法律では裁けない問題を解決します──vol.1 神様と目が合いません

ろくろくろく

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真打ち登場

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まだ続きが?……と怯えていると、眩しいライトの中から現れたのはにっこり笑った背の高い男だ。笑った顔のまま走ってきて笑ったまま抱きつかれたから今も笑っているのかは見えない。

「椎名さ……ん?」

「大丈夫だったかい?ドキドキしたよ、怖かったよ、大丈夫かい?」
「大丈夫ですけど……」

もし見られていたんなら大丈夫じゃ無い。
そして椎名に絞め殺されるから大丈夫でも大丈夫じゃ無くなる。

もがもが苦しんでいると横から懐かしい(?)声が「葵を離せ」と言った。
顔を擦ったのかスプラッタな顔をした健二が体を起こしていた。

「健二さん…生きてたんですね……あの…いつ…」

いつ生き返ったのか、椎名とか銀二達はハンケツにチンコを擦り付けられている所を見たと思う。
それはそれで嫌だけど健二には、健二だけには見られたく無い。

見たと言ったら健二を殺す。殺せなくても二度と会わない。
健二がなんて答えるか怖くてコクンと空気を飲むと……多分だけど椎名は俺の気持ちがわかったんだと思う、腕がぎゅうっと締まった。

「やめておけ」って言ってるんだと思う。
でも答えを聞かなきゃもう健二の目を見る事が出来なくなる。


「いつ?……」

「何が?」
「いつ気が付いて…どこから見てた…のか…」

「銀二さんが帰って行く時に蹴られたんだよ、おい椎名さん、何でもいいからます葵から離れろよ」

「葵くんは重症だから駄目」って……椎名さん、頼むから余計な事を言わないで欲しい。

「重症って何?」と目を剥いた健二は「痛え」とか「脳味噌が凹んだ」とか言いながら立ち上がってパンパンと埃を落としている。
フラついたりはしていない。

さすが健二。脳味噌が凹んでも使ってないから大丈夫なんだね。

「あれで大丈夫なんて……健二さんって不死身なんですね」
「馬鹿、痛えよ、なあ、重症って何?怪我したのか?」
「してないし無傷だし大丈夫だし無事だし何もないしねえ?椎名さん」
「ちょこっと頬っぺを擦りむいただけだよね、ケーキとか大福とか焼き芋を食べたら全快するよ、ね?葵くん」

「ならいいけど」と簡単に諦めてくれるのは健二のいい所だと思う。触れて欲しく事を嗅ぎ取るのは上手いのだ。
血の付いた手で「葵に触るな」って引っ張るのはやめて欲しいけどね。

革ジャンに張り付いた血の跡は瑞々しい。
健二のこめかみからはまだ新しい血が流れてるのだ。のんびりと話している場合じゃ無いけど、とても気になっていた事を椎名に聞いてみた。

「あの、どうして椎名さんがここにいるんですか?銀二さんは?」

「どうしてじゃないだろ、お前らが危なっかしいから俺達が出て来る羽目になったんだろ」

「え?俺達を見張ってたって事ですか?」
「ちょっとだけね、ああ、あいつの事はもう心配しなくてもいいよ、多分明日には引っ越すからさ、もう暴走は出来ないし偶然顔を合わす事も無いからね」

「何で?」

健二と声が揃った。
見張っていたって言っても何台もの高級車は見かけなかったし隠れる場所なんか無かった。どうやってって聞こうと思ったら次に続いた椎名の一言で全て解決した。

「山本のアパートの隣に銀二が引っ越したんだ、いやあ健二のバイクは逃げ足が速くてまかれちゃったよ」ハハハッって……

「無駄な事を……」

「でも解決したろ?」


「……したかも……」


したよ。
多分した。
絶対した。
山本達は爆音隊のメンバーと連絡を取ってるってもうわかってる、少なくとも数人にこの情報は回るだろう。


………………あるじゃん。


奥の手!奥義!H.M.K最恐兵器!全てを一瞬で解決するノウハウ!

あるじゃん!!

何勿体ぶってんだよ、最初から出せっての!

俺と健二の苦労は何だったんだ。
社長が出てくればものの五分で解決だ。



もう呆然とするしかない。

微笑みの椎名が去った後、笑いと涙が溢れてきたのは言うまでも無い。
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