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本編
戦地に行ってまいります!
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あの後、パーティー会場に戻ることなんてできませんでした。分かってましたわ。白のエンパイアドレス、ビリッビリですものね。
薄い絹の靴下は、片方がどこかに飛んでいってしまい、かろうじて靴下止めに引っかかっていた片方も伝線し、破かれ、穴だらけです。
鬱屈したものを溜め込んでいたらしいアレクが、わたくしを解放してくれるはずもなく、夜が明けるまで抱かれました。
死ぬかと思いました。
最後の方は「命令よ、もうやめて、お願い、お願いします、許して」と懇願してしまったけれど、アレクは狂人みたいに腰を振り続け、結果わたくし、途中から意識がありません。
目覚めたら、アレクがベッドの下に土下座していて、わたくし妖怪かと思ってびっくりしました。
アレク、どうしたの? と聞こうとしたけれど、声も掠れて出ないし、何より体が動きません。腰から下の感覚も無いし、全身ヒリヒリ痛むし、しかもカッピカピなのです。
「浄化魔法とか使えますか? え? 自分の体に施す魔力って使えないんですか? 避妊魔法ってやつも相手にかけてもらうんですか!? は? 何言ってんだ! 冗談じゃない、ベルトラン様なんて呼んだら許しませんよ!」
仕方なくアレクは、男子寮の個室までわたくしをシーツにくるんで運びました。力もちですわね。
浴室で綺麗に洗ってくれて、でもまたムラムラしてきたみたいで、前かがみで困り果てていましたわ。
わたくしを寮のベッドに寝かせると「研究室を片付けてきます。シーツとかねっとねとだから」と言って出て行ってしまいました。
どちらにしろ、わたくし自分の体の痣や噛み痕を見下ろしてドン引きしていたし、声はガラガラでしゃべれないので、大人しく寝ておりました。
やがて戻って来たアレクは、温かいお茶と軽食の載ったトレーを抱えておりました。
「お嬢様、昨夜は本当に無体な真似をしてしまい──」
「わ゛だし゛も゛い゛」
すとーっぷと言われて、お茶を勧められました。
「蜂蜜茶に、喉薬入りです」
こくんと飲むと、喘ぎ声を出しすぎて潰れた喉に、すっと染み渡りました。
「アレク、わたくしも、最後にいい思い出をもらえましたわ」
にこっと笑いかけます。
「わたくし、アレクのことがやっぱり好きみたいですの。ご迷惑じゃなければ、戦地からお手紙を送るわね」
アレクの漆黒の瞳の闇が濃くなったのに、わたくし、気づきませんでした。
「ただね、アレク。生きて帰れるかも分からない貴族との結婚の約束は、やはり重荷だと思うの。アレクはアレクの人生を好きなように生きてくださいね。わたくしは、高貴なる義務を全うしてまいります」
晴れ晴れとした気分です。
もし無事に戻ったら──わたくしから、このわたくしからプロポーズしてやってもいいかしら。
たまには、わたくしの方から折れてやってもよろしいわよね?
ところがアレクは、無言で目の前にどこから持って来たんだか分からないロープを出し、パシッと引っ張ってみせました。
「お嬢様、ちょっとお仕置きが足りなかったようですね」
「どっ?? えぇぇええええ!?」
再びわたくしを緊縛しようとするアレクに、わたくしは泣き叫んで抵抗しました。
死んじゃう、股間がもう、感覚無いし腰が痛くて死んじゃいますわ!
「お嬢様はどうしてそうバカなのですか」
バカですってぇえええええ!?
「俺がなんのためにこんなガリ勉引きこもり野郎を続けていたと思ってるんだ! 戦時徴集も志願兵も──戦争自体を終わらせるためだろう!」
わたくし、きょとんとしてしまいました。
そしてそのまま、なんだかやけに入り組んだ縛り方で全身を拘束され、またまためちゃくちゃに抱かれてしまったのです。
死ぬ。
薄い絹の靴下は、片方がどこかに飛んでいってしまい、かろうじて靴下止めに引っかかっていた片方も伝線し、破かれ、穴だらけです。
鬱屈したものを溜め込んでいたらしいアレクが、わたくしを解放してくれるはずもなく、夜が明けるまで抱かれました。
死ぬかと思いました。
最後の方は「命令よ、もうやめて、お願い、お願いします、許して」と懇願してしまったけれど、アレクは狂人みたいに腰を振り続け、結果わたくし、途中から意識がありません。
目覚めたら、アレクがベッドの下に土下座していて、わたくし妖怪かと思ってびっくりしました。
アレク、どうしたの? と聞こうとしたけれど、声も掠れて出ないし、何より体が動きません。腰から下の感覚も無いし、全身ヒリヒリ痛むし、しかもカッピカピなのです。
「浄化魔法とか使えますか? え? 自分の体に施す魔力って使えないんですか? 避妊魔法ってやつも相手にかけてもらうんですか!? は? 何言ってんだ! 冗談じゃない、ベルトラン様なんて呼んだら許しませんよ!」
仕方なくアレクは、男子寮の個室までわたくしをシーツにくるんで運びました。力もちですわね。
浴室で綺麗に洗ってくれて、でもまたムラムラしてきたみたいで、前かがみで困り果てていましたわ。
わたくしを寮のベッドに寝かせると「研究室を片付けてきます。シーツとかねっとねとだから」と言って出て行ってしまいました。
どちらにしろ、わたくし自分の体の痣や噛み痕を見下ろしてドン引きしていたし、声はガラガラでしゃべれないので、大人しく寝ておりました。
やがて戻って来たアレクは、温かいお茶と軽食の載ったトレーを抱えておりました。
「お嬢様、昨夜は本当に無体な真似をしてしまい──」
「わ゛だし゛も゛い゛」
すとーっぷと言われて、お茶を勧められました。
「蜂蜜茶に、喉薬入りです」
こくんと飲むと、喘ぎ声を出しすぎて潰れた喉に、すっと染み渡りました。
「アレク、わたくしも、最後にいい思い出をもらえましたわ」
にこっと笑いかけます。
「わたくし、アレクのことがやっぱり好きみたいですの。ご迷惑じゃなければ、戦地からお手紙を送るわね」
アレクの漆黒の瞳の闇が濃くなったのに、わたくし、気づきませんでした。
「ただね、アレク。生きて帰れるかも分からない貴族との結婚の約束は、やはり重荷だと思うの。アレクはアレクの人生を好きなように生きてくださいね。わたくしは、高貴なる義務を全うしてまいります」
晴れ晴れとした気分です。
もし無事に戻ったら──わたくしから、このわたくしからプロポーズしてやってもいいかしら。
たまには、わたくしの方から折れてやってもよろしいわよね?
ところがアレクは、無言で目の前にどこから持って来たんだか分からないロープを出し、パシッと引っ張ってみせました。
「お嬢様、ちょっとお仕置きが足りなかったようですね」
「どっ?? えぇぇええええ!?」
再びわたくしを緊縛しようとするアレクに、わたくしは泣き叫んで抵抗しました。
死んじゃう、股間がもう、感覚無いし腰が痛くて死んじゃいますわ!
「お嬢様はどうしてそうバカなのですか」
バカですってぇえええええ!?
「俺がなんのためにこんなガリ勉引きこもり野郎を続けていたと思ってるんだ! 戦時徴集も志願兵も──戦争自体を終わらせるためだろう!」
わたくし、きょとんとしてしまいました。
そしてそのまま、なんだかやけに入り組んだ縛り方で全身を拘束され、またまためちゃくちゃに抱かれてしまったのです。
死ぬ。
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