憑拠ユウレイ

音音てすぃ

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終章

完結

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「まったく、ろくでもない一年だったな」

雪が降っている。今日は年明け早々の部活動。まだ冬休みは終わっていない。時期的には要君がまだ入院中の頃だ。
「そう?私的には、楽しかったなぁ」
今は僕と麗乃で部室を掃除中だ。ハルは雪かきの仕事を生徒会に任され、今日は来れないらしい。
「あれを楽しいってお前ねぇ……そうだ、聞いて見たかったことがある。麗乃って幽霊が見えるのか?」
要戦の後、麗乃から表情が消えたが、年が明けると、ケロッとしていた。
「みえ……ない。かな。でも、私の姉さんなら見えるって言ってたな」
「麗乃の姉ちゃんって何者?」
何かを秘密にする笑顔を僕に見せ、作業に戻る。
そして、数分後、部室のドアが鳴る。

「新聞部部員、いるかぁ!?」
部室を訪れたのは、内藤先生だ。
「いますよー」
「いるぜ」
僕らが乾いた返事をすると、内藤先生は本校舎を指さす。
「お前ら、雪かきだ。人手が足りねぇ、手伝え」
恐らくハルもこれに捕まったのだろう。僕らは無抵抗に雪かきに参加させられた。

ーーー残る謎ーーー
僕と麗乃は道路を雪かきした。だいたい片付いたので、逃げることにする。
「なぁ麗乃、どこに逃げる?」
「あー、雪冷たい。風邪ひくわー」
「聞けよ」
でも、他の雪かきメンバーは終わってないようだ。そこで名案を思いついた。
「屋上の雪かきしないか?」
「え、終わろうよ」
「きっと誰もいないぞ?」
「なら……いいか」
麗乃はとりあえずこの場から離れたいみたいだ。

屋上への扉を開けると、そこには雪がなかった。恐らく、先生方が取り除いてくれたのか。いや、そんなはずない。
「来た意味なかったね……ねぇ廻君?」
麗乃の問いかけは、僕の耳には入らなかった。なぜか……

「刀が……無い」

麗乃は首を傾げている。
「何言ってんの?そんなものなかったじゃん。誰もここに来れないんだから。基本的に」
あの時、要君を蹴り上げた時に、水刀はこの屋上に刺さったはず。確かに傷はある。
「誰かがここに来たんだ。そして、あの刀を取って行った」
「そんなはずないよ。だって、年が明けて初日で、雪かきで忙しいのに。しかも、今日は少数しか先生いないよ?」
そう、さきほど二階、三階と上ってきたのだけど、誰一人として、先生はいなかった。ほとんどの先生は外で雪かきなのだ。
「誰だ?……え?」
この場に雪が無いのも謎だ。
「廻君、部室戻ろ。掃除終わってないし」
「……あぁ」


この謎は、僕が忘れた頃に明かされる。
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みんなの感想(1件)

緑色の葡萄
2021.11.25 緑色の葡萄

涼味エイプリル5話まで読ませてもらいました!とても面白く今後の展開が楽しみです!

音音てすぃ
2021.11.27 音音てすぃ

だいぶ前に書いた作品ですが楽しんでもらえてとても嬉しいです!ありがとうございます!

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