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13 ジーン視点
しおりを挟む私を呼ぶ声に目を覚ますと真っ黒な空間に身が浮いていると気が付いた。
いつもの夢だと思うが、白い石畳は見当たらない。
浮遊する体をなんとか起き上がらせて悪魔の姿を探す。
きょろきょろしてた私を揶揄うように彼が笑っていた、なんだすぐ横にいたのね。
「最後の臓器をどうぞ、早く死なせて」
「……そう急くなよ、今更だろう?」
悪魔は私の手を引いて、どんどん浮上して行く。
真っ暗なのに頭上には明るい天窓のようなものが光っていた。
「あなたのやることはサッパリ理解できない、この空間も」
「だろうな、人間が知りようもない世界なんだから」
悪魔は楽しそうに笑う、これから死ぬという私を弄んでるのだろうか。
窓を開けると酷く眩しい空間に出た、目が眩んで思わず悪魔にしがみ付いた。
「おや珍しい、キミが甘えるなんて」
「別に甘えてないけど」
減らず口の私に彼は益々愉快だといって笑う。いい加減にして欲しい。
あら、可笑しいわ……。
「あなた、そんな羽生えていたかしら?」
「下の暗黒空間では隠していたからね、どうだい美しいだろ?」
綺麗だわ、でも……でも……。
「悪魔のあなたに何故白い羽が生えてるの?人間の常識がおかしいとか?」
「ぶふ!まだわからないのかい」
まさか、そんな。
「あなたは天使なの……?」
彼は静かに頷くとだましていた事を謝罪した。
臓器を抜いたなどと全部嘘だったのだと彼は告白した。掌にあったそれらは全部マヤカシだったのだ。
「ひどいわ、嘘つき。結構怖かったのよ?」
「ゴメンね、怖がらせれば生に執着するかと試したんだ。でもキミは生きたいと願わなかったね」
そうよ、私はずっと死にたかった。
「キミの魂は本当に美しい、天界からも良く見えていたよ。だからね救いたいと思ったんだ、心身ともに美しいキミを迎えに行きたいと強く願った。大天使様の許可を得るのは骨が折れたよ」
「……天界、すると私は死んだの?」
私はハッとして自分の手足を確認した。
肉体はある気がしたが、五感というものが無いようだった。
「今のキミはとても不安定な存在さ、肉体から遠いところに来ている。このままここに留まれば肉体は滅びるだろう。とても穏やかな死をキミは迎えるんだ」
「そう、そうなの……お爺様に挨拶できなくて申し訳ないわ」
「戻りたい?」
「え!?」
「今ならば息を吹き返して、当たり前に生きて天寿を全うできるよ。キミには選ぶ権利がある」
大きく真っ白な羽を開いて彼が問う。
そんなこと簡単に言わないで。
「戻ったらアナタにはもう会えないのでしょう?」
「……そうだね、俺の存在はここで人々を見守ることだから」
とても悲しく切なそうな顔の彼は、私をただ優しく見つめる。
なんてずるい人、いいえ天使。
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