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039.解放
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ミスリルベアの攻撃が失敗に終わったことで、ミスリルウルフはフェリィへの攻撃をやめ、一旦距離をとって様子を伺っていた。
その隙にフェリィのもとへと駆け寄る。
「フェリィ隊長!」
「ソーシ……助かった。でもあんな魔法、使えたの?」
「えーっと、自分も無我夢中で……ははっ」
笑って誤魔化した。咄嗟の対応で手加減を計算するほど余裕がなかったし、シールドを使ったのも初めてだ。無我夢中だったというのは嘘ではない。
「ふーん…?ミスリルベアの攻撃を軽々と受け流すレベルのシールドを?無我夢中で?」
フェリィが疑いの視線を向けてくるので、ここは話を変えることにする。まだ完全に危機を脱出したわけではないのだ。現に白銀の熊――ミスリルベアと呼ぶらしい魔物は戦意を喪失することなく体勢を立て直していた。むしろさっきより怒りのボルテージが上がっている気がする。攻撃力があがってそう。
「ゆっくり会話している暇はなさそうですよ」
さて、どう攻略するか、と考えようとしたところで、フェリィも疑いの目から次への行動へと頭を切り替えていた。
「攻撃は私が担当する」
フェリィがそう言ったが、そもそも彼女の能力を知らない。いや、そもそも論で言えば、フェリィはまだ十三歳でユニークスキルを悟ってもいないはずなのだ。その状況で三姫とまで呼ばれている。そして、この隊がビースターズと名付けられている。これらのことから推察するに獣人族の特長である身体能力特化型の可能性が高い。
しかしながら繰り返しになるがフェリィの外見に目立った獣の特徴はないのだ。ぱっと見から言えば人間にも見える。つまり獣の血が薄いと予想されるのだ。
さて君にこの謎が解けるかな。
ネクストフェリィズヒント!
「ちょっと変身するから、ソーシはさっきのシールドで三体からの攻撃を防いでね」
なんと変身型だった?! なるほど、そういうパターンもあるのか。
「りょうか……って、三体?」
なぜ一体増えたし、と疑問をもったが問い返す間もなくフェリィが小さく呟いた。
「解放」
フェリィの身体が光に包まれる。
グォォォォォオ!
すると、けたたましい咆哮とともにフェリィの身体が膨らみ、ミスリルウルフやミスリルベアに匹敵するほど大きなシルエットとなった。そして光が収まるにつれてその全貌が見えてくる。
肌には厚い鱗が、頭には天に伸びる角が、口には尖った牙が、手には鋭い爪が、背中には巨大な翼が、尻には太い尻尾が生え、全身は薄青に染まった。
もはやこれは人と言うレベルはもちろん、獣人という体も超越している。
というか……これは……いわゆる一つの…アレだ。
「竜?!」
人によっては萌え要素かもしれない。
どうやらフェリィは竜人だったらしい。
竜化した圧倒的な存在感と造形美は、普通の獣には悪いが格の違いをひしひしと感じる。これが士官学校の最年少入学を果たし、天才少女として三姫の一人として君臨する所以だったのだ。
なるほど。確かにこれならユニークスキルがなくても無類の強さを誇るだろう。むしろ、これにユニークスキルが備わったらどこまで強くなるのだろうか。仮にユニークスキルが変身だったら大変だ。まだあと変身を二回残している、なんてことになったらオラわくわくすっぞ。将来有望で大変結構。ファンタジー万歳。
なんて馬鹿馬鹿しいことを考えていると、フェリィ(竜)はこちらに向けて口を開けた。
なんか嫌な予感が。咄嗟にシールドを展開する。
ゴォォォォォォォォォオ!!!!
シールドを張った直後、フェリィ(竜)が炎を吐き出した。
『うわっ!』
『きゃあっ!』
「あちィ!」
受験者たちから悲鳴が上がる。慌ててシールドをさらに強化する。
しばらくして炎がおさまったかと思うと、今度はミスリルウルフめがけてジャンプし、飛び掛かった。
まさか…暴走!?
