21 / 69
第二章 殺人チェーンソー
十四話 二者アイランド
しおりを挟む
海喜町のラーメン屋『海喜ラーメン』にて
「はーいらっしゃいませ!」
現在時刻十四時
「──はい。一番辛いやつですね。小、中、大、辛さが選べますが……」
「大でお願いします!」
僕は即答した。こういつ時はヤケだ。胃をぶっ壊す。
「では13名様で激辛味噌ラーメンが一つと……」
随分と大人数である。これでは地元のお客さんが入っては来れないじゃあないか。
梅島が僕の肩に手を当て目を合わせずに言った。
「廻、ちっといいか?外来てくれ」
「分かった。五分で済ますぞ」
僕らは店から出た。さすがに店内は暑い。
「ここでいいか」
僕は梅島についていくと店の前まで連れていかれた。
「梅島さんよ、店前でいいんすか?」
「ここらの人は皆顔見知りだ。気にする必要はねぇ」
「へぇそう」
「幹也のことだが……」
おっとこれは真面目シリアスな展開かもしれない。たしかに梅島と幹也君は以前に会っているようだから何か事件について知っているかもしれない。というか、コイツらが犯人でないとすると一体全体誰なのか。わからない。
「聞きてぇか?事件当日の話」
「当たり前っすよ!」
もう1人話を聞きたがる情報欲の塊がきた。
「私も聞きたいでーす!」
「葛城かよ。梅島さん。コイツもいいですか?」
葛城を少し邪魔者にしたせいか、葛城に睨まれ、肘で横腹を突かれた。
「イッテェ……馬鹿、何しやがる!」
そっぽ向いてやがる葛城の野郎。
話を聞く準備が整ったのを梅島が確認すると、僕と目を合わせずに話始めた。
「俺らはな、自分で言うのも変だがそんなヤバイ連中じゃあねぇんだ。証拠に他校の奴らや、他人は理由無しに傷つけたりはしねぇ」
(いや、幹也君はそうだけど、僕は他校です!)心でツッコんだ。
「俺らがやることはシンプル。落書き、いたずら、そんなもんだ。皆、根は優しくてな。」
葛城が話を斬るように入った。
「犯人はあなた達じゃあない。よね?なんとなくそう感じちゃうんだよね」
梅島がこちらを向いた。
「葛城、何故そう思う?」
「海喜町には梅島さん達以外にもいますよね?」
「柿島のことか、よく知ってんな」
「情報通なもんですから!」
「ご機嫌だな葛城。で?柿島ってだれ?」
「柿島は、他校の奴だ。俺らとは正反対で不良らしく、極悪だ。平気で理由なく他校の生徒をボコボコにするグループのリーダー」
僕は、まだ他に不良グループがいることに驚いた。
「それは恐ろしい。柿島って強いの?」
「俺は、一度柿島と殴り合ったことがあるが、強いぞ。殴っても殴ってもヘラヘラして、何度でも立ち上がる。あいつは狂気じみてる。ただでさい、あいつのグループは人数が多い」
僕は、葛城の言いたいことが分かった気がする。
「葛城、お前は、柿島が殺したと考えているのか?理由はよくわかんないけど」
「そう。だけど今から梅島さんが説明してくれる。よね?」
「ちっ、柿島のことまで知っているなら、全部話す。最初は適当に場を濁して帰ってもらうつもりだったが、お前らなら良さそうだ」
僕は初めて葛城のことを凄いと思った。
「俺たちは、いわば抑止力。それも学校側から頼まれている部分もある。先生方は面倒なことが嫌いでねー、『眼には眼を歯には歯を』みたいな人達だからよ。生徒が怪我をしないように頼むと言われている。パトロール隊みたいなものだ。だが、形は不良としている理由としては、多分、なめられないためだと俺は考えている。形はどうあれ向こうから近ずいてこなければ何も起きない。それが一番だ。」
「だったらなんで幹也君と戦った?」
梅島は苦笑いをした。
「いやーあれは腹減ってたし…マタドールみたいなもんよ!」
「僕にも殴りかかってきたしね」
「アレは音希田のせいだろ!」
まぁ、そうだね。
「話をもどす。事件当日、公園に居合わせたのは、俺たちのグループ、幹也。そして、後から来た柿島のグループだった」
え?太刀川君は?
