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だから歌うのは嫌
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頭にも、手にも、足にも鼓動を感じる。
高音のサウナで頑張りすぎたような感覚だった。
ワンワンと頭の中を走り回る耳鳴りだけを残し、音という音が消え去っていた。
腹の中が空洞になったような虚無に襲われ、浅くなった呼吸が激しい鼓動に追い討ちをかけて泣きたいような、何でもいいから食いちぎりたいような凶暴な衝動が湧き上がってくる。
高校生の頃、黒江のゴリ押しで出たライブでも同じような目にあったが、あれはあがっていたせいだと思っていた。
熱くて、熱くて、とにかく喉が乾いて干上がりそうになっている、何か飲みたいけど立とうとしても足に力が入らない、捕まる所を探して手を伸ばすと、丁度いい所に肩があったからつかまって、丁度いい所に胸があったから凭れて、背中に回った腕が体を持ち上げてくれたから何とか歩けた。
そのまま座ったのか?
立ったままかな?
口に当たったペットボトルから冷たい水が流れ込んできた。貪るように飲んで、飲んで。
もっと欲しいのに、まだあるのに、取り上げられた。
「もう少しゆっくり飲みなさい」
顎を滑り落ちた水滴を掬い取ったのはちょっと困ったように笑う知っている顔だった。
「あれ?………クリス?」
「うん、蓮のクリスだよ」
「いつでもどこでもブレずにふざけますね……って…………あれ?」
まるで拾われた猫のようにクリスの胸に凭れて張り付いていた。わっと離れて思わずパタパタと服をはらった。
「………いたんだ……っけ…」
「うん……いたよ」
「……いたよね…そうだ…いたよ」
耳の中に残る「僕を見て」と囁く優しい声を何度も何度も聞いていたのにクリスが見ていた事なんて途中から忘れていた。
いや、正確に言えば忘れていたというよりも歌の一部になっていた。
「もう少し水を飲んで、落ち着いたらタクシーを呼ぶからね」
「いや、そんな事しなくても……」
酷くみっともない醜態を見せてしまったような気がしてクリスの目を見る事が出来ない。
タクシーなど必要ないし、辺鄙な場所まで連れてきておいて悪いが出来れば早く1人になりたい。
誰とも話したく無いし、誰にも触れて欲しく無い。
そんな時にポンっと背中の方から肩に乗った手にゾゾっと寒気が走り、思わず叩き落とした。
「おっと」と手を引いたのは黒江だ。
「……という事で……蓮はこんな感じだから栗栖さんには悪いけど今日はここまでって事にして帰っていただけますか?この後打ち合わせをしますので」
まるで現場の大工のようにタオルを頭に巻いた黒江がベースギターをラックに置いた。
日暮もTシャツの中をタオルで拭いている。
「……打ち合わせなんか無いよ」
「だってお前そんなんで帰れるのか?」
「やめろよ」
変な事を口走って欲しく無いのに自由がきかない、寒いのか暑いのかわからない体に震えが来てギュッと腕を巻き付けた。
クリスに何も悟られたく無い、体の奥底に潜む汚い欲望を見られたく無い。
何もクリスが特別という訳ではなく変な奴だと思われたく無かった。
手に持った柔らかいペットボトルがクシャと潰れ開いたままの飲み口から水が溢れた。
すると、スッとペットボトルを取り上げられた。
「蓮は僕が連れて帰ります」
「いえ、蓮の事を1番よくわかっているのは俺なので大丈夫ですよ」
「……物欲しげですね」
よく見かける万人を従えるような笑顔を崩してはいないがクリスの口調はいつに無く皮肉を交えていた。
スッと目を細めた黒江は見上げるような体格もあって往年のやさぐれた迫力を出していたがクリスに怯む様子は見られない。
「………何が言いたいんですか?」
「そのままですけど?」
それもこれもあれも全部やめて欲しいのだが何かを言う前に割って入ったのは日暮だった。
「黒江さん、打ち合わせは私と2人でもいいでしょう、さっき話していた焼き肉はどうですか?一杯やりましょうよ」
「ああ」と一拍置いて低い返事をした黒江に「OK」と努めて明るくい声を出した日暮は大人だ。クリスの態度を変に思っただろうに何とか流した黒江もまた大人だった。
