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マークスのクズ行為は瞬く間に学園へ広まった。
僅かにいた友人さえ彼から離れていき、孤立無援となったマークス。
焦った彼はなんとかリーザのご機嫌を取ろうと周囲をウロウロしたが、何故か邪魔が入ってうまく接触できなかった。そんな日々が続いたある日、やっと機会が訪れた。
中庭にリーザが一人きりで本を読んでいるところに出くわした。
獲物をみつけたマークスはその辺に生えていた雑草花を毟って花束のようにした。
「リーザ!この通りだ!今まですまなかった!恋人に戻ってくれ!」
「はぁ?お断りしましたよね。なんで偉そうなの?バカなの?それになんですかその雑草……なんだか臭い」
一見白くて美しいように見えたが、酷い臭いが漂う。
再び振られて固まるマークスの背後から声が聞こえた。
「それはドクダミだね。薬とお茶になるが……女子へのプレゼントにするにはどうかと思うな」
「え、だれ!?」
背の高い青年がリーザの方へ歩み寄って「きょうも綺麗だね、ボクのリィ」と言って腰に手を回す。
リーザは微笑み彼を見つめて好意に応える素振りをみせた。
「り、リーザ!誰だソイツ!この尻軽女!恋人の俺のまえでよくも!」
喚くマークスに青年は低音の声で反論した。
「私の婚約者に手を出そうとは良い度胸だ、男爵家の次男の分際で」
「へげ!?こここここんにゃくしゃ!?」
「コンニャクではないぞ」
恫喝されて困惑する無様なマークスに追い打ちをかける青年。
「私の名はアルバート・ファインバルド。聞き覚えあるか?」
「ふぁいん……、公爵家の長男……あああああああ!違うんです!違うんです!ちょっとした誤解というか戯れというか!で、でも!リーザは長女だし嫁にいけないはずでは!?」
「大きなお世話と言いたいところだが、彼女には弟がいる。なにも問題はないぞ?それとも他家の相続に口を挟めるほどキミは偉いのかい?」
すっかり顔色を無くして腰が抜けたマークスは地面に平伏して「すみません!」と連呼しつづけた。
後に恋人と騙って搾取していた食事代と上位貴族への侮辱の慰謝料を払う羽目になり、爵位を手放すことになった。
貧乏男爵から平民になったマークスの姿を再び見ることはなかった。
Fin
僅かにいた友人さえ彼から離れていき、孤立無援となったマークス。
焦った彼はなんとかリーザのご機嫌を取ろうと周囲をウロウロしたが、何故か邪魔が入ってうまく接触できなかった。そんな日々が続いたある日、やっと機会が訪れた。
中庭にリーザが一人きりで本を読んでいるところに出くわした。
獲物をみつけたマークスはその辺に生えていた雑草花を毟って花束のようにした。
「リーザ!この通りだ!今まですまなかった!恋人に戻ってくれ!」
「はぁ?お断りしましたよね。なんで偉そうなの?バカなの?それになんですかその雑草……なんだか臭い」
一見白くて美しいように見えたが、酷い臭いが漂う。
再び振られて固まるマークスの背後から声が聞こえた。
「それはドクダミだね。薬とお茶になるが……女子へのプレゼントにするにはどうかと思うな」
「え、だれ!?」
背の高い青年がリーザの方へ歩み寄って「きょうも綺麗だね、ボクのリィ」と言って腰に手を回す。
リーザは微笑み彼を見つめて好意に応える素振りをみせた。
「り、リーザ!誰だソイツ!この尻軽女!恋人の俺のまえでよくも!」
喚くマークスに青年は低音の声で反論した。
「私の婚約者に手を出そうとは良い度胸だ、男爵家の次男の分際で」
「へげ!?こここここんにゃくしゃ!?」
「コンニャクではないぞ」
恫喝されて困惑する無様なマークスに追い打ちをかける青年。
「私の名はアルバート・ファインバルド。聞き覚えあるか?」
「ふぁいん……、公爵家の長男……あああああああ!違うんです!違うんです!ちょっとした誤解というか戯れというか!で、でも!リーザは長女だし嫁にいけないはずでは!?」
「大きなお世話と言いたいところだが、彼女には弟がいる。なにも問題はないぞ?それとも他家の相続に口を挟めるほどキミは偉いのかい?」
すっかり顔色を無くして腰が抜けたマークスは地面に平伏して「すみません!」と連呼しつづけた。
後に恋人と騙って搾取していた食事代と上位貴族への侮辱の慰謝料を払う羽目になり、爵位を手放すことになった。
貧乏男爵から平民になったマークスの姿を再び見ることはなかった。
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