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絶鎌の呪咒
第11話 相手の尊厳が破壊されている顔を見て嬉しくなっちゃう系女子
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ピッポ~ パッポ~
多くの人がごった返す交差点、周囲に立ち並ぶ高層ビルに、交通の喧騒や人々の声が響き渡っている。
それを指揮するかのように等間隔で誘導音が鳴り響く。
その単調なまでの電子音。しかしそれは救急車やパトカーなど、他の電子音を発する音源と不愉快なハーモニーを奏でている。
そんな協奏曲が響き渡ている中、彩を与える3人のJCの声。
「碧唯ちゃんってやっぱり性格悪いですよね」
「なんだい、いきなりひどいじゃないか…」
「私は今日の決闘を見てから、友達というものを考え直さなければと思いまして…」
黒髪のロングの女の子が、金髪の夏帆と呼ばれている子に突っ込む。
それは金銀妖瞳が特徴の黒髪の子。
太陽の光を反射しているような輝きを持っている金色と清澄な水のような透明感を放つ青色の瞳が非難するように細められている。
「あ!夏帆も同じこと思ったんだ!そうだよね。今日の決闘はさすがにひどかったわよね!」
「ひどいも何も、向こうが喧嘩を吹っかけてきたじゃないか」
「それにしてもです…あそこまで、相手の心を折る必要はなかったでしょうに…」
ナームー…と対戦相手に合唱する夏帆。
金髪の彼女の髪は、夏の陽射しに照らされた麦穂のような色合いで、穂が風に揺れるよう柔らかく揺れる。
しかし、非難する者がいれば擁護する者もいるもので…
頭の後ろに無造作にまとめた髪を元気に揺らしながら、残りの一人が答える
「でもさ、碧唯は性格悪が悪いわけじゃないわよ」
「瀬奈…」
「ちょっとドSなだけよね?相手の尊厳が破壊されている顔を見て嬉しくなっちゃう系女の子だもんね」
「おや?瀬奈?」
赤髪ポニーテールの女の子が、容赦ない言葉を浴びさせる。
味方のふりをした敵にプチ脳破壊を受けた碧唯。
「でもまあ、私はすっきりしたわよ?あの先輩、私好きじゃなかったから」
「それは同感です。碧唯ちゃんとの試合の決着がついた後のあの顔…ププ」
「ちょっと、夏帆止めなさいよ!私まで笑いそうになるじゃない!!」
「だって…だって…脳裏に焼き付いて離れませんよ。あの萎びたTNPみたいな顔」
「ぶっふ!!ちょっとやめてよ!!!あハハハ!!!!!!」
「…君たちって、エグイよね…」
夏帆と瀬奈に少し引きながら、つぶやく碧唯。
類は友を呼ぶのか、それとも、この二人が碧唯の性格の悪さに影響を受けたのか
所謂、鶏が先か、卵が先か問題を考えるのだった。
「とりあえず、祝勝会をしましょうよ!!サ〇ゼ?」
「いや、もっと豪華に行きましょう!!どうせ決闘の副産物で碧唯ちゃんはたんまりお金を持っているはずですから!」
「きみたち、もしかしてボクにおごられる気満々?」
「「もちろん(です)」」
「ハァ…」
ぴったりと呼吸が合う夏帆と瀬奈
碧唯は阿吽の呼吸で肯定する二人に、突っ込む気も失せてしまった。
「そうか…強くなってしまうとこんな雑魚相手に…雛に…餌付けをしなけばならないのか…」
「お?言葉が強いですよ、碧唯ちゃん?やりますか?やるんですか?」
「え?ちょっ!!」
「ほらほらほら!!!」
シュッ!シュッ!とシャードボクシングをする夏帆。
碧唯と夏帆が二人じゃれ合っている光景を見ながら、赤髪ポニーテールの瀬奈が感慨深そうにつぶやいた
「それにしても…碧唯も序列50位までもう少しね」
「そうだね、でもここから上に行くとなると、少し厳しい気がする」
「まだ上に行く気ですか…学園の歴史を見ても、碧唯ちゃんは最速レベルなんですよ?何がそこまでモチベーションを保てるのか、本当に不思議です」
碧唯の発言に、テストで98点を取って落ち込んでいる人間を見るかのような表情を浮かべる夏帆。
「モチベーションか…ボクにはね、追いつきたい人だいるんだ」
「あ~また出たよ、碧唯のイマジナリー彼氏」
「違うよ瀬奈いろいろ間違えてるよ」
初等部からの編入組で、現在中学2年生になる水野碧唯。
水野碧唯という人物は中等部では知らない人がいないほどの有名人である。
容姿端麗でありながら学年最強。廊下を歩けば、誰しもが振り向く程の美貌。
