はアリーナの何気ないたった一言で救われた事

皆、この主は知っている。(王子に闘いを挑んで負けた昔の事は誰にも言えない黒歴史だ)

「大丈夫だよ エラルドお前がアリーナを色々誘おうとして誘えなかった事、出そうとして出せなかった
手紙ラブ・レターの事なんて全然、知らないから うん、大丈夫」

何が大丈夫なんだか・・・
「お願いします あいつには、アリーナには内緒にして下さい。モルガーナ嬢にも秘密ですよ!」
このは面白がっている モルガーナ嬢にだって言いそうだ

「で 何でお前達ギクシャクしているんだ?少なくてもお昼を食べてた時間まではラブラブだったよな?」
自分もモルガーナに恋の攻撃ラブ・アタックを受けていたエドモンドは不思議そうに言った

アリーナが失神したんだ 何か有ったんだろう?」言ってしまった方が良いのだろうか?
「同意も無しに唇を奪ってしまいました。暫く顔は見たくないと言われました」
・・・・・・・沈黙だけが二人を包む

「へっ?誰が誰に?」
「俺がアリーナに・・・です」
「行き成り??」
「行き成りです」
エドモンドは珍しく真顔になった

「駄目だろ それは」エドモンドの全うな返しにぐうの音も出なかった 只、下を向いて拳を握り締めた
「やってしまったのは仕方が無い。この先、信頼をどれ位取り戻せるか・・・だ」
「はい。自分の詰まらない嫉妬心からこんな事になってしまいました。あいつが他の男と楽しそうに話しているのみたら つい、カーッとなって」

「独占欲と嫉妬だな」したり顔でエドモンドが話し出す
「私だってあるさ 独占欲も嫉妬もね・・・。只、モルガーナに下心丸出しで近寄ってくる男は見える所にはいないけど。 政略的な婚約者と言っても好意はあるさ それ以上な気持ちもね・・・」

何時でも自信たっぷりで何事にも揺るが無そうなこの国の後継者がいたって普通の同世代の友に見える
「だからお前の気持ちは分るぞ 私だって何度、手を出そうと思ったか・・・」

あれ?今なんか聞いてはいけない事を聞いたような・・・空耳としておいた方が良いんだろうな。
「だからまだ 手を出していない。何時、この気持ちが決壊するか分らないが」
二度、二度も言ったよ この王子
「お前の様に下手打たないように気をつけなきゃな」
この主は口も性格も悪い 今の俺に追い討ちをかけて如何するつもりだ・・・立ち直れそうに無い

「ところで話は変わるが 我が愛しの姫君達が会っているだろう男の身元が判った」
「どこのどいつだったんですか?」何時の間にか立ち直っていたエラルドが 前のめりになって聞いた 
「それが私のクラスメイトだったんだよ アベール=ブランド 男爵家の嫡男だ」
「???」
「だろう? 我々が入学してから数ヶ月経つが名前と顔が一致しなさ過ぎる・・」
「あっ、何となく判ります・・・けれども人となりは全然ですね」
二人はパッと出てきただろう男に困惑した。余りにもモルガーナとアリーナとの接点が見つからなさ過ぎる

あれこれ考えている内に偵察?に行っていた 護衛のルキーノが帰ってきた
「エドモンド殿下 ただ今戻りました」
「おお、どうだった?何か変わった事は無かったか?」
「ハッ、三人で仲良く談笑なさっていました。席が遠かったので話の内容までは分りませんが」
その報告を聞いてエドモンドは少し不機嫌になった。
自分以外の男と仲良くしている婚約者が思いも因らなかった

「モルガーナ様は珍しく興奮なさっている様子で瞳を潤ませていらっしゃいました」
ガタン!! エドモンドが椅子から立ち上がった 珍しく興奮しているみたいだ
「エドモンド様、落ち着いてください!!」
「別に疚しい事があった訳ではないですから!!」
ルキーノも必死で宥める 自分の報告でクラスメイトの首が飛んだら大変だ

「大丈夫だ、私は何時でも冷静だよ?」
((噓付け~殿下、平気って顔色じゃないぞ!))
「アリーナの様子はどうだったんだ?」エラルドも自分の婚約者の事が気が気でない
「アリーナ嬢ですか?彼女は通常運転ですね いつもと変わらずですよ」

アリーナあいつは本当に読めないからな~)エラルドも考え込んでしまった
そこだけお通夜の様な異様な雰囲気にその他の級友達は遠巻きに見ているしかなかった。
一体、何が起こっているのだろうか? 殿下のあんな顔色 見た事が無い エラルドも同じ顔色だ
悪い事が起きなければよいが・・・・・

ただの焼餅を焼いているだなんて分るはずも無い クラスメイトモブ達は自分達に災いが降りかからない事を祈るしかなかった。


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