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鬼胡桃のわけあり少年
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『ゴリヨウ ハ イジョウデショウカ』
「うん、間違いない」
ギルドカンターの魔導人形へ今日の収穫品を手渡して報酬を受け取る少年、不格好な外套がなぜだか奇妙だ。報酬のうち6割を積み立てにして彼は窓口をあとにした。
「よう、ノチェ、実入りはどうかい」
「……まぁまぁかな」
初老の男に絡まれた彼はぶっきら棒に返事して帰路につく、取りつく島もないと声を掛けたものは肩を竦める。そこへドカドカと走ってきて大声をあげる者たちがいた。
「頼む!誰か手を貸してくれないか!報酬はいくらでも」
彼らは血濡れの冒険者をひとり抱き上げて、懇願していた。どうやら仲間のひとりが手負いになっているようだ。
「なんだってぇんだ?」
「頼む、この通り!命を救ってはくれないか!」
「おいおい、いきなりそう言われてもよぉ」
いきなりの喧騒の中でただひとり胡乱な目でいた少年は、そのやりとりを目の端に捉えていた。そして、そのまま出入り口へ足を掛けた。のだが……
「後生だ頼む、この通りだ!お願いだよ!」
「……っ」
人集りを縫い現れた少年は「その人をここへ」と呼ぶ。
「キミが?治癒術にたけているとは……」
「し、黙ってて」
少年はそのまま瀕死の状態に陥る人物を己の膝上に頭に乗せて念じた。荒かった息がやがて穏やかになり静かに呼吸をし始めた。
「もう、平気……」
「ああ、ありがとう!あぁ神様!この奇跡に感謝を」
「……五十枚、金貨五十枚」
「へ?あぁ、そうか、すまなかった」
感激している仲間を一旦おいて、治癒を行った対価を大慌てで支払う。少年は金貨を粗方数えて「一枚足りない、でも次に出会うときの幸運へ」と伝えて去っていった。
***
翌日に現れた少年は一目を置かれていた、なにせ治癒に特化した人間は一人握りしか存在しないせいである。いつものカウンダ―には魔導人形の他にギルド長らしきが待機していた。
「面倒……だから嫌なんだ」
「おお、少年!来たか、名は確かノーチェだったか?」
「……ノチェです、魔導人形はちゃんと伝えてないのですか」
「そうだった、ノチェ悪かった!いやはや驚いたぞ。あっという間に治癒をして帰って行ったと」
「……」
昨日のことをあれこれ聞き出すことに精を出したギルド長は「奥の部屋へ」と少年を追いやる。無駄な抵抗とわかってはいてもノチェは何かと理由を考えて奥へ行くのを拒む。だがそこはギルド長「おとなしくしといた方が良い」と言われれば嫌々に従う他ない。
「悪いな是非、会って貰いたい人がいてな」
「はぁ……」
入室するとどこかの有名なパーティらしきが待ち構えていた、開口一番に「昨日の治癒師か」と問われて四苦八苦する。剣士が一人、武闘家それから魔法使いが並んで待っていた。
「え、え~と……」
「いやあ!昨日は済まなかった碌に挨拶もできず、私は絶命寸前だった剣士だが覚えいるか?」
「は、ぁ……すいません覚えてないです」
おずおずと離れて行く彼に、ぐいぐいくる相手は壁際まで追い詰めてくる。たまらず「調子に乗らないで」と制してしまう。
「これは失礼した、あまりに嬉しくてつい」
「それは良かったです、ではこれにてゴメン」
要は終わったと判断した彼だったが、相手は許してはくれない。無理矢理にソファへ押し込まれ閉口してしまう。
渋々と出された茶を飲んでいると勝手に話は進んでいて、共闘することになってしまった。
「僕の意見は無視ですか」
「まぁそういうな少年、俺達はギルド内ではちょっと名の通ったパーティだ。”青焔の戦斧”といや知らないヤツはいない」
「青焔の戦斧……しりません」
「え」
「は?」
