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暴露と断罪2
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「どこにいるの!卑怯者!出てきなさいよ!」
彼女はヒステリックに叫び、手元にあったワインを撒き散らし、テーブルにあったオードブルをガシャガシャと床へ叩きつけ出した。
手が付けられない状態の彼女に侍従達がなんとか宥めようとするのだが、ブチ切れて悪鬼と化したマルベルは御せないようだ。父であるコレルアーニ侯爵すらも手がさせず後退っているではないか。
「あぁなると誰にも手が付けられないわ、我儘放題のマルベルだから」
「……ノチェ、キミは名乗るつもりか?そんなことは」
「ありがとう、ティア。気を使わせて悪かったわ。でもこれ以上は迷惑かけられないもの」
「そ、そうか、でも俺も一緒に戦うよ。良いだろう?」
ノチェは次々と破壊行動を繰り返すマルベルの様を再度見てから「うん、お願いする」と苦笑した。
惨状は酷いものでコップは散乱して割れ、食器類も粉々である。かろうじて破損を逃れられたのは銀食器だけだがそれすらもひしゃげていた。生ゴミと化した食糧を見て「勿体ないことを」と呟きノチェとティアはじりじりと近づく。
奇声を発して暴れるマルベルを抑え込もうと必死な侍従たちは「手に負えない」と判断して公爵たちを呼び戻すことにしたようだ。
物見遊山な者達はこの惨劇を面白おかしそうに見物して、悲喜交交という有様だ。こんな状態になっていてもお貴族様は楽しむようだ。
「悪趣味……どういう状況なの信じられない」
「まったくだぜ、誰一人として抑え込もうとしないなんて」
怒り狂うマルベルまで後数メートル……。
***
「きぃぃー!どいつもこいつも!腹立しい!澄ました顔してバカにしてくれる!」
テーブルの上がすっかり空になり癇癪を起す対象物が消えると今度は手近にあった花籠に手を付けようとした。花籠は上背があり重量があった、それでもマルベルはうんうん、と唸り声をあげて転がそうとしている。
「いい加減にしなさいマルベル、はしたない」
「はぁ?煩いわね!この私に指図するなんて何様なのよ!」
癇癪を起したまま地団駄を踏みならし、あまつさえ花籠の支柱を蹴り上げた。だが、思った以上に重量があったそれは逆に彼女の足に大ダメージを食らわせた。
「いたーい!何なのよもう!きぃ!きぃぃぃ~!」
堪らず声を上げて爪先を撫でる為に蹲るマルベルは踏んだり蹴ったりな様相だ。すべて自業自得なのだが。
「相変わらずね、山の猿のほうがまだ理性があってよ。そこの貴方、彼女を確保なさい」
「は、はい!失礼します」
護衛騎士は我に返り縄でも持って後ろ手に縛りあげた、脚の痛みのせいでされるがままのマルベルは漸く身柄を拘束された。だが、癇癪は収まったわけではない。
キーキーと暴れて手が付けられない状態はまだ続くようだ。
「あんた一体何者よ!いたたたっ、きぃぃ!暴れたりないのよぉ!」
「ふぅ、やはり私ことは認識していないのね。悲しいことだわマルベル……」
銀髪を揺らめかせて悲し気に微笑む美女に、彼女は怪訝な顔をして見つめる。どこかであっただろうかと首を捻っている。
するとノチェの真横に立つ黒髪の美男子を見つけると途端に声色を変えて「ティア様!」と声を張り上げた。
「ティア様ァ、助けてくださいませぇ」
「うげ……この女は懲りないのかよ」
「ティア様ァ」
「止せよ、あれだけの事をしでかしておいて、厚顔無恥もほどほどにしてくれや」
そんなやり取りを見ていたコレルアーニ侯爵は衆目の中に紛れ込んでいたが、のそりとその姿を現して「マイーネ」と呟いてノチェの元へやってきた。
「マイーネ、あぁ……その姿は若き頃のマイーネそのものだ」
「……御機嫌ようコレルアーニ卿」
「え、どうして、その名を」
冷たい表情のノチェはティアに寄り添い、ぎゅうっと腕を掴む。彼は彼女の意を汲み肩を抱きよせて大丈夫だよと顔を除き込む。
「ティア、私は平気そうな顔をしているかしら?」
「うん、ちょっと青褪めているけれどね」
「良かった」
ノチェはふわりと微笑み返して、再びコレルアーニ親子と対峙した。
「おひさしぶりね、私は元ソフィニアよ。貴女方が散々に苛めて罵倒したあの岩女ですよ」
「え!」
「な、なんだと!?」
狐につままれたような顔をする親子の顔は良く似ていて、ノチェは可笑しくて堪らなくなり声を上げて笑った。こんな愉快な邂逅があるだろうかと心から笑ったのだ。
「その様子だともう平気かな?」
「うん、平気みたい。でも肩は抱いていてね、お願いよ」
「もちろんさ!」
見つめ合う二人は無様な親子を余所に信頼し合い、確かな友情以上のものを築き上げていた。少し離れた位置にいたマガワードは「困ったな」と肩を竦めている。
「あ、あああ、あんたがソフィニアですって!?嘘おっしゃい!嘘よ!嘘嘘!嘘よォォ!」
発狂したのかと思うほどに「嘘」を連呼するマルベルに呆れかえるノチェは信じないのならそれでも良いと思った。
「貴方方が信じないのならそれでも良いわ、どちらにせよ協力する気はないのだから」