「呼び出された俺らは『悪いことはやめろ』と言われた。俺らの立場を説明してもだめだった。しょうがなかったという言葉で片付けたくないが、しょうがなく戦意が喪失するくらいまでボコボコにした。それから俺らは帰った。その後の出来事だった」
僕は、ある恐ろしい考えをもった。でも、出来れば否定したい。でも、それだけの材料がない。
「俺は、先に皆を帰らせた。さすがに幹也のやつにやりすぎたと思い、手を貸しにいった時だった。柿島がいたんだ。結構な人数いたな。俺は、姿を見られまいと、公園のトイレの裏に隠れていたんだ。」
ーーー公園カイソウーーー
「俺の名前は、」
柿島 紅介
背中にゴルフバッグのように大きなバックを背負っている。
「忘れんな~よ?ガキぃ!ってかよ、なんでお前怪我してんの?ダッセーな!」
柿島は指示をする。
「コイツの頭、スイカみたいに割っちまえ。早く」
不良たちがざわつく。無理も無い。人殺しは流石にまずいと思うだろう。
「柿島さん、そりゃまずいっすよ。せめて木にくくりつけましょう」
柿島は意見したそいつの髪を掴んだ。痛そう。
「痛い!」
「なら代わりにお前が死ねよ。使えねぇカスは要らねぇ」
柿島は、そのまま足を蹴り飛ばし、転ばせた。
幹也君は意識を取り戻したと思ったら、目つきが変わっていた。
「てめぇらだれだ?前がよく見えねぇ……」
「おい、やれ」
合図と共に幹也君は気絶した。
柿島は、幹也君の持っていた木刀を拾った。
「コイツは見事だ。お前の命の代わりに貰っておくぜ。だが、テメェは許さねぇ。死して魂を出せ。価値を見たい」
梅島は、その恐ろしい場面を見ていた。殺しを止めさせようとする勇気があったが、その勇気は柿島の狂気によって押し殺された。
柿島は転ばせたグループのメンバーを踏んだ。強すぎる力のせいか、立ち上がる様子はない。いくらもがいても、柿島の足を殴っても、柿島の足はびくともしない。その間に柿島はバックから大きな物を取り出した。
「ゆっくり斬ってやるからな……」
梅島が見たものは、
チェーンソーだった。
「死ぬ前にこのチェーンソーの高性能さを聞いてくれよー」
言ってる間にも柿島はチェーンソーを首目掛けてゆっくり近づける。
「一般のチェーンソーはな、精密だから用途に合わないことをするとすぐダメになるんだよな」
もう首に近い。チェーンソーを手で抑えるが、止まらない。幸い、まだエンジンが動いていない。
「このチェーンソーはこのために改造…いや、開発した。殺し専用だ!懐かしい…何年ぶりか、この感覚は…」
動いた。
小刻みに響く音。エンジン音。音が変わる。高い音。刃が動いた
同時に首とチェーンソーを抑えていた手から血が噴水のように吹き出した。地面が紅色に染まった。水風船が爆発したように血のあとが広がった。
「ぐああああ!……」
数秒にして声帯が機能を失った。わずか五秒で首を切断した。
「ここは人がこねぇからな。音も聞こえなかっただろう」
柿島は返り血で染まっている。
「お前の魂。感じない。そうだな……お前の右腕をもらおう。命と同時に」
柿島は腕を切り落とし、帰って行った。
ーーー店前ラーメンーーー
「後は、俺が適当に幹也を道に捨てた」
「ふーん、大体分かった」
僕は、葛城の方を向いて、仲間を疑うような質問をした。
「葛城、お前はいつから柿島が犯人だと考えていた?」
「んーとね、幹也君から話を聞いた時、私は事件で誰が亡くなっているか知っていたから、幹也君の言う太刀川君っていう人がよくわからなかった。その時からかな」
「僕達の前では知らないふりをしていたんだな」
「あーごめーん」
「言ってくれてもいいじゃないか!」
「ご、ごめんね!(わるかったって)」
でも、こうやって葛城が僕を泳がせた結果、梅島から情報を聞けたわけだ。
「いや……怒りすぎた。ごめん。葛城が考えてやったことなのに」
でも、これで分かったことがある。8割……いや、9割、確証がある。
