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(ああ……俺、死ぬのかな。せっかく異世界転生したのに。せっかく、恋人だってできたのに。チート全部無くなって……あいつに俺がセインだ、って気づいてすらもらえないで。このまま……無様に、ざまぁされた当て馬らしく、惨めに……)
眼前に襲い来る猪魔物。
己の最期を覚悟して、征時は、ぎゅっと目を閉じる――が。しかし。いつまで経っても、衝撃はやってこなかった。
「……?」
征時が恐る恐る目を開けると、そこには。
「……大丈夫? ごめん……、ごめんっ、僕、その……」
「ひ、ヒイ……ロ……? ……なんで?」
そこには、魔物と征時の間に入り、魔物を一撃で屠るヒイロの姿があった。
よほど急いで追いかけてきたのだろう。ヒイロの着衣は軽く乱れており、珍しく、息も荒い。
その片手には剣が握られており、魔物は一突きで絶命していた。慌てていたからか、彼らしくもなく返り血を浴びてしまっていたが、そんな姿もやたらと絵になっている。
(ああ……すげえ、強ぇ……。魔物を剣で一撃、とか。さすがは『主人公』……やっぱり、この世界の主役はヒイロ、なんだよな……)
ヒイロの強さと美しさに、征時は思わず見惚れてしまう。やはり彼が本物の主人公なのだ、偽物の自分とは格が違う……と。
そうやってぼうっとしていたからだろう。恐る恐る、といった様子で、ヒイロは、征時に声をかける。
「……あ、あのっ……」
(っ!! ぼーっとしてる場合じゃねえっ。ヒイロは……こいつは、俺がセインだなんて知らないのに。こいつにとっては、俺なんてただの不審者なのに。なんで……助けてくれたんだ……?)
「ねえ……、どうして逃げたの? や、やっぱり、僕のこと嫌いになったから?」
「……へ?」
予期せぬ言葉に、征時がぽかんとしていると、ヒイロは一方的にまくしたてる。
「だ、だよね、そうだよね……。いくら姿が変わってたって……他人の魔力に塗りつぶされてたって。僕が、君を間違えるなんて、そんなこと絶対許されないのに……」
「あ……あの? な、なんの話をしてるんだ……、です、か……?」
「そんな……、他人行儀にしないでよ……。お願い、僕を見捨てないで……!! 僕っ、絶対挽回するから……だから……!」
(あ……あれ? この感じ、もしかして……、い、いや、そんなわけ……)
もしや、と、僅かな期待が胸に灯る。そんなことはない、そんな都合のいい話はないと自分に言い聞かせたいのに、ヒイロを信用したくなってしまう。
うろたえる征時に、ヒイロは――はっきりと、その名前を呼びかける。
「ごめん、ごめんね……セイン……! 僕っ、僕は……!!」
――気付いてくれた。己がセインだと、ヒイロがわかってくれた。それだけで、征時は涙が出そうになっていた。
「…………わ、か、るのか」
「……?」
「お、俺がっ。俺が、セインだって……わかるのか!? だってっ、俺っ……見た目も違うし、ま、前みたいに強くねえし……魔法も全然、使えないのに……!!」
気付かれなくて当然だと思っていたのに。己の正体を言い当てられた喜びで、征時は軽くパニックになっている。
半信半疑の様子な彼を、まっすぐに見つめて、ヒイロは言う。
「……わかるよ。君の声を聞いて、すぐ気付いた。……本当は、何が変わってたって、一目で気付かなきゃおかしいのに……僕、気付けなくて。セインに嫌われたのかと思って……」
「き、嫌うわけあるかよ!? 俺は……っ、俺の、方こそ……。お、おまえに嫌われたと思って……! だって俺、う、嘘、ついてたし……」
「嘘……?」
嬉しかった。ヒイロに、己がセインだと気づいてもらえて嬉しかった。けれど――それ以上に征時の胸を満たすのは、ヒイロへの強い罪悪感だ。
ヒイロが優しい声で『セイン』と呼ぶたびに、彼を騙していたという事実に打ちのめされる。
「俺は……っ、俺の、本当の名前はセインじゃない……。あの見た目も、戦闘能力も、魔法の腕も……全部、神様から借りた偽物なんだ。お、おまえが好きになったヤツは……セイン・シャーテは、この世のどこにも存在してない。お、俺が演じてた、偽物だから……」
「セイン……? それってどういう……?」
