防御に全振りの異世界ゲーム

arice

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湯の町アルステイン

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「ようやくついたな」


「いい匂いがする」


  俺達が辿り着いたのは周りの店ほぼ全ての煙突からもくもくと煙が立ち昇るthe温泉街的な感じの街だった。


「さて、まず買い物に行こう」


「宿じゃ無いの?」


「ふふん、俺の目は誤魔化せないぞシオン、お前無理してるだろ?」


  俺がそういうとシオンはなぜ気づかれたみたいな顔をする。


「やっぱりな。封印するのも体力消費するんだろ?だったら、封印をかけないでもいいように隠せる服を買いに行こう」


「ありがとう」


シオンの笑顔が見れたからプライスレス!!


  そして、街を歩き回りふと目に入った服屋を見つけ俺は驚愕する事になった。


「な、なんでこれがここに?  この服もこの服もそうだ」


「どしたの?」


「これは、俺の世界の服でジャージって言うものだそれで、こっちはセーラー服って奴だ。まさか、この世界で見ることになるとは思わなかった」


もしかしたら、あるかも知れない……あの服が。


  俺は、シオンにここで待ってろと伝え店の中へ入って行く。


数分後


「リン君、遅いね」


  シオンは、星奈を膝の上に乗せ頭を撫でながら星奈に話しかける。


  そこから、数分後紙袋を持ったリンがいい笑顔を浮かべながら戻ってきた。


「お待たせ!  シオン、これ着てみろ」


「わかった」


  シオンは、自身の影で簡易的な試着室を作り中で着替え始める。


『何買ったの?』


「ふふん、まあ見てろって。あ、ちゃんとフード被れよ」


「んしょ、どう……かな?」


  影が消え、猫耳パーカーのフードの端を持ち少し恥ずかしそうにしながらシオンが聞いてくる。


「んーグレイト!!!!  ふつうに萌える」


「燃えちゃうの?」


「字が違うがな。さてと、これで問題は解決だな。それにしても、かわいいな……」


  元からシオンは相当な美少女の部類に入るからなそれが少し大きめの猫耳もといぬこ耳パーカーを着る事によって、破壊力が更に増す。うん、これは誰でも惚れるわ。


「そんな、面と向かって言われると……恥ずかしいかな」


『甘い空気垂れ流しちゃって、さっさと宿探そうよ』


  っと、そうだったそうだった。


  そして、近くの宿に入り受付の人に話しかける。


「すいません、一泊いくらですか?」


「いらっしゃいませ、お一人様一泊1万レイスとなっております」


うぇ!?  たっか!


