32 / 44
SIDE:暗殺者ノイン
しおりを挟む
「……カナトちゃん?」
目を瞬かせる。
今、自分が見たものが、目の前で起きたことが信じられない。
だが、どれだけ目をこすっても、そこにある現実は変わらなかった。
「……うわ、マジかー」
先ほどまで、カナトちゃんがいたベッドへと歩く。
何をどうやったのか、先ほどまで裸でそこに横たわっていた人物は、どこにもいなくなっていた。
見れば、彼の手の届かないところへと放り投げた服すらどこにも見当たらない。
この状況――一瞬の隙を突かれて、まんまと逃げられたのだということを理解するまでに、さすがの俺も、少し時間を要した。
「……手を縛って全裸にしただけじゃ足りないとはねぇ。どうせヒールで治せるだろうし、足の健くらいさっさと切っておけば良かったかな」
どさりとベッドに腰を下ろす。
掌をシーツの上に置いてみれば、そこはまだぬくもりが残っていた。
媚薬で強制的に発情させた身体は、指先を動かすのも億劫だったろうに、たいしたものだ。
さすがはカナトちゃん。あれだけ快楽でぐちゃぐちゃにされて、あんなにぐすぐす泣いてたのに、ほんの少し目を離しただけで、こうもあっさり逃げおおせるとは。
「しかし、どうやったのかなぁ。転移魔法が使えるわけじゃあなさそうだから……やっぱりマジックアイテムかな? あの指輪もすごい代物だったし、同等のレベルのマジックアイテムを所持しててもおかしくないか」
そういえば、今までに何度か、カナトちゃんの後をつけたことがあるっけ。
冒険者ギルドの依頼をこなして、俺と別れた後、カナトちゃんがどこの宿屋に泊まっているのかを調べたくて、彼の後をこっそりと尾行したのだ。
カナトちゃんにどこに泊まっているのか聞いても、「宿はとっていない」とはぐらかして教えてくれなかったから。
だが、俺は結局、一度たりともカナトちゃんの根城を突き止めることはできなかった。
どんなに目を凝らして、カナトちゃんの背中を見失わないように追っかけても、いつの間にか撒かれているのだ。
俺の尾行を撒くなんて、どうやっているのだろうと感心していたが……なるほど、こんな風に、自身の痕跡を残さず転移する術があるのなら頷けるというものだ。
「……ちぇっ。さっさと犯しておきゃ良かったな」
舌打ちをしながら、掌でゆっくりとシーツの上をなぞる。あたたかい。
けれど、カナトちゃんのナカはもっと熱かった。それに、俺の指にきゅうきゅうと一生懸命にしゃぶりついてきて、たまらないったらなかった。
あの中に俺のモンをぶち込んだら、さぞかし気持ちよかっただろうに……油断をしたばかりに、惜しいことをしたものだ。
あまり理性がなくなってもつまらないからと思ったのが間違いだったかもしれない。二瓶と言わず、五、六本……いや、十本くらいは投与しても良かったかもしれない。
二本でもあんなに嫌がって泣いてたんだから、十本になったらどうなるだろう。
また泣くかな。カナトちゃんの泣き顔、俺が予想してたよりも可愛かったなぁ。
「…………」
そんなことを考えていたら、ずきりと左胸に痛みが走った。
そっと胸を抑える。だが、いきなり走った痛みに、意味が分からず首を傾げる。
「……なんだろ、コレ」
首を傾げる。だが、原因がさっぱり分からない。
俺は――今までずっとカナトちゃんを泣かせたいと思ってた。
あの透き通った瞳が涙で潤むところが見たいと、いつもいつも思っていた。
そして、ようやく見れた彼の泣き顔に、想像以上にそそられた。
カナトちゃんを裏切ったこと、無理やり行為に及んだことに、これっぽちも罪悪感なんて感じちゃいない。むしろ、もっと泣かせたい、と思ったほどだ。
でも――
『――そんなに泣かないでよ。俺、かなり優しくしたつもりなんだけどなぁ』
気が付けば、俺は彼の涙を舐めとって、そんな言葉をかけていた。
「なんで、あんなコト言ったんだろ。俺、カナトちゃんの泣き顔がずっと見たかったはずなのに」
いや。カナトちゃんの泣き顔を見ていたいという、その欲求は変わっていない。