「じゃあ……よく知っているみたいだから蓮は栗栖さんに頼もうかな、今日は大丈夫だと思うけど蓮にはちょっとした自傷傾向があるんだ、気を付けてやってくれる?」
「やめてよ……」
自傷などと含みを持たせた言い方をしないで欲しかった。どう捉えたのか、ピクリと眉を動かしたクリスは何かを言いたげに口を動かしたが思い直したように「勿論です」と笑った。
「ちょっと待ってよ」
何故「黒江かクリス」2択で話を進めるのだ。1人で帰れるし、1人になりたい。
「さあ」と出て来た手に首を振ると何を考えているのか満面の笑みだ。触って欲しく無いのに手を取られ、振り払ったらまるで寸劇を演じる役者のようにオーバーに頭を抱えて膝を付く。
「何だか……仲良しだな、蓮の友達なんて初めて会ったよ、2人はいつ知り合ったのかな?」
「今年の春くらいかな……」
「もう5年くらい前からです」
2人の答えは完全にズレた。
いつからと聞かれたらこうなるのは仕方がない。
黒江は何か疑念を抱いたのかチラリと視線を寄越したが「ところで…」と別の話に切り替えた。
「ちょっとお聞きしたいんですけど、もしかして栗栖さんは音楽関連で何かやってるのかな?」
「蓮の専門家である事は間違いないですよ、ついでと言ってはなんですが僕からもお聞きします、歌詞は黒江さんが作っているんですか?」
「俺が……とは言い難いんですけどね、蓮の作る鼻歌は何言ってんのかわかんないんですよ、だからワードだけ拾った素案を作ってそれを知り合いに手直しして貰ってます、それが何か?」
「そうですか、ではやはり黒江さんが必要ですね、一つ提案があるんですけど聞いてくれますか?」
「提案?」
「はい、出来れば日暮さんにも協力していただきたいのですが、うちの学祭で演奏して貰えませんか?勿論「REN」としてです」
「は?」
あまりに唐突で突飛な提案だったから頭に入って来なかった。しかし、よく考えると現実性は皆無だ。
「クリス?何を言ってんの?学祭ってプロを呼ぶんじゃないの?」
「メインはね、でも今回は何箇所かステージを作って好きな所を回れるようにするんだけど、どう?」
「どうって?!馬鹿じゃ無いの?ないですよ!」
出来るかどうかをまず聞いて欲しい。今の今、全然駄目な所を見たばかりでは無いか。
「一体何のつもり?思い付きで変な事言うのやめてよね」
「思い付きじゃ無いよ、ずっと前から考えていた事だ」
「前……から?」
クリスのやる事なす事、話す言葉。
全面的に信じていた訳では無く、怪しいとは思っていたけどやはり怪しかった。
大学の学祭が高校までのお遊びとは違うってわかっている。模擬店やサークルの出し物とは別に大学の威信が掛かっているともわかっている。
そこに小さくても「プロ」の華を添えたいのはわかるが笑い物になるのは目に見えている。
「出来ないってわかってて……」
「出来るよ、やってだだろ」
「昔のライブは…」
コピーバンドがバンドルされた50人程度しか入らないライブハウスは実績とはほど遠い。
しかもそれすらもセットリストの半分も出来なかった。
下手でもいいって事でも日常で顔を合わせる学生の前でなんてあり得ない。
当然のように笑い飛ばしてくれる筈の黒江は思案顔をしている。
そして、あり得ないことに「規模は?」と聞いた。
「黒江さん!」
ここでムキになって反対などしなくても、出来ないものは出来ないと黒江だって身に染みている筈だ。3回やったライブは3回とも途中で崩壊した。
例え学祭の出し物の一つだとしても「オファー」を受けるようなレベルにはなってないのだから。
それでも、可能性を残すようなやり取りは続いている。
「やめてよ、何のつもり?」
「蓮には後で説明するから、黒江さん、日暮さん、考えておいてください」
「ちょっと!クリス!」
よく無いのに挨拶もそこそこに「いいから」と、背中を押されてスタジオを出ると、もう既にドアを開けたタクシーが待っていた。
金輪際クリスとは口を効かないつもりだったから無視をして駅に足を向けたが腰を奪われてタクシーに押し込まれた。