ここにいる三人、同じことを考えているだろう。それは……
樹谷 幹也 が多重人格である可能性だ。
「はーいらっしゃいませ!」
現在時刻十四時
「──はい。一番辛いやつですね。小、中、大、辛さが選べますが……」
「大でお願いします!」
僕は即答した。こういつ時はヤケだ。胃をぶっ壊す。
「では13名様で激辛味噌ラーメンが一つと……」
随分と大人数である。これでは地元のお客さんが入っては来れないじゃあないか。
梅島が僕の肩に手を当て目を合わせずに言った。
「廻、ちっといいか?外来てくれ」
「分かった。五分で済ますぞ」
僕らは店から出た。さすがに店内は暑い。
「ここでいいか」
僕は梅島についていくと店の前まで連れていかれた。
「梅島さんよ、店前でいいんすか?」
「ここらの人は皆顔見知りだ。気にする必要はねぇ」
「へぇそう」
「幹也のことだが……」
おっとこれは真面目シリアスな展開かもしれない。たしかに梅島と幹也君は以前に会っているようだから何か事件について知っているかもしれない。というか、コイツらが犯人でないとすると一体全体誰なのか。わからない。
「聞きてぇか?事件当日の話」
「当たり前っすよ!」
もう1人話を聞きたがる情報欲の塊がきた。
「私も聞きたいでーす!」
「葛城かよ。梅島さん。コイツもいいですか?」
葛城を少し邪魔者にしたせいか、葛城に睨まれ、肘で横腹を突かれた。
「イッテェ……馬鹿、何しやがる!」
そっぽ向いてやがる葛城の野郎。
話を聞く準備が整ったのを梅島が確認すると、僕と目を合わせずに話始めた。
「俺らはな、自分で言うのも変だがそんなヤバイ連中じゃあねぇんだ。証拠に他校の奴らや、他人は理由無しに傷つけたりはしねぇ」
(いや、幹也君はそうだけど、僕は他校です!)心でツッコんだ。
「俺らがやることはシンプル。落書き、いたずら、そんなもんだ。皆、根は優しくてな。」
葛城が話を斬るように入った。
「犯人はあなた達じゃあない。よね?なんとなくそう感じちゃうんだよね」
梅島がこちらを向いた。
「葛城、何故そう思う?」
「海喜町には梅島さん達以外にもいますよね?」
「柿島のことか、よく知ってんな」
「情報通なもんですから!」
「ご機嫌だな葛城。で?柿島ってだれ?」
「柿島は、他校の奴だ。俺らとは正反対で不良らしく、極悪だ。平気で理由なく他校の生徒をボコボコにするグループのリーダー」
僕は、まだ他に不良グループがいることに驚いた。
「それは恐ろしい。柿島って強いの?」
「俺は、一度柿島と殴り合ったことがあるが、強いぞ。殴っても殴ってもヘラヘラして、何度でも立ち上がる。あいつは狂気じみてる。ただでさい、あいつのグループは人数が多い」
僕は、葛城の言いたいことが分かった気がする。
「葛城、お前は、柿島が殺したと考えているのか?理由はよくわかんないけど」
「そう。だけど今から梅島さんが説明してくれる。よね?」
「ちっ、柿島のことまで知っているなら、全部話す。最初は適当に場を濁して帰ってもらうつもりだったが、お前らなら良さそうだ」
僕は初めて葛城のことを凄いと思った。
「俺たちは、いわば抑止力。それも学校側から頼まれている部分もある。先生方は面倒なことが嫌いでねー、『眼には眼を歯には歯を』みたいな人達だからよ。生徒が怪我をしないように頼むと言われている。パトロール隊みたいなものだ。だが、形は不良としている理由としては、多分、なめられないためだと俺は考えている。形はどうあれ向こうから近ずいてこなければ何も起きない。それが一番だ。」
「だったらなんで幹也君と戦った?」
梅島は苦笑いをした。
「いやーあれは腹減ってたし…マタドールみたいなもんよ!」
「僕にも殴りかかってきたしね」
「アレは音希田のせいだろ!」
まぁ、そうだね。
「話をもどす。事件当日、公園に居合わせたのは、俺たちのグループ、幹也。そして、後から来た柿島のグループだった」
え?太刀川君は?