「雷刀姫」として、名が通っており、まさしく才能の権化。その天性の才能と類まれなる戦闘センスを併せ持った彼女は、歴代でも最速の序列成績を持っている。
ではただの筋肉ゴリラかと思えばそうではなく、ちゃんと思考を巡らせ行動するという思慮深い一面も持ち合わせている。
そんな彼女でも足元にも届かない存在がいるんだとか…
「でも、冷静に考えてみてくださいよ。ぺーぺーの小学生が、術式を扱える訳ないじゃないですか?」
「そうよ碧唯、きっと自分の中で作り上げた妄想よ?だって、そんな理想の限り欲張りセットが満載な小学生いるはずないもの」
「君たちものすごく否定してくるね…」
「はっきり言いますけどね…そんなの妄想か何かなんですよ。もし現実に居るとしたら、妬ましいです。碧唯ちゃんには勿体なさすぎます」
「絶対それが本音じゃないか…」
とは言いつつも、碧唯がちゃんとした実力者であることは事実。
力を求める理由は乙女チックなところがあるものの、努力は怠らない。
だから、そんな彼女が居れば、中学2年生から行われるクラス対抗の特殊試合を乗り越えることができるのではないかとも考えていたのだ。
クラス対抗の特殊試合。それは武力だけではなく、戦略や知略、団結力が試される試合だ。
武力が全てとは行かないまでも、武力があればできることが増えるのも事実。
碧唯が居れば勝ちやすい。それもあるがそれ以上に、この3人であれば、どんな試合でも困難でもきっと乗り越えることが出来る。そんな予感がしたのだ。
「とりあえず、来年度のクラスはここの3人が一緒だったらいいですね?」
「どうしたんだい?いきなり似つかわしくない気色の悪いことを言って?」
「夏帆?あなた、本当に夏帆なの?夏帆のフリした怨霊体じゃなくて?」
いきなり臭いセリフを放った夏帆に好き勝手いい始める2人。
そんな2人を見て、あ~やっぱりコイツらはゴミだなー、カスだなー
なんて夏帆が思いながら、満面の笑みで中指をおっ立てていると、不意に端末に緊急用の着信が届く。
「怨霊体発生情報だってさ」
いち早く端末を開いた碧唯が画面に視線を落としながら、皆に情報共有する。
「発生予想位置は…これすぐ近くじゃないですか!」
「まあでも、呪度は2。これなら、私達でも対処出来そうね」
「瀬奈…直ぐそうやってフラグ立てる…」
瀬奈《せな》がフラグ建築士1級のプロでも驚きの速度でフラグを立てる。
周りの通行人も政府からの情報に一瞬目を落とすも呪度2ではスルーする人ばかり。
震度2並の地震と同様に、あまり気にする人もいないらしい。立ち止まって情報を確認しても、そのまま何事もなかったように歩き始める人がほとんどだ。
サラリーマンなど忙しそうにしている人に限っては、そもそも情報を確認することもなく足早に歩いていく。
しかし、碧唯たちはそうとはいかず、これからどう動くかについての相談をすることにした。
「どうする?」
「どうするもこうするもないのでは?私達は怨霊体を対処する努力義務があるのですから…」
「そうね、とりあえず、この辺で待機しながら、発生を………………ッ!!!!?」
「「………ッ!!!」」
青に変わった交差点を渡ろうとしたその時、3人の背筋に悪寒が走る。カエルが蛇に睨まれたかのように地面にくっ付き、数瞬の間動くことが出来なかった。
緊迫感が3人を襲い、心臓が恐怖と焦りで高鳴り始める。今まで感じたことの無いような邪悪。
直ぐにその場から離れようとするも、もう遅いと悟ってしまう。もう敵の手中にあると嫌でも感じ取ってしまった。
食虫植物に捕らえられてしまった虫のように、あがくことさえも無駄であると錯覚してしまう。
そんな絶望の淵に立たされてなお、最初に動き始めたのが金髪の夏帆《かほ》である。
「位相がずれ始めています!!碧唯ちゃん一般人を巻き込まないように!!」
真っ先に異変の正体を見破った夏帆が指示と共に大声で指示を飛ばす。
そして指示を飛ばした頃には、碧唯も動き始めており、一般人を守るための術式を施行し始めていた。
「…………ック。やってるさ!!!」
交差点一帯にノイズが走り始め、世界が急速に変化していく。赤い色が周囲の空間を覆い、現実とは異なる世界へと塗り替わっていく。
そんな世界に人を巻き込まないように、碧唯が必死に術式を施行する。
地面に手を付け、変わり始める世界から術式で人々を切り離していく。
また一人また一人と現実世界が異世界に代わる前に避難を着々と進めていく。