変わっていないのだけれど――あの時、まるで子どもみたいにぐすぐすと泣く彼を見て、自分は少し動揺してしまっていた。
泣かせたい。泣いてる姿を見ていたい――けれど、カナトちゃんが笑っている姿だって、俺は嫌いじゃなかった。
困ったように微笑んで、俺のスキンシップを受け入れてくれる彼の表情が好きだった。俺がふざけたことを言うたびに、くすぐったそうに笑う彼の顔が好きだった。
だから、あの時――こんな風にカナトちゃんを無理やり手に入れたら。もしかすると、もう二度とカナトちゃんはそんな風に俺に笑いかけてくれることはなくなるのかなぁ、なんて――そんなことを、思ってしまった。
だから、あんな言い訳染みた慰めをついつい口にしてしまったのだ。
「ッ……うわ、何それ? マジ、ありえねー……」
自分の胸にいつの間にか湧いていた気持ちに、怖気がはしる。
なんだよ、それ。そんなの――俺じゃない。
俺は、ブラストに拾われてからというのも、どんな汚れ仕事だってやってきた。人だって、何人も殺してきた。
その一度たりとも、自分の行いに罪悪感を感じたことはない。カナトちゃんにしたことにだって、罪悪感なんか一縷も感じていない。
なのに、何それ?
今さら――こんな壊れた俺が、そんな人並みの気持ちを、他人に抱いてどうするんだよ?
「……駄目だ。そんなの、絶対ダメだ。駄目。駄目……」
胸に沸いた気持ちに蓋をするように、ぐっと呼吸を止める。
ベッドにどさりと上体を倒し、酸欠で肺が痛むまで、そのまま息を止めていた。
「ッ、プハッ……はー……」
呼吸を再開した頃には、自然と流れてきた涙で視界が滲んでいた。
涙を指でこすりながら、ゆっくりと身体を起こすと、俺はフラフラと扉の外へ出る。
「……早く、カナトちゃんを見つけないと。俺が殺し損ねたってブラストにバレたら……俺以外の追手がかかっちゃう。その前に、俺が見つけて、カナトちゃんを閉じ込めて……」
そうだ。今度はちゃんと、先に手足を落とそう。
服を脱がしたのに、カナトちゃんはどこかに転移のマジックアイテムを仕込んでいた。
もしかすると、体内に仕込んでいるのかもしれない。だが、いくら転移したところで、手足がなければ何も出来ないだろう。
『必ず殺せ』と俺に命じたブラストの言葉に反しているかもしれないが、でも、それだけすればブラストだって分かってくれるだろう。
そんなことを考え、俺はふらふらと階段を上がる。
明日はとりあえず、町の外壁の出入口でカナトちゃんが現れるのを張るしかないか――そんなことを考えていた俺の視界が、不意にぬっと現れた人影によって暗くなった。
どうやら、階段を降りてくる新たな人物がいるらしい。俺は舌打ちをした。
ここの階段はそれほど幅が広くないので、二人がいっぺんに通れるようにはなっていない。俺が、相手のどちらかが道を譲らなければいけない。
俺は相手に向かってガンをつけようと顔を上げた。
だが、そこにいたのは、俺のよく知る人物であった。
「あ? なんだよ、ウェブ。お前か」
「…………」
「そんな所でぬぼーっと突っ立ってねぇで、さっさとどけよ」
そこにいたのは、俺の同僚、闇ギルド・ガスコーシティ支部の仲間であるウェブだった。顔見知りであったので、俺はさっそく爪先で相手の向う脛をガツンと蹴りとばす。
だが、ウェブは俺の蹴りにはビクともしなかった。表情一つ変えやしない。体格といい、本当にゴーレムみたいな奴だ。
「……ノインさん。件の冒険者は?」
しかも、ウェブは聞いて欲しくなかったことを、ピンポイントに聞いてきた。
俺は二度目の舌打ちをし、肩を大きくすくめてみせた。
「見りゃ分かるだろ? 逃げられたんだよ。でも、そう遠くには逃げてないはずだから――」
「……そいつはおかしいですよ、ノインさん」
「は?」
ウェブが珍しく、俺の言葉を遮った。
そして、思ってもみなかった相手の言葉に、俺はまじまじと岩のような大男を見上げる。
「ノインさん。自分は、実はブラストの旦那に命じられて、店の入り口を外から見張ってたんです」
「……ヘェ。俺は聞いちゃいないけど、ソレ」
