転生オメガの奮闘記

異世界転生やってます

転生してますねこれは

周りの大人達が狂喜乱舞する中、俺はその中心でただただ呆然と立ち尽くしていた。


｢あぁ、あなた！やっぱり私たちは間違っていなかったのね！｣
｢当然だ！やはりこの可愛さは間違いなかったんだ！私達は今、我が一族の歴史的瞬間に立ち会えている！｣
｢私は1度も疑っていませんでしたよ？しかしきちんと結果を知るのは嬉しいです。少し心配もありますが…。｣

両親と兄が、先程から興奮しながら話し続けている。
その周りでは、この屋敷で働く者達が次々と俺に声をかける。

｢おめでとうございますレオンス様！やはり間違いなかったのですね！｣
｢レオンス様にお使いしているのがとても誇らしく思います！クリフト家は安泰ですね！｣

普段大人しく控えている人達のテンションも上がりっぱなしである。

ずっと呆然としていた俺は、ようやく意識を取り戻したかのように口を動かした

｢…だ。｣

小さな声は誰にも聞こえない。
しかし次の瞬間、屋敷に響き渡るかのような大声で俺は叫んだ。

｢オメガなんて、絶対嫌だぁぁぁあ！！！！｣




物心がついた時には、自分が転生しているのだと気が付いていた。

くるくるカールした金髪の髪に、黄色い瞳。
白い肌に真っ赤に染まる頬の自分を見て、何これ天使？と思ってしまった。

まずこの世界に違和感を覚えたのは、この世界の人々の髪や瞳の色だった。
俺の父親である人物の髪の色は緑色で、母親は赤色、そして俺より歳が3つ上の兄は青色ときた。
遺伝子、どうなってんの？

3歳である俺は、人の外見や文化に少しずつ違和感を覚え自覚をしたのだ。

俺、絶対違う世界から来た。

前の世界での記憶がしっかりとある訳ではなかったが、今の自分の人格が3歳児であるとはとても思えない。

そんな中身が3歳児では無い俺を、この家族はとても可愛がってくれた。
それはもう本当に凄かった。

何をしても可愛い可愛いと言われ（確かにこの容姿は可愛いわな）
いつも必ず誰かが側にいて見守られている（3歳児なら当たり前か？）

家族の行動が全て俺を中心に回っていると言っても過言ではなかったのだ。


俺が生まれたクリフト家は金持ちの貴族らしく、生活には全く不自由していなかった。

金持ちの家に生まれ、家族からとてもとても大切にされている俺、
レオンス・クリフト。

この転生、ご褒美なのか？

そんな事を考えながら、ちょうどお昼寝に入る時だった俺はニヤニヤしながら眠りについた。

しかし天使仕様のニヤニヤ顔は、6歳になっても俺と一緒にお昼寝をしてくれている兄のヨアンと、
その兄弟2人を見守る大人達を悶絶させていた事など、俺は知る訳もなかった。