「……姿が変わったんじゃない。魔力が奪われたんじゃない。元に……ほ、本当の俺に戻っただけ、なんだ……。……本当の俺は、おまえと一緒に魔物狩りなんかできない。農作業や薪割りも、……多分、料理すらできっこない。……冒険者になる前のおまえを、魔物から助けることだって、できやしないはずだった。本当の俺は……、お、おまえに好きになってもらえるような男じゃない……!!」
懺悔のような心地で、征時は告げる。おまえが惚れた男は幻想なのだと。偽の自分を演じていただけなのだと。きっと……本来の自分として出会っていたら、ヒイロが、己に惚れることはなかったのだろう、と。
ぽろぽろと涙を流しながら語る征時に、ヒイロは、不思議そうな顔をする。
「ええと……事情はさっぱりわからないけど……、今の姿がセインの……、君の、本来の姿……ってこと、なのかな」
「……ああ。笑えるだろ? こ、こんな、弱っちいヤツが、借り物の力でイキってた、なんてさ……」
「笑わないよ。……セイン……って、呼んでいいかもわからないけど、君は……君の強さは、偽物なんかじゃなかったと、僕は思うから」
征時が自嘲の笑みを浮かべる……が、ヒイロは、その言葉に首を横に振った。
そして、セインにはじめて好きだと告げたときと同じように。まっすぐに、彼の瞳だけを見つめて、一言一句を噛みしめるように言葉を紡ぐ。
「君が何者であれ、僕は君が好きだよ。僕は……一生懸命強くあろうと、仮初の自分を貫こうとした、凛々しくて強い君が好きだ。僕の前ではその仮面を外してくれた、かわいい君が好きだ。……僕と一緒に住んでくれて、僕のことを想ってくれた、素直じゃないけどとっても優しい君が好きだ。……だから、そんな顔しないで? お願い……君に泣かれたら、僕、どうしたらいいか……」
それは、まるで――セインでなくてもいい、征時でもいいと、ただ目の前にいる彼が好きだと、そう言っているようで。
征時は、目を見開いて息を呑む。
「……う、嘘だ……。なんで? お、俺、もう、チート主人公じゃないんだぞ……? か、体は貧弱だし! 魔法も全然使えないし!! お、おまえに見合うほど、イケメンじゃないし……!」
「姿や能力がどんなに変わったって、君は君だよ!! ……その、素直じゃなくてかわいいとこも。意地っ張りで強がりなとこも。実は遠慮がちで、優しいところも。僕の知ってる、僕の大好きな君のまんまだ」
「ッ……!!」
「君が何者だろうが関係ない。僕は……ただ、君のことが好きなんだ」
どこまでも真っ直ぐなヒイロの言葉には、疑う余地も残されていなかった。たった一月前後とはいえ、共に過ごしてきた時間があるからこそ、彼の言葉に嘘はないのだと信じられる。
征時は、見開いた瞳から大粒の涙をぽろりと溢して――そのまま、ヒイロに抱きついた。
「ぐすっ……! な……、なぁ、ヒイロ。ほんとに……ほんとにいいのか? こ、こんな、ただ弱くて役立たずの俺でも? ほんとに……お、俺のこと、まだ、好きでいてくれる……?」
「当たり前だよ!! 僕は……僕は君が、君が好きだ! 大好きだ!! 愛してる!! ……君こそ、僕に愛想つかしたんじゃないの……? ひ、ひと目で君のことわからなかったような、恋人失格の僕でも、ほんとにいいの……?」
自信満々に愛を囁いた様子から一変し、己の失態を気にするヒイロ。こういうところは普段と変わらないのだなと思うと、ついつい、征時は吹き出してしまう。
「……ぶはっ、ばーか!! そんなこと、気にするわけねえだろ! だ、だって、おまえはちゃんと、気付いてくれた。……なのに俺、お、おまえのこと疑って……逃げちゃって……」
「セイン……じゃないっ、君は悪くないよ! 恋人なら、何があっても君が君だって気づけなきゃいけなかったのに……」
「け、結果気付いたんならいいだろ……。つか、ヒントもなしに気付くほうが、よく考えたらキモいし……。こ、これでいいんだよ、これで」
「っ~~!! あ、ありがとう、セイ……じゃなくて、ええと……」
セイン、と呼びかけそうになり、その名が偽りだったことを思い出したヒイロは、困ったように問いかける。
「……あ、あのさ。君が、本当はセインじゃないのなら。改めて……君の名前を教えてもらっても、いいかな……? ほ、ほらっ、僕たち恋人だし!!」
改まった様子の問いかけに、自然と、征時の頬が赤くなる。
この世界で、己の本名を名乗るのは初めてだった。ここで名前を告げたならきっと、ヒイロはその名を呼んでくれるのだと……『セイン』という仮初の自分ではなくて、本来の、佐出征時としての自分の恋人になってくれるのだと、そんな気がして。なんだか気恥ずかしくなってしまったのだ。
「……うん。俺は……お、俺の、本当の名前は……『征時』。佐出征時。佐出が名字で、征時が、名前……」
「セージ……。セージ!! かわいい名前だね! そっか……君、ほんとはセージって言うんだ……。へへ……」
「だぁあ……!? な、何度も呼ぶなよっ、恥ずかしいだろ!?」
「え、照れてる!? セインって呼んでたときは、そんなことなかったのに……!?」
「う、う、うるせえ!! ハンネと本名じゃ、い、いろいろ違うだろ……!」
セージ、と、愛のこもった音で呼ばれると、今まで以上にくすぐったい心地がした。
照れ隠しに粗暴な言葉を吐いても、ヒイロは、いつもどおりのマイペースで。そんなことすらも心地よく思ってしまう。
ヒイロの腕に、泣き濡れた顔を押し付けながら、征時はほっと安堵していた。
眼前に襲い来る猪魔物。
己の最期を覚悟して、征時は、ぎゅっと目を閉じる――が。しかし。いつまで経っても、衝撃はやってこなかった。
「……?」
征時が恐る恐る目を開けると、そこには。
「……大丈夫? ごめん……、ごめんっ、僕、その……」
「ひ、ヒイ……ロ……? ……なんで?」
そこには、魔物と征時の間に入り、魔物を一撃で屠るヒイロの姿があった。
よほど急いで追いかけてきたのだろう。ヒイロの着衣は軽く乱れており、珍しく、息も荒い。
その片手には剣が握られており、魔物は一突きで絶命していた。慌てていたからか、彼らしくもなく返り血を浴びてしまっていたが、そんな姿もやたらと絵になっている。
(ああ……すげえ、強ぇ……。魔物を剣で一撃、とか。さすがは『主人公』……やっぱり、この世界の主役はヒイロ、なんだよな……)
ヒイロの強さと美しさに、征時は思わず見惚れてしまう。やはり彼が本物の主人公なのだ、偽物の自分とは格が違う……と。
そうやってぼうっとしていたからだろう。恐る恐る、といった様子で、ヒイロは、征時に声をかける。
「……あ、あのっ……」
(っ!! ぼーっとしてる場合じゃねえっ。ヒイロは……こいつは、俺がセインだなんて知らないのに。こいつにとっては、俺なんてただの不審者なのに。なんで……助けてくれたんだ……?)
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――気付いてくれた。己がセインだと、ヒイロがわかってくれた。それだけで、征時は涙が出そうになっていた。
「…………わ、か、るのか」
「……?」
「お、俺がっ。俺が、セインだって……わかるのか!? だってっ、俺っ……見た目も違うし、ま、前みたいに強くねえし……魔法も全然、使えないのに……!!」
気付かれなくて当然だと思っていたのに。己の正体を言い当てられた喜びで、征時は軽くパニックになっている。
半信半疑の様子な彼を、まっすぐに見つめて、ヒイロは言う。
「……わかるよ。君の声を聞いて、すぐ気付いた。……本当は、何が変わってたって、一目で気付かなきゃおかしいのに……僕、気付けなくて。セインに嫌われたのかと思って……」
「き、嫌うわけあるかよ!? 俺は……っ、俺の、方こそ……。お、おまえに嫌われたと思って……! だって俺、う、嘘、ついてたし……」
「嘘……?」
嬉しかった。ヒイロに、己がセインだと気づいてもらえて嬉しかった。けれど――それ以上に征時の胸を満たすのは、ヒイロへの強い罪悪感だ。
ヒイロが優しい声で『セイン』と呼ぶたびに、彼を騙していたという事実に打ちのめされる。
「俺は……っ、俺の、本当の名前はセインじゃない……。あの見た目も、戦闘能力も、魔法の腕も……全部、神様から借りた偽物なんだ。お、おまえが好きになったヤツは……セイン・シャーテは、この世のどこにも存在してない。お、俺が演じてた、偽物だから……」
「セイン……? それってどういう……?」
「……姿が変わったんじゃない。魔力が奪われたんじゃない。元に……ほ、本当の俺に戻っただけ、なんだ……。……本当の俺は、おまえと一緒に魔物狩りなんかできない。農作業や薪割りも、……多分、料理すらできっこない。……冒険者になる前のおまえを、魔物から助けることだって、できやしないはずだった。本当の俺は……、お、おまえに好きになってもらえるような男じゃない……!!」
懺悔のような心地で、征時は告げる。おまえが惚れた男は幻想なのだと。偽の自分を演じていただけなのだと。きっと……本来の自分として出会っていたら、ヒイロが、己に惚れることはなかったのだろう、と。
ぽろぽろと涙を流しながら語る征時に、ヒイロは、不思議そうな顔をする。
「ええと……事情はさっぱりわからないけど……、今の姿がセインの……、君の、本来の姿……ってこと、なのかな」
「……ああ。笑えるだろ? こ、こんな、弱っちいヤツが、借り物の力でイキってた、なんてさ……」
「笑わないよ。……セイン……って、呼んでいいかもわからないけど、君は……君の強さは、偽物なんかじゃなかったと、僕は思うから」
征時が自嘲の笑みを浮かべる……が、ヒイロは、その言葉に首を横に振った。
そして、セインにはじめて好きだと告げたときと同じように。まっすぐに、彼の瞳だけを見つめて、一言一句を噛みしめるように言葉を紡ぐ。
「君が何者であれ、僕は君が好きだよ。僕は……一生懸命強くあろうと、仮初の自分を貫こうとした、凛々しくて強い君が好きだ。僕の前ではその仮面を外してくれた、かわいい君が好きだ。……僕と一緒に住んでくれて、僕のことを想ってくれた、素直じゃないけどとっても優しい君が好きだ。……だから、そんな顔しないで? お願い……君に泣かれたら、僕、どうしたらいいか……」
それは、まるで――セインでなくてもいい、征時でもいいと、ただ目の前にいる彼が好きだと、そう言っているようで。
征時は、目を見開いて息を呑む。
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「ッ……!!」
「君が何者だろうが関係ない。僕は……ただ、君のことが好きなんだ」
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「ぐすっ……! な……、なぁ、ヒイロ。ほんとに……ほんとにいいのか? こ、こんな、ただ弱くて役立たずの俺でも? ほんとに……お、俺のこと、まだ、好きでいてくれる……?」
「当たり前だよ!! 僕は……僕は君が、君が好きだ! 大好きだ!! 愛してる!! ……君こそ、僕に愛想つかしたんじゃないの……? ひ、ひと目で君のことわからなかったような、恋人失格の僕でも、ほんとにいいの……?」
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「……ぶはっ、ばーか!! そんなこと、気にするわけねえだろ! だ、だって、おまえはちゃんと、気付いてくれた。……なのに俺、お、おまえのこと疑って……逃げちゃって……」
「セイン……じゃないっ、君は悪くないよ! 恋人なら、何があっても君が君だって気づけなきゃいけなかったのに……」
「け、結果気付いたんならいいだろ……。つか、ヒントもなしに気付くほうが、よく考えたらキモいし……。こ、これでいいんだよ、これで」
「っ~~!! あ、ありがとう、セイ……じゃなくて、ええと……」
セイン、と呼びかけそうになり、その名が偽りだったことを思い出したヒイロは、困ったように問いかける。
「……あ、あのさ。君が、本当はセインじゃないのなら。改めて……君の名前を教えてもらっても、いいかな……? ほ、ほらっ、僕たち恋人だし!!」
改まった様子の問いかけに、自然と、征時の頬が赤くなる。
この世界で、己の本名を名乗るのは初めてだった。ここで名前を告げたならきっと、ヒイロはその名を呼んでくれるのだと……『セイン』という仮初の自分ではなくて、本来の、佐出征時としての自分の恋人になってくれるのだと、そんな気がして。なんだか気恥ずかしくなってしまったのだ。
「……うん。俺は……お、俺の、本当の名前は……『征時』。佐出征時。佐出が名字で、征時が、名前……」
「セージ……。セージ!! かわいい名前だね! そっか……君、ほんとはセージって言うんだ……。へへ……」
「だぁあ……!? な、何度も呼ぶなよっ、恥ずかしいだろ!?」
「え、照れてる!? セインって呼んでたときは、そんなことなかったのに……!?」
「う、う、うるせえ!! ハンネと本名じゃ、い、いろいろ違うだろ……!」
セージ、と、愛のこもった音で呼ばれると、今まで以上にくすぐったい心地がした。
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