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冷めたイモフライは本当は誰かに愛されたい
7.胸を張っていおう。「金ならない」と
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「ごちそうさまでした。私の人生の中で、二番においしいゴハンでした。ありがとうございました」
最後のひと口、トーストでソースひと筋すら残らないほど皿がピカピカになるまで拭って食べ終え、おじいさんに頭を下げる。
見苦しい食事をお見せしてしまったけれど、すでに昨夜の私を知られているのだ。
しかもどうやら何故夜中にひとり泣きながらイモフライを食べていたのかまで説明したらしい。
今更すぎて、どうでもよくなる。
食後に、今度はミルク無しのお茶を淹れてもらう。焙煎されたハーブティは香ばしくてホッとする味だった。
なんかもう、遠慮とかする気にもならなかった。
タダでは帰さないと宣言もされちゃっている。けれど私の貯金は微々たるもので、どう考えても支払いに足りるとも思えない。何を要求されたとしても、もう私には守らなくてはならないものは何もない。どんとこいだ。
「おいしかったならなにより。昨夜は『まずいまずい』って大泣きしながら冷めたフライを食べてたからねぇ」
「んんっ。ここでそれを言っちゃうんですね」
ぐきゅっと喉奥から変な音が出たのを咳払いで誤魔化す。
でもそれについて揶揄われるのは仕方がないことだろう。甘んじて受け入れるしかない。けれど、いつまでも引っ張られるのも困るし、話を前へと進めて貰う事にする。
私は包帯を巻いて貰っている頭に手を添え、頭を下げた。
「昨夜はありがとうございました。傷の治療も。そして先ほどの食事も美味しかったです。感謝します。それで、私は幾らお支払いすればよろしいでしょうか」
治療費に諸々を足した金額をぽいっと釣りは要らねぇと支払えるだけの財力があるならばともかく多分借金して支払わねばならない身の上だ。
相手が提示した金額を(もしかしたら交渉して下げて貰ったりしなくちゃ駄目かもしれないけれど)支払うしかない。多分、分割で。
おじいさんは自分から「悪い人かもしれない」と提示してきたけれど、一緒に御飯を食べていた所作は綺麗だった。
お金持ちっぽくないなんて思って申し訳なかったなぁと心の中で反省する。
たぶんきっと、この大豪邸に見合うだけの位を持つお貴族様か、もしくはお貴族様に仕えてる人なのだ。実際のところ、今こうして前に座っているのを見ていても、まったくそう見えないけれど。
それでも、茶を淹れる仕草も流れるようで不思議な色気がある。
ん? お貴族様は自分で茶なんか淹れたりしないか。それも手慣れたりなんかする訳がない。やっぱり使用人?
内心で、おじいさんの正体に首を捻りながらも助けて貰った事に違いはないのだ。きちんと礼を尽くすべきだろう。
「なんというか、直球で来るねぇ。あ」
ギシッと音を立てておじいさんが椅子の背に凭れかかり、その途中で立ち上がって食事を運んできたワゴンから紙袋を持ってきた。
「医者から出された薬だよ。頭を切っているんで、化膿止めと消炎剤。それとどうしても痛くて眠れない時にだけ飲む痛み止めがこっちね」
色付き眼鏡のせいでよく分からないけど、目を眇めるようにして私の顔というか頭のてっぺんからじーっと視線が動いている気がする。どこまで吹っ掛けられるかと財布の中身を値踏みされているようで不快だ。
私は、大きく息を吐いて、現在の貯蓄額を口にした。
「銀貨3枚と銅貨5枚が現在の私の全財産です。西通りにあるリモン亭という総菜屋で働いています。家族は、えっと既にお話しているかもしれませんが、もういません。代わりにお金を用立ててくれる相手もいないので、もしこれで足りなければ月々のお給金の中から分割で支払わせて頂けると嬉しいです」
おじいさんから口を挟ませない為にも息継ぎも碌にせず一方的に伝える。
いい歳してこれしか貯金がない理由はあるにはあるが、伝えていない可能性に賭けた。
ちょっとだけ。私としては嘘ではないつもりだけれど、人からしたら嘘だと認定されてしまいそうな事が混じっていたので一気に言い切っちゃわなければしどろもどろになりそうだったからだ。
「ごちそうさまでした。私の人生の中で、二番においしいゴハンでした。ありがとうございました」
最後のひと口、トーストでソースひと筋すら残らないほど皿がピカピカになるまで拭って食べ終え、おじいさんに頭を下げる。
見苦しい食事をお見せしてしまったけれど、すでに昨夜の私を知られているのだ。
しかもどうやら何故夜中にひとり泣きながらイモフライを食べていたのかまで説明したらしい。
今更すぎて、どうでもよくなる。
食後に、今度はミルク無しのお茶を淹れてもらう。焙煎されたハーブティは香ばしくてホッとする味だった。
なんかもう、遠慮とかする気にもならなかった。
タダでは帰さないと宣言もされちゃっている。けれど私の貯金は微々たるもので、どう考えても支払いに足りるとも思えない。何を要求されたとしても、もう私には守らなくてはならないものは何もない。どんとこいだ。
「おいしかったならなにより。昨夜は『まずいまずい』って大泣きしながら冷めたフライを食べてたからねぇ」
「んんっ。ここでそれを言っちゃうんですね」
ぐきゅっと喉奥から変な音が出たのを咳払いで誤魔化す。
でもそれについて揶揄われるのは仕方がないことだろう。甘んじて受け入れるしかない。けれど、いつまでも引っ張られるのも困るし、話を前へと進めて貰う事にする。
私は包帯を巻いて貰っている頭に手を添え、頭を下げた。
「昨夜はありがとうございました。傷の治療も。そして先ほどの食事も美味しかったです。感謝します。それで、私は幾らお支払いすればよろしいでしょうか」
治療費に諸々を足した金額をぽいっと釣りは要らねぇと支払えるだけの財力があるならばともかく多分借金して支払わねばならない身の上だ。
相手が提示した金額を(もしかしたら交渉して下げて貰ったりしなくちゃ駄目かもしれないけれど)支払うしかない。多分、分割で。
おじいさんは自分から「悪い人かもしれない」と提示してきたけれど、一緒に御飯を食べていた所作は綺麗だった。
お金持ちっぽくないなんて思って申し訳なかったなぁと心の中で反省する。
たぶんきっと、この大豪邸に見合うだけの位を持つお貴族様か、もしくはお貴族様に仕えてる人なのだ。実際のところ、今こうして前に座っているのを見ていても、まったくそう見えないけれど。
それでも、茶を淹れる仕草も流れるようで不思議な色気がある。
ん? お貴族様は自分で茶なんか淹れたりしないか。それも手慣れたりなんかする訳がない。やっぱり使用人?
内心で、おじいさんの正体に首を捻りながらも助けて貰った事に違いはないのだ。きちんと礼を尽くすべきだろう。
「なんというか、直球で来るねぇ。あ」
ギシッと音を立てておじいさんが椅子の背に凭れかかり、その途中で立ち上がって食事を運んできたワゴンから紙袋を持ってきた。
「医者から出された薬だよ。頭を切っているんで、化膿止めと消炎剤。それとどうしても痛くて眠れない時にだけ飲む痛み止めがこっちね」
色付き眼鏡のせいでよく分からないけど、目を眇めるようにして私の顔というか頭のてっぺんからじーっと視線が動いている気がする。どこまで吹っ掛けられるかと財布の中身を値踏みされているようで不快だ。
私は、大きく息を吐いて、現在の貯蓄額を口にした。
「銀貨3枚と銅貨5枚が現在の私の全財産です。西通りにあるリモン亭という総菜屋で働いています。家族は、えっと既にお話しているかもしれませんが、もういません。代わりにお金を用立ててくれる相手もいないので、もしこれで足りなければ月々のお給金の中から分割で支払わせて頂けると嬉しいです」
おじいさんから口を挟ませない為にも息継ぎも碌にせず一方的に伝える。
いい歳してこれしか貯金がない理由はあるにはあるが、伝えていない可能性に賭けた。
ちょっとだけ。私としては嘘ではないつもりだけれど、人からしたら嘘だと認定されてしまいそうな事が混じっていたので一気に言い切っちゃわなければしどろもどろになりそうだったからだ。
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