初コイ@進行中 〜忘れられない初恋相手が親友の彼氏になっていた〜

伊咲 汐恩

文字の大きさ
179 / 226
第八章

177.腕を掴んだ相手

しおりを挟む


  バレンタイン前日の今日は、帰宅時に最寄り駅のビル内の雑貨屋さんにラッピング材料を買いに来た。
  今日は前日という事もあって、バレンタインコーナーは女子中高生で賑わっている。


  ラッピング袋にリボンに包装紙にシール。
  ケーキボックスにマフィンボックスにトリュフボックス。
  それに、チョコカップやマフィンカップやケーキの型など、多種多様なバレンタイン用品が置いてあった。


  どれもこれも可愛くて目移りしちゃう。
  咲用にかわいいラッピングを買っていこうかな。
  小さなラッピング袋は品薄だったけど、探していたマフィンボックスは種類が豊富で山積みに。

  今回は前回と同じくチョコレートマフィンにするつもり。


  材料は1週間前に近所のスーパーで購入済み。
  でも、肝心なラッピングが頭からすっかり抜けていて、買いに来るのが直前の今日に。
  ズボラな性格はいつになっても直らない。


  今日は塾もないし、理玖は駅前の英会話教室の日。
  だから、会う約束はしていない。
  それにまだ16時半だし、買い物する時間やマフィンを作る時間はたっぷりある。


  理玖に再会するまで二度もバレンタインを渡す事になるとは思いもしなかった。
  まぁ、それ以前にまた付き合うとは思ってなかったけど。


  会計を済ませた後、レジ袋を片手にエスカレーターを下った。
  下の階の景色を眺めている私の頭の中は、理玖の事で頭がいっぱいに。



  告白の返事をした時は先行きが不透明だったけど、今は毎日が幸せ。

  理玖は沢山笑わせてくれるし、優しいし、毎回塾に迎えに来てくれる。
  それに、元気がない時は気持ちに寄り添ってくれる。

  私自身もこうやって昔のことを思い浮かべながらバレンタインの準備をしたり、自分からキスをしたり。
  積極的になってる傍らで気持ちは不透明だけど、理玖という存在は少なからず心に影響している。



  勇気を出して唇を重ねた後はいつも通りの理玖に戻った。
  憂鬱な様子を見せたのはあの瞬間だけ。
  結局その理由は教えてもらえなかったけど、解決してればいいなと思ってる。

  でも、交際を始めてからもう3ヶ月経つし、待つとは言ってくれたけど次の進展を期待してたりするのかな。


  交際3日目にそんな雰囲気になった時は断る事しか考えていなかったけど、キスが当たり前になった今もやっぱり怖い。
  その日を境に、心も身体も大きく変わっちゃうような気がする。

  まだ全然先だと思ってたし、未知の世界だから不安ばかりが付きまとっている。



  愛里紗は理玖との進展に心をザワつかせながらボーッとエスカレーターを下って、駅から遠ざかるようにバスのターミナルへ足を向かわせると……。



「愛里紗」



  突然、左側から誰かに呼び止められたと同時に腕を掴まれた。
  びっくりしながら相手に目を向けると……。



「う……そ……」



  そこには、心臓が飛び出すくらい衝撃的な人物が立っていて、直前まで考えていた理玖の事が簡単に上書きされてしまった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。

NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。 中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。 しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。 助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。 無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。 だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。 この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。 この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった…… 7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか? NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。 ※この作品だけを読まれても普通に面白いです。 関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】     【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

愛のかたち

凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。 ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は…… 情けない男の不器用な愛。

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

処理中です...