転生したら、HEROになれるはず

緋咲 ツバメ

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クルルはそう言うと、レーラの方へ向かっていった。
その時まで気付かなかった、クルルの腰に差してる得物がいつもと違うとは。
開始の合図が鳴ると、虎と兎の差は直ぐに表れた。
俊敏な動きでレーラを翻弄しながら、攻撃を当てていくが、どれも浅くレーラは近づくクルルの攻撃をものともせずに徐々にクルルを追い込んでいった。
決してクルルが劣っている訳ではなかったが、一撃の重さが違うのか、クルルはレーラの攻撃を防いではいたが、そのダメージは徐々にクルルに蓄積されていた。
真っ白いクルルの身体は赤く染まり出していた。
それでもクルルは必死にレーラに向かっていった。
だが、レーラの一撃が命取りになるのは分かっていたので、無意識のうちに体力がいつも以上に消耗されていっていた。
一瞬、クルルの足が止まりかけると、レーラは好機と見て、一気に片を付けに来た。
クルルは手にしていた剣をレーラに投げ、その窮地を逃れたが、武器を失くしたクルルにレーラは追い込んでいった。
レーラがケリを付ける為に渾身の一撃を繰り出そうとした瞬間、クルルは腰に差していた短剣を手に一気に距離を詰め、レーラの首を横に切った。
殺傷するには僅かに浅かったが、それは充分勝負を決着させる一撃となった。
クルルはレーラが武器を落とし、のたうち回るのを見て、その場に倒れた。
会場からは割れんばかりの拍手が送られていた。
それを一人違う感情で見ていた男がいた。
男はゆっくりと深呼吸をした後、次の試合に向けられて、準備されている闘技場に下り。
少しも緊張感のない表情で見ている虎丸を指さした。
「お前がGMになりたいなら、それでもいいと思ってたよ。だけどな、お前にどんな風にこのグランを立て直す計画がある?どんな言葉で担がれたのかは知らねえ。だけど、そこに居るって事はオレの敵になったんだよな。それは命のやり取りをしに来たんだよな。」
自分が提案した事であったが、クルルがあんな風になった現状を許せなかった。
そして、リョーは初めて虎丸に殺意を向けた。
それは虎丸への愛情に比例したモノであった。
“やっとその気になったか。お前はアイツの主である自覚が足りなすぎる。本来ならアイツに供給してるお前の力も絶つべきだが、今回はそこまでするのは惨いだろ。”
準備されていた闘技場で対峙した二人の対照的であった。
数日前までは主であるリョーをも凌駕してる自負があった。
そう、先程殺意を向けられるまでは。
今、虎丸の脳裏にあるのは全く歯が立たなかった大蛇であった。
それに対して、リョーは紛れもなく虎丸を本気で殺めようとしていた。
例え、自分の命を代償としても。
虎丸はニッカを見て。
「た、戦わないとダメ?別にGMとかいいから。」
だが、ニッカは目を逸らすしかなかった。
この前の一件の後、レイに言われた事があった。
「アイツの底が見えない。いつか本気で手合わせしてみたいな、アイツと。」
レイの言う本気が見えるかもしれないという期待がニッカには抑えきれなかった。
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