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IFルート
【IFルート 白翼騎士団入団編】 前編
まるで、おとぎ話の世界だった。
きらびやかな水晶細工のシャンデリアが灯す光は、まるで星々の煌めきのよう。
テーブルの上に並べられた、珍しい食材がふんだんに使われた料理。そして、会場中に生けられた色とりどりの花々。
さんざめく笑い声に、室内楽団が奏でる優美な舞踊曲は耳に心地いい。
そう――此処は舞踏会である。
リッツハイム市の貴族街の中心部に位置する大型劇場で開かれた、貴族の子息を中心といた舞踏会。
そんなきらきらとした空間に、おれは、いた。
…………。
………………。
「……ふっ」
……うん。
どう考えても、やっぱりおれには場違いです、リオン団長!!
あははは、もはや乾いた笑いしか出てないよ!
◆
給仕の男性からもらった飲み物をちびちびと飲みつつ、人気のないところで壁にもたれかかり、ため息をつく。
うう、やっぱり来るんじゃなかった……。
貴族でもなんでもないおれが、どう考えても場違いだよなぁ、こんな所……。
にしても『チェンジ・ザ・ワールド』には、舞踏会イベントなんて登場しなかったんだけど……
もしかして、『主人公』がこのリッツハイム魔導王国に召喚されて、これからモンスターとの戦いが激化していけば、こんな豪華な舞踏会を開催する余裕はなくなっていくんだろうか?
そ、そうだったとしたら、切なすぎるな……
『チェンジ・ザ・ワールド』というのは、元の世界でプレイしていたRPGの名称だ。
内容としてはよくあるファンタジーもので、日本に住む平凡な学生が、このリッツハイム魔導王国に『救世主』として召喚されるところから始まる。
主人公は、このリッツハイム魔導王国に住む騎士や王子、王女様を仲間にしつつ、最終的に『魔王』と戦う――というのが大まかなストーリーである。
そして、おれは何の因果が、気がつけばその『チェンジ・ザ・ワールド』の世界に入り込んでいたのだった。
いや、もう本当に突然すぎて、意味がわからなかったよ
何の前触れもなかったもん!
あまりにも突然のことだったので「ああ、これは夢なんだな? やってたゲームの影響かな。せっかくだし夢の中なら色々大暴れしてみるかイエーイ!」ってなノリで目の前にいたモンスターに切りかかっていったくらいである。
……今考えると、めちゃくちゃやばいコトしてたな、自分……
一歩間違ってればフツーに死んでるよ……
まぁ、でも、夢だと思いこんでて逆に良かったのかもしれない。
夢だと思いこんでたからこそ、あんな特攻みたいなコトをしてモンスターの群れに突っ込めたんだし。
それでリオンの妹さんが助けられたんだしな。
そう、リオン――リオン・ドゥ・ドルム。
彼は『チェンジ・ザ・ワールド』に出てくるキャラクターで、この国では白翼騎士団の団長の任についている。
長い白銀色の髪を一つにまとめ、色素の薄いアイスブルーの瞳を持つ、氷の貴公子といった容貌の美青年だ。
一見、とても冷たそうでとっつきにくそうな彼だったが、話してみるとものすごく親切で、礼節のある人だった。
なにせ、「行く所がないならぜひ私の屋敷に来たまえ。妹を助けてくれた礼だ」と言って、おれを自分のお屋敷に居候させてくれているぐらい、いい人なのである。
そんなこんなでリオンの家であるドルム家にお世話になっているおれだが……ドルム家というのは、リッツハイム魔導王国の中でも有数のご貴族様でありまして。
そのため、貴族の子息たちが交流を深めるというためという理由で――ドルム家に舞踏会の招待状が届いたのである。
今回、なぜかリオンはその舞踏会におれを誘ってきたのだ。
そりゃ、もちろん初めはお断りしたよ!
おれ、礼儀作法とか踊りとかぜんっぜん知らないし!
……中学校の時に覚えさせられた、よさこいソーランくらいなら踊れるけれど……多分、舞踏会ってそういう踊りじゃないよね? 絶対違うよね?
だから全力でお断りしたんだけどさ。
そしたらリオンに、
「ドルム家の邸宅に住み、なおかつ白翼騎士団に私の推薦で入団している君が、貴族の間で噂になっているようだ。ここで一度、顔を売っておく必要がある」
といって、おれをじっと怜悧なアイスブルーの瞳で見つめてきあので、何も言えなくなってしまったのだ。
だ、だって、あの雰囲気で「ごめん、リオン。言ってる意味がまったく分からないから、具体的に説明してください」とか言えなくない……!?
それに、リオンが出た方がいいって言うなら「そういうもんなのかな?」って思って……!
……でも、やっぱり来るべきじゃなかったのかもなぁ。
「あの青年はどなたかしら? まるで夜の帳のような髪と瞳の色……」
「珍しい。魔王討伐の勇者と同じ色の御髪だ……あんな人が、この国にいたなんて」
「どうやらドルム家の者らしいぞ」
「初めて舞踏会に現れたにも関わらず、先ほどの余裕そうな笑みと、あのリラックスした身のこなし……どこかの貴族の者ではないのか?」
「おい、誰か話しかけに行ってみろよ」
「馬鹿、俺達なんざあしらわれて終わりだろ」
うう……
よ、よく聞こえないけど、みんな、ヒソヒソとおれの噂話をしてるみたいだし……そのくせ誰も声かけてくれないし……めっちゃ居たたまれないよ!
あーあ、リオンは他の人に呼ばれて行っちゃったしさー。
ちょっと疲れたし、中庭にでも行ってみようかなぁ。というか、人のいない所に行きたい。
おれはワイングラスをテーブルに置くと、人にぶつからないようにゆっくりと歩いて、会場から中庭に出ることにした。
舞踏会の会場から廊下に出ると、そこから外に出て涼めるようにと、硝子扉が開放されている。
中庭に下りると、そこは夜闇に包まれて静謐な雰囲気を醸し出していた。鈴を転がすような虫の音と、頬に当たる風が心地よい。
「……ふぅ……」
あー、もう、ずっとここにいたい。
リオンに顔を売っておけって言われたけど、誰も話しかけてこないしさぁ……
かと言って、誰かに話しかけに行くのもコミュ障のおれには不可能だし……
そんなことを考えつつ、夜の風を頬に受けていると、背後でがさりと誰かが草を踏む音がした。
思わず後ろを振り向く。
そこにいたのは、金糸のような髪に紫水晶色の瞳を持つ青年だった。
年の頃は……20代前半だろうか?
黒を基調とした正装を身に纏った姿からして、きっと彼も貴族のご子息なんだろう。
すっとした鼻梁とシャープなラインの顔立ちは、金髪や服装とあいまって、まるで白馬の王子様みたいだ。
リオンが真面目系風紀委員タイプのイケメンだとしたら、彼はさわやか好青年系のイケメンである。
その金髪の青年はおれと視線が合うと、穏やかな微笑をふわりと浮かべた。
「失敬、驚かせてしまいましたね」
「いや……」
す、すごい! イケメンは言う台詞もスマート!
おれはといえば、何と言っていいか分からず、めちゃくちゃ言葉少なである。
ううっ、場慣れしてないのが丸わかりだろうなぁ。恥ずかしい……!
「少々、会場の熱気に人疲れしてしまいまして、こちらに来てしまいました。お邪魔をしてしまったようで、申し訳ありません」
「いや、気にすることはない。逃げてきたのはおれも一緒だからな」
邪魔もなにも、むしろ不要な気遣いをさせてしまってこちらこそ申し訳ありませんイケメンさん……!
そんな思いを抱きつつ苦笑いを交わすと、イケメンさんはほっとしたようにおれの方へ歩み寄ってきた。
「申し遅れました。私、フェリクス・フォンツ・アルファレッタと申します」
「……もしかして、そちらは黒翼騎士団の副団長の?」
「おや、どこかでお会いしたことがありましたか?」
「いや、初対面だ」
やっぱり黒翼騎士団のフェリクスか!
顔を見て、そうじゃないかと思ったんだよ。だって、ゲームの立ち絵まんまだもん。
いや、でもこうして見るとゲームよりも何十倍もかっこいいな~!
なんていうの? 放っているオーラや立ち振る舞いの所作がすごい優雅で品があるんだよ!
まさかの原作超えとは恐れ入ったぜ!
いやぁ、それにしても感激だぜ!
『チェンジ・ザ・ワールド』のストーリーだと、黒翼騎士団の団長ガゼルか、副団長フェリクス、どっちかだけ仲間にできるんだよな! おれ、黒翼騎士団のキャラクターはみんな好きだったなー!
……うん。どちらかだけしか、仲間にできないんだ。
というのも、作中のストーリーで、黒翼騎士団は途中でモンスターとの都市防衛線に敗れて壊滅しちゃうからだ。
だから、団長か副団長のどちらかしか生き残らないんだよね……
…………どちらかしか、生き残らないんだよな。このままいくと。
……これまでのリオンとの話だと、ゲームの『主人公』はまだこの世界に召喚されてないみたいだった。
『チェンジ・ザ・ワールド』通りにこの世界が進むとしたら、今はどのあたりなんだろう?
「フェリクス、だったよな」
「はい」
「黒翼騎士団は近々、海賊の討伐に行く予定はないか?」
「どうして貴方がそのことを……?」
フェリクスが驚いたようにおれを見つめてくる。
なるほど。海賊の討伐に行く前だと、確か……フェリクスとのキャラクターイベントで、『主人公』に対して、後悔している過去の出来事を語るシーンがあったはずだ。
海賊の討伐に向かった黒翼騎士団が、その帰りに逗留した小さな農村。黒翼騎士団がその村を離れた直後に、村がモンスターに襲われてしまう。
その襲撃で、フェリクスが村で言葉を交わしていた村人が亡くなってしまうのだ。
フェリクスが「自分たちがあとほんの少し、村に滞在していれば……」と、悔恨を『主人公』にだけ打ち明けるシーンがあった。
その海賊の討伐にこれから向かうのだということは――主人公が召喚されて『チェンジ・ザ・ワールド』の本筋のストーリーが始まるまで、あと数ヶ月ほど、ってとこか……
うーん……
「あの、貴方は一体……? 我々に下った海賊討伐の勅令をなぜ貴方が知っているのですか……?」
考えこむおれに、フェリクスがいぶかしげな声をかけてきた。
が、おれは自分の考えに没頭していたのと、中庭を吹き抜けた風の音で、フェリクスの言葉の大半を聞き逃してしまった。
なんて言ったんだろ?
まぁ、とりあえずフェリクスに言うべきことだけ言っておくか。
「フェリクス。そちらが向かう海賊討伐の任の後、王都へ帰還する途中でとある農村に寄ると思う」
「…………」
「その村には少し長めにいた方がいいぞ。王都への帰還を急ぐにしても、数名の騎士団団員を残してから出立した方がいい」
「それはどういう意味でしょうか……?」
紫水晶色の瞳に浮かべる疑念をますます深めて、おれを見つめるフェリクス。
うん、無理もない。
おれも自分で言ってて「嘘……おれの説明能力、低すぎ……?」ってなったもん。
で、でも、その農村にモンスターの襲撃があると言っても信じてくれないだろうしさ!?
何より「なんでそんなことが分かるんだ?」って聞かれても「この世界に来る前にやってたゲームで予習したんです!」としか言えないんだよ……。そのまま病院直行もありうる説明だよ……。
だからって、誰かが傷つくのがわかってるのに、それをスルーするのは嫌だし……!
と、とりあえず最後にもう一回だけ念押ししとこう。
「……すまない。おれは、あまり詳しいことは言えないんだ」
「…………」
「おれが信用できないのは当然だ。けれど――それでも頼む。そうでないと、多くの人が傷つくことになるんだ」
「貴方は、いったい……?」
おれはフェリクスの問いかけには答えず、黙ったままフェリクスの脇を通り過ぎた。
……ごめん、フェリクス!
もっとおれの語彙力やコミュニケーション能力が卓越してたら、うまい説明ができたんだろうけど……!
フェリクスが後を追ってくるかもと思い、廊下に戻る硝子扉をくぐる直前、ちらりと背後の様子を窺う。
彼はじっとおれのことを見つめていたが、後を追ってくる気配はなかった。
恐らくは、おれの言葉の真意をはかりかねているんだろう。
まぁ、おれとしてはこれ以上の説明はできないから、追いかけてこないならラッキーだ。このまま会場の人混みにまぎれてしまおう。
……おっ。あの見慣れた銀髪はリオンじゃないか?
「リオン」
「! タクミ、どこに行っていたんだ?」
舞踏会会場の前で、きょろきょろと周りを見渡していたのは、やっぱりリオンだった。
おれが声をかけると、リオンは安堵したような微笑を浮かべて、こちらに近づいてくる。
「会場に姿が見えないから心配したぞ」
「すまない。人疲れして、中庭で休んでたんだ」
「ああ、なるほど……舞踏会にいるほとんど全員が、君の話で持ちきりだったものな。特に第二王子からは私も質問責めにされたよ」
そう言って、苦笑いを浮かべるリオン。
だが、おれの方は言葉の意味が呑み込めず、内心で首を傾げる。
え。おれの話で持ちきりってなんで?
「あそこにいる、見るからに場慣れしてない田舎者はどこの誰だ」的な?
「タクミには不愉快な思いをさせてしまったかもしれないが、許してくれ。これで君の後ろ盾にはドルム家がついていると貴族達に伝わったはずだ」
……うん?
「先日のB級モンスターの群れの襲撃からドルム家の息女を救った『漆黒の君』は、王都の貴族たちの注目の的だったからね。でも、これでドルム家が正式にタクミを擁護していることは分かったはずだ。これで君におかしなちょっかいをかけようと思う者もいなくなるだろう」
……あの、リオンさん。
この舞踏会参加に、そんな意味があったんですか!?
あの、そういうことならもっとちゃんと説明しておいて頂けませんかね!?
そんなにどえらい気を遣っていただいてたとは全然知らなかったよ!!
……あ、でもリオンは「ここで顔を売っておく必要がある」って言ってたっけ。
なるほど、あれはそういう意味だったのか……!
うわぁ、それなのにおれ「リオンはなんでこんな舞踏会におれを誘ったんだ……」とか思っちゃってたよ。
ご、ごめんなリオン。そうだよな。リオンはこんな怪しいおれを、自分の屋敷に住まわせてくれてる、すっごくいい人なのに。
「リオン、謝罪なんてしないでくれ。おれの方がリオンには世話をかけっぱなしなんだから」
「この程度、なんてことはないさ」
リオンは優しい微笑を浮かべる。
ここ最近、彼はおれの前でよくこういった穏やかな表情を見せてくれるようになった。
リオンとおれの距離が縮んでいるということならとても嬉しい。
「君には、私は返しきれない恩があるんだ」
「……妹さんのことなら、そんなに気にしないでくれ。もう充分返してもらった」
うん。リオンの妹さんを助けたことだって、あれはおれの持ってる呪刀のスキルがなかったら無理だったし。
あの後、副作用で麻痺効果が発生してすっごい大変だったけど。
そもそも現実だと分かってなかったら、あんな無茶な戦いをしてなかった可能性もあるし、本当に気にしないでほしいんだけどなー。
「……それもあるが、それだけじゃないんだ。君は知らないかもしれないが……私の率いる白翼騎士団は、『お飾り騎士団』と呼ばれていた」
「お飾り……?」
そんな名称、ゲームの中に出てきたっけ?
もしかして裏設定とかだろうか。
「……君も知っているだろうが、我々、白翼騎士団の構成団員は貴族の子息で構成されているだろう? そして、白翼騎士団が担っているのは王都周辺の警護。つまり、実戦闘はほとんどない、貴族の子息の箔付けのための騎士団なんだよ」
「…………」
「そのせいで、普段の戦闘訓練にも熱の入らない者が多かった。私や副団長が指導を行っても、緩みきった空気が治ることはなく、むしろ私は団員から邪険にされていたくらいだ」
そ、そうだったの!?
……でも、別におれはそんな空気を感じたことはないけどなぁ……?
白翼騎士団の皆、いつもちゃんと訓練してるし、警護の任務だってすごい真剣にやってるし。
苦々しい顔のリオンにそれを告げると、リオンはふっと頬を緩めながら「それが君のおかげなんだよ」と言った。
「私の妹の乗った馬車を警護していたのは、我ら白翼騎士団の団員たちだった。彼らの窮地を救ったのが君だ」
……ああ、そういえば白翼騎士団に入団してから「あの時は君のおかげで助かった」って、何人もの騎士団員さんがお礼を言いに来たっけ。
あれ、人違いじゃなかったんだね!?
「間違えてますよ」とか言わなくてよかった……!
「危険を顧みず、弱き者を救った君の雄姿。誰よりも強い実力を持つ君が、入団してからも欠かさず訓練を行う姿を見て、皆が触発されたんだ。……私一人の力ではできなかったことだ。君には本当に感謝しているんだよ」
「……リオンはそう言うけど、でも、おれ一人だけで皆の意識が変わったとは思えない。やっぱり、リオンがずっと皆を叱咤激励し続けたからこそ、今の白翼騎士団があると思うぞ」
肩をすくめてそう答えると、リオンは驚いたようにおれをまじまじと見つめた。
そして、ふふっと顔をほころばせる。
いつもは氷の彫像みたいな容貌のリオンがそうやって笑うと、とたんに、蕾が花開くかのようにあたたかな表情へと変わるのだ。おれは、彼のその表情が好きだった。
「ふふ、君にはかなわないな。……本当のところ、感謝だけじゃないんだ。私にできることなら、どんなことだってしてあげたいだけなんだよ、タクミ」
そう言って、リオンがおれの顎を手に取り、くいと自分の方に上向かせる。
そして、おれの唇に触れるだけのキスを落とした。
しっとりと濡れた唇が重なる感触に、驚きのあまり固まってしまう。
「っ……リ、リオン?」
「さて、帰ろうか。妹も君の帰りを今か今かとやきもきしながら待ちわびているだろうしね」
そう言っておれから離れるリオンは、まったくもっていつも通りの表情だ。
え、えーっと、今のは……?
あ! もしかして、外人さんのほっぺちゅー的なスキンシップか!?
こ、この世界にもそういう文化があったのか!?
……誰一人として、やってること見たことないんだけど!
「……うん。帰ろう、リオン」
「そうだね。私たちの家へ帰ろう」
今のキスについてリオンに尋ねたかったのだが、当の彼は、なんてことのない普段通りの表情でおれの肩に腕をまわして、出口へ向かって歩き始める。
そのため、なんとなく聞くのがはばかられてしまい、おれはとりあえずリオンと共に長い廊下を歩くのだった。
……たぶん、スキンシップの一貫だよね?
だって、そうじゃなきゃ、リオンがおれにキスする理由なんてないもんな?
…………だよね?
きらびやかな水晶細工のシャンデリアが灯す光は、まるで星々の煌めきのよう。
テーブルの上に並べられた、珍しい食材がふんだんに使われた料理。そして、会場中に生けられた色とりどりの花々。
さんざめく笑い声に、室内楽団が奏でる優美な舞踊曲は耳に心地いい。
そう――此処は舞踏会である。
リッツハイム市の貴族街の中心部に位置する大型劇場で開かれた、貴族の子息を中心といた舞踏会。
そんなきらきらとした空間に、おれは、いた。
…………。
………………。
「……ふっ」
……うん。
どう考えても、やっぱりおれには場違いです、リオン団長!!
あははは、もはや乾いた笑いしか出てないよ!
◆
給仕の男性からもらった飲み物をちびちびと飲みつつ、人気のないところで壁にもたれかかり、ため息をつく。
うう、やっぱり来るんじゃなかった……。
貴族でもなんでもないおれが、どう考えても場違いだよなぁ、こんな所……。
にしても『チェンジ・ザ・ワールド』には、舞踏会イベントなんて登場しなかったんだけど……
もしかして、『主人公』がこのリッツハイム魔導王国に召喚されて、これからモンスターとの戦いが激化していけば、こんな豪華な舞踏会を開催する余裕はなくなっていくんだろうか?
そ、そうだったとしたら、切なすぎるな……
『チェンジ・ザ・ワールド』というのは、元の世界でプレイしていたRPGの名称だ。
内容としてはよくあるファンタジーもので、日本に住む平凡な学生が、このリッツハイム魔導王国に『救世主』として召喚されるところから始まる。
主人公は、このリッツハイム魔導王国に住む騎士や王子、王女様を仲間にしつつ、最終的に『魔王』と戦う――というのが大まかなストーリーである。
そして、おれは何の因果が、気がつけばその『チェンジ・ザ・ワールド』の世界に入り込んでいたのだった。
いや、もう本当に突然すぎて、意味がわからなかったよ
何の前触れもなかったもん!
あまりにも突然のことだったので「ああ、これは夢なんだな? やってたゲームの影響かな。せっかくだし夢の中なら色々大暴れしてみるかイエーイ!」ってなノリで目の前にいたモンスターに切りかかっていったくらいである。
……今考えると、めちゃくちゃやばいコトしてたな、自分……
一歩間違ってればフツーに死んでるよ……
まぁ、でも、夢だと思いこんでて逆に良かったのかもしれない。
夢だと思いこんでたからこそ、あんな特攻みたいなコトをしてモンスターの群れに突っ込めたんだし。
それでリオンの妹さんが助けられたんだしな。
そう、リオン――リオン・ドゥ・ドルム。
彼は『チェンジ・ザ・ワールド』に出てくるキャラクターで、この国では白翼騎士団の団長の任についている。
長い白銀色の髪を一つにまとめ、色素の薄いアイスブルーの瞳を持つ、氷の貴公子といった容貌の美青年だ。
一見、とても冷たそうでとっつきにくそうな彼だったが、話してみるとものすごく親切で、礼節のある人だった。
なにせ、「行く所がないならぜひ私の屋敷に来たまえ。妹を助けてくれた礼だ」と言って、おれを自分のお屋敷に居候させてくれているぐらい、いい人なのである。
そんなこんなでリオンの家であるドルム家にお世話になっているおれだが……ドルム家というのは、リッツハイム魔導王国の中でも有数のご貴族様でありまして。
そのため、貴族の子息たちが交流を深めるというためという理由で――ドルム家に舞踏会の招待状が届いたのである。
今回、なぜかリオンはその舞踏会におれを誘ってきたのだ。
そりゃ、もちろん初めはお断りしたよ!
おれ、礼儀作法とか踊りとかぜんっぜん知らないし!
……中学校の時に覚えさせられた、よさこいソーランくらいなら踊れるけれど……多分、舞踏会ってそういう踊りじゃないよね? 絶対違うよね?
だから全力でお断りしたんだけどさ。
そしたらリオンに、
「ドルム家の邸宅に住み、なおかつ白翼騎士団に私の推薦で入団している君が、貴族の間で噂になっているようだ。ここで一度、顔を売っておく必要がある」
といって、おれをじっと怜悧なアイスブルーの瞳で見つめてきあので、何も言えなくなってしまったのだ。
だ、だって、あの雰囲気で「ごめん、リオン。言ってる意味がまったく分からないから、具体的に説明してください」とか言えなくない……!?
それに、リオンが出た方がいいって言うなら「そういうもんなのかな?」って思って……!
……でも、やっぱり来るべきじゃなかったのかもなぁ。
「あの青年はどなたかしら? まるで夜の帳のような髪と瞳の色……」
「珍しい。魔王討伐の勇者と同じ色の御髪だ……あんな人が、この国にいたなんて」
「どうやらドルム家の者らしいぞ」
「初めて舞踏会に現れたにも関わらず、先ほどの余裕そうな笑みと、あのリラックスした身のこなし……どこかの貴族の者ではないのか?」
「おい、誰か話しかけに行ってみろよ」
「馬鹿、俺達なんざあしらわれて終わりだろ」
うう……
よ、よく聞こえないけど、みんな、ヒソヒソとおれの噂話をしてるみたいだし……そのくせ誰も声かけてくれないし……めっちゃ居たたまれないよ!
あーあ、リオンは他の人に呼ばれて行っちゃったしさー。
ちょっと疲れたし、中庭にでも行ってみようかなぁ。というか、人のいない所に行きたい。
おれはワイングラスをテーブルに置くと、人にぶつからないようにゆっくりと歩いて、会場から中庭に出ることにした。
舞踏会の会場から廊下に出ると、そこから外に出て涼めるようにと、硝子扉が開放されている。
中庭に下りると、そこは夜闇に包まれて静謐な雰囲気を醸し出していた。鈴を転がすような虫の音と、頬に当たる風が心地よい。
「……ふぅ……」
あー、もう、ずっとここにいたい。
リオンに顔を売っておけって言われたけど、誰も話しかけてこないしさぁ……
かと言って、誰かに話しかけに行くのもコミュ障のおれには不可能だし……
そんなことを考えつつ、夜の風を頬に受けていると、背後でがさりと誰かが草を踏む音がした。
思わず後ろを振り向く。
そこにいたのは、金糸のような髪に紫水晶色の瞳を持つ青年だった。
年の頃は……20代前半だろうか?
黒を基調とした正装を身に纏った姿からして、きっと彼も貴族のご子息なんだろう。
すっとした鼻梁とシャープなラインの顔立ちは、金髪や服装とあいまって、まるで白馬の王子様みたいだ。
リオンが真面目系風紀委員タイプのイケメンだとしたら、彼はさわやか好青年系のイケメンである。
その金髪の青年はおれと視線が合うと、穏やかな微笑をふわりと浮かべた。
「失敬、驚かせてしまいましたね」
「いや……」
す、すごい! イケメンは言う台詞もスマート!
おれはといえば、何と言っていいか分からず、めちゃくちゃ言葉少なである。
ううっ、場慣れしてないのが丸わかりだろうなぁ。恥ずかしい……!
「少々、会場の熱気に人疲れしてしまいまして、こちらに来てしまいました。お邪魔をしてしまったようで、申し訳ありません」
「いや、気にすることはない。逃げてきたのはおれも一緒だからな」
邪魔もなにも、むしろ不要な気遣いをさせてしまってこちらこそ申し訳ありませんイケメンさん……!
そんな思いを抱きつつ苦笑いを交わすと、イケメンさんはほっとしたようにおれの方へ歩み寄ってきた。
「申し遅れました。私、フェリクス・フォンツ・アルファレッタと申します」
「……もしかして、そちらは黒翼騎士団の副団長の?」
「おや、どこかでお会いしたことがありましたか?」
「いや、初対面だ」
やっぱり黒翼騎士団のフェリクスか!
顔を見て、そうじゃないかと思ったんだよ。だって、ゲームの立ち絵まんまだもん。
いや、でもこうして見るとゲームよりも何十倍もかっこいいな~!
なんていうの? 放っているオーラや立ち振る舞いの所作がすごい優雅で品があるんだよ!
まさかの原作超えとは恐れ入ったぜ!
いやぁ、それにしても感激だぜ!
『チェンジ・ザ・ワールド』のストーリーだと、黒翼騎士団の団長ガゼルか、副団長フェリクス、どっちかだけ仲間にできるんだよな! おれ、黒翼騎士団のキャラクターはみんな好きだったなー!
……うん。どちらかだけしか、仲間にできないんだ。
というのも、作中のストーリーで、黒翼騎士団は途中でモンスターとの都市防衛線に敗れて壊滅しちゃうからだ。
だから、団長か副団長のどちらかしか生き残らないんだよね……
…………どちらかしか、生き残らないんだよな。このままいくと。
……これまでのリオンとの話だと、ゲームの『主人公』はまだこの世界に召喚されてないみたいだった。
『チェンジ・ザ・ワールド』通りにこの世界が進むとしたら、今はどのあたりなんだろう?
「フェリクス、だったよな」
「はい」
「黒翼騎士団は近々、海賊の討伐に行く予定はないか?」
「どうして貴方がそのことを……?」
フェリクスが驚いたようにおれを見つめてくる。
なるほど。海賊の討伐に行く前だと、確か……フェリクスとのキャラクターイベントで、『主人公』に対して、後悔している過去の出来事を語るシーンがあったはずだ。
海賊の討伐に向かった黒翼騎士団が、その帰りに逗留した小さな農村。黒翼騎士団がその村を離れた直後に、村がモンスターに襲われてしまう。
その襲撃で、フェリクスが村で言葉を交わしていた村人が亡くなってしまうのだ。
フェリクスが「自分たちがあとほんの少し、村に滞在していれば……」と、悔恨を『主人公』にだけ打ち明けるシーンがあった。
その海賊の討伐にこれから向かうのだということは――主人公が召喚されて『チェンジ・ザ・ワールド』の本筋のストーリーが始まるまで、あと数ヶ月ほど、ってとこか……
うーん……
「あの、貴方は一体……? 我々に下った海賊討伐の勅令をなぜ貴方が知っているのですか……?」
考えこむおれに、フェリクスがいぶかしげな声をかけてきた。
が、おれは自分の考えに没頭していたのと、中庭を吹き抜けた風の音で、フェリクスの言葉の大半を聞き逃してしまった。
なんて言ったんだろ?
まぁ、とりあえずフェリクスに言うべきことだけ言っておくか。
「フェリクス。そちらが向かう海賊討伐の任の後、王都へ帰還する途中でとある農村に寄ると思う」
「…………」
「その村には少し長めにいた方がいいぞ。王都への帰還を急ぐにしても、数名の騎士団団員を残してから出立した方がいい」
「それはどういう意味でしょうか……?」
紫水晶色の瞳に浮かべる疑念をますます深めて、おれを見つめるフェリクス。
うん、無理もない。
おれも自分で言ってて「嘘……おれの説明能力、低すぎ……?」ってなったもん。
で、でも、その農村にモンスターの襲撃があると言っても信じてくれないだろうしさ!?
何より「なんでそんなことが分かるんだ?」って聞かれても「この世界に来る前にやってたゲームで予習したんです!」としか言えないんだよ……。そのまま病院直行もありうる説明だよ……。
だからって、誰かが傷つくのがわかってるのに、それをスルーするのは嫌だし……!
と、とりあえず最後にもう一回だけ念押ししとこう。
「……すまない。おれは、あまり詳しいことは言えないんだ」
「…………」
「おれが信用できないのは当然だ。けれど――それでも頼む。そうでないと、多くの人が傷つくことになるんだ」
「貴方は、いったい……?」
おれはフェリクスの問いかけには答えず、黙ったままフェリクスの脇を通り過ぎた。
……ごめん、フェリクス!
もっとおれの語彙力やコミュニケーション能力が卓越してたら、うまい説明ができたんだろうけど……!
フェリクスが後を追ってくるかもと思い、廊下に戻る硝子扉をくぐる直前、ちらりと背後の様子を窺う。
彼はじっとおれのことを見つめていたが、後を追ってくる気配はなかった。
恐らくは、おれの言葉の真意をはかりかねているんだろう。
まぁ、おれとしてはこれ以上の説明はできないから、追いかけてこないならラッキーだ。このまま会場の人混みにまぎれてしまおう。
……おっ。あの見慣れた銀髪はリオンじゃないか?
「リオン」
「! タクミ、どこに行っていたんだ?」
舞踏会会場の前で、きょろきょろと周りを見渡していたのは、やっぱりリオンだった。
おれが声をかけると、リオンは安堵したような微笑を浮かべて、こちらに近づいてくる。
「会場に姿が見えないから心配したぞ」
「すまない。人疲れして、中庭で休んでたんだ」
「ああ、なるほど……舞踏会にいるほとんど全員が、君の話で持ちきりだったものな。特に第二王子からは私も質問責めにされたよ」
そう言って、苦笑いを浮かべるリオン。
だが、おれの方は言葉の意味が呑み込めず、内心で首を傾げる。
え。おれの話で持ちきりってなんで?
「あそこにいる、見るからに場慣れしてない田舎者はどこの誰だ」的な?
「タクミには不愉快な思いをさせてしまったかもしれないが、許してくれ。これで君の後ろ盾にはドルム家がついていると貴族達に伝わったはずだ」
……うん?
「先日のB級モンスターの群れの襲撃からドルム家の息女を救った『漆黒の君』は、王都の貴族たちの注目の的だったからね。でも、これでドルム家が正式にタクミを擁護していることは分かったはずだ。これで君におかしなちょっかいをかけようと思う者もいなくなるだろう」
……あの、リオンさん。
この舞踏会参加に、そんな意味があったんですか!?
あの、そういうことならもっとちゃんと説明しておいて頂けませんかね!?
そんなにどえらい気を遣っていただいてたとは全然知らなかったよ!!
……あ、でもリオンは「ここで顔を売っておく必要がある」って言ってたっけ。
なるほど、あれはそういう意味だったのか……!
うわぁ、それなのにおれ「リオンはなんでこんな舞踏会におれを誘ったんだ……」とか思っちゃってたよ。
ご、ごめんなリオン。そうだよな。リオンはこんな怪しいおれを、自分の屋敷に住まわせてくれてる、すっごくいい人なのに。
「リオン、謝罪なんてしないでくれ。おれの方がリオンには世話をかけっぱなしなんだから」
「この程度、なんてことはないさ」
リオンは優しい微笑を浮かべる。
ここ最近、彼はおれの前でよくこういった穏やかな表情を見せてくれるようになった。
リオンとおれの距離が縮んでいるということならとても嬉しい。
「君には、私は返しきれない恩があるんだ」
「……妹さんのことなら、そんなに気にしないでくれ。もう充分返してもらった」
うん。リオンの妹さんを助けたことだって、あれはおれの持ってる呪刀のスキルがなかったら無理だったし。
あの後、副作用で麻痺効果が発生してすっごい大変だったけど。
そもそも現実だと分かってなかったら、あんな無茶な戦いをしてなかった可能性もあるし、本当に気にしないでほしいんだけどなー。
「……それもあるが、それだけじゃないんだ。君は知らないかもしれないが……私の率いる白翼騎士団は、『お飾り騎士団』と呼ばれていた」
「お飾り……?」
そんな名称、ゲームの中に出てきたっけ?
もしかして裏設定とかだろうか。
「……君も知っているだろうが、我々、白翼騎士団の構成団員は貴族の子息で構成されているだろう? そして、白翼騎士団が担っているのは王都周辺の警護。つまり、実戦闘はほとんどない、貴族の子息の箔付けのための騎士団なんだよ」
「…………」
「そのせいで、普段の戦闘訓練にも熱の入らない者が多かった。私や副団長が指導を行っても、緩みきった空気が治ることはなく、むしろ私は団員から邪険にされていたくらいだ」
そ、そうだったの!?
……でも、別におれはそんな空気を感じたことはないけどなぁ……?
白翼騎士団の皆、いつもちゃんと訓練してるし、警護の任務だってすごい真剣にやってるし。
苦々しい顔のリオンにそれを告げると、リオンはふっと頬を緩めながら「それが君のおかげなんだよ」と言った。
「私の妹の乗った馬車を警護していたのは、我ら白翼騎士団の団員たちだった。彼らの窮地を救ったのが君だ」
……ああ、そういえば白翼騎士団に入団してから「あの時は君のおかげで助かった」って、何人もの騎士団員さんがお礼を言いに来たっけ。
あれ、人違いじゃなかったんだね!?
「間違えてますよ」とか言わなくてよかった……!
「危険を顧みず、弱き者を救った君の雄姿。誰よりも強い実力を持つ君が、入団してからも欠かさず訓練を行う姿を見て、皆が触発されたんだ。……私一人の力ではできなかったことだ。君には本当に感謝しているんだよ」
「……リオンはそう言うけど、でも、おれ一人だけで皆の意識が変わったとは思えない。やっぱり、リオンがずっと皆を叱咤激励し続けたからこそ、今の白翼騎士団があると思うぞ」
肩をすくめてそう答えると、リオンは驚いたようにおれをまじまじと見つめた。
そして、ふふっと顔をほころばせる。
いつもは氷の彫像みたいな容貌のリオンがそうやって笑うと、とたんに、蕾が花開くかのようにあたたかな表情へと変わるのだ。おれは、彼のその表情が好きだった。
「ふふ、君にはかなわないな。……本当のところ、感謝だけじゃないんだ。私にできることなら、どんなことだってしてあげたいだけなんだよ、タクミ」
そう言って、リオンがおれの顎を手に取り、くいと自分の方に上向かせる。
そして、おれの唇に触れるだけのキスを落とした。
しっとりと濡れた唇が重なる感触に、驚きのあまり固まってしまう。
「っ……リ、リオン?」
「さて、帰ろうか。妹も君の帰りを今か今かとやきもきしながら待ちわびているだろうしね」
そう言っておれから離れるリオンは、まったくもっていつも通りの表情だ。
え、えーっと、今のは……?
あ! もしかして、外人さんのほっぺちゅー的なスキンシップか!?
こ、この世界にもそういう文化があったのか!?
……誰一人として、やってること見たことないんだけど!
「……うん。帰ろう、リオン」
「そうだね。私たちの家へ帰ろう」
今のキスについてリオンに尋ねたかったのだが、当の彼は、なんてことのない普段通りの表情でおれの肩に腕をまわして、出口へ向かって歩き始める。
そのため、なんとなく聞くのがはばかられてしまい、おれはとりあえずリオンと共に長い廊下を歩くのだった。
……たぶん、スキンシップの一貫だよね?
だって、そうじゃなきゃ、リオンがおれにキスする理由なんてないもんな?
…………だよね?
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