いや、違うな。最初にフェリィはなんて言ったか。三体からの攻撃を防いでねと言ったのだ。
つまり、暴走することは規定路線だったのだ。竜に使うことが適切かはさておき狂戦竜なのだろう。
これが始めから竜化しなかった理由か。中隊長なのに周囲に味方がいない方が力を発揮できるとは皮肉なものだ。
ようやく状況を察した頃にはフェリィ(竜)がミスリルウルフを圧倒しはじめていた。
「さて、じゃあ今のうちにミスリルベアは何とかするか」
受験者たちに厚めのシールドを重ねがけすると、総司はひとりミスリルベアに向かっていくのだった。
その隙にフェリィのもとへと駆け寄る。
「フェリィ隊長!」
「ソーシ……助かった。でもあんな魔法、使えたの?」
「えーっと、自分も無我夢中で……ははっ」
笑って誤魔化した。咄嗟の対応で手加減を計算するほど余裕がなかったし、シールドを使ったのも初めてだ。無我夢中だったというのは嘘ではない。
「ふーん…?ミスリルベアの攻撃を軽々と受け流すレベルのシールドを?無我夢中で?」
フェリィが疑いの視線を向けてくるので、ここは話を変えることにする。まだ完全に危機を脱出したわけではないのだ。現に白銀の熊――ミスリルベアと呼ぶらしい魔物は戦意を喪失することなく体勢を立て直していた。むしろさっきより怒りのボルテージが上がっている気がする。攻撃力があがってそう。
「ゆっくり会話している暇はなさそうですよ」
さて、どう攻略するか、と考えようとしたところで、フェリィも疑いの目から次への行動へと頭を切り替えていた。
「攻撃は私が担当する」
フェリィがそう言ったが、そもそも彼女の能力を知らない。いや、そもそも論で言えば、フェリィはまだ十三歳でユニークスキルを悟ってもいないはずなのだ。その状況で三姫とまで呼ばれている。そして、この隊がビースターズと名付けられている。これらのことから推察するに獣人族の特長である身体能力特化型の可能性が高い。
しかしながら繰り返しになるがフェリィの外見に目立った獣の特徴はないのだ。ぱっと見から言えば人間にも見える。つまり獣の血が薄いと予想されるのだ。
さて君にこの謎が解けるかな。
ネクストフェリィズヒント!
「ちょっと変身するから、ソーシはさっきのシールドで三体からの攻撃を防いでね」
なんと変身型だった?! なるほど、そういうパターンもあるのか。
「りょうか……って、三体?」
なぜ一体増えたし、と疑問をもったが問い返す間もなくフェリィが小さく呟いた。
「解放」
フェリィの身体が光に包まれる。
グォォォォォオ!
すると、けたたましい咆哮とともにフェリィの身体が膨らみ、ミスリルウルフやミスリルベアに匹敵するほど大きなシルエットとなった。そして光が収まるにつれてその全貌が見えてくる。
肌には厚い鱗が、頭には天に伸びる角が、口には尖った牙が、手には鋭い爪が、背中には巨大な翼が、尻には太い尻尾が生え、全身は薄青に染まった。
もはやこれは人と言うレベルはもちろん、獣人という体も超越している。
というか……これは……いわゆる一つの…アレだ。
「竜?!」
人によっては萌え要素かもしれない。
どうやらフェリィは竜人だったらしい。
竜化した圧倒的な存在感と造形美は、普通の獣には悪いが格の違いをひしひしと感じる。これが士官学校の最年少入学を果たし、天才少女として三姫の一人として君臨する所以だったのだ。
なるほど。確かにこれならユニークスキルがなくても無類の強さを誇るだろう。むしろ、これにユニークスキルが備わったらどこまで強くなるのだろうか。仮にユニークスキルが変身だったら大変だ。まだあと変身を二回残している、なんてことになったらオラわくわくすっぞ。将来有望で大変結構。ファンタジー万歳。
なんて馬鹿馬鹿しいことを考えていると、フェリィ(竜)はこちらに向けて口を開けた。
なんか嫌な予感が。咄嗟にシールドを展開する。
ゴォォォォォォォォォオ!!!!
シールドを張った直後、フェリィ(竜)が炎を吐き出した。
『うわっ!』
『きゃあっ!』
「あちィ!」
受験者たちから悲鳴が上がる。慌ててシールドをさらに強化する。
しばらくして炎がおさまったかと思うと、今度はミスリルウルフめがけてジャンプし、飛び掛かった。
まさか…暴走!?
いや、違うな。最初にフェリィはなんて言ったか。三体からの攻撃を防いでねと言ったのだ。
つまり、暴走することは規定路線だったのだ。竜に使うことが適切かはさておき狂戦竜なのだろう。
これが始めから竜化しなかった理由か。中隊長なのに周囲に味方がいない方が力を発揮できるとは皮肉なものだ。
ようやく状況を察した頃にはフェリィ(竜)がミスリルウルフを圧倒しはじめていた。
「さて、じゃあ今のうちにミスリルベアは何とかするか」
受験者たちに厚めのシールドを重ねがけすると、総司はひとりミスリルベアに向かっていくのだった。
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