少年は治癒に特化した冒険者だったが、身分を隠していた。
「僕は地味に生きて地味に埋没したい、それだけです」
「うん、間違いない」
ギルドカンターの魔導人形へ今日の収穫品を手渡して報酬を受け取る少年、不格好な外套がなぜだか奇妙だ。報酬のうち6割を積み立てにして彼は窓口をあとにした。
「よう、ノチェ、実入りはどうかい」
「……まぁまぁかな」
初老の男に絡まれた彼はぶっきら棒に返事して帰路につく、取りつく島もないと声を掛けたものは肩を竦める。そこへドカドカと走ってきて大声をあげる者たちがいた。
「頼む!誰か手を貸してくれないか!報酬はいくらでも」
彼らは血濡れの冒険者をひとり抱き上げて、懇願していた。どうやら仲間のひとりが手負いになっているようだ。
「なんだってぇんだ?」
「頼む、この通り!命を救ってはくれないか!」
「おいおい、いきなりそう言われてもよぉ」
いきなりの喧騒の中でただひとり胡乱な目でいた少年は、そのやりとりを目の端に捉えていた。そして、そのまま出入り口へ足を掛けた。のだが……
「後生だ頼む、この通りだ!お願いだよ!」
「……っ」
人集りを縫い現れた少年は「その人をここへ」と呼ぶ。
「キミが?治癒術にたけているとは……」
「し、黙ってて」
少年はそのまま瀕死の状態に陥る人物を己の膝上に頭に乗せて念じた。荒かった息がやがて穏やかになり静かに呼吸をし始めた。
「もう、平気……」
「ああ、ありがとう!あぁ神様!この奇跡に感謝を」
「……五十枚、金貨五十枚」
「へ?あぁ、そうか、すまなかった」
感激している仲間を一旦おいて、治癒を行った対価を大慌てで支払う。少年は金貨を粗方数えて「一枚足りない、でも次に出会うときの幸運へ」と伝えて去っていった。
***
翌日に現れた少年は一目を置かれていた、なにせ治癒に特化した人間は一人握りしか存在しないせいである。いつものカウンダ―には魔導人形の他にギルド長らしきが待機していた。
「面倒……だから嫌なんだ」
「おお、少年!来たか、名は確かノーチェだったか?」
「……ノチェです、魔導人形はちゃんと伝えてないのですか」
「そうだった、ノチェ悪かった!いやはや驚いたぞ。あっという間に治癒をして帰って行ったと」
「……」
昨日のことをあれこれ聞き出すことに精を出したギルド長は「奥の部屋へ」と少年を追いやる。無駄な抵抗とわかってはいてもノチェは何かと理由を考えて奥へ行くのを拒む。だがそこはギルド長「おとなしくしといた方が良い」と言われれば嫌々に従う他ない。
「悪いな是非、会って貰いたい人がいてな」
「はぁ……」
入室するとどこかの有名なパーティらしきが待ち構えていた、開口一番に「昨日の治癒師か」と問われて四苦八苦する。剣士が一人、武闘家それから魔法使いが並んで待っていた。
「え、え~と……」
「いやあ!昨日は済まなかった碌に挨拶もできず、私は絶命寸前だった剣士だが覚えいるか?」
「は、ぁ……すいません覚えてないです」
おずおずと離れて行く彼に、ぐいぐいくる相手は壁際まで追い詰めてくる。たまらず「調子に乗らないで」と制してしまう。
「これは失礼した、あまりに嬉しくてつい」
「それは良かったです、ではこれにてゴメン」
要は終わったと判断した彼だったが、相手は許してはくれない。無理矢理にソファへ押し込まれ閉口してしまう。
渋々と出された茶を飲んでいると勝手に話は進んでいて、共闘することになってしまった。
「僕の意見は無視ですか」
「まぁそういうな少年、俺達はギルド内ではちょっと名の通ったパーティだ。”青焔の戦斧”といや知らないヤツはいない」
「青焔の戦斧……しりません」
「え」
「は?」
少年は治癒に特化した冒険者だったが、身分を隠していた。
「僕は地味に生きて地味に埋没したい、それだけです」
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