転生オメガの奮闘記

そらうみ

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番なんて知るものか

兄とアリスの稽古

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兄のヨアンが11歳になり俺が8歳になった頃、アリスという少女が我が家によく遊びに来るようになった。

アリスは10歳になる少女で、水色の長い髪を一つにまとめている。
凄く位が高い令嬢のようで、そして凄く剣術が上手かった。

アリスは我が家に来るたびに、ひたすらヨアンと剣術の稽古をしている。
俺はいつもその様子を眺めている。

兄は勉学や剣術など何においても難なくこなし、とても優秀である。
将来クリフト家の当主として父の後を継ぐために日々頑張っているようだ。

そして俺は、将来そんな兄を支えて…この家に居座れたらと思う。
貴族って何をしているのか良く分からないし、普通に街に出て働きに行く…のも想像しにくい…。
まず将来追い出されるのなら、早めに外の世界に慣れたいのだが…。

希望としてはお家に居させてください!!!
せめて兄の邪魔にはならないよう大人しくしてますので!!!

そんな事をぼんやりと考えながら、先ほどから実践のように剣を交えている2人を見つめる。

男女の体格差もありアリスが年下なのだが、アリスはヨアンと互角にやり合っている。
普段は何でも余裕の表情のヨアンが必死になっているのが分かる。
ヨアンはアリスが家に来るようになってから、剣術を必死に練習するようになっていた。

アリスが我が家によく遊びに来るようになったのは、恐らくなのだが将来兄の花嫁候補だからだと思う…。
今から仲良くなっておこう的な。
2人は婚約している訳ではないのだが、周りの大人の態度からもそうなのだと感じていた。
実際アリスもとても可愛いし、兄と並べば将来美男美女カップルになるのは間違いない。

剣のぶつかり合う音が響き渡る。

2人が夫婦に…。

剣を交える2人を見て俺は思う。

…この2人、夫婦喧嘩したらどうなるのだろうか…。
俺なんかが止められそうにはないな。
2人が不穏な雰囲気になりそうなら…俺は全力で剣や武器を2人から隠そう。そうしよう。それしか俺に出来ることはない。

先ほどからずっと2人の動きが止まらない。
子供の体力無限大だな。でもそろそろ休憩だ。

「2人とも!そろそろ休憩にしてお茶にしよう!」

俺が大きな声で2人に声をかける。
いつも俺が2人に休憩お知らせ係をしている。
2人とも放っておいたら一日中でも打ち合いをしていそうだ…。

2人は俺の声が聞こえるとピタッと動きを止め、すぐに俺のところにやってきた。
全身びっしょり汗をかいている。
水分補給大事!!!塩分も!!!

汗を拭き、水分補給している2人に声をかける。

「2人とも…いつも全力すぎない?」

すると2人は同時に俺を見つめ、同時に答えた。

「アルファだからだよ。」
「私はアルファだからね。」

そう、アリスもアルファなのだ。
そして最近知ったのだが、俺の両親もアルファだったのだ。

アリスが優しく俺に微笑む。するとフワッと爽やかな香りがする。
アリスも兄と同じように良い香りがするのだ。爽やかで、何か柑橘系のような香りがする。
汗をかいても爽やかな香りって…。

微笑みながらアリスが俺に話しかける。

「レオンスはまだ10歳ではないから判定はまだだね。でもきっと…」

「アリス!!!」

兄が大きな声でアリスの言葉を遮る。

どうやらこの世界では10歳の誕生日に血液検査をするようだ。
そしてそこで自分の血液型を知る。
勝手に血液型って思っているが。

そして10歳になるまでは、何型なのかは推測してはいけないようだ。
決めつけると血液型が変わるという迷信がある。
どうやら血液型の一つにとても珍しい型があるようで、その型が変わらないようにという思いがあるようだ。

大きな声で声をかけられたアリスは兄の方を向く。
兄は気まずそうにアリスから目をそらす。

「大声を出してしまってすまなかった。」

「いや…まさかレオンスは全く気付いていないのか?」

「あぁ…家族でその話題は一切出さないようにしている。」

「そうか…でも間違いないだろうな。」

2人が何だか静かになる。

俺も何となく察しているのだが、アルファはとても優秀な血液型のようだ。
そして家族は、俺がアルファでないと思っている気がする。そして俺もそう思う。

両親やヨアン、アリスを見ていると自分との違いが良く分かる。
実際俺も家で勉強を教わっているし剣術も習っているが、アルファのみんなと自分では出来が違いすぎるのだ。
アルファの皆んなが凄すぎる…。

この屋敷には、アルファの人とベータの人がいる。
どうやらベータの人がこの世界では大多数で一般的のようだ。

もちろん血液型とその人の人格は別問題で、家族も屋敷の人達もそしてアリスも、血液型で人を判断していないのはよく分かる。

家族はどうやら、俺だけが家族でアルファではない事に落ち込むのではないかと心配しているようだ。

こればっかりは仕方がない。
どう頑張ってもアルファのみんなには到底敵わないが、だからといって努力を止めるつもりはないし、
出来る限りこの家に末長くお世話して頂けるよう頑張るつもりだ。


俺は用意されていたお茶を入れ、2人に勧める。


どんな血液型だって俺は俺だ。
何型だって構うものか。
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