「冒険者野郎はかなりの手練れのようだから、ノインさんが手こずるようなら手伝ってやれって言われてたんです。何もないなら、そのまま帰って来いって」
ブラストがそんな風に、俺を思いやるわけがない。
俺の仕事を見張るために、ウェブを仕向けたのは明らかだ。
ウェブはそれに気づいていないのか、気づいていて知らぬフリをしているのか、とうとうと話を続けた。
「だから俺、ノインさんが冒険者野郎を伴って、地下室に降りたら、呼んでもらうようにあらかじめ店の女に言っておいたんです。で、女が俺を呼びに来たから、俺は店に入りました。でも、地下室へ続く階段をあがってきたのは、ノインさん一人なんです。そんで……地下室に出入りできるのは、この階段一つだけだ」
「お前さぁ……何が言いたいわけ?」
ウェブの言葉は遠回りすぎて、イライラする。
しかし、返ってきた言葉は、俺の予想をまったく裏切るもので――なおかつ、これ以上ないほどに頓珍漢なものだった。
「ノインさん――アンタ、俺の存在に気づいて、こっそり奴を逃がしましたね? 今、この店の中に、奴の姿がどこにもないってなれば、そういうことじゃないですか」
目を瞬かせる。
今、自分が見たものが、目の前で起きたことが信じられない。
だが、どれだけ目をこすっても、そこにある現実は変わらなかった。
「……うわ、マジかー」
先ほどまで、カナトちゃんがいたベッドへと歩く。
何をどうやったのか、先ほどまで裸でそこに横たわっていた人物は、どこにもいなくなっていた。
見れば、彼の手の届かないところへと放り投げた服すらどこにも見当たらない。
この状況――一瞬の隙を突かれて、まんまと逃げられたのだということを理解するまでに、さすがの俺も、少し時間を要した。
「……手を縛って全裸にしただけじゃ足りないとはねぇ。どうせヒールで治せるだろうし、足の健くらいさっさと切っておけば良かったかな」
どさりとベッドに腰を下ろす。
掌をシーツの上に置いてみれば、そこはまだぬくもりが残っていた。
媚薬で強制的に発情させた身体は、指先を動かすのも億劫だったろうに、たいしたものだ。
さすがはカナトちゃん。あれだけ快楽でぐちゃぐちゃにされて、あんなにぐすぐす泣いてたのに、ほんの少し目を離しただけで、こうもあっさり逃げおおせるとは。
「しかし、どうやったのかなぁ。転移魔法が使えるわけじゃあなさそうだから……やっぱりマジックアイテムかな? あの指輪もすごい代物だったし、同等のレベルのマジックアイテムを所持しててもおかしくないか」
そういえば、今までに何度か、カナトちゃんの後をつけたことがあるっけ。
冒険者ギルドの依頼をこなして、俺と別れた後、カナトちゃんがどこの宿屋に泊まっているのかを調べたくて、彼の後をこっそりと尾行したのだ。
カナトちゃんにどこに泊まっているのか聞いても、「宿はとっていない」とはぐらかして教えてくれなかったから。
だが、俺は結局、一度たりともカナトちゃんの根城を突き止めることはできなかった。
どんなに目を凝らして、カナトちゃんの背中を見失わないように追っかけても、いつの間にか撒かれているのだ。
俺の尾行を撒くなんて、どうやっているのだろうと感心していたが……なるほど、こんな風に、自身の痕跡を残さず転移する術があるのなら頷けるというものだ。
「……ちぇっ。さっさと犯しておきゃ良かったな」
舌打ちをしながら、掌でゆっくりとシーツの上をなぞる。あたたかい。
けれど、カナトちゃんのナカはもっと熱かった。それに、俺の指にきゅうきゅうと一生懸命にしゃぶりついてきて、たまらないったらなかった。
あの中に俺のモンをぶち込んだら、さぞかし気持ちよかっただろうに……油断をしたばかりに、惜しいことをしたものだ。
あまり理性がなくなってもつまらないからと思ったのが間違いだったかもしれない。二瓶と言わず、五、六本……いや、十本くらいは投与しても良かったかもしれない。
二本でもあんなに嫌がって泣いてたんだから、十本になったらどうなるだろう。
また泣くかな。カナトちゃんの泣き顔、俺が予想してたよりも可愛かったなぁ。
「…………」
そんなことを考えていたら、ずきりと左胸に痛みが走った。
