転生したら、HEROになれるはず

緋咲 ツバメ

文字の大きさ
212 / 230
育成

来客

しおりを挟む
「突然の訪問、誠に申し訳ございません。」
深々と下げた頭を上げると、そこにはまだ真新しい鎧に身を纏った整った顔立ちの騎士が立っていた。
「堅苦しい挨拶は抜きで御用は何かな?」
リョーは顔を曇らせながら、問いかけた。
リョーは厄介事を持ってきたに違いないと、心の中で思っていた。
「用と言う程の事ではございませんが、一度御手合わせして頂けませぬか?」
その言葉にリョーは溜息をつきながら。
「何の得がある?」
騎士は意味が分からないのか、唖然とした表情でリョーの顔を見つめていた。
「御手合わせして頂けますよね……。」
リョーは呆れ顔で首を横に振った。
そんな様子を見てた虎丸は騎士を哀れに思ったのか。
「主、話くらいちゃんと聞いてあげれば?」
騎士は嬉しそうに虎丸を見た。
「堅苦しい挨拶はいいと言ったが、名前も名乗らない相手と手合わせするつもりはない。」
騎士は大慌てで。
「これは失礼致しました。当方、ニードル・ディオスと申します。」
まぁ、名乗られても…どういう家柄かも分からないし、手合わせする目的が何なのかついでに語ってくれると有難いのだが。
「で、何故手合わせをそんなに望む?」
「近々、近衛騎士団の選定があり、それに応募する為に推薦が必要で………それで有る方から条件として………。」
その条件を提示したヤツ、誰だよ。
そんな面倒な事に巻き込んでるんじゃないよ。
「やはり…そんな事の為に手合わせする気はない。」
「そんな事?王をお守りする為に近衛騎士団に入りたい事を……。」
ニードルは明らかに怒気を露わにしていた。
「所詮、それはキミが出世したいが為だろ?」
ニードルは何も言い返せずに腰のベルトに挟んでた手袋をリョーに投げつけた。
「逃げたりはしないだろうな。推薦とか最早どうでも良い。我が忠誠をバカにされた以上、許してはおけぬ。」
リョーは面倒くさそうに投げつけたられた手袋を拾った。
だが、その次の瞬間、ニードルの背後から人影が。
「その直ぐに頭に血が上る性格を直す方が先だと言ったつもりだったんだが…。それに深く考えずに行動する所も。」
姿を見せたのはベイルであった。
「この手袋、ちゃんと受け取ったよ。命を賭けてまでの決意だとは思わなかったよ。ベイル、立会人を頼む。」
リョーはベイルをチラッと見て。
それに慌てたのはベイルであった。
「本気じゃないよな。その手袋だって、深い考えがあった訳じゃないんだ。」
だが、リョーはベイルを見ながら。
「近衛騎士団に入りたいと思う人間が知らなかったとか、軽々しく決闘を申し込むのか?」
ベイルはそう言われると言葉に詰まった。
だが、状況が飲み込めないニードルは。
「手合わせしてもらえるんなら、なんでもいい。」
ベイルはニードルを睨み。
「バカか、お前は決闘を申し込んだんだ……。」
ニードルは直ぐには理解出来なかったが、理解すると苦笑いを浮かべ。
「そんなつもりは無い。近衛騎士団への推薦は欲しいが、決闘なんかするつもりは流石にない。」
「逃げるのか?」
リョーはニードルに吐き捨てる様に。
その言葉にニードルはリョーを睨みつけた。
だが、それに気付いたベイルはニードルを蹴り飛ばした。
「我慢しろ。決闘になったら、お前死ぬぞ。」
ニードルは床に倒れ込みながら、ベイルを見ていた。
「どうでも良いが、あんま変な事に巻き込まないでくれよ。」
リョーは溜息をつきながら、ベイルを見た。
「申し訳ない。近衛騎士団への推薦には十三役か各所属の副団長の推薦が必要らしくて、それ関係の面会が多くてな。それに無下に断りにくい者も居てな。」
「家柄が良いのも大変なんだな。」
リョーは形だけでも同情してみせた。
だが、蚊帳の外なのはニードルであった。
「で、推薦の話は?」
ベイルは呆れ顔で。
「近衛騎士団になりたいなら、国内外の色々な情報をそれなりには仕入れておけるようにならないと。キミが手袋を投げつけた人物が誰かも分からない様では話にもならない。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜

侑子
恋愛
 小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。  父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。  まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。  クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。  その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……? ※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。

【1部完・2部準備中】人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

おっさん冒険者のおいしいダンジョン攻略

神崎あら
ファンタジー
冒険者歴20年以上のおっさんは、若い冒険者達のように地位や権威を得るためにダンジョンには行かない。 そう、おっさんは生活のためにダンジョンに行く。 これはそんなおっさんの冒険者ライフを描いた生活記である。

婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。

國樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。 声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。 愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。 古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。 よくある感じのざまぁ物語です。 ふんわり設定。ゆるーくお読みください。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦

未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?! 痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。 一体私が何をしたというのよーっ! 驚愕の異世界転生、始まり始まり。

処理中です...