3 / 25
第一章
第3話
しおりを挟む
今日は元々顔合わせが目的で、特に勉強を教える予定はなかったため、明美と果穂・瑞穂の三人と一緒にしばらくリビングでの談笑が続いた。
果穂はよく笑い、よく喋る女の子らしい。
紅茶を飲みながら、千尋のことを色々聞いてきた。
年は?学校は?趣味は?好きな食べ物は?彼氏はいるの?などなど。
千尋は果穂の人懐っこさに微笑ましい気持ちになりながら、一つ一つ受け答えしていった。
果穂の目はきらきらと興味の光を放ちながら、千尋の話を聞いていた。
一方瑞穂の方は大人しく、舞と果穂の話を微笑みながら聞いている。
果歩とは違い、おしとやかな子なのだな、という印象を受けた。
これは今になって気づいたのだが、瑞穂は何事も姉の果穂を優先した。
挨拶する時も、座る時も、紅茶を飲む時でさえ、果穂が先だった。
それほどまでに姉のことを慕っているという証拠だ。瑞穂にとって姉の果穂は憧れの存在なのだろう。
姉の果穂はそれほどまでに"女王様"の雰囲気を醸し出していた。
元々備わっている、カリスマ性というものだろうか。
当然果穂も妹の瑞穂のことはとても可愛がっており、瑞穂に話しかける時はとても愛おしそうに微笑んでいた。
そんな二人を、母親の明美もどこか誇らしげな表情で見つめている。
これほどの美貌を兼ね備えてる娘を二人も授かっていて、明美もさぞかし幸せなのだろうなと千尋は思った。
そして、そんなとてつもなく高貴な雰囲気に包まれた家での家庭教師をこれから務めるということに、千尋も高揚した気分になっていた。
そんなこんなで千尋が西園寺家をお暇することになったのは、千尋が家に来てから三時間後のこと。
かれこれそんな時間談笑していたのか、と千尋は心の中で苦笑する。
でもこんなに可愛らしい女の子二人に会えて、千尋の心は弾んでいた。
「それでは、お邪魔いたしました。」
「いいえ、何のおかまいもできせんで。」
「とんでもないです。ケーキまでいただいてしまって…なんだか気を使わせてしまってこちらこそ申し訳ありません。」
「あら、本当に我が家では食べないから気にしなくていいのよ。」
明美がそう言って口元に手を当てながら微笑む。
それが、明美の癖のようだった。
けれどその仕草はとても上品で美しい。
「次は、いつお伺いすればよろしいでしょうか。」
千尋が問うと、そうね…、と明美が人差し指を顎に当てて首を傾げる。
「千尋さんがご迷惑でなければ今後の土曜日の十四時あたりはいかがかしら?その時は主人もいるかと思いますので、あなたにご紹介できると思うわ。」
「次の土曜日でしたら大丈夫です!」
「良かった。それではお願いしますね。」
明美は膝に両手を付き、深々と丁寧にお辞儀をする。
果穂と瑞穂もそれに倣った。
千尋はどこかほくほくした気分のまま、家路に着いたのだった。
果穂はよく笑い、よく喋る女の子らしい。
紅茶を飲みながら、千尋のことを色々聞いてきた。
年は?学校は?趣味は?好きな食べ物は?彼氏はいるの?などなど。
千尋は果穂の人懐っこさに微笑ましい気持ちになりながら、一つ一つ受け答えしていった。
果穂の目はきらきらと興味の光を放ちながら、千尋の話を聞いていた。
一方瑞穂の方は大人しく、舞と果穂の話を微笑みながら聞いている。
果歩とは違い、おしとやかな子なのだな、という印象を受けた。
これは今になって気づいたのだが、瑞穂は何事も姉の果穂を優先した。
挨拶する時も、座る時も、紅茶を飲む時でさえ、果穂が先だった。
それほどまでに姉のことを慕っているという証拠だ。瑞穂にとって姉の果穂は憧れの存在なのだろう。
姉の果穂はそれほどまでに"女王様"の雰囲気を醸し出していた。
元々備わっている、カリスマ性というものだろうか。
当然果穂も妹の瑞穂のことはとても可愛がっており、瑞穂に話しかける時はとても愛おしそうに微笑んでいた。
そんな二人を、母親の明美もどこか誇らしげな表情で見つめている。
これほどの美貌を兼ね備えてる娘を二人も授かっていて、明美もさぞかし幸せなのだろうなと千尋は思った。
そして、そんなとてつもなく高貴な雰囲気に包まれた家での家庭教師をこれから務めるということに、千尋も高揚した気分になっていた。
そんなこんなで千尋が西園寺家をお暇することになったのは、千尋が家に来てから三時間後のこと。
かれこれそんな時間談笑していたのか、と千尋は心の中で苦笑する。
でもこんなに可愛らしい女の子二人に会えて、千尋の心は弾んでいた。
「それでは、お邪魔いたしました。」
「いいえ、何のおかまいもできせんで。」
「とんでもないです。ケーキまでいただいてしまって…なんだか気を使わせてしまってこちらこそ申し訳ありません。」
「あら、本当に我が家では食べないから気にしなくていいのよ。」
明美がそう言って口元に手を当てながら微笑む。
それが、明美の癖のようだった。
けれどその仕草はとても上品で美しい。
「次は、いつお伺いすればよろしいでしょうか。」
千尋が問うと、そうね…、と明美が人差し指を顎に当てて首を傾げる。
「千尋さんがご迷惑でなければ今後の土曜日の十四時あたりはいかがかしら?その時は主人もいるかと思いますので、あなたにご紹介できると思うわ。」
「次の土曜日でしたら大丈夫です!」
「良かった。それではお願いしますね。」
明美は膝に両手を付き、深々と丁寧にお辞儀をする。
果穂と瑞穂もそれに倣った。
千尋はどこかほくほくした気分のまま、家路に着いたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる