嫉妬に狂った父王と、愛に狂った息子王子の話

嶋紀之/サークル「黒薔薇。」

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 ――昔々。とある国に、とても有能な王子がいた。名をカーマインと言って、国一番の剣士であり、優れた武将であり、おまけに国内トップクラスの知恵を持つ学者で、施政者としてのカリスマにも優れている。
 唯一の欠点は、彼が大罪人の息子であることだ。
 彼の母親、元王妃だった女は、王に格別愛されていた側妃を妬み、他国の姫君であった側妃への暗殺未遂で捕らえられた。
 その嫉妬深く残忍な性格をカーマイン王子も受け継いでおり、優秀であるのと同じくらい、危険な人間だと思われていた。

 カーマインの人間離れした才能と性格を恐れた父王・グレゴリオ三世は、いつか彼が謀反を起こして己の首を取るのでは、という妄想に取り憑かれ、狂っていった。
 狂気の中、必死に息子を排除しようとするばかりで、民の生活に目を向けなくなったグレゴリオ王は、次第に暴君と呼ばれるようになる。


 それから数年。愚かな暴君に反旗を翻したのは、彼がもっとも恐れたカーマイン王子ではなく――その腹違いの妹。かつての側妃、いまは王妃となった女性との間に産まれた姫君だった。
 父王を退け、天才と呼ばれたカーマインを従えた姫は、この国ではじめての女王となった。

 最初から、カーマインは謀反など企てていなかった。嫌われ者の自分が次の王となっては軋轢が生まれるとわかっていて、妹姫の臣下として仕えることを決めていたのだ。

 グレゴリオ王が狂えば、それを倒す英雄が求められる。国を救った英雄になれば、性別も年功序列も関係なく妹が王位を継げる。
 カーマインは、すべてわかったうえで暗躍し、わざと父に疑念を抱かせるよう振る舞った。

 なぜならば、父の断罪こそが彼の目的だったからである。





「あっは♡ ヒッデエ顔~♡♡ そんなにオレのこと嫌いなわけ?」
「ぐげぇ……ッ!! こ、この、キチガイめが……!!」
「そのキチガイにケツマンコ犯されてどんな気分? なぁなぁ♡ アンタの体は、とっくにオレのチンポに夢中みたいだけど?」
「んぎッ!? や、やめえ゛ぇ゛え゛え゛えッッ♡♡」

 狂った父王――今はもう娘が王となったのでただのグレゴリオ、か――が幽閉されている離宮には、彼の悲鳴じみた嬌声が響いている。
 グレゴリオを組敷いているのは彼の息子。大罪人の息子でもある、カーマイン王子だった。

 カーマインはニタニタと意地の悪い笑みを浮かべながら、媚薬漬けにした父親を無理矢理に抱いているのだった。

「そんなに嫌わなくてもいーだろ、父上ぇ♡ 親子の楽しい語らいじゃねえか♡♡」
「お゛ッ゛♡♡ ちが、ちがうぅ……っ♡ 貴様などっ、む、息子ではない……!! い、イカれた欠陥品の分際で……!!」
「あっははは!! 実の息子にそりゃねえだろ!? そーんなにオレのこと憎いんだぁ♡♡」
「ッ!? お゛ごぉ゛おッ♡♡ や、やめ、やめ……ッ゛♡♡」

 カーマインの剛直が、父の穴を乱暴に穿つ。本来ならば苦痛でしかない刺激さえ、媚薬漬けにされたグレゴリオにとっては快楽に変わる。
 しかもこの媚薬は拷問用で、痛みは痛みとして残りながらも快楽を感じさせる、という代物だ。グレゴリオは激しい痛みと快楽の狭間で、気が狂いそうになっていた。

「……ま、トーゼンっちゃトーゼンか? あんたにとっちゃ、オレは憎くて憎くてたまらねえ女のガキだろうしよ♡」
「ひ、ぎ、あひぃいいいぃッッ♡♡♡」

 ぐり、と、カーマインの魔羅がグレゴリオの前立腺を押し潰す。
 背後から父に抱きつき、密着するようにして、その耳元で王子は囁く。

「なぁ、父上ぇ♡ あんたは前王妃を……オレの母親だった女を、権力目当てにすり寄ってきたと思ってたらしいがよ。アレはアレであんたに惚れてたんだぜ? だから許せなかったんだ。自分以外の女があんたに擦り寄るのが。……バカみてえだよなぁ、泥棒猫を排除したところで、あんたの心はその泥棒猫とやらのモンだってのに!!」
「ッ……! だ、黙れッ、この……!」
「泥棒猫……もとい、あんたの最愛を王妃にするために、あんたはオレの母親を冷遇し、自分の手駒を使ってわざと暗殺未遂事件を起こすよう誘導した。どいつもこいつも踊らされて、バカバカしいったらねえよなあ?」
「う、うるさい……ッ、黙れ、黙れ黙れ黙れ!! あの女が私を好いていたはずがない! おまえのような、おまえたちのようなバケモノに、人の心がわかるものか……!! 何が目的だ!!」

 図星を突かれて動揺したのだろう。グレゴリオは激しく暴れだした。
 彼にとって息子――カーマイン王子は、政略結婚で押し付けられた憎い女の息子でしかなかった。優秀すぎて人間らしさを感じられない、不気味で、恐ろしい悪魔の子。自分の子だと認めるのも不快な相手だったのだ。

 だからこそグレゴリオは、息子も自分を憎んでいるのだろうと思っていた。レイプされてなお、これも復讐のためなのだろうと、なんと支離滅裂な狂人だろうと思っていたのだ。

 必死に暴れ、こちらを睨みつける父を抑え込むと――カーマインは、心底愛おしいものを見つめる眼差しでニタニタ笑っていた。

「あっは♡♡ んなの最初から言ってんじゃ~ん♡ ……あんたが好きなんだよ、愛してるんだよ、父上ぇ♡ あんたを、オレのモノにしたい♡ オレ専用チンポケースにして、死ぬまで飼い殺して、オレだけのお嫁さんにしてぇんだよ♡♡」
「…………は?」

 告げられた言葉は、グレゴリオにとっては一切理解できぬモノだった。
 この男は今、なんと言った? 愛している、と? 父を――ひとりの雄として?

「あれェ、言ってなかったっけ? オレが欲しいのはあんただけ。あんたがオレのもんになるなら、王位継承権もいらない。あんたはただ、オレのモンになってくれりゃあいい。ほら、オレの力があれば、あんたが可愛がってるあのガキを次の王にするくらい簡単だったろ? 既に対価は先払いされてるんだぜ」

 へらへらとした笑顔で告げられる言葉に、グレゴリオの顔が青褪めていく。

 ――息子からのギラついた視線には気付いていた。何かを渇望するようにこちらを見る目に、あれは王位を狙っているか、はたまた母親の復讐でもしたいのだろうかと、そう考え、だからこそ息子を恐れて遠ざけようとした。
 だが、彼の狙いが最初から、己自身だったなら?

 己を『父』と呼びながらも愛欲をぶつけるその異常さに、身の毛がよだつ。

 それに、この賢い男が、グレゴリオから向けられた疑念に気づいていないはずがない。まさか――自分を手に入れるためだけに、あえて、妹姫を利用して己を討たせたのか? ……と、とうとうグレゴリオは気づいてしまった。

「な……、にを、言っておるのだ……狂人が……」
「オレが欲しいのは、あんただけだよ♡♡ その身も心も……全部オレのモンにしたい。わかるか? オレは、息子として、父親であるあんたを自分のペットにしたいわけ。簡単だろォ?」
「い、意味が……意味がわからん!! は、離せ、近寄るな!! いやだ……、やめ……!」

 暴れ、抵抗しようとするグレゴリオを、いともたやすくカーマインは抑えつける。
「……ま、今更抵抗したって無駄だけど♡♡」

 悪魔のような笑みを浮かべたそのとき――ドチュッ♡♡ と、カーマインのペニスが深くに入り込んだ。

「お゛ッ、ごぉ゛お゛ッッ♡♡」
「やっぱ思ってた通りだよアンタ♡ 身勝手で、愚かで……最ッッ高にカワイイ♡♡ そうやって無駄な抵抗して、もっとオレを楽しませてくれよォ♡♡」
「あ゛ッ♡♡ や、やめ……っ、たすけ、て……」
「うんうん♡ そーやって情けなぁく許しを乞うのもカワイイなぁ♡♡ ……安心しろよ、命だけは取らねえから♡ 表向きには処刑したってことにして……一生オレのペットとして飼い殺してやるからさぁ♡♡」
 歌うようにそう言いながら、カーマインのピストンは止まらない。ドチュドチュと激しい音を立てて、グレゴリオの処女穴を乱暴に開拓し、都合の良いハメ穴へと作り変えていく。

「ほ~ら♡♡ だんだん気持ちよくなってきたろ♡ オレもそろそろイきそう♡ ……だからさ、息子にレイプされて……オレに中出しされてイッちまえよ、父上♡♡」
「あ゛ひっ♡♡ い、いやだ……っ、」
「あ~やっば♡♡ すっげえ気持ちイイ♡ 父上っ、父上ぇ……っ♡♡」
「やめろッッ!! ひっ♡ イキたくないっ、イきたく……っ、ぁ♡ あ゛ぁ゛ああああッッ♡♡」

 嫌がる言葉とは裏腹に、グレゴリオの肉体は、この陵辱に快楽を見出していた。

 やがて――ガクガクッ♡ と全身を大きく震わせ、その身を大きくのけぞらせながら、白目を剥いてアクメしてしまう。
 意識を飛ばし、犯されながらも情けなく射精する父の姿に、たまらずカーマインも絶頂を迎えた。どくどくと溢れる白濁が、父の胎内をじんわりと満たしていく。

「……ふふっ♡ 可愛い可愛い、オレの父上……♡ ぜってえ離さねえ♡ 他の誰にも渡さねえからな……♡ 一生オレのお嫁さんだ……♡♡」

 甘ったるい声で囁いた彼は、最愛の父に優しくキスをした。

 愚かな狂王として幽閉されてしまったグレゴリオを助ける者はどこにもいない。親子愛と性愛を煮詰めてドロドロにしたような、カーマインの狂った愛情は、誰に咎められることもなく、ひたすら父に降り注ぐこととなる……。
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