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教会の手
11、ワシリー・バブーリンの苦悩
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「それで? 聖女さまから特別な御加護を頂く方法について、早く教えてくれないか」
まだ誰にも教えていない聖女の情報を、この男はどこで手に入れたというのか。
ワシリーは動揺を押し隠して、目の前で笑う男の思惑を見通そうというように男へ向ける表情を、教皇という地位に相応しいものへと被り直した。
意気揚々と聖女を連れて戻ってきたワシリーは、『寄進を山のように積んだ男が教皇との面会を求めて待っている』と聞かされたのだ。
聖女を男から隠すため、表ではなく裏まで連れて行ってから馬車から下ろし、ローブをかぶせて移動するようにと細々と指示まで出した。それで十分隠し通せると思ったのだ。
だが、急ぎ面談に応じたのは失敗だったかもしれないと思い始めていた。
しかし、今の教会に他国とはいえ突然押し掛けてきた王族それも次代の王たる男を追い返せるほどの力はない。
それもこれもすべて魔族の襲来のせいである。
なによりも、教会を護り神の教えを次代へと繋ぐためワシリーが下した苦渋の決断を、周囲が受け入れようとしなかったせいだ。
実際にこうして教会上層部の人間がすべて今日という日を迎えられたのは、あの日、ワシリーが決めた策が労を斯うしたお陰であるというのに。
確かに、市井に暮らす信者たちまでは守れなかった。だがそれは些細なことではないか。
ワシリーだって苦しかったのだ。周囲から、教会の保有する戦力の提供や糧食を求められて。断ると、まるで悪者扱いされたことは不本意でしかなかった。
彼らの要求をすべて受け入れたとしても、何の足しにもならないのだと何故わからないのか。
教会にあるのはすべて神に捧げるに足る稀少品ばかり。
一度はワシリー達の血肉になるが、希少な物から作られた身体だからこそ、それ故に祈りが届くのだ。
量ばかり多い下賤な安物を口にした身体では、神に願いをすることすら許されないことだ。
飢えている者の舌の先に、味がするかしないか分からないごく少量を分け与えたとて、感謝することも無いだろう。
腹がくちくなるには程遠い食事を薄く配っても全員の寿命が短くなるだけ。ただの偽善だ。パフォーマンスにしかなりはしないというのに。
教会には、神に遣える者たちの命を守り繋ぐ程度の物しか貯えはなかった。神へ祈りを捧げるためには体力がいる。
自分達が倒れてしまったら。祈りを捧げる者が誰もいなくなってしまったら、どうなっていたと思うのか。
市井の者たちだけならともかく、各国の首脳ともあろう者までもが悉く想像力がなさ過ぎる。
ワシリーたち教会関係者が必死になって祈りを捧げたからこそ、この国の王の存命を祈る聖女の心が神に届いたのだ。
決して、ゴルド・ドルバガという剣を揮うしか能のない男が一人喚いたから、
神が願いを受け入れてくれたわけではないというのに。
ワシリーを筆頭とする教会関係者たちが神への祈りを欠かさずにいたからこそなのだ。
そこが分かっていない者が多過ぎる。
教会に感謝を捧げ、寄進を増やすべきなのだ。
確かに直接信者の命を守ることはしなかった。だが、言い換えれば教会の失点はそこだけだなのだ。
にも関わらず、何故教会への寄進を渋るようになった信者が増えているのか。
ワシリーは頭が痛かった。
だからこそ、わざわざ国境を超えてまでこの国にやってきて寄進を行いたいという申し出に頷いてやったというのに。
半笑いを浮かべた男から、対面してすぐに掛けられた言葉に、背筋が寒くなった。
男は、教皇であるワシリーが厳かな態度を消すことなく前面に押し出してるというのに、未だに傲慢な態度で「条件を提示しろ」と要求して憚らない。
「……突然押し掛けて来たと思えば。一体全体なにを仰っているのか。私には分かりかねますな」
ワシリーは一旦、しらばっくれることにした。
聖女をこの教会内に囲うことに成功したことも、すべて。
確かに、ワシリーは失った教会の威光を、聖女との子を為す権利を貸し出すことで、再びこの手に掴もうと計画していた。
だが今、ワシリーは、聖女ルーの取り扱いに関して悩みだしていた。決めかねていた。
初志貫徹するのであれば、教皇の名の下に各国に内密の通達を行い、より良い条件もっと直接的に表現するならばより高い金額を提示させるよう勿体ぶって競わせたのちに、聖女と番わせる順番を決めるつもりであった。
それにより、教会の名は世界に轟く。
資産も影響力も、魔族の侵攻により失ったものを穴埋めするどころか、より高みを目指す事だってできるだろう。
