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第二十四章
177.最後のプレゼント
しおりを挟む「あ、そうだ! 蓮を探してる途中だった。そろそろ約束している場所に行かなきゃ」
「蓮くんと仲直り出来たんだね」
「うん、みんなが力を貸してくれたお陰。私一人じゃ何も出来ないから」
「そんな事ない。梓にとって高校生活最後の素敵な思い出になるように祈ってるね」
「ありがと。それと……、これは私からの最後の手紙」
梓はブレザーの右ポケットから手紙を出して紬に渡した。
紬は手紙を両手で受け取ると、目をキョトンとさせる。
「あ、うん。なんだろ。……いま読んでもいい?」
「いいよ、封筒を開けて」
紬は梓の言う通りに封筒を開けて、中身の手紙を取り出して開いた。
「これは……」
紬は手紙の内容を見た途端、ハッと目を大きく開いた。
何故なら、手紙の中の地図に書き示されている場所が校内の告白スペースだと気付いたから。
「地図の場所には紬が大切に思っている人が来る予定だから時間になったら向かってね」
「私が大切に思ってる人って、もしかして……」
「そう。これは私から最後のプレゼント。でも、私が手を貸すのはここまで。後は紬自身が頑張るんだよ」
「梓……」
「3年間、私を支えてくれてありがとう。紬には言葉にならないくらい感謝してる。紬が力を貸してくれた3年間に比べたら、全然物足りないかもしれないけど」
「ううん! 私こそ感謝してるよ。最後にこんな素敵なプレゼントまで……」
「私は今から100パーセント頑張って来るから、紬も自分の気持ちを100パーセント伝えてくるんだよ」
「うん、頑張る!」
「卒業おめでとう。今までもこれからもずっと大好きだよ」
「私も大好き! 梓の期待を裏切らないように頑張ってくるから、梓もしっかり頑張って来てね」
「うん、約束ね」
ーー高校生活最後の日の今日。
また一人、大切な人に別れを告げた。
これが永遠の別れじゃないとわかっていても、なかなか気持ちが追いつかない。
最後は声が震えちゃったし自分の気持ちを上手く伝えられなかったかもしれないけど、紬は頬に流れ落ちる涙を拭いてくれた。
でも、紬の頬も涙でびしょびしょだったから次は私が拭いてあげた。
当たり前のような日常を失ってしまう今日は、人生の中で最も最悪な日。
だけど、後ろばかり振り返っていても仕方ないから、前を向いて頑張っていこう。
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