そう来るならと、反対側のドアから出てやろうとしたが、運転手さんも多分に漏れず「NIKEの靴下」は無かったことに出来るタイプの人だった。「降ります」って言ってるのにクリスの言う事しか聞くつもりは無いらしい。そのまま走り出してしまった。
高音のサウナで頑張りすぎたような感覚だった。
ワンワンと頭の中を走り回る耳鳴りだけを残し、音という音が消え去っていた。
腹の中が空洞になったような虚無に襲われ、浅くなった呼吸が激しい鼓動に追い討ちをかけて泣きたいような、何でもいいから食いちぎりたいような凶暴な衝動が湧き上がってくる。
高校生の頃、黒江のゴリ押しで出たライブでも同じような目にあったが、あれはあがっていたせいだと思っていた。
熱くて、熱くて、とにかく喉が乾いて干上がりそうになっている、何か飲みたいけど立とうとしても足に力が入らない、捕まる所を探して手を伸ばすと、丁度いい所に肩があったからつかまって、丁度いい所に胸があったから凭れて、背中に回った腕が体を持ち上げてくれたから何とか歩けた。
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「あれ?………クリス?」
「うん、蓮のクリスだよ」
「いつでもどこでもブレずにふざけますね……って…………あれ?」
まるで拾われた猫のようにクリスの胸に凭れて張り付いていた。わっと離れて思わずパタパタと服をはらった。
「………いたんだ……っけ…」
「うん……いたよ」
「……いたよね…そうだ…いたよ」
耳の中に残る「僕を見て」と囁く優しい声を何度も何度も聞いていたのにクリスが見ていた事なんて途中から忘れていた。
いや、正確に言えば忘れていたというよりも歌の一部になっていた。
「もう少し水を飲んで、落ち着いたらタクシーを呼ぶからね」
「いや、そんな事しなくても……」
酷くみっともない醜態を見せてしまったような気がしてクリスの目を見る事が出来ない。
タクシーなど必要ないし、辺鄙な場所まで連れてきておいて悪いが出来れば早く1人になりたい。
誰とも話したく無いし、誰にも触れて欲しく無い。
そんな時にポンっと背中の方から肩に乗った手にゾゾっと寒気が走り、思わず叩き落とした。
「おっと」と手を引いたのは黒江だ。
「……という事で……蓮はこんな感じだから栗栖さんには悪いけど今日はここまでって事にして帰っていただけますか?この後打ち合わせをしますので」
まるで現場の大工のようにタオルを頭に巻いた黒江がベースギターをラックに置いた。
日暮もTシャツの中をタオルで拭いている。
「……打ち合わせなんか無いよ」
「だってお前そんなんで帰れるのか?」
「やめろよ」
変な事を口走って欲しく無いのに自由がきかない、寒いのか暑いのかわからない体に震えが来てギュッと腕を巻き付けた。
クリスに何も悟られたく無い、体の奥底に潜む汚い欲望を見られたく無い。
何もクリスが特別という訳ではなく変な奴だと思われたく無かった。
手に持った柔らかいペットボトルがクシャと潰れ開いたままの飲み口から水が溢れた。
すると、スッとペットボトルを取り上げられた。
「蓮は僕が連れて帰ります」
「いえ、蓮の事を1番よくわかっているのは俺なので大丈夫ですよ」
「……物欲しげですね」
よく見かける万人を従えるような笑顔を崩してはいないがクリスの口調はいつに無く皮肉を交えていた。
スッと目を細めた黒江は見上げるような体格もあって往年のやさぐれた迫力を出していたがクリスに怯む様子は見られない。
「………何が言いたいんですか?」
「そのままですけど?」
それもこれもあれも全部やめて欲しいのだが何かを言う前に割って入ったのは日暮だった。
「黒江さん、打ち合わせは私と2人でもいいでしょう、さっき話していた焼き肉はどうですか?一杯やりましょうよ」
「ああ」と一拍置いて低い返事をした黒江に「OK」と努めて明るくい声を出した日暮は大人だ。クリスの態度を変に思っただろうに何とか流した黒江もまた大人だった。
「じゃあ……よく知っているみたいだから蓮は栗栖さんに頼もうかな、今日は大丈夫だと思うけど蓮にはちょっとした自傷傾向があるんだ、気を付けてやってくれる?」
「やめてよ……」
自傷などと含みを持たせた言い方をしないで欲しかった。どう捉えたのか、ピクリと眉を動かしたクリスは何かを言いたげに口を動かしたが思い直したように「勿論です」と笑った。
「ちょっと待ってよ」
何故「黒江かクリス」2択で話を進めるのだ。1人で帰れるし、1人になりたい。
「さあ」と出て来た手に首を振ると何を考えているのか満面の笑みだ。触って欲しく無いのに手を取られ、振り払ったらまるで寸劇を演じる役者のようにオーバーに頭を抱えて膝を付く。
「何だか……仲良しだな、蓮の友達なんて初めて会ったよ、2人はいつ知り合ったのかな?」
「今年の春くらいかな……」
「もう5年くらい前からです」
2人の答えは完全にズレた。
いつからと聞かれたらこうなるのは仕方がない。
黒江は何か疑念を抱いたのかチラリと視線を寄越したが「ところで…」と別の話に切り替えた。
「ちょっとお聞きしたいんですけど、もしかして栗栖さんは音楽関連で何かやってるのかな?」
「蓮の専門家である事は間違いないですよ、ついでと言ってはなんですが僕からもお聞きします、歌詞は黒江さんが作っているんですか?」
「俺が……とは言い難いんですけどね、蓮の作る鼻歌は何言ってんのかわかんないんですよ、だからワードだけ拾った素案を作ってそれを知り合いに手直しして貰ってます、それが何か?」
「そうですか、ではやはり黒江さんが必要ですね、一つ提案があるんですけど聞いてくれますか?」
「提案?」
「はい、出来れば日暮さんにも協力していただきたいのですが、うちの学祭で演奏して貰えませんか?勿論「REN」としてです」
「は?」
あまりに唐突で突飛な提案だったから頭に入って来なかった。しかし、よく考えると現実性は皆無だ。
「クリス?何を言ってんの?学祭ってプロを呼ぶんじゃないの?」
「メインはね、でも今回は何箇所かステージを作って好きな所を回れるようにするんだけど、どう?」
「どうって?!馬鹿じゃ無いの?ないですよ!」
出来るかどうかをまず聞いて欲しい。今の今、全然駄目な所を見たばかりでは無いか。
「一体何のつもり?思い付きで変な事言うのやめてよね」
「思い付きじゃ無いよ、ずっと前から考えていた事だ」
「前……から?」
クリスのやる事なす事、話す言葉。
全面的に信じていた訳では無く、怪しいとは思っていたけどやはり怪しかった。
大学の学祭が高校までのお遊びとは違うってわかっている。模擬店やサークルの出し物とは別に大学の威信が掛かっているともわかっている。
そこに小さくても「プロ」の華を添えたいのはわかるが笑い物になるのは目に見えている。
「出来ないってわかってて……」
「出来るよ、やってだだろ」
「昔のライブは…」
コピーバンドがバンドルされた50人程度しか入らないライブハウスは実績とはほど遠い。
しかもそれすらもセットリストの半分も出来なかった。
下手でもいいって事でも日常で顔を合わせる学生の前でなんてあり得ない。
当然のように笑い飛ばしてくれる筈の黒江は思案顔をしている。
そして、あり得ないことに「規模は?」と聞いた。
「黒江さん!」
ここでムキになって反対などしなくても、出来ないものは出来ないと黒江だって身に染みている筈だ。3回やったライブは3回とも途中で崩壊した。
例え学祭の出し物の一つだとしても「オファー」を受けるようなレベルにはなってないのだから。
それでも、可能性を残すようなやり取りは続いている。
「やめてよ、何のつもり?」
「蓮には後で説明するから、黒江さん、日暮さん、考えておいてください」
「ちょっと!クリス!」
よく無いのに挨拶もそこそこに「いいから」と、背中を押されてスタジオを出ると、もう既にドアを開けたタクシーが待っていた。
金輪際クリスとは口を効かないつもりだったから無視をして駅に足を向けたが腰を奪われてタクシーに押し込まれた。
そう来るならと、反対側のドアから出てやろうとしたが、運転手さんも多分に漏れず「NIKEの靴下」は無かったことに出来るタイプの人だった。「降ります」って言ってるのにクリスの言う事しか聞くつもりは無いらしい。そのまま走り出してしまった。
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