不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です

新川はじめ

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第一章

1、囮になった俺の初めてを守れ

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 ギシッ……とベッドが軋む。

(本当の本当に来やがった……)

 数日前から王宮内で密かに問題になっていた『夜這い生霊』。今夜辺りベッドに潜り込んでくるだろうという王太子――セガール兄上の予想通り、生霊は蛇のようにするりとベッドに入ってきた。

 大丈夫、まだ俺が身代わりだって気付かれていない。生霊は愛おしそうに俺の足の甲に頬を擦り付けると、大胆にもずれたガウンの隙間に手を差し込んできた。寝具のおかげでその姿は見えないけれど、両脚を撫で回す手はふくらはぎ、膝、太腿へと進み着実に俺の大事な部分へと近付いてきてる。まじか……まじか……このまま上がってきたら――。

(――っ!!)

 恐怖で固まっていた体がビクッと跳ねた。あぁ……やっぱり……。悲しいことに俺の大事な所がターゲットになってしまった。優しく丁寧に。大切な物を扱うような手付きで生霊は下着越しのソレを何度も撫でてくる。

「あっ……」

 悔しくてぎゅっと目を瞑る。

(くそっ、こんな状況で声が。間違っても感じてるわけじゃない。反射的に出ただけだ、勘違いすんなよ!)

 生霊に気付かれないように気配を消した大魔法師オーティスがすぐにでもお前を捕まえるからな。と俺は心の中で吐き捨てじっと耐える。すぐに、そうすぐに――。

(……あれ?)

 辛抱強く待ってみる……が何も起こらない。いや、確かすぐに魔法で拘束すると言っていたはずだ。ところが、どういうわけかオーティスは一向に動こうとしない。

 俺はまだ柔らかさの残るソレをいじられながらも、散漫になる思考をなんとか落ち着かせてもう一度事前に交わした会話を思い出してみた。

『生霊が寝所に現れましたら直ちに魔法紐で捕らえます。生霊は主のもとに逃げ戻るでしょうから、その魔法紐を辿って犯人を捕まえましょう』

 ほら、やっぱり言ってた。姿を現したどころか、この生霊好き放題やっちゃってるよ。

(オーティス早く!)

 静かにゆっくりと、しかしできる限りの速さで右を向き彼の様子を確認する。すぐにオーティスと視線がかち合った。狩りをする猛獣のように鋭く光る切長の目。狩られるのは生霊のはずなのに、他の誰でもない俺に向けられたその眼差しに思わず身震いする。

(どうしてそんな目で俺を見てるんだよぉ)

 生きてきた中で最も恥ずかしい姿をこうも凝視されるとは。オーティスに気を取られていると俺のパンツが一気に下ろされた。同時にひやりと冷たい舌が俺のモノをぬるりと舐め上げる。

「ああっ」

 驚いてつい漏れ出た自分の声にカッと顔が熱くなる。その小さな喘ぎはしっかりとオーティスの耳にも届いていたようで彼の眉がグッと持ち上がった。気のせいか瞳の奥が揺らいだような……。

 しかし、怖がっていたくせにしっかり大きくしていたなんて恥ずかしいやら情けないやら。俺が悶々とする一方で、立ち上がったモノと僅かな喘ぎ声に気分を良くしたのか生霊は艶めいた高めの声でクスッと笑った。

「はあっ……んっ……」

 オーティスは喘ぐ俺から目を逸らすつもりがないのか、焼き付けるような視線で更に俺を辱めてくる。

(もういいだろ? こっち見てないで捕まえてくれよ……おいこらオーティス)

 本心を言えばこんな姿、彼に……彼だけには見られたくなかった。王宮の中で唯一優しくしてくれたセガール兄上のために身代わりを引き受けたけど。初恋の、しかも現在進行形で密かに想いを寄せている相手にこんな姿を見られて俺はこの先どうやって生きていけばいいんだ。泣く寸前の赤ん坊のように唇をへの字に曲げて鼻を啜る。

 オーティスはハッと一瞬我に返ったようだったが、それでも唇の端を引き結んで俺を見続けた。

(だから、なんで見てるんだよぉ!)

 今度は頬を膨らませて睨みつけてやる。オーティスと視線を絡めたまま誰にも触られたことのない大事な部分を生霊に好き勝手弄ばれ段々と俺の限界も近付いてきた。

 今年十八歳になったけれど、今は小さな子供のように泣きたい。今すぐ泣いてやりたい。

(まじでヤバい。このままだと俺の初めてが何処の馬の骨とも分からん生霊に奪われちゃうってば……お願いだから早くしてくれぇぇ……)


「オー……ティス……俺、も、もぉ、無理!!」

 俺は吐き出すように叫んだ。
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