そっと胸を抑える。だが、いきなり走った痛みに、意味が分からず首を傾げる。
「……なんだろ、コレ」
首を傾げる。だが、原因がさっぱり分からない。
俺は――今までずっとカナトちゃんを泣かせたいと思ってた。
あの透き通った瞳が涙で潤むところが見たいと、いつもいつも思っていた。
そして、ようやく見れた彼の泣き顔に、想像以上にそそられた。
カナトちゃんを裏切ったこと、無理やり行為に及んだことに、これっぽちも罪悪感なんて感じちゃいない。むしろ、もっと泣かせたい、と思ったほどだ。
でも――
『――そんなに泣かないでよ。俺、かなり優しくしたつもりなんだけどなぁ』
気が付けば、俺は彼の涙を舐めとって、そんな言葉をかけていた。
「なんで、あんなコト言ったんだろ。俺、カナトちゃんの泣き顔がずっと見たかったはずなのに」
いや。カナトちゃんの泣き顔を見ていたいという、その欲求は変わっていない。
変わっていないのだけれど――あの時、まるで子どもみたいにぐすぐすと泣く彼を見て、自分は少し動揺してしまっていた。
泣かせたい。泣いてる姿を見ていたい――けれど、カナトちゃんが笑っている姿だって、俺は嫌いじゃなかった。
困ったように微笑んで、俺のスキンシップを受け入れてくれる彼の表情が好きだった。俺がふざけたことを言うたびに、くすぐったそうに笑う彼の顔が好きだった。
だから、あの時――こんな風にカナトちゃんを無理やり手に入れたら。もしかすると、もう二度とカナトちゃんはそんな風に俺に笑いかけてくれることはなくなるのかなぁ、なんて――そんなことを、思ってしまった。
だから、あんな言い訳染みた慰めをついつい口にしてしまったのだ。
「ッ……うわ、何それ? マジ、ありえねー……」
自分の胸にいつの間にか湧いていた気持ちに、怖気がはしる。
なんだよ、それ。そんなの――俺じゃない。
俺は、ブラストに拾われてからというのも、どんな汚れ仕事だってやってきた。人だって、何人も殺してきた。
その一度たりとも、自分の行いに罪悪感を感じたことはない。カナトちゃんにしたことにだって、罪悪感なんか一縷も感じていない。
なのに、何それ?
今さら――こんな壊れた俺が、そんな人並みの気持ちを、他人に抱いてどうするんだよ?
「……駄目だ。そんなの、絶対ダメだ。駄目。駄目……」
胸に沸いた気持ちに蓋をするように、ぐっと呼吸を止める。
ベッドにどさりと上体を倒し、酸欠で肺が痛むまで、そのまま息を止めていた。
「ッ、プハッ……はー……」
呼吸を再開した頃には、自然と流れてきた涙で視界が滲んでいた。
涙を指でこすりながら、ゆっくりと身体を起こすと、俺はフラフラと扉の外へ出る。
「……早く、カナトちゃんを見つけないと。俺が殺し損ねたってブラストにバレたら……俺以外の追手がかかっちゃう。その前に、俺が見つけて、カナトちゃんを閉じ込めて……」
そうだ。今度はちゃんと、先に手足を落とそう。
服を脱がしたのに、カナトちゃんはどこかに転移のマジックアイテムを仕込んでいた。
もしかすると、体内に仕込んでいるのかもしれない。だが、いくら転移したところで、手足がなければ何も出来ないだろう。
『必ず殺せ』と俺に命じたブラストの言葉に反しているかもしれないが、でも、それだけすればブラストだって分かってくれるだろう。
そんなことを考え、俺はふらふらと階段を上がる。
明日はとりあえず、町の外壁の出入口でカナトちゃんが現れるのを張るしかないか――そんなことを考えていた俺の視界が、不意にぬっと現れた人影によって暗くなった。
どうやら、階段を降りてくる新たな人物がいるらしい。俺は舌打ちをした。
ここの階段はそれほど幅が広くないので、二人がいっぺんに通れるようにはなっていない。俺が、相手のどちらかが道を譲らなければいけない。
俺は相手に向かってガンをつけようと顔を上げた。
だが、そこにいたのは、俺のよく知る人物であった。
「あ? なんだよ、ウェブ。お前か」
「…………」
「そんな所でぬぼーっと突っ立ってねぇで、さっさとどけよ」
