異世界にログインしたらヤンデレ暗殺者に執着された

秋山龍央

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第13話

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 あ、そうだ。せっかく冒険者登録ができるなら、おれとノインの二人分をちゃんと頼まないとな。
 黒狼もとい、ブラックフェンリルの討伐はノインが頑張ってくれたからこそなんだしな!

「なら、登録はおれともう一人頼めるか?」

「もう一人?」

「このブラックフェンリルは、おれ一人で討伐したものじゃない。パーティーメンバーと共に狩ったものだからな」

 おれの言葉に、なるほどと頷くギルドマスター。

「そうか。他にもパーティーメンバーがいるだろうとは思ってたが……ブラックフェンリルを、たった二人でとはな……いいだろう。だが、そのメンバーは今はどこにいるんだ?」

「今日はおれとは行動を別にしている」

 ノインは一緒に来なかったんだよな。こんなことなら、一緒に来てもらえれば良かった。
 もしかしてノインも『特別保証人制度』を知らなかったのかな?

「あと、おれは昨日この町に来たばかりだが、彼はここの住民だ。名前はノイン」

 すると、ギルドマスターが目を真ん丸に見開いた。
 だが、先ほどブラックフェンリルのことを聞いた時の驚き方とは、すこし異なる反応だ。

「ノイン、だと? まさかとは思うが……そいつは、ブラストの野郎のところにいる『取り立て屋』のノインのことか?」

 え、ブラストって誰だ?
 それに「取り立て屋」って、なんか物騒なあだ名だな。

 けれど……そういえば、最初に会った時、ノインは屋台のおじさんから金を受け取ってたな。

 不思議に思ってたけれど、あれがそうだったのか?
 そういえば、屋台のおじさんと交わしていた会話の内容も、「取り立て屋」というあだ名を聞いた後ならばしっくりくるな。

「ああ、多分そうだ」

 おれが頷くと、ギルドマスターは表情を一変させて、露骨に顔をしかめた。

「なんであんな奴とパーティーを……お前さん、ブラストの野郎の知り合いなのか?」

「いや、違う。ノインとは昨日、偶然に知り合って、友人になった」

「…………」

 おれの返答に、難しい顔で押し黙るギルドマスター。
 そして、しばらくの後、ギルドマスターは口を開いたものの、苦虫を嚙み潰したような顔は変わらなかった。

「……お前さんの、特別保証人制度による冒険者登録は認める。だが、すまねぇが、ノインの奴は駄目だ。ちなみに、お前さんがノインの奴の保証人になるっていうのも駄目だぞ。規約で、パーティーメンバー同士では、保証人になれないって決まってるからな」

 今度はおれの方が顔をしかめる。

「おれが良くて、ノインが駄目な理由が分からないな。功績は功績だろう?」

「言っただろ。特別保証人制度に必要なのは、功績と実力だけじゃない。人柄も重要なんだよ」

「……彼がいなければ、ブラックフェンリルの討伐は叶わなかった。人柄よりも、その事実の方を重く見るべきだと思うんだがな」

「悪いが、オレにも立場ってモンがあるんでな。それに、昨日今日、この町に来たばかりのお前さんよりも、奴のことは俺のほうがよく知ってるぜ」

 ギルドマスターの態度は頑なだった。

 どうやら、これ以上は食い下がっても無理のようだ。

「分かった。おれが冒険者登録をして、一緒に二人でパーティーを組んで仕事をするのは問題ないんだな?」

「ああ、それはかまわんぞ」

 おれが引くと、ギルドマスターはいささかホッとした表情になった。
 そして、声をひそめて、心配げな顔をおれに向ける。

「お前さんにも何か事情があるのかもしれんが……一つ忠告させてもらうなら、わざわざノインのようなごろつきをパーティーメンバーにすることはないと思うぜ。お前さんほどの強さと、その解体技術なら、すぐにでも他の冒険者共から引っ張りだこになる。早いところ、あんなイカレ野郎とは手を切った方がいい」

 ノインの評価、散々だな!?

 ギ、ギルドマスターにここまで言われるって……あいつ、一体何をしたんだ?

 うーん……おれ的に、ノインは悪い奴じゃないと思うんだけどなぁ。昨日は、おれに串揚げを奢ってくれた上に、神殿の案内を買って出てくれて……しかもブラックフェンリルの討伐まで一緒にやってくれたんだし。

 もしかすると、ギルドマスターはノインに対して、何か誤解をしているのかもしれないな。

 なら、これからストーリーやイベントを進めれば、きっとその誤解も解消されるのかな?
 もしくは、何らかのフラグを立てないと、ノインの冒険者登録はできないのかもしれない。ならば、もっとノインに関する特定のイベントを進める必要があるに違いない。

「忠告は感謝する。だが、ノインはおれの友人だ。それは誰に何と言われようとも変わらない」

「……そうか。ま、相談にはいつでも乗るぜ。冒険者仲間の紹介もギルドは請け負ってるからな、カウンターでいつでも申し出るといい」

 ギルドマスターは最後まで、おれがノインとパーティーを組んでいることを懸念しているようだった。

 うーん、一体ノインとギルドマスターの間に、何があったんだろうか?
 それに、ギルドマスターの言っていた「ブラストの野郎」ってのは、一体誰のことなんだろう。

 そういえば、ノインといえば、一つ気になることがあるんだよな。
 それは、彼のクラスだ。ノインのクラスは『暗殺者』だった。

 『暗殺者』はおれの持つ『騎士』との相性がいいクラスだから、ノインが仲間になってくれてラッキーと思っていたけれど……この世界の価値観で『暗殺者』ってクラスは、一般的なものなのか?

 プレイヤーの選択できるクラスには『暗殺者』は存在しなかった。
 おれはてっきり、クラスというのは、RPGで馴染みの『盗賊』や『詐欺師』のように、実際についている職種とは関係のないものなのかと思っていたけれど……

 ギルドマスターのさっきの口ぶり……それに、この『God's Garden』のやけにリアル路線なゲームシステムを鑑みるに、もしかして、ノインって本物の暗殺者なんじゃないのか……?

「…………」

 ギルドマスターが話す特別保証人制度についての説明を右から左へと聞き流しながら、おれはそんなことを悶々と考え込んだのであった。
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