16 / 44
第13話
しおりを挟む
あ、そうだ。せっかく冒険者登録ができるなら、おれとノインの二人分をちゃんと頼まないとな。
黒狼もとい、ブラックフェンリルの討伐はノインが頑張ってくれたからこそなんだしな!
「なら、登録はおれともう一人頼めるか?」
「もう一人?」
「このブラックフェンリルは、おれ一人で討伐したものじゃない。パーティーメンバーと共に狩ったものだからな」
おれの言葉に、なるほどと頷くギルドマスター。
「そうか。他にもパーティーメンバーがいるだろうとは思ってたが……ブラックフェンリルを、たった二人でとはな……いいだろう。だが、そのメンバーは今はどこにいるんだ?」
「今日はおれとは行動を別にしている」
ノインは一緒に来なかったんだよな。こんなことなら、一緒に来てもらえれば良かった。
もしかしてノインも『特別保証人制度』を知らなかったのかな?
「あと、おれは昨日この町に来たばかりだが、彼はここの住民だ。名前はノイン」
すると、ギルドマスターが目を真ん丸に見開いた。
だが、先ほどブラックフェンリルのことを聞いた時の驚き方とは、すこし異なる反応だ。
「ノイン、だと? まさかとは思うが……そいつは、ブラストの野郎のところにいる『取り立て屋』のノインのことか?」
え、ブラストって誰だ?
それに「取り立て屋」って、なんか物騒なあだ名だな。
けれど……そういえば、最初に会った時、ノインは屋台のおじさんから金を受け取ってたな。
不思議に思ってたけれど、あれがそうだったのか?
そういえば、屋台のおじさんと交わしていた会話の内容も、「取り立て屋」というあだ名を聞いた後ならばしっくりくるな。
「ああ、多分そうだ」
おれが頷くと、ギルドマスターは表情を一変させて、露骨に顔をしかめた。
「なんであんな奴とパーティーを……お前さん、ブラストの野郎の知り合いなのか?」
「いや、違う。ノインとは昨日、偶然に知り合って、友人になった」
「…………」
おれの返答に、難しい顔で押し黙るギルドマスター。
そして、しばらくの後、ギルドマスターは口を開いたものの、苦虫を嚙み潰したような顔は変わらなかった。
「……お前さんの、特別保証人制度による冒険者登録は認める。だが、すまねぇが、ノインの奴は駄目だ。ちなみに、お前さんがノインの奴の保証人になるっていうのも駄目だぞ。規約で、パーティーメンバー同士では、保証人になれないって決まってるからな」
今度はおれの方が顔をしかめる。
「おれが良くて、ノインが駄目な理由が分からないな。功績は功績だろう?」
「言っただろ。特別保証人制度に必要なのは、功績と実力だけじゃない。人柄も重要なんだよ」
「……彼がいなければ、ブラックフェンリルの討伐は叶わなかった。人柄よりも、その事実の方を重く見るべきだと思うんだがな」
「悪いが、オレにも立場ってモンがあるんでな。それに、昨日今日、この町に来たばかりのお前さんよりも、奴のことは俺のほうがよく知ってるぜ」
ギルドマスターの態度は頑なだった。
どうやら、これ以上は食い下がっても無理のようだ。
「分かった。おれが冒険者登録をして、一緒に二人でパーティーを組んで仕事をするのは問題ないんだな?」
「ああ、それはかまわんぞ」
おれが引くと、ギルドマスターはいささかホッとした表情になった。
そして、声をひそめて、心配げな顔をおれに向ける。
「お前さんにも何か事情があるのかもしれんが……一つ忠告させてもらうなら、わざわざノインのようなごろつきをパーティーメンバーにすることはないと思うぜ。お前さんほどの強さと、その解体技術なら、すぐにでも他の冒険者共から引っ張りだこになる。早いところ、あんなイカレ野郎とは手を切った方がいい」
ノインの評価、散々だな!?
ギ、ギルドマスターにここまで言われるって……あいつ、一体何をしたんだ?
うーん……おれ的に、ノインは悪い奴じゃないと思うんだけどなぁ。昨日は、おれに串揚げを奢ってくれた上に、神殿の案内を買って出てくれて……しかもブラックフェンリルの討伐まで一緒にやってくれたんだし。
もしかすると、ギルドマスターはノインに対して、何か誤解をしているのかもしれないな。
なら、これからストーリーやイベントを進めれば、きっとその誤解も解消されるのかな?
もしくは、何らかのフラグを立てないと、ノインの冒険者登録はできないのかもしれない。ならば、もっとノインに関する特定のイベントを進める必要があるに違いない。
「忠告は感謝する。だが、ノインはおれの友人だ。それは誰に何と言われようとも変わらない」
「……そうか。ま、相談にはいつでも乗るぜ。冒険者仲間の紹介もギルドは請け負ってるからな、カウンターでいつでも申し出るといい」
ギルドマスターは最後まで、おれがノインとパーティーを組んでいることを懸念しているようだった。
うーん、一体ノインとギルドマスターの間に、何があったんだろうか?
それに、ギルドマスターの言っていた「ブラストの野郎」ってのは、一体誰のことなんだろう。
そういえば、ノインといえば、一つ気になることがあるんだよな。
それは、彼のクラスだ。ノインのクラスは『暗殺者』だった。
『暗殺者』はおれの持つ『騎士』との相性がいいクラスだから、ノインが仲間になってくれてラッキーと思っていたけれど……この世界の価値観で『暗殺者』ってクラスは、一般的なものなのか?
プレイヤーの選択できるクラスには『暗殺者』は存在しなかった。
おれはてっきり、クラスというのは、RPGで馴染みの『盗賊』や『詐欺師』のように、実際についている職種とは関係のないものなのかと思っていたけれど……
ギルドマスターのさっきの口ぶり……それに、この『God's Garden』のやけにリアル路線なゲームシステムを鑑みるに、もしかして、ノインって本物の暗殺者なんじゃないのか……?
「…………」
ギルドマスターが話す特別保証人制度についての説明を右から左へと聞き流しながら、おれはそんなことを悶々と考え込んだのであった。
黒狼もとい、ブラックフェンリルの討伐はノインが頑張ってくれたからこそなんだしな!
「なら、登録はおれともう一人頼めるか?」
「もう一人?」
「このブラックフェンリルは、おれ一人で討伐したものじゃない。パーティーメンバーと共に狩ったものだからな」
おれの言葉に、なるほどと頷くギルドマスター。
「そうか。他にもパーティーメンバーがいるだろうとは思ってたが……ブラックフェンリルを、たった二人でとはな……いいだろう。だが、そのメンバーは今はどこにいるんだ?」
「今日はおれとは行動を別にしている」
ノインは一緒に来なかったんだよな。こんなことなら、一緒に来てもらえれば良かった。
もしかしてノインも『特別保証人制度』を知らなかったのかな?
「あと、おれは昨日この町に来たばかりだが、彼はここの住民だ。名前はノイン」
すると、ギルドマスターが目を真ん丸に見開いた。
だが、先ほどブラックフェンリルのことを聞いた時の驚き方とは、すこし異なる反応だ。
「ノイン、だと? まさかとは思うが……そいつは、ブラストの野郎のところにいる『取り立て屋』のノインのことか?」
え、ブラストって誰だ?
それに「取り立て屋」って、なんか物騒なあだ名だな。
けれど……そういえば、最初に会った時、ノインは屋台のおじさんから金を受け取ってたな。
不思議に思ってたけれど、あれがそうだったのか?
そういえば、屋台のおじさんと交わしていた会話の内容も、「取り立て屋」というあだ名を聞いた後ならばしっくりくるな。
「ああ、多分そうだ」
おれが頷くと、ギルドマスターは表情を一変させて、露骨に顔をしかめた。
「なんであんな奴とパーティーを……お前さん、ブラストの野郎の知り合いなのか?」
「いや、違う。ノインとは昨日、偶然に知り合って、友人になった」
「…………」
おれの返答に、難しい顔で押し黙るギルドマスター。
そして、しばらくの後、ギルドマスターは口を開いたものの、苦虫を嚙み潰したような顔は変わらなかった。
「……お前さんの、特別保証人制度による冒険者登録は認める。だが、すまねぇが、ノインの奴は駄目だ。ちなみに、お前さんがノインの奴の保証人になるっていうのも駄目だぞ。規約で、パーティーメンバー同士では、保証人になれないって決まってるからな」
今度はおれの方が顔をしかめる。
「おれが良くて、ノインが駄目な理由が分からないな。功績は功績だろう?」
「言っただろ。特別保証人制度に必要なのは、功績と実力だけじゃない。人柄も重要なんだよ」
「……彼がいなければ、ブラックフェンリルの討伐は叶わなかった。人柄よりも、その事実の方を重く見るべきだと思うんだがな」
「悪いが、オレにも立場ってモンがあるんでな。それに、昨日今日、この町に来たばかりのお前さんよりも、奴のことは俺のほうがよく知ってるぜ」
ギルドマスターの態度は頑なだった。
どうやら、これ以上は食い下がっても無理のようだ。
「分かった。おれが冒険者登録をして、一緒に二人でパーティーを組んで仕事をするのは問題ないんだな?」
「ああ、それはかまわんぞ」
おれが引くと、ギルドマスターはいささかホッとした表情になった。
そして、声をひそめて、心配げな顔をおれに向ける。
「お前さんにも何か事情があるのかもしれんが……一つ忠告させてもらうなら、わざわざノインのようなごろつきをパーティーメンバーにすることはないと思うぜ。お前さんほどの強さと、その解体技術なら、すぐにでも他の冒険者共から引っ張りだこになる。早いところ、あんなイカレ野郎とは手を切った方がいい」
ノインの評価、散々だな!?