しかし──馬車の中で二人で帰ってくる途中に、ふと思いついてしまったのだ。
聖女が産んだ最初の子として、ワシリーの血を継がせる、その栄誉を。
ワシリーとて、自分の寿命がもうそうは長くないことを知っていた。
陰で散々遊んでは来たが、遊びで子を孕ませる危険くらい重々認識していたので、この身に流れる血を継ぐ者はいなかった。
気が付けば、そういう欲を持てない年齢になっていた、というのが正しい。
そうしてその能力も、失っていたのだ。
要らないと思っていた時は、あらゆる手段をもってしても子を作らぬ為の配慮を欠かさなかったというのに。
もう自分の子を持つことはできない、直系の子孫はもう手に入らないのだと知った時には荒れ狂った。
だが今、ワシリーの前には、神の御遣いとしての力を宿した美しい少女が現われた。
その血を継ぐ者を得ることを、神より定められたこの少女の持つ、神の御業をもってすればワシリーの失った欲望も、直系を得る能力も復活できるのではないか。
教皇の座を継ぐに相応しい、我が子を得ることが可能なのではないか。
それはあまりにも甘美な誘惑だった。
名誉と権力、そして財力。すべてを未来に受け渡すことができる可能性が目のにぶら下がっているのだ。
それも、ただワシリーの血を継いでいるだけではない。
聖女が産んだ初めての子となれば、より一層、その子の価値は上がる。
だが当然、女の初めてというものがより大きな金を生むことも分かっていた。
ワシリーの血をひく子供ならば、聖女が産む初めての子がいい。
だが、経産婦となった聖女の価値は如何ほど下がってしまうだろうか。
なによりも、この歳まで一人で生きてきたせいだろうか。ワシリーの子であったとしても、所詮ワシリーではない別の人間でしかないではないか、とも思ってしまうのだ。
自分で使える金を増やすことと子孫を得ること。
ワシリーはどちらを取るべきか、馬車の中で大いに悩んでいたのだ。
「そんな風に悩んでるように見せ掛ける必要なんてないぞ。いいじゃないか。どうせ幾らせしめることができるか考えているだけなんだろう? それとも金だけではなく、我が国での布教をもっと大々的に行えるような処置が必要か? なんでもいえ。なんでも叶えてやろう。聖女の特別な加護を我がベルターニャ国へ最初に与えてくれると確約してくれるならばな」
癖のある金髪の間から、新緑の瞳を輝かせてベルターニャの王太子が笑って言った。
「それで? 聖女さまから特別な御加護を頂く方法について、早く教えてくれないか」
まだ誰にも教えていない聖女の情報を、この男はどこで手に入れたというのか。
ワシリーは動揺を押し隠して、目の前で笑う男の思惑を見通そうというように男へ向ける表情を、教皇という地位に相応しいものへと被り直した。
意気揚々と聖女を連れて戻ってきたワシリーは、『寄進を山のように積んだ男が教皇との面会を求めて待っている』と聞かされたのだ。
聖女を男から隠すため、表ではなく裏まで連れて行ってから馬車から下ろし、ローブをかぶせて移動するようにと細々と指示まで出した。それで十分隠し通せると思ったのだ。
だが、急ぎ面談に応じたのは失敗だったかもしれないと思い始めていた。
しかし、今の教会に他国とはいえ突然押し掛けてきた王族それも次代の王たる男を追い返せるほどの力はない。
それもこれもすべて魔族の襲来のせいである。
なによりも、教会を護り神の教えを次代へと繋ぐためワシリーが下した苦渋の決断を、周囲が受け入れようとしなかったせいだ。
実際にこうして教会上層部の人間がすべて今日という日を迎えられたのは、あの日、ワシリーが決めた策が労を斯うしたお陰であるというのに。
確かに、市井に暮らす信者たちまでは守れなかった。だがそれは些細なことではないか。
ワシリーだって苦しかったのだ。周囲から、教会の保有する戦力の提供や糧食を求められて。断ると、まるで悪者扱いされたことは不本意でしかなかった。
彼らの要求をすべて受け入れたとしても、何の足しにもならないのだと何故わからないのか。
教会にあるのはすべて神に捧げるに足る稀少品ばかり。
一度はワシリー達の血肉になるが、希少な物から作られた身体だからこそ、それ故に祈りが届くのだ。
量ばかり多い下賤な安物を口にした身体では、神に願いをすることすら許されないことだ。
飢えている者の舌の先に、味がするかしないか分からないごく少量を分け与えたとて、感謝することも無いだろう。
腹がくちくなるには程遠い食事を薄く配っても全員の寿命が短くなるだけ。ただの偽善だ。パフォーマンスにしかなりはしないというのに。