「し、シオン?  いくら持ってる?」


「持ってる素材を売ったとしても一泊が限界いや、二人となると足りない」


「あ、えっとまた来ます」


「お待ちしております」



「ふぅ、さてどうしようか。」


「二人合計で1万5千レイス。圧倒的にお金が足りない」


  しまった、俺とシオンも咄嗟のことで蓄えを作らず旅に出てしまったから金が無い。


「安い宿探すか」


  こう言う所だと大体は裏路地とか入り組んだ所にある宿は安い。



  しばらく街を歩いているといい感じにボロい宿を見つけた。



「一人5千レイスか……多分ここが最安値かな」


「でも、ここって……混y」


「ボロいのは我慢しろ。行くぞー」


「あ、待って」


「らっしゃっい!  久しぶりのお客さんだぜ。何泊するんだい?」


「とりあえず、一泊……いや、二泊頼む。また、延長はするかも知れないが」


  俺は、二泊分の金を払い案内された部屋に入る。



「おおおお!!  畳!!」


「いい匂い……」


ふっふっふ、シオンもこの畳の匂いが分かるか……流石、畳。凄いぞ畳。


「さてと、早速風呂に行くとするか。シオンはどうする?」


「あ、えっと後で入るよ」


「おっけー」

  と、俺が風呂に行こうと部屋のドアを開けると店主がノックしようとした体勢だった。


「っと、ちょうどいいところに伝え忘れてました。お風呂はこの時間にしか開いてませんのでお気を付け下さい」


「あ、了解。だってよ、シオン」


「え?  そ、そうなんだ……じゃあ、行こうかな」


  なんで、若干顔赤いんだろうか?  一緒に入る訳じゃ無いのに。


  俺は鼻歌を歌いながら風呂場を目指した。勿論、リンネと星奈も一緒だ。使い魔は料金発生しないんだとさ。


「……おっとぉ?  見間違いかな……混浴って書いてあった様な……」


「だから、待ってって言ったのに……」


「気づいていたんなら言えよ……」


どうしよう……一緒に入るのはダメだよな。


「……俺今日はいいや」


  と、俺が引き返そうとするとシオンに手を引っ張られ中へと引きずり込まれる。


「ここまで来たんだから覚悟決めて」


「お、おう」


  俺は、覚悟を決め服を脱ぎ始める。


……おおぅ、後ろで布が擦れる音が聞こえるぞ。


『変態』


「うるさいぞ、星奈」


  俺は、さっさと服を脱ぎシオンの方を見ずに浴室の中へと入る。


  なんか、看板に書いてあるぞ。


『浴槽にタオルなどを付けないで下さい。お湯の中に浸透させている光魔法が濁ってしまいますので』


「はぁ……勘弁してくれ」


  俺は、頭を抱えながら呟く。


  よし、シオンが来る前に入ってしまおう。


「ふぅ、やっぱり風呂はいいもん……だ!?」


「お待たせ……タオル禁止……嘘」


  髪をゴムでくくりポニーテールを作ったシオンが看板を見て顔を真っ赤に染めていく。


「ほら、リン襲え!  男なら狼になるときぞ」


「うるさいぞ、リンネ。お前と違って俺は草食系なんだよ」


「フッ、情けない男よの」


『戦闘の時は、あんなにガツガツしてる癖にねー』


  リンネは、口元を歪めながら気持ちよさそうにお湯に浸かっていて、星奈は桶にお湯を入れ頭に小さい布を乗せてぷかぷか浮いていた。


「と、とりあえず入れよ。風邪引くぞ」


「う、うん」


  シオンが足からゆっくりと湯船に入る。勿論、俺は後ろを向いて見ないようにしている。


  でもまあ、見ちゃうよね男の子だもん。


  温度のせいか、羞恥心からか少し赤みのかかった顔、雪の様に白い肌を滑り落ちる雫、ふぅっと漏れる吐息……なんだろう、エロい。


「リン君のエッチ」


「は、はぁ!?  見てねーし!」


  よーし、収まれ収まるんだ俺の息子~。


  俺が、息子と戦っていると星奈と目があった。


「なんだよ……」


『凛も、男の子なんだね』


  と、ニヤニヤしながら俺の股間付近を見つめる幸い入浴剤のお陰で丸見えでは無かった。


「見てんじゃねーよ!!」


はぁ、もういいや。


「一旦ここらで整理しようか」


「何を?」


「まず、俺達の目標だな。一つはお金を稼ぐ事。これが、最重要課題だな。だから、この街を拠点にしてある程度貯蓄を作る。
  二つ目は、シオンの集落を襲った魔族を殺す事。これに関しては今は、情報が無い為保留。
  三つ目は、リンネ達の住処に足を踏み入れた炎の守護者と水の守護者を殺す事。これは、リンネが直接やった方が良いだろう」


「無論、我の手で始末をつけさせて貰う。しかし、王国を出た今そう簡単に会えるものか?」


「俺達はお尋ね者だぞ?  ほっといても向こうから来るさ。
  それで、四つ目、俺の目的の異世界ゲームをクリアする事。これは、とりあえず気にしなくて良い。俺の問題だからな
  五つ目はロークラスのランクアップ。上に行けば行くほど金も手に入るからな。
  ギルドに参加どうかは後々決めよう。ざっと、こんなもんかな」


  後は、何かあったかなぁ……とりあえず、決めてる目標はこのくらいか。


「それにしてもいい湯だな」


「本当にねー」


「だよなー……ん?」


  ふと、横を見ると俺とシオンの間に四ノ宮が居た。


「やっほー。久しぶりだねー凛君」


「は?  はぁぁぁぁ!?」


  俺は、咄嗟の事に思わず立ち上がってしまった。


「ほぉ、なかなか良いものをお持ちでございますな旦那」


  と、俺の息子を見てニヤニヤし出す四ノ宮。



「リン君!  前隠して!  前!」


  俺は湯船に浸かると同時に距離を取る。


「なんでお前がここに……ていうかいつ入って来た?」


「ん?  さっきだにゃー」


イラッ


  っと、クールに行こうぜ俺。


「てか、何しに来たんだよ」


「まあまあ、話は後にして。それより、シオンちゃーん良いもの持ってるねぇ」


「え?  あの、ちょっ」


  と、シオンが言葉を言い終える前に四ノ宮がシオンの後ろに回り込み後ろから胸を揉みしだく。



「…あっ…んっ……ま…って…シノミヤ…さん」


  ふぅ、俺は一体何を見せられてるんだろう……。


  そして、ひとしきり揉みしだいた後手をワキワキさせ四ノ宮が言葉を発する。


「査定の結果、シオンちゃんの胸のサイズはDカップ!!」


「そっか、良かったな。大丈夫か?  ……シオン?」


  と、俺がシオンを見るとプカーっと浴槽にシオンが浮かんでいた。



「うわぁぁあ!!  シオーン!  しっかりしろ!」


「ありま、やり過ぎたかにゃ?」


  俺は、シオンを背中に背負い用意されていた浴衣を着せ部屋へとダッシュで戻った。


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