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亜人殲滅戦【VS勇者】
しおりを挟む「流石に多かったな。被害はどれくらいだ?」
「怪我人は多数居ますが死傷者は居ません」
「そうか、ならお前達は中央で戦ってる獣人達の援護へ行ってくれ」
「稲荷様はどうするのですか?」
「俺の事は気にしなくていい」
なーんか、嫌な気配が近づいて来てんだよなぁ。これは……勇者じゃね?
俺は虫人達を見送り空を見上げながら呟く。
「何で、こんないい天気の日に戦争なんかしてんだろ……」
「お前が、稲荷だな」
「うへぇ、強そうな奴」
俺の後ろに立っていたのは金髪イケメンで金色の鎧を着た奴と黒髪でロングカーディガンを着ている平凡顔の奴だった。
「勇者と巻き込まれって所か」
「なぜ、人間のお前が悪者の亜人の味方をする!」
まーた、この質問ですか……。
「さっきも言ったが、お前達が嫌いだから。後、獣耳は正義だから」
「そこは、同意する。俺は、犬耳派だな」
「ちょっと、黎人!? 何言ってんのさ!」
ふむ、黒髪とは仲良くなれそうだ。だが、しかし俺は猫耳派だ!
「まあ、いいや。下らない問答には飽きた。来いよ」
「悪者には正義の鉄槌を!」
うわぁ、うぜぇ。
「相変わらず、悠人はうざいな」
勇者は金色に輝く大剣を構えながら俺を睨みつけ、黒髪の方は動く気が無いようで空をぼーっと見上げていた。
「まずは、お前からか勇者。死んでも後悔すんなよ?」
振り下ろされた大剣を特に防ぐそぶりもせずにくらう。
「大きな口をたたいた割には防げてないじゃないか、今ならまだ、許してあげるから大人しく投降して」
「くっくっく、お前は何を見ている? 俺のどこに傷が付いてるって?」
「な!?」
まあ、切られた瞬間に回復しただけなんだけどな。
「くっ、僕は勇者だ! 人間を守る為に僕は戦う!」
「おい、勇者一つ聞きたいんだが」
「なんだ!」
あ、聞いてくれるんだ……。
「お前が、守るのは人間だけか?」
「それは、どう言う意味だ」
「そのままの意味だが? なんの罪も無い獣人達は死んでもいいって事か?」
「亜人達は五年前に人間を殲滅しようとしたじゃ無いか! そんな悪い奴等は居なくなって当然だ!」
なるほどね、おっさん嘘を教えたな……。ふむぅ、どうしようめんどくさくなって来たな。
「ユナ~」
「はいな!! ……うげぇ、勇者……」
ユナが、勇者の顔を見るなり顔を歪め俺の後ろに隠れる。
「お前は……魔王ユウナ!」
「凛~何でこんな所に呼んだのよ!」
「いや、めんどくさくなって来たから一気に決めようかなって」
「あー、なるほど。理解したやるんだね」
話が早くて助かるぜ。
「我、盟約により力を欲する」
「我、盟約により力を貸すことを承諾する」
ユナから流れ出た魔力が俺の中へと入り込んで行き眩い紫の光を放ちながら俺を飲み込んでいく。
「【魔堕し】」
俺の背中には紫色の透き通る羽が生え服装がローブから黒いロングコートへと変わる。
「ふぅ、何とか成功したな」
さてと、やってみるかね。使えるといいんだけど。
「俺は、お前達が立つ事を『許可しない』」
勇者と巻き込まれはその場にうつ伏せで倒れ俺を睨みつける。
「おお、使えた使えた」
「これは……魔王の力」
「立てねーぞこれ」
さて、実験も終わったしそろそろ本格的にやりあおうかね。
と、俺が白雪を抜くと同時に獣人の一人が息を切らせながら走って来た。
「稲荷様!! 平原の横に展開していた部隊が苦戦中です」
「相手は?」
「火の守護者と水の守護者との事」
そりゃ、苦戦もするわ。
「リンネ、行くか?」
『勿論だ! あの者達を屠るのが我の目的!』
と、リンネが空から降り立ち、苛立ちを顔に浮かべながら獣人を咥えて空へと飛び上がり平原の方へと飛んで行った。
「さて、そろそろお前らも立てるだろ? かかってこいよ」
「許さないぞ!」
「これは、カチンと来たわ」
勇者が大剣を巻き込まれが大太刀を構える。
「聖なる光、炎となりて敵を灰にせよ【セイント・フレア】」
「へぇ、やるね【フレイ・シルド】」
勇者が放った白い炎と俺の前に現れた盾がぶつかり熱風で周りの木々が燃えていく。
「おいおい、環境破壊だぞ。勇者様よ」
「うるさい!」
後ろから振られた大太刀を白雪で受け止め後ろを見る。
「殺気も隠せない未熟な野郎が俺に勝てると思ってんのか?」
「はっ、わざとだよ」
俺は、巻き込まれの髪の毛を持ち勇者に向かって投げつけ白雪を振るう。
勇者と巻き込まれはいち早く気づき武器でガードする。
「へぇ、よく気づいたな」
「空間斬撃……空間を通してあらゆる防御を突破できる能力だな」
「へぇ、黎人は物知りなんだね」
「お前が、知らなすぎるんだよ」
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