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第6話
しおりを挟む今ここは、パスタニア皇国とナソパ国の境の地。辺りは草原が広がっていて左右に両国の兵士達が集まっている。
私はパスタニア皇国側の先頭の馬に跨っている隣には総団長。あちら側の先頭にはハイネ。その隣にはシーラまでも座っている。
あの方は私達を見て、笑っているが額から汗が大量に溢れている。
きっと、想像以上の兵力で驚き、おののいているのでしょう。
それに戦場にフィアンセを連れてくるなんて…大丈夫なのでしょうか?
「はっ!大丈夫だ!案ずるな!人数が全てではない!こいつらは、戦力にもならん、下民共だ!我が軍に叶うはずが無いんだ!」
わざとらしく、こっち側にも聞こえるような声で嘲笑いながら、自分達の軍を勇気づける。
なんて、無様な事を…少し可哀想に見えてきましたわ。
「シーラ。これから僕達はあの下民セルを倒すのだ。今がチャンスだぞ。言いたい事を全て言おうじゃないか」
「はい。ハイネ様。では…」
シーラは馬の上からこちら側に涙を流しながら叫んだ。
「私は…貴方が謝るのなら許しますわ。今まで私を奴隷のようにこき使っていた事も、私の美貌への美しさに嫉妬し暗殺を図っていたことも…更にはハイネ様との仲を知り、合わせないように掛け合っていたことすらもっ!」
「はっ!あの下民はそんな事までしていたのか!許せない!すぐに処刑だ!それにシーラは優しいな…市民の出でも着飾ることにしか興味がない貴族とはまるで違う…流石だ」
ハイネは顔を真っ赤にさせた、後優しくシーラに語りかけ、彼女の頭をポンポンする
シーラ…貴方、元貴族の出でしょう。更に言えば貴方は私の専属メイド。私の身の回りの世話をして貰うのは仕事として当然だと思うんですが…それにシーラに嫉妬など1回もした事ないですし…
「どうなんだ!答えろ!謝罪の言葉を求めるぞ!下民!」
ハイネが私に怒鳴りつける。
私、一応1国の第一皇女で下民では無いというのを知るはずがありませんね。ハイネが憐れですわ…。だって、我が軍の兵士5万の人が、自分の国の姫を下民呼ばわりされ兵士達の怒りは煮えたぎり今にも爆発しそうなぐらい高まっているのですから…。
「私は彼女を虐めていませんわ。彼女が虐めと訴えているのは私の専属メイドの仕事の事です。ハイネ様が誤解しているようなので言いますが、彼女は元、「華の君」と呼ばれていた正真正銘の貴族の出ですわ。市民の出ではないです。それに私はハイネ様にも彼女にも嫉妬した事も無いですし、ハイネ様にそもそも惚れた事ないですよ」
淡々と私は語った。心の中では苦笑いをしているけれどコレを表情に出してしまったら、余計にあの人の怒りが爆発する気がしますしね
「はっ?!!?!何を言っておるのだ!嘘をつくのか!!シーラは市民の出だ!それでお前に虐められ暗殺されかけたんだ!そ、それに…お前がこの僕に惚れない訳が…っっ!」
この王子様。本当に大丈夫なのだろうか。ここにいる我が軍全てが考えを一致させた。
「彼女が貴方を誘惑し何を吹き込んだかは知りませんが、私は一切そんな事をしていませんわ」
おっと。いけませんわ。
思わず、苦笑いが出てしまって、顔が引き攣ってしまいました。
その時、ナソパ国の方角から少数単位の馬がやって来た。その中には第一王子アラナの姿があった。
「ナソパ国第一王子アラナであります。パスタニア大国第一皇王女セル様。お初にお目にかかります。この度は我が国の失礼、本当に申し訳ありませんでした」
アラナは馬から降り、私達に向かって頭を下げた。
お初にお目にかかります。とは、きっと彼の嫌味でしょうね。彼はハイネと違って頭の効く方ですから、注意深く接しなければなりませんね。
「いえ、大丈夫ですわ。けれど貴方の国の第四王子ハイネ様の行動にはとても、迷惑でした。それで、貴方は何が望みで?」
「私は弟の失態を止め、謝るべく此処に参上致しました」
この会話を聞いていたハイネ、シーラ。そしてその兵士達は私が1国の王女と知り顔が真っ青になっていく。
「なっ?!アラナ兄様!あの下民が1国の王女とでも言うのですか?!」
「お前は、セル様に謝罪の言葉を入れたのか?!」
「い、いえっ…」
ハイネは今までの自信をどこかに捨て、下を俯き答える。
「な、なんだと!!今すぐ言わなければお前の権限は剥奪するぞ。これは王命だ」
ハイネはこの言葉を聞き、唾を飲み込み、どうしても嫌だと拒むように
「セル…この度の事は済まなかった…!けれど、俺はシーラを虐めた事については許すことはない!今すぐ、セル、お前が謝罪をすればお前の国を滅ぼす事をせずに、愛人として迎えてやろうじゃないか。お前は性格は悪いが顔だけはいいからなっ!」
そうして、この場にいる全員が黙り込んでしまった。
この王子、ダメだ…と
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