「呼び出された俺らは『悪いことはやめろ』と言われた。俺らの立場を説明してもだめだった。しょうがなかったという言葉で片付けたくないが、しょうがなく戦意が喪失するくらいまでボコボコにした。それから俺らは帰った。その後の出来事だった」
僕は、ある恐ろしい考えをもった。でも、出来れば否定したい。でも、それだけの材料がない。
「俺は、先に皆を帰らせた。さすがに幹也のやつにやりすぎたと思い、手を貸しにいった時だった。柿島がいたんだ。結構な人数いたな。俺は、姿を見られまいと、公園のトイレの裏に隠れていたんだ。」
ーーー公園カイソウーーー
「俺の名前は、」
柿島 紅介
背中にゴルフバッグのように大きなバックを背負っている。
「忘れんな~よ?ガキぃ!ってかよ、なんでお前怪我してんの?ダッセーな!」
柿島は指示をする。
「コイツの頭、スイカみたいに割っちまえ。早く」
不良たちがざわつく。無理も無い。人殺しは流石にまずいと思うだろう。
「柿島さん、そりゃまずいっすよ。せめて木にくくりつけましょう」
柿島は意見したそいつの髪を掴んだ。痛そう。
「痛い!」
「なら代わりにお前が死ねよ。使えねぇカスは要らねぇ」
柿島は、そのまま足を蹴り飛ばし、転ばせた。
幹也君は意識を取り戻したと思ったら、目つきが変わっていた。
「てめぇらだれだ?前がよく見えねぇ……」
「おい、やれ」
合図と共に幹也君は気絶した。
柿島は、幹也君の持っていた木刀を拾った。
「コイツは見事だ。お前の命の代わりに貰っておくぜ。だが、テメェは許さねぇ。死して魂を出せ。価値を見たい」
梅島は、その恐ろしい場面を見ていた。殺しを止めさせようとする勇気があったが、その勇気は柿島の狂気によって押し殺された。
柿島は転ばせたグループのメンバーを踏んだ。強すぎる力のせいか、立ち上がる様子はない。いくらもがいても、柿島の足を殴っても、柿島の足はびくともしない。その間に柿島はバックから大きな物を取り出した。
「ゆっくり斬ってやるからな……」
梅島が見たものは、
チェーンソーだった。
「死ぬ前にこのチェーンソーの高性能さを聞いてくれよー」
言ってる間にも柿島はチェーンソーを首目掛けてゆっくり近づける。
「一般のチェーンソーはな、精密だから用途に合わないことをするとすぐダメになるんだよな」
もう首に近い。チェーンソーを手で抑えるが、止まらない。幸い、まだエンジンが動いていない。
「このチェーンソーはこのために改造…いや、開発した。殺し専用だ!懐かしい…何年ぶりか、この感覚は…」
動いた。
小刻みに響く音。エンジン音。音が変わる。高い音。刃が動いた
同時に首とチェーンソーを抑えていた手から血が噴水のように吹き出した。地面が紅色に染まった。水風船が爆発したように血のあとが広がった。
「ぐああああ!……」
数秒にして声帯が機能を失った。わずか五秒で首を切断した。
「ここは人がこねぇからな。音も聞こえなかっただろう」
柿島は返り血で染まっている。
「お前の魂。感じない。そうだな……お前の右腕をもらおう。命と同時に」
柿島は腕を切り落とし、帰って行った。
ーーー店前ラーメンーーー
「後は、俺が適当に幹也を道に捨てた」
「ふーん、大体分かった」
僕は、葛城の方を向いて、仲間を疑うような質問をした。
「葛城、お前はいつから柿島が犯人だと考えていた?」
「んーとね、幹也君から話を聞いた時、私は事件で誰が亡くなっているか知っていたから、幹也君の言う太刀川君っていう人がよくわからなかった。その時からかな」
「僕達の前では知らないふりをしていたんだな」
「あーごめーん」
「言ってくれてもいいじゃないか!」
「ご、ごめんね!(わるかったって)」
でも、こうやって葛城が僕を泳がせた結果、梅島から情報を聞けたわけだ。
「いや……怒りすぎた。ごめん。葛城が考えてやったことなのに」
でも、これで分かったことがある。8割……いや、9割、確証がある。
ここにいる三人、同じことを考えているだろう。それは……
樹谷 幹也 が多重人格である可能性だ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる