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第3章 ペンションにて
みづきちゃん
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「そういや、家族に連絡をしなくていいのか?」
「あ! 忘れてました。ちょっとごめんなさい。えーっとスマートフォン……あった、うん。『お父さん、お母さん。みづきは元気です。今日は水族館でくらげさんを見ました。ご飯はハンバーグをおなかいっぱい食べました。あとはお風呂に入ってあったかいお布団で寝ます。また明日。みづきより』よし、送信、っと。ばっちりぐーです」
「素晴らしいです。確かに嘘はついていませんね」
「全部本当のことだもん! パパママがみづきを子供扱いするから、相談なんて絶対、しないもん!」
「やるね、キミ。正直子供だと思ってたけど、ちょっと見直したわ」
「ふふ、もう大人なんですよぉ」
亜紀がニヤリと笑って手を伸ばし、握った手の親指を立てる。みづきはそれに習って微妙に似合わない笑みを作り、親指を立てた。
「ひとつだけ聞きたいんだが、なんでみづきは自分のことを言うときに『私』だったり『みづき』だったりするん?」
「それはですね。高校生にもなって、みんな自分のことを名前で呼ばないでしょ? だから頑張って『私』って言おうと思って」
「今まで、自分を『みづき』呼びしてたのか」
「いいえ。その、実は……」
「違うん?」
「……みづきちゃん、と」
「んん! それは、ちょっと」
「ですよね⁉ もぅ、いや! お父さんもお母さんも友達も、誰も何も言わなくて、いつも『みづきちゃんはそのままでいいよ』ってしか言わないから! だから、だから!」
みづきは泣き笑いとも怒りとも羞恥ともわからないあやふやな表情で訴え、亜紀は表情を隠すように、こめかみを押さえている。
その中で、凜霞だけはいつもと変わらない涼しげな笑みを浮かべてみづきに話しかけた。
「周りの方々が、そのままでいいって言う気持ちもわかります」
「え! え……『私』では、だめですか」
「でも、頑張って大人になろうとしている先輩も好きですから」
「そうですか。……よかった」
「そーそー。親の言う事なんて聞くだけ無駄。やりたいようにやれ!」
「亜紀さんのはやり過ぎです」
「ちぇ、冷てーの」
と口では言ったものの、亜紀はふてくされる様子もなく壁時計をチラリと見た。
「あ、そろそろ時間だわ。風呂が空いてるはずだ、あったまろうぜ」
「お風呂の時間ですか。了解しました」
「おふろっ。やったぁ!」
「あと、凜霞も病院に連絡しておけよ」
「わかりました。状況が変わりましたので、とりあえず連絡だけは入れておきます」
「あ! 忘れてました。ちょっとごめんなさい。えーっとスマートフォン……あった、うん。『お父さん、お母さん。みづきは元気です。今日は水族館でくらげさんを見ました。ご飯はハンバーグをおなかいっぱい食べました。あとはお風呂に入ってあったかいお布団で寝ます。また明日。みづきより』よし、送信、っと。ばっちりぐーです」
「素晴らしいです。確かに嘘はついていませんね」
「全部本当のことだもん! パパママがみづきを子供扱いするから、相談なんて絶対、しないもん!」
「やるね、キミ。正直子供だと思ってたけど、ちょっと見直したわ」
「ふふ、もう大人なんですよぉ」
亜紀がニヤリと笑って手を伸ばし、握った手の親指を立てる。みづきはそれに習って微妙に似合わない笑みを作り、親指を立てた。
「ひとつだけ聞きたいんだが、なんでみづきは自分のことを言うときに『私』だったり『みづき』だったりするん?」
「それはですね。高校生にもなって、みんな自分のことを名前で呼ばないでしょ? だから頑張って『私』って言おうと思って」
「今まで、自分を『みづき』呼びしてたのか」
「いいえ。その、実は……」
「違うん?」
「……みづきちゃん、と」
「んん! それは、ちょっと」
「ですよね⁉ もぅ、いや! お父さんもお母さんも友達も、誰も何も言わなくて、いつも『みづきちゃんはそのままでいいよ』ってしか言わないから! だから、だから!」
みづきは泣き笑いとも怒りとも羞恥ともわからないあやふやな表情で訴え、亜紀は表情を隠すように、こめかみを押さえている。
その中で、凜霞だけはいつもと変わらない涼しげな笑みを浮かべてみづきに話しかけた。
「周りの方々が、そのままでいいって言う気持ちもわかります」
「え! え……『私』では、だめですか」
「でも、頑張って大人になろうとしている先輩も好きですから」
「そうですか。……よかった」
「そーそー。親の言う事なんて聞くだけ無駄。やりたいようにやれ!」
「亜紀さんのはやり過ぎです」
「ちぇ、冷てーの」
と口では言ったものの、亜紀はふてくされる様子もなく壁時計をチラリと見た。
「あ、そろそろ時間だわ。風呂が空いてるはずだ、あったまろうぜ」
「お風呂の時間ですか。了解しました」
「おふろっ。やったぁ!」
「あと、凜霞も病院に連絡しておけよ」
「わかりました。状況が変わりましたので、とりあえず連絡だけは入れておきます」
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