教会には、神に遣える者たちの命を守り繋ぐ程度の物しか貯えはなかった。神へ祈りを捧げるためには体力がいる。
自分達が倒れてしまったら。祈りを捧げる者が誰もいなくなってしまったら、どうなっていたと思うのか。
市井の者たちだけならともかく、各国の首脳ともあろう者までもが悉く想像力がなさ過ぎる。
ワシリーたち教会関係者が必死になって祈りを捧げたからこそ、この国の王の存命を祈る聖女の心が神に届いたのだ。
決して、ゴルド・ドルバガという剣を揮うしか能のない男が一人喚いたから、
神が願いを受け入れてくれたわけではないというのに。
ワシリーを筆頭とする教会関係者たちが神への祈りを欠かさずにいたからこそなのだ。
そこが分かっていない者が多過ぎる。
教会に感謝を捧げ、寄進を増やすべきなのだ。
確かに直接信者の命を守ることはしなかった。だが、言い換えれば教会の失点はそこだけだなのだ。
にも関わらず、何故教会への寄進を渋るようになった信者が増えているのか。
ワシリーは頭が痛かった。
だからこそ、わざわざ国境を超えてまでこの国にやってきて寄進を行いたいという申し出に頷いてやったというのに。
半笑いを浮かべた男から、対面してすぐに掛けられた言葉に、背筋が寒くなった。
男は、教皇であるワシリーが厳かな態度を消すことなく前面に押し出してるというのに、未だに傲慢な態度で「条件を提示しろ」と要求して憚らない。
「……突然押し掛けて来たと思えば。一体全体なにを仰っているのか。私には分かりかねますな」
ワシリーは一旦、しらばっくれることにした。
聖女をこの教会内に囲うことに成功したことも、すべて。
確かに、ワシリーは失った教会の威光を、聖女との子を為す権利を貸し出すことで、再びこの手に掴もうと計画していた。
だが今、ワシリーは、聖女ルーの取り扱いに関して悩みだしていた。決めかねていた。
初志貫徹するのであれば、教皇の名の下に各国に内密の通達を行い、より良い条件もっと直接的に表現するならばより高い金額を提示させるよう勿体ぶって競わせたのちに、聖女と番わせる順番を決めるつもりであった。
それにより、教会の名は世界に轟く。
資産も影響力も、魔族の侵攻により失ったものを穴埋めするどころか、より高みを目指す事だってできるだろう。
しかし──馬車の中で二人で帰ってくる途中に、ふと思いついてしまったのだ。
聖女が産んだ最初の子として、ワシリーの血を継がせる、その栄誉を。
ワシリーとて、自分の寿命がもうそうは長くないことを知っていた。
陰で散々遊んでは来たが、遊びで子を孕ませる危険くらい重々認識していたので、この身に流れる血を継ぐ者はいなかった。
気が付けば、そういう欲を持てない年齢になっていた、というのが正しい。
そうしてその能力も、失っていたのだ。
要らないと思っていた時は、あらゆる手段をもってしても子を作らぬ為の配慮を欠かさなかったというのに。
もう自分の子を持つことはできない、直系の子孫はもう手に入らないのだと知った時には荒れ狂った。
だが今、ワシリーの前には、神の御遣いとしての力を宿した美しい少女が現われた。
その血を継ぐ者を得ることを、神より定められたこの少女の持つ、神の御業をもってすればワシリーの失った欲望も、直系を得る能力も復活できるのではないか。
教皇の座を継ぐに相応しい、我が子を得ることが可能なのではないか。
それはあまりにも甘美な誘惑だった。
名誉と権力、そして財力。すべてを未来に受け渡すことができる可能性が目のにぶら下がっているのだ。
それも、ただワシリーの血を継いでいるだけではない。
聖女が産んだ初めての子となれば、より一層、その子の価値は上がる。
だが当然、女の初めてというものがより大きな金を生むことも分かっていた。
ワシリーの血をひく子供ならば、聖女が産む初めての子がいい。
だが、経産婦となった聖女の価値は如何ほど下がってしまうだろうか。
なによりも、この歳まで一人で生きてきたせいだろうか。ワシリーの子であったとしても、所詮ワシリーではない別の人間でしかないではないか、とも思ってしまうのだ。
自分で使える金を増やすことと子孫を得ること。
ワシリーはどちらを取るべきか、馬車の中で大いに悩んでいたのだ。
「そんな風に悩んでるように見せ掛ける必要なんてないぞ。いいじゃないか。どうせ幾らせしめることができるか考えているだけなんだろう? それとも金だけではなく、我が国での布教をもっと大々的に行えるような処置が必要か? なんでもいえ。なんでも叶えてやろう。聖女の特別な加護を我がベルターニャ国へ最初に与えてくれると確約してくれるならばな」
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