何でも屋(仮)

牡丹

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逢坂side

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「何で、あんなやつに依頼するんですか親父!」

「あの子の実力は本物じゃ、どこを探してもあれほどの逸材は居らんよ」

それに、あのお嬢ちゃんをどうこう出来る者がうちの組に居るとも思わんしなぁ。


それほどまでに、あのお嬢ちゃんは手練だ。


カツン、カツンと地下室に足音が響く。


ワシは今、裏切り者の目の前に居た。

椅子に縛られた奴は、辛うじて息をしていたがうわ言のようにブツブツと『殺してくれ』と言っていた。



それに………

「こんな惨いことが出来るのは…あのお嬢さんしか居らん」

奴の姿に思わず眉間に皺を寄せる。
堅気の人間が見れば……いや、死体に慣れているワシらでさえ夢にでも出てきそうなほど惨い姿となったかつての若い衆の前にしゃがみこむ。


「裏切り者とは言え…お前達にとっては同じ釜の飯を食った仲間だろう…。

そいつを痛みつけさせるなどワシには出来ん」

ワシは懐から小刀を取り出す。


「そして、こいつを殺すのは、

組長であるワシの役目じゃ」


プスっ。


刺した胸元からはじわりと赤い血が流れる。


「ありがとう……ございます……」

若いのは最後にそう言うと息絶えた。



「後始末は任せたぞ」

「はい!」


ワシは若いのに背を向けると部屋を出た。









あの何でも屋とやらは殺しをやらないとのことだったが、あれだけの拷問をしても殺さず生かしておけるとは…


どこをどうしたら人が死んでしまうのかあのお嬢ちゃんは誰よりも知っていて、殺しの技術を誰よりも持っているように思える。


いやはや、敵に回すと怖いお嬢ちゃんじゃのう…。


「あの子は大丈夫じゃったかのう………」


ワシは先日、ワシらの元にお金を借りに来た女子高生に思いを募らせた。


とても困っていた様子だったからお嬢ちゃんのことを教えたが……

そう言えばその事をお嬢ちゃんに教えるの忘れておったな。


いやぁ、歳を取ると忘れっぽくなっていかんの。




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