そして碧唯が一般人をなんとかして避難を完了させた直後、世界が赤く染まった。
多くの人がごった返す交差点、周囲に立ち並ぶ高層ビルに、交通の喧騒や人々の声が響き渡っている。
それを指揮するかのように等間隔で誘導音が鳴り響く。
その単調なまでの電子音。しかしそれは救急車やパトカーなど、他の電子音を発する音源と不愉快なハーモニーを奏でている。
そんな協奏曲が響き渡ている中、彩を与える3人のJCの声。
「碧唯ちゃんってやっぱり性格悪いですよね」
「なんだい、いきなりひどいじゃないか…」
「私は今日の決闘を見てから、友達というものを考え直さなければと思いまして…」
黒髪のロングの女の子が、金髪の夏帆と呼ばれている子に突っ込む。
それは金銀妖瞳が特徴の黒髪の子。
太陽の光を反射しているような輝きを持っている金色と清澄な水のような透明感を放つ青色の瞳が非難するように細められている。
「あ!夏帆も同じこと思ったんだ!そうだよね。今日の決闘はさすがにひどかったわよね!」
「ひどいも何も、向こうが喧嘩を吹っかけてきたじゃないか」
「それにしてもです…あそこまで、相手の心を折る必要はなかったでしょうに…」
ナームー…と対戦相手に合唱する夏帆。
金髪の彼女の髪は、夏の陽射しに照らされた麦穂のような色合いで、穂が風に揺れるよう柔らかく揺れる。
しかし、非難する者がいれば擁護する者もいるもので…
頭の後ろに無造作にまとめた髪を元気に揺らしながら、残りの一人が答える
「でもさ、碧唯は性格悪が悪いわけじゃないわよ」
「瀬奈…」
「ちょっとドSなだけよね?相手の尊厳が破壊されている顔を見て嬉しくなっちゃう系女の子だもんね」
「おや?瀬奈?」
赤髪ポニーテールの女の子が、容赦ない言葉を浴びさせる。
味方のふりをした敵にプチ脳破壊を受けた碧唯。
「でもまあ、私はすっきりしたわよ?あの先輩、私好きじゃなかったから」
「それは同感です。碧唯ちゃんとの試合の決着がついた後のあの顔…ププ」
「ちょっと、夏帆止めなさいよ!私まで笑いそうになるじゃない!!」
「だって…だって…脳裏に焼き付いて離れませんよ。あの萎びたTNPみたいな顔」
「ぶっふ!!ちょっとやめてよ!!!あハハハ!!!!!!」
「…君たちって、エグイよね…」
夏帆と瀬奈に少し引きながら、つぶやく碧唯。
類は友を呼ぶのか、それとも、この二人が碧唯の性格の悪さに影響を受けたのか
所謂、鶏が先か、卵が先か問題を考えるのだった。
「とりあえず、祝勝会をしましょうよ!!サ〇ゼ?」
「いや、もっと豪華に行きましょう!!どうせ決闘の副産物で碧唯ちゃんはたんまりお金を持っているはずですから!」
「きみたち、もしかしてボクにおごられる気満々?」
「「もちろん(です)」」
「ハァ…」
ぴったりと呼吸が合う夏帆と瀬奈
碧唯は阿吽の呼吸で肯定する二人に、突っ込む気も失せてしまった。
「そうか…強くなってしまうとこんな雑魚相手に…雛に…餌付けをしなけばならないのか…」
「お?言葉が強いですよ、碧唯ちゃん?やりますか?やるんですか?」
「え?ちょっ!!」
「ほらほらほら!!!」
シュッ!シュッ!とシャードボクシングをする夏帆。
碧唯と夏帆が二人じゃれ合っている光景を見ながら、赤髪ポニーテールの瀬奈が感慨深そうにつぶやいた
「それにしても…碧唯も序列50位までもう少しね」
「そうだね、でもここから上に行くとなると、少し厳しい気がする」
「まだ上に行く気ですか…学園の歴史を見ても、碧唯ちゃんは最速レベルなんですよ?何がそこまでモチベーションを保てるのか、本当に不思議です」
碧唯の発言に、テストで98点を取って落ち込んでいる人間を見るかのような表情を浮かべる夏帆。
「モチベーションか…ボクにはね、追いつきたい人だいるんだ」
「あ~また出たよ、碧唯のイマジナリー彼氏」
「違うよ瀬奈いろいろ間違えてるよ」
初等部からの編入組で、現在中学2年生になる水野碧唯。
水野碧唯という人物は中等部では知らない人がいないほどの有名人である。
容姿端麗でありながら学年最強。廊下を歩けば、誰しもが振り向く程の美貌。
「雷刀姫」として、名が通っており、まさしく才能の権化。その天性の才能と類まれなる戦闘センスを併せ持った彼女は、歴代でも最速の序列成績を持っている。
ではただの筋肉ゴリラかと思えばそうではなく、ちゃんと思考を巡らせ行動するという思慮深い一面も持ち合わせている。
