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第五章
39.帰宅しない彼
しおりを挟む「結菜お姉ちゃんはミカちゃんと遊びたいな。実はお姉ちゃんも人見知りなの」
「…………」
「本当は仲良くしたいのに本音が言えなくていっぱい損してきた。でも、最近少しずつ気持ちが言えるようになってきたからお友達も出来たんだよ」
私は幼き彼女に気持ちを込めて伝えた。
この言葉が彼女の心に届くかわからないけど、自分なりのやり方で近づく努力をした。
ところが、彼女はソファーから下りると、脇を通り抜けてタタタと走って自分の部屋の中へ閉じこもった。
「はぁ……。やっぱりだめかぁ」
一筋縄ではいかない現実にショックを受けてガクッと肩を落とした。
ーーしかし、スマホ画面を見ながら不器用な手つきでハンバーグをこねていると、約1時間ぶりにミカちゃんが部屋から出てきた。
もしかしたら、玉ねぎを炒めてる香りが部屋まで届いたのかな?
「今日の夕飯はミカちゃんの好きなハンバーグだよ。良かったら一緒に作らない?」
ニコリと愛想よく言ってみたけど、彼女はダダダと走ってテレビの電源を入れて再びソファーに飛び乗って寝転んだ。
最初から作戦が上手くいくとは思わないけど、根気よく話しかけてればいつか心を開いてくれるよね。
でも、思い返せば以前の自分も彼女と同じだったのかな。
話しかけて欲しくない雰囲気を出してたから近寄り難い存在になってたんだよね。
日向が変えてくれたお陰で今がある訳だし、きっかけ一つで180度楽しくなる事を知ってる分、力になりたいな。
時計の針が20時に近づいたので、ミカちゃんの寝かしつけに入った。
話しかけても会話が成立しないから、一方的に寝る支度をしてベッドに連れて行き、ごろんと横に寝転ぶ。
目をつぶって眠ろうとしている姿がかわいい。
ミカちゃんが完全に寝静まった所を見計らってからリビングに向かい、食器等の片付けを始めた。
しかし、普段ならこれくらいのタイミングで彼が帰宅するけど、今日は帰ってくる気配がない。
20時52分。
勤務終了時刻が目前に迫り、テーブルに置いたままの夕食にラップを被せて、その向かいに座って彼の帰宅を待つ。
21時13分。
遅いな……。
もしかして仕事が長引いてるのかな。
勤務終了時刻はとっくに過ぎたけど、彼が帰って来るまでは待とう。
21時37分。
テーブルに頬杖をついたままガクッと顔が落ちる。
気づいたらうとうとしてた。
でも、部屋を見回しても彼はまだ帰って来ていない。
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