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第十七章
120.俺の問題
しおりを挟む「嘘だと言ったら怒るよ、マジで」
「だから、本人から聞いたって言ってんじゃん」
「いつ聞いたの? 別れた理由は?」
「んー、聞いたのは確か先週だったかな。理由までは知らないけど、俺の予想では梓がフラれたのかもな」
「予想で話すなよ……。そこが一番肝心なのに」
梓を諦めようかどうかと迷っていた矢先、予想外の朗報が飛び込んだ。
振り返れば、最近梓の様子がおかしかった。
俺の事をこれっぽっちも思っていないと突き放したと思えば、急にやり直したいとか言い出して。
俺は傷付くあまり、あいつの言葉を信じられなかったけど……。
『蓮が傍にいないと辛いんだよ……』
先日言っていたあの時の言葉は、果たしてどういう意味だったのだろうか。
「お前はまだ梓が好きなんだろ? なら、さっさとやり直せばいいじゃん?」
「………いや、まだダメだ」
「どうして?」
「それは、俺の問題がまだ解決してないから」
「なにソレ。お前の問題って?」
「本当に高梨と別れたなら尚更チャンスだろ? もし、あいつの気持ちが俺に向き始めてるなら、土台をしっかりしておかないといつになっても問題が解決しないまま。だから、まだあいつとは付き合えない」
俺にはある拘りがある。
あいつと交際してる時からずっと拘り続けてきた。
それがいつしか悩みになって、その悩みがやがて浮気という災いをもたらした。
今は梓を冷たく突き放しているけど、嫌いになった訳じゃない。
高梨と別れたなら、尚更復縁のチャンスだと思ってる。
「その土台の意味がわからないんだけど……」
「まともに恋愛していないお前にはきっとわからないよ」
「お前って面倒くせぇな。そんなんだから俺は彼女を作りたくないの」
「あーっ! こんなにヤキモキするくらいなら、いっその事梓を諦めて花音とでも付き合おうかな~」
「えっ、あの花音と?」
「推定Dカップに飛び込むまでは、高校を卒業出来ないから」
「お前……。花音のおっぱいと同じくデカい夢だな……。あ、紬発見! 俺、ちょっと行ってくるわ~」
「あっ……。おい、待て……」
ヤケクソで冗談言ってる最中だったのに、大和は引き止める俺を無視して、近くを通り過ぎた紬ちゃんの元へ行ってしまった。
さすが大和。
悩み事を相談しても解決しない上に、問題がややこしくなる面倒な男だ。
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