ギ、ギルドマスターにここまで言われるって……あいつ、一体何をしたんだ?
うーん……おれ的に、ノインは悪い奴じゃないと思うんだけどなぁ。昨日は、おれに串揚げを奢ってくれた上に、神殿の案内を買って出てくれて……しかもブラックフェンリルの討伐まで一緒にやってくれたんだし。
もしかすると、ギルドマスターはノインに対して、何か誤解をしているのかもしれないな。
なら、これからストーリーやイベントを進めれば、きっとその誤解も解消されるのかな?
もしくは、何らかのフラグを立てないと、ノインの冒険者登録はできないのかもしれない。ならば、もっとノインに関する特定のイベントを進める必要があるに違いない。
「忠告は感謝する。だが、ノインはおれの友人だ。それは誰に何と言われようとも変わらない」
「……そうか。ま、相談にはいつでも乗るぜ。冒険者仲間の紹介もギルドは請け負ってるからな、カウンターでいつでも申し出るといい」
ギルドマスターは最後まで、おれがノインとパーティーを組んでいることを懸念しているようだった。
うーん、一体ノインとギルドマスターの間に、何があったんだろうか?
それに、ギルドマスターの言っていた「ブラストの野郎」ってのは、一体誰のことなんだろう。
そういえば、ノインといえば、一つ気になることがあるんだよな。
それは、彼のクラスだ。ノインのクラスは『暗殺者』だった。
『暗殺者』はおれの持つ『騎士』との相性がいいクラスだから、ノインが仲間になってくれてラッキーと思っていたけれど……この世界の価値観で『暗殺者』ってクラスは、一般的なものなのか?
プレイヤーの選択できるクラスには『暗殺者』は存在しなかった。
おれはてっきり、クラスというのは、RPGで馴染みの『盗賊』や『詐欺師』のように、実際についている職種とは関係のないものなのかと思っていたけれど……
ギルドマスターのさっきの口ぶり……それに、この『God's Garden』のやけにリアル路線なゲームシステムを鑑みるに、もしかして、ノインって本物の暗殺者なんじゃないのか……?
「…………」
ギルドマスターが話す特別保証人制度についての説明を右から左へと聞き流しながら、おれはそんなことを悶々と考え込んだのであった。
330
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。
これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。
無自覚両片想いの勇者×親友。
読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。
処刑エンドの悪役公爵、隠居したいのに溺愛されてます
ひなた翠
BL
目が覚めたら、やり込んだBLゲームの悪役公爵になっていた。
しかも手には鞭。目の前には涙を浮かべた美少年。
——このままじゃ、王太子に処刑される。
前世は冴えない社畜サラリーマン。今世は冷徹な美貌を持つ高位貴族のアルファ。
中身と外見の落差に戸惑う暇もなく、エリオットは処刑回避のための「隠居計画」を立てる。
囚われのオメガ・レオンを王太子カイルに引き渡し、爵位も領地も全部手放して、ひっそり消える——はずだった。
ところが動くほど状況は悪化していく。
レオンを自由にしようとすれば「傍にいたい」と縋りつかれ、
カイルに会えば「お前の匂いは甘い」と迫られ、
隠居を申し出れば「逃げるな」と退路を塞がれる。
しかもなぜか、子供の頃から飲んでいた「ビタミン剤」を忘れるたび、身体がおかしくなる。
周囲のアルファたちの視線が絡みつき、カイルの目の色が変わり——
自分でも知らなかった秘密が暴かれたとき、逃げ場はもう、どこにもなかった。
誰にも愛されなかった男が、異世界で「本当の自分」を知り、運命の番と出会う——
ギャップ萌え×じれったさ×匂いフェチ全開の、オメガバース転生BL。
悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで
二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる