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隠遁生活とその裏で(残酷描写あり)
ルーファの襲撃の夜、エリアナはすでに公爵邸を離れていた。
秘密裡に脱出した彼女は公爵領の小さな街で匿われて生活している。
穏やかな気候と静かな田舎は疲弊した心身を癒す。
時々フラッシュバックに悩まされていたが彼女は牛歩ながらも回復に向かっている。
エリアナは白く塗られたバルコニーでとある手紙に目を通していた。
差出人の名はラウラだ、彼女にだけは気を許して手紙のやり取りをしていた。いまは自由に歩けないエリアナにとってラウラの手紙は世間を知る窓口になったいる。
きょうの手紙には校庭に咲いた小さな花が添えられている。
初夏の訪れを知らせる花にエリアナは微笑む、少し北にある領地はまだ夏の気配はない。
通園はせず通信教育を受けて学ぶエリアナ、いまだ事件後の噂がおさまっていないからだ。
わざわざ悪意と好奇の渦中に飛び込むこともない、両親にすべて委ねて心が痛まないわけではないがエリアナには余裕がないのだ。
ルーファの母が企んだ事件、すべては醜い嫉妬が発端と聞きエリアナは母の胸中を心配したが彼女が思うより母は強い人だった。隠遁生活をする中、週に一度の頻度で母から便りが届く。
『あなたはただの被害者よ、それにポリーの悪意に気が付かなかった私も加害側なの。どうか不甲斐ない私を責めて頂戴、決して許してはいけないわ』
「お母様……あなたが一番心に傷を負ったというのに」
エリアナはポリーが粛清されようと誰も救われない気がしてならなかった。
***
やがて北の領地のにも夏の陽射しが降り注ぎ始めた頃、主犯ポリーの処罰が決定した。
裁判が長引いたのは前例のない奇妙な毒事件だった故だ、犯人自体が凶器のようなものなのだ。検察側はさぞかし骨が折れたことだろう。
ポリーの処罰は絞首刑だった、だがそれは表向きの話。
事実はもっと過酷なものだった、王家直属の暗部組織に身柄が引き渡され希少な毒持ち検体として実験生物扱いをされていた。生体実験は恐ろしい扱いを受ける、屠殺寸前の解剖と毒物投与が連日行われた。
法的に死亡とされたポリーに人間の尊厳などない、ただ生ける屍としてそこに存在するだけになった。
喉を潰され絶叫することすら許されない彼女はやがて心まで壊される。
「実験生物に感情など要らんだろう」
黒装束を纏った暗部研究者たちは昏い笑顔をきょうもポリーに向ける……。
一方で息子ルーファは真っ白な四角い部屋でいつもひとりだった。
とうに壊れた心はなにも感じない、たまに訪問する医者にも興味をみせはしなかった。
彼の目には何も映らないかのようだ、話しかけても内容が伝わらない。時々ヘラリと薄気味悪く笑うだけだ。
「きょうは無反応だね、ルーファきょうはキミの誕生日らしいよ」
医者は小さなケーキを持参してルーファの目の前に置く。
腹が空いてないのか見向きもしなかった。
食う、寝るの欲求は残っていてもその時に求めていなければ欲しがらない。
時々悪い夢を見るのか夜中に泣き叫んでは看守を困らせた、その度に鎮静剤を無理矢理に打たれて更に精神が壊れるのだった。
悪夢さえみなければ彼は大人しい。
喜怒哀楽がほぼ死んだ彼は他人から悪意を向けられようと何も感じとらない。
ある意味幸せな状態でルーファは生涯生き続けるのだろう。
秘密裡に脱出した彼女は公爵領の小さな街で匿われて生活している。
穏やかな気候と静かな田舎は疲弊した心身を癒す。
時々フラッシュバックに悩まされていたが彼女は牛歩ながらも回復に向かっている。
エリアナは白く塗られたバルコニーでとある手紙に目を通していた。
差出人の名はラウラだ、彼女にだけは気を許して手紙のやり取りをしていた。いまは自由に歩けないエリアナにとってラウラの手紙は世間を知る窓口になったいる。
きょうの手紙には校庭に咲いた小さな花が添えられている。
初夏の訪れを知らせる花にエリアナは微笑む、少し北にある領地はまだ夏の気配はない。
通園はせず通信教育を受けて学ぶエリアナ、いまだ事件後の噂がおさまっていないからだ。
わざわざ悪意と好奇の渦中に飛び込むこともない、両親にすべて委ねて心が痛まないわけではないがエリアナには余裕がないのだ。
ルーファの母が企んだ事件、すべては醜い嫉妬が発端と聞きエリアナは母の胸中を心配したが彼女が思うより母は強い人だった。隠遁生活をする中、週に一度の頻度で母から便りが届く。
『あなたはただの被害者よ、それにポリーの悪意に気が付かなかった私も加害側なの。どうか不甲斐ない私を責めて頂戴、決して許してはいけないわ』
「お母様……あなたが一番心に傷を負ったというのに」
エリアナはポリーが粛清されようと誰も救われない気がしてならなかった。
***
やがて北の領地のにも夏の陽射しが降り注ぎ始めた頃、主犯ポリーの処罰が決定した。
裁判が長引いたのは前例のない奇妙な毒事件だった故だ、犯人自体が凶器のようなものなのだ。検察側はさぞかし骨が折れたことだろう。
ポリーの処罰は絞首刑だった、だがそれは表向きの話。
事実はもっと過酷なものだった、王家直属の暗部組織に身柄が引き渡され希少な毒持ち検体として実験生物扱いをされていた。生体実験は恐ろしい扱いを受ける、屠殺寸前の解剖と毒物投与が連日行われた。
法的に死亡とされたポリーに人間の尊厳などない、ただ生ける屍としてそこに存在するだけになった。
喉を潰され絶叫することすら許されない彼女はやがて心まで壊される。
「実験生物に感情など要らんだろう」
黒装束を纏った暗部研究者たちは昏い笑顔をきょうもポリーに向ける……。
一方で息子ルーファは真っ白な四角い部屋でいつもひとりだった。
とうに壊れた心はなにも感じない、たまに訪問する医者にも興味をみせはしなかった。
彼の目には何も映らないかのようだ、話しかけても内容が伝わらない。時々ヘラリと薄気味悪く笑うだけだ。
「きょうは無反応だね、ルーファきょうはキミの誕生日らしいよ」
医者は小さなケーキを持参してルーファの目の前に置く。
腹が空いてないのか見向きもしなかった。
食う、寝るの欲求は残っていてもその時に求めていなければ欲しがらない。
時々悪い夢を見るのか夜中に泣き叫んでは看守を困らせた、その度に鎮静剤を無理矢理に打たれて更に精神が壊れるのだった。
悪夢さえみなければ彼は大人しい。
喜怒哀楽がほぼ死んだ彼は他人から悪意を向けられようと何も感じとらない。
ある意味幸せな状態でルーファは生涯生き続けるのだろう。
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