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最終章
第106話 真相⑥
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「あぁ、かわいそうに。なにがなんだか分からないという顔をしていますね。…無理はありません。自分の大事な大事な親友が、本当はちゃんとあなたのことを思っていたことが分かってしまったのですものね。それも死んでしまった後に。もうお話することもできない。なんてかわいそう。」
紗耶香はまるで謳うように後ろで両手を組みながら笑う。
その笑みには、邪悪ないびつさが浮かんでいた。
舞はこの悪魔の唇が動くのを、呆然と見つめる。
紗耶香の言葉の半分は、もう耳に届いていなかった。
頬を、次々に溢れる涙が伝っていく。
「でもまだ終わっていません。次は久賀真桜の事件……いや、その前にまずは久賀拓海の事件をお話しておきましょう。」
紗耶香は挑戦的な目で千早に視線を移す。
千早も呆然とした顔をしていたが、紗耶香と目が合い、その瞳に焦点が戻っていった。
きっと紗耶香を睨みつける。
「お前が……拓海を殺したんだな?」
「ええ。そうですよ。」
さらりと紗耶香は言ってのける。
まるで大したことないとでもいうように。
「あの人がターゲットになった理由は、言うまででもないでしょう。久賀真桜の友達が死に、その死に拓海は疑問を持っていた。そして犯人は瑞穂先輩だと見抜いていた。当然、瑞穂先輩は口封じをすることにしたのです。邪魔になりますからね。」
「……当然だと?人を殺すのが当然だというのか?」
「おっと。それをあなたが言います?さきほど舞先輩を殺そうとしていたあなたが?」
「……」
紗耶香に言われ、千早はぐっと口をつぐむ。
反論の余地がないのだろう。
「まず彼には自殺に信ぴょう性を持たせるため、あらかじめ毒を盛りました。さて、ここまで言ったら心当たりはありますよね?」
「毒……毒だと?……まさか!」
「そうです。久賀拓海がいつも飲んでいたドリンクに、こっそりと仕込ませてもらったんですよ。」
紗耶香は人差し指をぴょこっと出して振った。
「少ーしずつです。死なない程度に入れさせてもらいました。久賀拓海が憔悴しきっていったように見えたのはこのためですよ。…あぁ、そうそう。久賀真桜が見たと言った人影…もちろんこれは変装ではなく真桜本人ですが…あれは私です。」
紗耶香は目を細めてにっこりと笑う。
しかし次の瞬間には温度を感じさせない冷たい瞳に戻っていた。
「なのに計算外の出来事が起きました。そう、あなたよ。栗花落千早。」
紗耶香は悔しそうに腕を組むと舌打ちをした。
「あなたが、これは自殺ではないと見抜き捜査を始めた。まったくとんだ邪魔が入ったものだわ。おかげで、当初は予定になかったあなたまで消さなくてはいけなくなりました。あの事件では瑞穂先輩にわざわざアリバイを作ったのに……困ったものです。」
紗耶香は人差し指をこめかみに当てて"困った"という仕草をした。
「そこで計画を変更し、あなたが舞先輩を殺すように仕向けたんですよ。本当なら舞先輩は最後に始末する予定でしたけど。」
「ど、どうして…私を?」
舞が口を挟むと、紗耶香は怪しい笑みを浮かべた。
「どうして?どちらにしてもあなたには消えてもらうつもりだったんですよ。あなたは途中から瑞穂先輩のことを疑っていましたしね。まぁ…捜査には協力的ではなかったみたいですが、不安の種は一つでも積んでおかなくてはいけません。」
「そして今度は私を殺害した罪を、千早にきせようとしたのね?」
「ご名答です。舞先輩、名探偵になれますよ。」
紗耶香はパチパチと拍手をした。
「千早があなたを殺して捕まってくれれば、それでジ・エンドだったのに…今度は宮坂竜一が邪魔をしてくれた。まったく、上手くはいかないものね。おかげで私が直々に手を下さなくてはいけなくなったわ。」
