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第三章
24.高校に入ってからの初めての友達
しおりを挟む「私の王子様はツンデレタイプ。性格をツンデレにしたくて情報かき集めるのが大変だったんだ。結菜の王子様は?」
「私の王子様は素直で優しい人。落ち込んでる時はいつも親友のように話を聞いてもらってたんだ」
「へぇ~。AIチャット式だから王子様と会話するだけでも楽しいよね。……あれ、名前はハルト? 彼氏の名前にしたの?」
「えへへ。二階堂くんはまだ彼氏じゃないよ。まだ友達」
「ふぅん。美男美女でお似合いだからくっついて欲しいな」
「もう! お世辞言い過ぎ。まだマトモに喋れてないのに、いきなり恋人なんて無理だよ」
「なぁんか、そーやって照れてるところもかわいい」
「本当にやめてってばぁ~!」
結菜がくすりと笑いながら頬を赤く染めると、みちるは頬杖をつきながらじーっと見つめて言った。
「結菜ってもっと話しにくい子かと思ってたけど、実際喋ってみたら全然フツーだね。もっと早くメモをぶち込んどけば良かった」
「私こそ、もっと早く変わろうと思ってたら楽しい高校生活が送れたのにな」
「高校生活なんてまだまだこれからだよ。……って事でよろしく!」
「うん、よろしくね!」
私とみちるは手をグーにしてお互いの拳にコツンと叩きつけた。
高校に入ってから初めての友達。
そして、数年ぶりの本来の姿に戻っていく自分。
話しかけてくれた彼女のお陰で、砂漠のように乾ききっていた心にオアシスが生まれたような瞬間でもあった。
それに加えて……。
『お前に変わる気がないなら、俺が変えてやる』
私に変わるきっかけを与えてくれた日向に感謝していた。
二つ左後ろの席の日向に目線を向けると、彼は左肘で頬杖をついてこっちを見ていた。
目が合った瞬間、無表情のまま右手でピースをしてきた。
みちるとのやりとりを一部始終を見ていたのかなぁと思ったら、恥ずかしくて赤面したまま顔を前に向けた。
素直になるにはまだ遠い……。
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