完結 全て丸投げしたのは貴方

音爽(ネソウ)

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呑気者がふたり2

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それを聞いたシャルルは真っ赤になって怒鳴った、我こそがそのルフィントの者だと名乗るのである。
「な!ならばボクはルフィントの者だぞ!アデライドの夫で名はシャルルと言う!知らないなど言わせないからな!」
たいそう憤慨した彼は免罪符のようにルフィント家の名を出したのだ。その顔はドヤっていたが従業員も支配人も”何を言ってるんだ”と肩を竦める。

「ホホホ……御冗談を!さぁ、お支払いをお願い致します。それともやはりオーダーを引っ込めますか?今ならば巫山戯た事と流します。どうしますか?」
支配人は彼らを睨みつけるとそう言ってのけた、仮にも客である彼らにだ。横柄な態度を崩さないテーラーの支配人にいよいよ腹に据えかねたシャルルは側にあった花瓶を投げ捨てガシャリと盛大に破壊する。

「いい加減にしないか!なんだ貴様の態度は、許されるものではないぞ!我が名はシャルル・ルフィント、義父殿に言ってお前のことをクビにしてやっても良いのだ!」
商店がルフィントのものであるなら効果は抜群だと思ったシャルルだ、先ほどそう言ってのけた支配人の揚げ足を取った。だが、支配人はけんもほろろと言った風で「それで?」と唇を斜めに歪めて半笑いだ。

「貴方は何か勘違いをしている、御令嬢はなのだよ。あぁ、ここまでルフィントの名を汚したのだ、覚悟するのだな」
なおも何かを言おうとするシャルルの言葉を遮ると店の護衛兵を呼び寄せ「捕縛して衛兵に突き出せ」と命令した。
彼らは訳が分からないまま牢へ入れられるのだ。



***


「あらそう、やっぱりやらかしてくれたのね。危うく私の私財を食い尽くす勢いだわ」
「はは、御冗談を……貴女様の私財はそう簡単に消えるものではないでしょう?」
「ふふ」
アデライドは家令を相手に冗談話をしている所だ、珍しくワインを傾けてほろ酔い状態の彼女はいつになく饒舌らしい。宵の口から酔うなど非常に珍しいことだ。

「はぁ美味しい、それにしても御父様の仕事は毎度早いことね。頼もしいったらないわ」
彼女はクツクツと笑い、再びワインを傾ける。些かペースが速い事を家令は諌言するのだが「今日くらい許して」とアデライドは笑い飛ばした。

「たった5カ月の短い婚姻だったわ、白い結婚ですんだから人妻になりそこねちゃった――」
それでも少しばかり寂しい顔を見せたのは愛なのか情なのかわからない。








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