「あなたも瑞穂も…人間じゃないわ。」
「どうぞ、なんとでも言って。痛くも痒くもないですから。」
紗耶香は両手を組み、余裕の表情を浮かべる。
「さて、クライマックスですね。」
紗耶香はまるで謳うように後ろで両手を組みながら笑う。
その笑みには、邪悪ないびつさが浮かんでいた。
舞はこの悪魔の唇が動くのを、呆然と見つめる。
紗耶香の言葉の半分は、もう耳に届いていなかった。
頬を、次々に溢れる涙が伝っていく。
「でもまだ終わっていません。次は久賀真桜の事件……いや、その前にまずは久賀拓海の事件をお話しておきましょう。」
紗耶香は挑戦的な目で千早に視線を移す。
千早も呆然とした顔をしていたが、紗耶香と目が合い、その瞳に焦点が戻っていった。
きっと紗耶香を睨みつける。
「お前が……拓海を殺したんだな?」
「ええ。そうですよ。」
さらりと紗耶香は言ってのける。
まるで大したことないとでもいうように。
「あの人がターゲットになった理由は、言うまででもないでしょう。久賀真桜の友達が死に、その死に拓海は疑問を持っていた。そして犯人は瑞穂先輩だと見抜いていた。当然、瑞穂先輩は口封じをすることにしたのです。邪魔になりますからね。」
「……当然だと?人を殺すのが当然だというのか?」
「おっと。それをあなたが言います?さきほど舞先輩を殺そうとしていたあなたが?」
「……」
紗耶香に言われ、千早はぐっと口をつぐむ。
反論の余地がないのだろう。
「まず彼には自殺に信ぴょう性を持たせるため、あらかじめ毒を盛りました。さて、ここまで言ったら心当たりはありますよね?」
「毒……毒だと?……まさか!」
「そうです。久賀拓海がいつも飲んでいたドリンクに、こっそりと仕込ませてもらったんですよ。」
紗耶香は人差し指をぴょこっと出して振った。
「少ーしずつです。死なない程度に入れさせてもらいました。久賀拓海が憔悴しきっていったように見えたのはこのためですよ。…あぁ、そうそう。久賀真桜が見たと言った人影…もちろんこれは変装ではなく真桜本人ですが…あれは私です。」
紗耶香は目を細めてにっこりと笑う。
しかし次の瞬間には温度を感じさせない冷たい瞳に戻っていた。
「なのに計算外の出来事が起きました。そう、あなたよ。栗花落千早。」
紗耶香は悔しそうに腕を組むと舌打ちをした。
「あなたが、これは自殺ではないと見抜き捜査を始めた。まったくとんだ邪魔が入ったものだわ。おかげで、当初は予定になかったあなたまで消さなくてはいけなくなりました。あの事件では瑞穂先輩にわざわざアリバイを作ったのに……困ったものです。」
紗耶香は人差し指をこめかみに当てて"困った"という仕草をした。
「そこで計画を変更し、あなたが舞先輩を殺すように仕向けたんですよ。本当なら舞先輩は最後に始末する予定でしたけど。」
「ど、どうして…私を?」
舞が口を挟むと、紗耶香は怪しい笑みを浮かべた。
「どうして?どちらにしてもあなたには消えてもらうつもりだったんですよ。あなたは途中から瑞穂先輩のことを疑っていましたしね。まぁ…捜査には協力的ではなかったみたいですが、不安の種は一つでも積んでおかなくてはいけません。」
「そして今度は私を殺害した罪を、千早にきせようとしたのね?」
「ご名答です。舞先輩、名探偵になれますよ。」
紗耶香はパチパチと拍手をした。
「千早があなたを殺して捕まってくれれば、それでジ・エンドだったのに…今度は宮坂竜一が邪魔をしてくれた。まったく、上手くはいかないものね。おかげで私が直々に手を下さなくてはいけなくなったわ。」
「あなたも瑞穂も…人間じゃないわ。」
「どうぞ、なんとでも言って。痛くも痒くもないですから。」
紗耶香は両手を組み、余裕の表情を浮かべる。
「さて、クライマックスですね。」
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