そこにいたのは、俺の同僚、闇ギルド・ガスコーシティ支部の仲間であるウェブだった。顔見知りであったので、俺はさっそく爪先で相手の向う脛をガツンと蹴りとばす。
だが、ウェブは俺の蹴りにはビクともしなかった。表情一つ変えやしない。体格といい、本当にゴーレムみたいな奴だ。
「……ノインさん。件の冒険者は?」
しかも、ウェブは聞いて欲しくなかったことを、ピンポイントに聞いてきた。
俺は二度目の舌打ちをし、肩を大きくすくめてみせた。
「見りゃ分かるだろ? 逃げられたんだよ。でも、そう遠くには逃げてないはずだから――」
「……そいつはおかしいですよ、ノインさん」
「は?」
ウェブが珍しく、俺の言葉を遮った。
そして、思ってもみなかった相手の言葉に、俺はまじまじと岩のような大男を見上げる。
「ノインさん。自分は、実はブラストの旦那に命じられて、店の入り口を外から見張ってたんです」
「……ヘェ。俺は聞いちゃいないけど、ソレ」
「冒険者野郎はかなりの手練れのようだから、ノインさんが手こずるようなら手伝ってやれって言われてたんです。何もないなら、そのまま帰って来いって」
ブラストがそんな風に、俺を思いやるわけがない。
俺の仕事を見張るために、ウェブを仕向けたのは明らかだ。
ウェブはそれに気づいていないのか、気づいていて知らぬフリをしているのか、とうとうと話を続けた。
「だから俺、ノインさんが冒険者野郎を伴って、地下室に降りたら、呼んでもらうようにあらかじめ店の女に言っておいたんです。で、女が俺を呼びに来たから、俺は店に入りました。でも、地下室へ続く階段をあがってきたのは、ノインさん一人なんです。そんで……地下室に出入りできるのは、この階段一つだけだ」
「お前さぁ……何が言いたいわけ?」
ウェブの言葉は遠回りすぎて、イライラする。
しかし、返ってきた言葉は、俺の予想をまったく裏切るもので――なおかつ、これ以上ないほどに頓珍漢なものだった。
「ノインさん――アンタ、俺の存在に気づいて、こっそり奴を逃がしましたね? 今、この店の中に、奴の姿がどこにもないってなれば、そういうことじゃないですか」
300
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。
これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。
無自覚両片想いの勇者×親友。
読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。
処刑エンドの悪役公爵、隠居したいのに溺愛されてます
ひなた翠
BL
目が覚めたら、やり込んだBLゲームの悪役公爵になっていた。
しかも手には鞭。目の前には涙を浮かべた美少年。
——このままじゃ、王太子に処刑される。
前世は冴えない社畜サラリーマン。今世は冷徹な美貌を持つ高位貴族のアルファ。
中身と外見の落差に戸惑う暇もなく、エリオットは処刑回避のための「隠居計画」を立てる。
囚われのオメガ・レオンを王太子カイルに引き渡し、爵位も領地も全部手放して、ひっそり消える——はずだった。
ところが動くほど状況は悪化していく。
レオンを自由にしようとすれば「傍にいたい」と縋りつかれ、
カイルに会えば「お前の匂いは甘い」と迫られ、
隠居を申し出れば「逃げるな」と退路を塞がれる。
しかもなぜか、子供の頃から飲んでいた「ビタミン剤」を忘れるたび、身体がおかしくなる。
周囲のアルファたちの視線が絡みつき、カイルの目の色が変わり——
自分でも知らなかった秘密が暴かれたとき、逃げ場はもう、どこにもなかった。
誰にも愛されなかった男が、異世界で「本当の自分」を知り、運命の番と出会う——
ギャップ萌え×じれったさ×匂いフェチ全開の、オメガバース転生BL。
悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで
二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる