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第二十二章
155.アイシテル
しおりを挟む夜、自宅で勉強している手を止めて机上のカレンダーを見ると、第一希望の大学入試日まであと1週間。
更にその1週間後は卒業式。
3年間通い続けた高校生活最後の日。
カレンダーの横には昨年学園祭の時に撮ったお揃いの黒いTシャツ姿の蓮とのツーショット写真を飾っている。
写真を手に取り、彼との学生生活を思い返した。
『すっ……好きなんです……。柊くんが』
『プッ……。俺のどこが好きなの?』
『顔。……顔以外よく分からない』
高校に入学したての頃、アイドルのような整った顔立ちの蓮に一目惚れした。
放課後、教室に忘れ物を取りに行った時に蓮が一人だったせいか、気付いた時には告白していた。
しかも、蓮がこんなバカげた告白をすんなり受け入れてくれるなんて思ってもいなかった。
いま思い返してみても最低最悪な告白で笑える。
ーーあれから、もうすぐで3年。
恋人としての仲は2年間だったけど、奇しくも3年間同じクラスとして過ごした日々はかけがえのないもの。
幸せだった。
大好きな彼の笑顔を毎日欠かさず独り占め出来たから。
安心した。
嫌がらせを受けても、最後は優しく抱きしめて気持ちを落ち着かせてくれたから。
許せなかった。
浮気をした蓮と、浮気に繋がる悩みに気付いてあげれなかった自分が。
悲しかった。
勘違いだったけど、蓮がこの世からいなくなっちゃうと思ったら。
辛かった。
クリスマスの日に嘘の気持ちを叩きつけて蓮を苦しめてしまった事が。
3年間の荒波のような感情が脳裏を駆け巡っていく。
告白した当初は、こんなに波乱な高校生活が待ち受けているとは思いもしなかった。
蓮がいっぱい愛してくれた分、私は幸せだった。
苦しくて辛い日々が続いても、蓮が傍に居てくれたから乗り越えられた。
離れ離れになっても、どんなに気持ちを偽っても、やっぱり蓮が好き。
もう彼女じゃないけど、今は3年前に告白したあの日以上に愛してる。
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