目を覚ました気弱な彼女は腹黒令嬢になり復讐する

音爽(ネソウ)

文字の大きさ
21 / 21

後日談 ヴェネの末路

しおりを挟む
大きな麻袋に詰め込まれ身動きが取れないヴェネ、最初はなんとか抵抗したが手足が縛られた上に猿轡されていたため諦めた。


数分後には、ヴェネは太った身体がしんどいから運んでくれるなら有難いとさえ思った。
昏い屋根裏部屋に軟禁され5年も過ごさずに済んだが、無一文で追い出されるとは思わなかったと愚痴る。
ジーンに脅されたあの日、反省した素振りを見せたら急に待遇が良くなった。

三度の豪華な食事に加え、強請ればいくらでも菓子が貰えた。
調子にのったヴェネは何度も代わりを要求した、好きなだけ食べて寝てなにもしない。


お情けに本と裁縫道具を与えられたが、端から興味がない彼女は暇つぶしの大半を食事と睡眠にあてて生活した。
結果、見事なワガママボディに成長した。


コロコロになった体で寝がえりをうったらドレスが盛大に破れた、すぐにメイドがかなりゆったりなドレスを持って来た。
いま思えばあれはマタニティ用だったとヴェネは悔しくなる。


『私を引いてるのはロンパル様よね?どうして馬車にのらないのよ』
時折、地面に突き出る石などに打つかって尻を痛める、きっと痣だらけだろう。



何度目かの痛みの後に急に動かなくなった。
『まさかこのまま置き去りなんてしないでしょうね!?』

ヴェネはそう思った途端に恐ろしくなって、ジタバタと暴れて這い出ようと藻掻いた。
すると絞られていた袋が開き、聞き覚えのある声がした。


「いい加減疲れた、起きてるなら自分で歩いてくれ」
ロンパルは猿轡と手足の紐を解いて、ヴェネにそう言った。


「ハー!苦しかった、お尻は痛いし最悪よ!」
這い出た外は真っ暗な闇だった、時間はわからないがとにかくお腹が空いたとヴェネは思う。

「ねぇロンパル様、早く宿を探しましょうよ。わたし貴族街の紫蝶亭がいいわ!ベッドはふかふかで豪華な内装なの、あそこはご飯が美味しいのよ」
「……そんな金どこにあるんだ?」

「え?」

一泊5万以上する高級宿だ、文無しの二人には馬小屋さえ借りられない。
「な、なんですって、こんな冬の寒空でどう過ごすの!?」


だがロンパルは返事すら面倒なのか、そっぽを向いて地べたに寝転んだ。


「え!?嘘でしょ……ここ道路よね。こんなところに寝たら凍死するわ!ねぇロンパル様!」
太い腕を伸ばして彼の肩に触れたら、バシリと叩かれた。


まさかの拒絶にヴェネは驚き泣き出した。

堪らず起きあがったロンパルは彼女を置いてどこかへ去って行った。
ヴェネは後を追ったが、肥えた身体は思うように動かず見失い、そのまま今生の別れとなった。



しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

今、私は幸せなの。ほっといて

青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。 卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。 そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。 「今、私は幸せなの。ほっといて」 小説家になろうにも投稿しています。

【完結】王都に咲く黒薔薇、断罪は静かに舞う

なみゆき
ファンタジー
名門薬草家の伯爵令嬢エリスは、姉の陰謀により冤罪で断罪され、地獄の収容所へ送られる。 火灼の刑に耐えながらも薬草の知識で生き延び、誇りを失わず再誕を果たす。 3年後、整形と記録抹消を経て“外交商人ロゼ”として王都に舞い戻り、裏では「黒薔薇商会」を設立。 かつて自分を陥れた者たち ――元婚約者、姉、王族、貴族――に、静かに、美しく、冷酷な裁きを下していく。 これは、冤罪や迫害により追い詰められた弱者を守り、誇り高く王都を裂く断罪の物語。 【本編は完結していますが、番外編を投稿していきます(>ω<)】 *お読みくださりありがとうございます。 ブクマや評価くださった方、大変励みになります。ありがとうございますm(_ _)m

よかった、わたくしは貴女みたいに美人じゃなくて

碧井 汐桜香
ファンタジー
美しくないが優秀な第一王子妃に嫌味ばかり言う国王。 美しい王妃と王子たちが守るものの、国の最高権力者だから咎めることはできない。 第二王子が美しい妃を嫁に迎えると、国王は第二王子妃を娘のように甘やかし、第二王子妃は第一王子妃を蔑むのだった。

お姉様のお誕生日を祝うのが、なぜ我儘なの?

月白ヤトヒコ
ファンタジー
健康で、元気なお姉様が羨ましかったの。 物心付いたときから、いつも体調が悪かった。いつもどこかが苦しかった。 お母様が側にいてくれて、ずっと看病してくれた。お父様は、わたしのお医者様の費用やお薬代を稼ぐのが大変なんだってお母様が言ってた。 わたし、知らなかったの。 自分が苦しかったから。お姉様のことを気にする余裕なんてなかったの。 今年こそは、お姉様のお誕生日をお祝いしたかった……んだけど、なぁ。 お姉様のお誕生日を祝うのが、なぜ我儘なの? ※『わたくしの誕生日を家族で祝いたい、ですか? そんな我儘仰らないでくださいな。』の、妹視点。多分、『わたくしの誕生日を~』を先に読んでないとわかり難いかもです。 設定はふわっと。

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!

秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。 民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。 「おまえたちは許さない」 二度目の人生。 エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。 彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。 1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。 「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」 憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。 二人の偽りの婚約の行く末は……

未来予知できる王太子妃は断罪返しを開始します

もるだ
恋愛
未来で起こる出来事が分かるクラーラは、王宮で開催されるパーティーの会場で大好きな婚約者──ルーカス王太子殿下から謀反を企てたと断罪される。王太子妃を狙うマリアに嵌められたと予知したクラーラは、断罪返しを開始する!

処理中です...