辛辣な事実を述べた彼女は意気消沈したらしいマルベルを見てそう答えた。
もう暴れる気力は彼女に無かったからだ。
彼女はヒステリックに叫び、手元にあったワインを撒き散らし、テーブルにあったオードブルをガシャガシャと床へ叩きつけ出した。
手が付けられない状態の彼女に侍従達がなんとか宥めようとするのだが、ブチ切れて悪鬼と化したマルベルは御せないようだ。父であるコレルアーニ侯爵すらも手がさせず後退っているではないか。
「あぁなると誰にも手が付けられないわ、我儘放題のマルベルだから」
「……ノチェ、キミは名乗るつもりか?そんなことは」
「ありがとう、ティア。気を使わせて悪かったわ。でもこれ以上は迷惑かけられないもの」
「そ、そうか、でも俺も一緒に戦うよ。良いだろう?」
ノチェは次々と破壊行動を繰り返すマルベルの様を再度見てから「うん、お願いする」と苦笑した。
惨状は酷いものでコップは散乱して割れ、食器類も粉々である。かろうじて破損を逃れられたのは銀食器だけだがそれすらもひしゃげていた。生ゴミと化した食糧を見て「勿体ないことを」と呟きノチェとティアはじりじりと近づく。
奇声を発して暴れるマルベルを抑え込もうと必死な侍従たちは「手に負えない」と判断して公爵たちを呼び戻すことにしたようだ。
物見遊山な者達はこの惨劇を面白おかしそうに見物して、悲喜交交という有様だ。こんな状態になっていてもお貴族様は楽しむようだ。
「悪趣味……どういう状況なの信じられない」
「まったくだぜ、誰一人として抑え込もうとしないなんて」
怒り狂うマルベルまで後数メートル……。
***
「きぃぃー!どいつもこいつも!腹立しい!澄ました顔してバカにしてくれる!」
テーブルの上がすっかり空になり癇癪を起す対象物が消えると今度は手近にあった花籠に手を付けようとした。花籠は上背があり重量があった、それでもマルベルはうんうん、と唸り声をあげて転がそうとしている。
「いい加減にしなさいマルベル、はしたない」
「はぁ?煩いわね!この私に指図するなんて何様なのよ!」
癇癪を起したまま地団駄を踏みならし、あまつさえ花籠の支柱を蹴り上げた。だが、思った以上に重量があったそれは逆に彼女の足に大ダメージを食らわせた。
「いたーい!何なのよもう!きぃ!きぃぃぃ~!」
堪らず声を上げて爪先を撫でる為に蹲るマルベルは踏んだり蹴ったりな様相だ。すべて自業自得なのだが。
「相変わらずね、山の猿のほうがまだ理性があってよ。そこの貴方、彼女を確保なさい」
「は、はい!失礼します」
護衛騎士は我に返り縄でも持って後ろ手に縛りあげた、脚の痛みのせいでされるがままのマルベルは漸く身柄を拘束された。だが、癇癪は収まったわけではない。
キーキーと暴れて手が付けられない状態はまだ続くようだ。
「あんた一体何者よ!いたたたっ、きぃぃ!暴れたりないのよぉ!」
「ふぅ、やはり私ことは認識していないのね。悲しいことだわマルベル……」
銀髪を揺らめかせて悲し気に微笑む美女に、彼女は怪訝な顔をして見つめる。どこかであっただろうかと首を捻っている。
するとノチェの真横に立つ黒髪の美男子を見つけると途端に声色を変えて「ティア様!」と声を張り上げた。
「ティア様ァ、助けてくださいませぇ」
「うげ……この女は懲りないのかよ」
「ティア様ァ」
「止せよ、あれだけの事をしでかしておいて、厚顔無恥もほどほどにしてくれや」
そんなやり取りを見ていたコレルアーニ侯爵は衆目の中に紛れ込んでいたが、のそりとその姿を現して「マイーネ」と呟いてノチェの元へやってきた。
「マイーネ、あぁ……その姿は若き頃のマイーネそのものだ」
「……御機嫌ようコレルアーニ卿」
「え、どうして、その名を」
冷たい表情のノチェはティアに寄り添い、ぎゅうっと腕を掴む。彼は彼女の意を汲み肩を抱きよせて大丈夫だよと顔を除き込む。
「ティア、私は平気そうな顔をしているかしら?」
「うん、ちょっと青褪めているけれどね」
「良かった」
ノチェはふわりと微笑み返して、再びコレルアーニ親子と対峙した。
「おひさしぶりね、私は元ソフィニアよ。貴女方が散々に苛めて罵倒したあの岩女ですよ」
「え!」
「な、なんだと!?」
狐につままれたような顔をする親子の顔は良く似ていて、ノチェは可笑しくて堪らなくなり声を上げて笑った。こんな愉快な邂逅があるだろうかと心から笑ったのだ。
「その様子だともう平気かな?」
「うん、平気みたい。でも肩は抱いていてね、お願いよ」
「もちろんさ!」
見つめ合う二人は無様な親子を余所に信頼し合い、確かな友情以上のものを築き上げていた。少し離れた位置にいたマガワードは「困ったな」と肩を竦めている。
「あ、あああ、あんたがソフィニアですって!?嘘おっしゃい!嘘よ!嘘嘘!嘘よォォ!」
発狂したのかと思うほどに「嘘」を連呼するマルベルに呆れかえるノチェは信じないのならそれでも良いと思った。
「貴方方が信じないのならそれでも良いわ、どちらにせよ協力する気はないのだから」
辛辣な事実を述べた彼女は意気消沈したらしいマルベルを見てそう答えた。
もう暴れる気力は彼女に無かったからだ。
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