そんな彼女でも足元にも届かない存在がいるんだとか…
「でも、冷静に考えてみてくださいよ。ぺーぺーの小学生が、術式を扱える訳ないじゃないですか?」
「そうよ碧唯、きっと自分の中で作り上げた妄想よ?だって、そんな理想の限り欲張りセットが満載な小学生いるはずないもの」
「君たちものすごく否定してくるね…」
「はっきり言いますけどね…そんなの妄想か何かなんですよ。もし現実に居るとしたら、妬ましいです。碧唯ちゃんには勿体なさすぎます」
「絶対それが本音じゃないか…」
とは言いつつも、碧唯がちゃんとした実力者であることは事実。
力を求める理由は乙女チックなところがあるものの、努力は怠らない。
だから、そんな彼女が居れば、中学2年生から行われるクラス対抗の特殊試合を乗り越えることができるのではないかとも考えていたのだ。
クラス対抗の特殊試合。それは武力だけではなく、戦略や知略、団結力が試される試合だ。
武力が全てとは行かないまでも、武力があればできることが増えるのも事実。
碧唯が居れば勝ちやすい。それもあるがそれ以上に、この3人であれば、どんな試合でも困難でもきっと乗り越えることが出来る。そんな予感がしたのだ。
「とりあえず、来年度のクラスはここの3人が一緒だったらいいですね?」
「どうしたんだい?いきなり似つかわしくない気色の悪いことを言って?」
「夏帆?あなた、本当に夏帆なの?夏帆のフリした怨霊体じゃなくて?」
いきなり臭いセリフを放った夏帆に好き勝手いい始める2人。
そんな2人を見て、あ~やっぱりコイツらはゴミだなー、カスだなー
なんて夏帆が思いながら、満面の笑みで中指をおっ立てていると、不意に端末に緊急用の着信が届く。
「怨霊体発生情報だってさ」
いち早く端末を開いた碧唯が画面に視線を落としながら、皆に情報共有する。
「発生予想位置は…これすぐ近くじゃないですか!」
「まあでも、呪度は2。これなら、私達でも対処出来そうね」
「瀬奈…直ぐそうやってフラグ立てる…」
瀬奈《せな》がフラグ建築士1級のプロでも驚きの速度でフラグを立てる。
周りの通行人も政府からの情報に一瞬目を落とすも呪度2ではスルーする人ばかり。
震度2並の地震と同様に、あまり気にする人もいないらしい。立ち止まって情報を確認しても、そのまま何事もなかったように歩き始める人がほとんどだ。
サラリーマンなど忙しそうにしている人に限っては、そもそも情報を確認することもなく足早に歩いていく。
しかし、碧唯たちはそうとはいかず、これからどう動くかについての相談をすることにした。
「どうする?」
「どうするもこうするもないのでは?私達は怨霊体を対処する努力義務があるのですから…」
「そうね、とりあえず、この辺で待機しながら、発生を………………ッ!!!!?」
「「………ッ!!!」」
青に変わった交差点を渡ろうとしたその時、3人の背筋に悪寒が走る。カエルが蛇に睨まれたかのように地面にくっ付き、数瞬の間動くことが出来なかった。
緊迫感が3人を襲い、心臓が恐怖と焦りで高鳴り始める。今まで感じたことの無いような邪悪。
直ぐにその場から離れようとするも、もう遅いと悟ってしまう。もう敵の手中にあると嫌でも感じ取ってしまった。
食虫植物に捕らえられてしまった虫のように、あがくことさえも無駄であると錯覚してしまう。
そんな絶望の淵に立たされてなお、最初に動き始めたのが金髪の夏帆《かほ》である。
「位相がずれ始めています!!碧唯ちゃん一般人を巻き込まないように!!」
真っ先に異変の正体を見破った夏帆が指示と共に大声で指示を飛ばす。
そして指示を飛ばした頃には、碧唯も動き始めており、一般人を守るための術式を施行し始めていた。
「…………ック。やってるさ!!!」
交差点一帯にノイズが走り始め、世界が急速に変化していく。赤い色が周囲の空間を覆い、現実とは異なる世界へと塗り替わっていく。
そんな世界に人を巻き込まないように、碧唯が必死に術式を施行する。
地面に手を付け、変わり始める世界から術式で人々を切り離していく。
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そして碧唯が一般人をなんとかして避難を完了させた直後、世界が赤く染まった。
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