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後悔
――アレクは神様に与えられた、おれの眷属だ。
でも、眷属だからって、おれにずっと忠誠を誓ってくれるわけでもなければ、おれのことをずっと好きでいてくれるわけでもないって、散々神様に忠告されてたのに。
……どうして忘れてたんだろう。
リアルのおれは友人も恋人もいないぼっちで。趣味で同人作家として漫画を描き始めて、ようやくオンライン繋がりの友人達や、おれの漫画を好きだって言ってくれる人はできたけれど。でも、皆、おれ自身を好きになってくれたわけじゃない。
……どうして今まで勘違いしてたんだろう。
どうせこのまま家に帰っても、みじめな気分になるだけだと分かっていた。一人で部屋にいるのは嫌で、でもどこか行ける当てがあるわけでもなく。
ただぼんやりと街中を歩いて、歩き続けて。一番星が空に登る頃に、街中にある公園のような広場の長椅子を見つけてようやくぺたりと腰を下ろした。
「いて……」
こんなに長いこと歩いたこともなかったのにで、もう足が棒のようだ。
でも、止まりたくなかった。止まってしまえば、先程見た光景がぐるぐると頭の中を巡って、鬱々とした気分に陥るのが分かっていたからだ。
「…………」
案の定、様々な後悔が胸の中にどっと押し寄せてくる。
アレクの言ってきたご褒美とか、その、断らずにもっと受けてやった方が良かったんだろうか、とか。
それともただ単純におれみたいな面白みのない奴には飽きたんだろうか。そういやアレクってあんなにおれに好きだって言ってくれるけど、やっぱり元々は女の子が好きなんだろうか。元はモブ男だし。
……そうだったら、おれに勝ち目とかないよなぁ……。
「……って、勝ち目ってなんだよ」
自分の考えが自分で嫌になって、がりがりと頭を掻く。
家に帰るのも嫌だけれど、でも、街中をぼんやりと歩くのもこれ以上は体力的に続かない。だからって、ずっとここに座っているわけにもいかない。明日は引き続き、ヴィオーラちゃんへの家庭教師の仕事があるのだし。
……ああ、でも、早く帰った方がいいのか。
だって、そうしないとアレクと鉢合わせしてしまいそうだ。今日はまともにアレクの顔を見れる気がしない。早く帰って身体を拭いてベッドに入ってしまった方がいい。そうすれば、アレクと顔を合わさなくて済む。
だいぶ後ろ向きな考え方ではあったけれど、ようやく心が決まって、おれはよいしょと腰を上げた。
どれぐらいそこに座っていたのか、身体は思ったよりも冷え切っており、強張った筋肉がぎしりと軋んだ音を立てた。
◆
商会の社員寮を外から見上げたおれは、ため息をついた。
おれとアレクの部屋の窓に明かりが灯っているのが見えたからだ。
もっと早く帰ってくれば良かった。どうも、アレクの方が先に帰ってきてしまったらしい。
……でも、心の中でちょっとそのことを喜んでいる自分がいた。
アレクがあの女冒険者さんと――その、食事以外のことをしていたら、こんなに帰りは早くなかっただろう。
そんな邪推をしてしまう自分がますます嫌になる。
おれは気持ちを切り替えるために頭を振ると、何食わぬ顔を取り繕って社員寮の階段を上がった。
おれとアレクの部屋のドアの前に立つと、ゆっくりと深呼吸をする。そして、もう一度、顔を引き締めるとドアノブに手をかけ――
「ご主人ちゃん!」
「っ!?」
ドアノブに手をかけようとしたところで、思いきりドアが開かれた。
外開きのドアがおれの鼻先すれすれをドアがかすめていき、思わず硬直してしまう。
「ア……アレク? どうしたんだよ、いきなり」
「どうしたんだ、じゃないよ! 良かった、帰ってきて……! 俺、今ちょうどご主人ちゃんを探しに行こうと思ってたんだよ!?」
「えっ」
思ってもみなかったアレクの言葉に、頭が真っ白になる。
おれを探しに行く? アレクが?
でも……おれの仕事が早引けになったこと、アレクは知らないはず、だよな?
それに、この時間なら午後の家庭教師の仕事が終わって帰宅するよりもちょっと遅い程度の時間だし、何も不自然なことはないはずなのに……。
混乱状態で固まるおれの手をアレクは掴むと、ぐいぐいと引っ張って部屋の中に引き入れた。
そしておれが部屋に入ると、アレクは後ろ手でドアを閉めて鍵をかける。ガチャリと錠の閉まる音がやけに大きく響いた。
「どこに行ってたの? 俺、すっごく心配したんだよ?」
「心配って……い、いや、おれはいつも通り、仕事が終わって帰ってきたところだぞ?」
アレクは珍しく気が立っている様子だった。おれに問いかける言葉もいつもより語気が荒く、椅子に座ろうともおれを座らせようともせず、部屋の真ん中で立ったままおれの腕を掴んで離さない。
「……どうして嘘つくの?」
その瞳がすうっと細められ、割れたガラス瓶のように鋭い光を放った。
おれは思わず小さくひえっと悲鳴を上げてしまうが、アレクが視線を和らげる様子は一切ない。
「う、嘘って……」
「俺、寮に帰ってくる時に、ちょうど同僚の人に挨拶されてさー……そしたらご主人ちゃんが俺を尋ねて商会に来てたっていうじゃん? だから、この時間まで仕事だったってのは嘘だよね?」
「……っ!」
あ、あの青年か……!
おれの訪問をご親切にアレクに伝えてくれてどうもありがとう!
だけど今はその気遣い、いらなかった!!
「だからすれ違いで寮にいるのかと思って慌てて帰ったら、ご主人ちゃんはいないし。もしかして商会にまた行ったのかと思って商会に戻ったけど、やっぱりそっちにもいないし。だからとりあえず寮に帰ってきたけど、ご主人ちゃんは全然帰ってこないし……ねぇ、もしかして何かあったの?」
「何かあった、ってわけじゃないけど……」
「じゃあ今までどこで何してたの?」
……何と言われても、別に、街中をぶらついて公園で暇つぶしをしてただけだ。
だから、多分ちゃんとそう言えばアレクも分かってくれただろう。
けれど、おれの口から出たのはまったく別の言葉だった。
「ア……アレクだって、全然帰ってこないじゃないか。遅くまでずっと働いて、そのくせ、おれが心配するのだって全然聞いてくれないし」
おれの言葉に、アレクは驚いたように水色の瞳を見開いた。
その顔を見て罪悪感が湧いたものの、むしろますます言葉が止められなくなる。
「自分だって帰ってこないのに、おれにはそんな風に言うのかよ。おれは一人きりで家にこもってろって言うのか?」
「そういうわけじゃないけど……俺はただ、ご主人ちゃんのことが心配で」
「アレクだってあの女冒険者さんとよろしくやってたんだから、別におれがどこで何してようが構わないだろ!」
おれの言葉にアレクは目を瞬いた。
「ご主人ちゃん……もしかして、俺があの女冒険者と一緒にいるとこ見てた?」
「…………」
アレクの顔が見られなくて、自分の顔を見られたくなくて、思わず俯く。
ああ、もう。何をやってるんだ。
どうしておれはこんなに駄目な人間なんだ。
別に――こんなことが言いたいわけじゃないのに。
もしもアレクが本当に、あの女冒険者さんとそういう関係になってるっていうなら、もっと素直に喜びの言葉をかけてあげたいのに。でも、それがどうしても出来ないのだ。それがどんなにみっともなく見えるか分かっていても。
これじゃますますアレクに嫌われて、見放されるばかりだろう。
罵倒の言葉が怖くて、ぎゅっと目を閉じる。
しかし、いつまで経ってもアレクから怒りや呆れの声は上がらなかった。というか、何もアレクは言おうとしない。
あまりにも長々とした沈黙に、おれは恐る恐る顔を上げて、ちらりと上目遣いにアレクの顔色を窺う。
「……えへへー」
「っ!?」
アレクは、なんだか今にも溶け出しそうな、蜂蜜がけの砂糖菓子でも食べたのかと思うぐらいの甘ったるい幸せそうな笑顔を浮かべていた。
その蕩けそうな表情に、おれは頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになる。
「ア、アレク……?」
「ん? ああ、ごめんごめん! 嬉しすぎて思わずトリップしちゃったよー、いや、もう、ご主人ちゃんったら俺をどれだけメロメロにすれば気が済むの!」
「め、めろめろ……?」
おれの腕を掴んだままぶんぶんを嬉しそうに両手を振るアレク。
思ってもみなかった想定外すぎるアレクの反応に、おれは呆気にとられる。
「な、何がそんなに嬉しいんだ?」
「えー? だって今の、ご主人ちゃんがやきもちを焼いてくれたってことでしょ! 嬉しいに決まってるじゃん!」
「やっ……!?」
放たれた単語の破壊力に固まる。
い、いや、待て! やきもちって、別におれはそんな、
「ち、違う! やきもちとかそんなんじゃない!」
「えー、そう?」
「そうだ! ただおれは、アレクが最近ずっと様子が変だから心配して、それで様子を見に行ったらアレクが楽しそうに女冒険者さんと話してて……!」
「うんうん」
「そ、それを見てたら胸がめちゃくちゃ苦しくなって、すごく嫌な気分になっただけで……」
「うん」
「…………あれ?」
自分で言った言葉の内容を冷静に思い返すと、それは確かにやきもち以外の何物でもなかった。
その事実に、おれは一気に顔に熱が集中していくのを感じた。
アレクに掴まれていないもう一方の腕で、真っ赤になっているだろう自分の顔を隠す。
「ちょっ……うわぁ、マジか自分」
「ご主人ちゃんて、時々おかしなトコロが抜けてるよねぇ。そこが可愛いんだけど」
「ご、ごめんアレク。おれ、ちょっと頭冷やすから、腕離して……あと、しばらく放っておいてくれると助かる」
「んー、それは無理かなぁ」
「え?」
アレクがおれの腕をぐいっと引き寄せ自分の胸元に抱き寄せる。
そして、ぽすりと胸元に抱きとめたおれの頭を抱えると、そっと耳元に唇を寄せた。
「あんなに可愛い顔で可愛いこと言われてさー……さすがの俺も、そろそろ我慢の限界なんだよね?」
でも、眷属だからって、おれにずっと忠誠を誓ってくれるわけでもなければ、おれのことをずっと好きでいてくれるわけでもないって、散々神様に忠告されてたのに。
……どうして忘れてたんだろう。
リアルのおれは友人も恋人もいないぼっちで。趣味で同人作家として漫画を描き始めて、ようやくオンライン繋がりの友人達や、おれの漫画を好きだって言ってくれる人はできたけれど。でも、皆、おれ自身を好きになってくれたわけじゃない。
……どうして今まで勘違いしてたんだろう。
どうせこのまま家に帰っても、みじめな気分になるだけだと分かっていた。一人で部屋にいるのは嫌で、でもどこか行ける当てがあるわけでもなく。
ただぼんやりと街中を歩いて、歩き続けて。一番星が空に登る頃に、街中にある公園のような広場の長椅子を見つけてようやくぺたりと腰を下ろした。
「いて……」
こんなに長いこと歩いたこともなかったのにで、もう足が棒のようだ。
でも、止まりたくなかった。止まってしまえば、先程見た光景がぐるぐると頭の中を巡って、鬱々とした気分に陥るのが分かっていたからだ。
「…………」
案の定、様々な後悔が胸の中にどっと押し寄せてくる。
アレクの言ってきたご褒美とか、その、断らずにもっと受けてやった方が良かったんだろうか、とか。
それともただ単純におれみたいな面白みのない奴には飽きたんだろうか。そういやアレクってあんなにおれに好きだって言ってくれるけど、やっぱり元々は女の子が好きなんだろうか。元はモブ男だし。
……そうだったら、おれに勝ち目とかないよなぁ……。
「……って、勝ち目ってなんだよ」
自分の考えが自分で嫌になって、がりがりと頭を掻く。
家に帰るのも嫌だけれど、でも、街中をぼんやりと歩くのもこれ以上は体力的に続かない。だからって、ずっとここに座っているわけにもいかない。明日は引き続き、ヴィオーラちゃんへの家庭教師の仕事があるのだし。
……ああ、でも、早く帰った方がいいのか。
だって、そうしないとアレクと鉢合わせしてしまいそうだ。今日はまともにアレクの顔を見れる気がしない。早く帰って身体を拭いてベッドに入ってしまった方がいい。そうすれば、アレクと顔を合わさなくて済む。
だいぶ後ろ向きな考え方ではあったけれど、ようやく心が決まって、おれはよいしょと腰を上げた。
どれぐらいそこに座っていたのか、身体は思ったよりも冷え切っており、強張った筋肉がぎしりと軋んだ音を立てた。
◆
商会の社員寮を外から見上げたおれは、ため息をついた。
おれとアレクの部屋の窓に明かりが灯っているのが見えたからだ。
もっと早く帰ってくれば良かった。どうも、アレクの方が先に帰ってきてしまったらしい。
……でも、心の中でちょっとそのことを喜んでいる自分がいた。
アレクがあの女冒険者さんと――その、食事以外のことをしていたら、こんなに帰りは早くなかっただろう。
そんな邪推をしてしまう自分がますます嫌になる。
おれは気持ちを切り替えるために頭を振ると、何食わぬ顔を取り繕って社員寮の階段を上がった。
おれとアレクの部屋のドアの前に立つと、ゆっくりと深呼吸をする。そして、もう一度、顔を引き締めるとドアノブに手をかけ――
「ご主人ちゃん!」
「っ!?」
ドアノブに手をかけようとしたところで、思いきりドアが開かれた。
外開きのドアがおれの鼻先すれすれをドアがかすめていき、思わず硬直してしまう。
「ア……アレク? どうしたんだよ、いきなり」
「どうしたんだ、じゃないよ! 良かった、帰ってきて……! 俺、今ちょうどご主人ちゃんを探しに行こうと思ってたんだよ!?」
「えっ」
思ってもみなかったアレクの言葉に、頭が真っ白になる。
おれを探しに行く? アレクが?
でも……おれの仕事が早引けになったこと、アレクは知らないはず、だよな?
それに、この時間なら午後の家庭教師の仕事が終わって帰宅するよりもちょっと遅い程度の時間だし、何も不自然なことはないはずなのに……。
混乱状態で固まるおれの手をアレクは掴むと、ぐいぐいと引っ張って部屋の中に引き入れた。
そしておれが部屋に入ると、アレクは後ろ手でドアを閉めて鍵をかける。ガチャリと錠の閉まる音がやけに大きく響いた。
「どこに行ってたの? 俺、すっごく心配したんだよ?」
「心配って……い、いや、おれはいつも通り、仕事が終わって帰ってきたところだぞ?」
アレクは珍しく気が立っている様子だった。おれに問いかける言葉もいつもより語気が荒く、椅子に座ろうともおれを座らせようともせず、部屋の真ん中で立ったままおれの腕を掴んで離さない。
「……どうして嘘つくの?」
その瞳がすうっと細められ、割れたガラス瓶のように鋭い光を放った。
おれは思わず小さくひえっと悲鳴を上げてしまうが、アレクが視線を和らげる様子は一切ない。
「う、嘘って……」
「俺、寮に帰ってくる時に、ちょうど同僚の人に挨拶されてさー……そしたらご主人ちゃんが俺を尋ねて商会に来てたっていうじゃん? だから、この時間まで仕事だったってのは嘘だよね?」
「……っ!」
あ、あの青年か……!
おれの訪問をご親切にアレクに伝えてくれてどうもありがとう!
だけど今はその気遣い、いらなかった!!
「だからすれ違いで寮にいるのかと思って慌てて帰ったら、ご主人ちゃんはいないし。もしかして商会にまた行ったのかと思って商会に戻ったけど、やっぱりそっちにもいないし。だからとりあえず寮に帰ってきたけど、ご主人ちゃんは全然帰ってこないし……ねぇ、もしかして何かあったの?」
「何かあった、ってわけじゃないけど……」
「じゃあ今までどこで何してたの?」
……何と言われても、別に、街中をぶらついて公園で暇つぶしをしてただけだ。
だから、多分ちゃんとそう言えばアレクも分かってくれただろう。
けれど、おれの口から出たのはまったく別の言葉だった。
「ア……アレクだって、全然帰ってこないじゃないか。遅くまでずっと働いて、そのくせ、おれが心配するのだって全然聞いてくれないし」
おれの言葉に、アレクは驚いたように水色の瞳を見開いた。
その顔を見て罪悪感が湧いたものの、むしろますます言葉が止められなくなる。
「自分だって帰ってこないのに、おれにはそんな風に言うのかよ。おれは一人きりで家にこもってろって言うのか?」
「そういうわけじゃないけど……俺はただ、ご主人ちゃんのことが心配で」
「アレクだってあの女冒険者さんとよろしくやってたんだから、別におれがどこで何してようが構わないだろ!」
おれの言葉にアレクは目を瞬いた。
「ご主人ちゃん……もしかして、俺があの女冒険者と一緒にいるとこ見てた?」
「…………」
アレクの顔が見られなくて、自分の顔を見られたくなくて、思わず俯く。
ああ、もう。何をやってるんだ。
どうしておれはこんなに駄目な人間なんだ。
別に――こんなことが言いたいわけじゃないのに。
もしもアレクが本当に、あの女冒険者さんとそういう関係になってるっていうなら、もっと素直に喜びの言葉をかけてあげたいのに。でも、それがどうしても出来ないのだ。それがどんなにみっともなく見えるか分かっていても。
これじゃますますアレクに嫌われて、見放されるばかりだろう。
罵倒の言葉が怖くて、ぎゅっと目を閉じる。
しかし、いつまで経ってもアレクから怒りや呆れの声は上がらなかった。というか、何もアレクは言おうとしない。
あまりにも長々とした沈黙に、おれは恐る恐る顔を上げて、ちらりと上目遣いにアレクの顔色を窺う。
「……えへへー」
「っ!?」
アレクは、なんだか今にも溶け出しそうな、蜂蜜がけの砂糖菓子でも食べたのかと思うぐらいの甘ったるい幸せそうな笑顔を浮かべていた。
その蕩けそうな表情に、おれは頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになる。
「ア、アレク……?」
「ん? ああ、ごめんごめん! 嬉しすぎて思わずトリップしちゃったよー、いや、もう、ご主人ちゃんったら俺をどれだけメロメロにすれば気が済むの!」
「め、めろめろ……?」
おれの腕を掴んだままぶんぶんを嬉しそうに両手を振るアレク。
思ってもみなかった想定外すぎるアレクの反応に、おれは呆気にとられる。
「な、何がそんなに嬉しいんだ?」
「えー? だって今の、ご主人ちゃんがやきもちを焼いてくれたってことでしょ! 嬉しいに決まってるじゃん!」
「やっ……!?」
放たれた単語の破壊力に固まる。
い、いや、待て! やきもちって、別におれはそんな、
「ち、違う! やきもちとかそんなんじゃない!」
「えー、そう?」
「そうだ! ただおれは、アレクが最近ずっと様子が変だから心配して、それで様子を見に行ったらアレクが楽しそうに女冒険者さんと話してて……!」
「うんうん」
「そ、それを見てたら胸がめちゃくちゃ苦しくなって、すごく嫌な気分になっただけで……」
「うん」
「…………あれ?」
自分で言った言葉の内容を冷静に思い返すと、それは確かにやきもち以外の何物でもなかった。
その事実に、おれは一気に顔に熱が集中していくのを感じた。
アレクに掴まれていないもう一方の腕で、真っ赤になっているだろう自分の顔を隠す。
「ちょっ……うわぁ、マジか自分」
「ご主人ちゃんて、時々おかしなトコロが抜けてるよねぇ。そこが可愛いんだけど」
「ご、ごめんアレク。おれ、ちょっと頭冷やすから、腕離して……あと、しばらく放っておいてくれると助かる」
「んー、それは無理かなぁ」
「え?」
アレクがおれの腕をぐいっと引き寄せ自分の胸元に抱き寄せる。
そして、ぽすりと胸元に抱きとめたおれの頭を抱えると、そっと耳元に唇を寄せた。
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めっちゃ感謝を込めて💕
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