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42.夏の扉が開く朝
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8月1日。
夏の始まりを告げるように、
眩しい朝日が街をやわらかく照らしていた。
流伽は、薄手のカーテン越しに差し込む光で目を覚ました。
窓を開けると、
一斉に響くセミの声が、耳を包み込む。
少し熱を帯びた風が、
カーテンをふわりと揺らしながら、
夏の香りを部屋の中へと運んできた。
「今日から8月か……」
窓の外を見つめながら、
流伽はぽつりとつぶやいた。
リビングでは、
母・久美子と並んで朝食をとっていた。
トーストの香ばしい匂いと、
冷たい麦茶のグラスに浮かぶ水滴が、
夏の朝を静かに彩っていた。
ふとした会話の中で、
久美子が明るい声を上げる。
「そういえば、流伽。昨日、千堂さんから連絡があったのよ」
流伽は一瞬、手を止めて母を見つめた。
「え? また連絡が?」
久美子は頷きながら続ける。
「この夏に、モデルの体験イベントがあるんですって。
プロの現場を見られる良い機会だから、どうかなって。
もちろん、強制じゃないけど」
「モデルの体験……」
トーストを置いた流伽の表情に、
戸惑いと、ほんの少しの好奇心が浮かぶ。
華やかな世界。
自分には縁遠いと思っていた場所。
けれど、千堂が言っていた
「あなたの魅力」という言葉が、
ふと胸の奥でよみがえる。
一方その頃、淳平はいつもより早く目を覚ましていた。
「よし、今日から本番だ」
布団を跳ねのけ、
勢いよく立ち上がる。
スポーツバッグを肩にかけ、
リビングへ向かうと、
テーブルには炊きたてのご飯と味噌汁が並んでいた。
「おはよう。早いわね、淳平」
「おはよう!
今日は秀明高校の練習会の初日だから、気合い入れていくよ」
箸を握る手に、自然と力が入る。
外に出ると、
すでに日差しはじりじりとアスファルトを焼きつけていた。
「暑くなりそうだな……でも、負けられない」
青空に続く一本道を見上げ、
淳平はまっすぐに歩き出した。
バスを降りた淳平と健太郎が、
秀明高校の門をくぐる。
その先に広がっていたのは、
まるで別世界のような光景だった。
まず目に飛び込んできたのは、
美しく整備された複数のサッカーコート。
どのコートにも、
それぞれ異なる練習メニューに取り組む選手たちの姿があった。
一面では紅白戦、
別の面ではシュート練習、
さらにその隣ではフィジカルトレーニング。
「コートがこんなにあるなんて……」
健太郎が目を丸くして、
思わず淳平に耳打ちする。
さらに奥へ進むと、
最新の設備が整ったクラブハウスが姿を現す。
選手専用のトレーニングルーム、
分析映像を確認するシアタールーム、
疲労回復のためのアイスバスやサウナまで完備されていた。
「これ、本当に高校の設備なの?……
プロ顔負けじゃないか……」
淳平は息を呑みながら、
周囲を見回した。
校舎の一角には、
サッカー部専用の掲示板が設置されていた。
そこには、過去の全国大会での優勝・準優勝の記録、
歴代の卒業生がプロチームに進んだ経歴が、
誇らしげに飾られていた。
その隣には、
今年のスケジュールがびっしりと書き込まれている。
一目で分かる、
このチームがどれほど計画的に、
本気で勝利を目指しているか。
練習開始前、
選手たちはロッカールームに集合していた。
その様子を外から見ていた淳平と健太郎は、
緊張と興奮が入り混じる感覚を覚えていた。
「すげえな……これが強豪校ってやつか」
「でも、ここで頑張れば、
もっと上に行けるかもしれないよ」
淳平は拳を握りしめ、
目の前に広がる環境に、
胸の奥から熱がこみ上げてくるのを感じていた。
******
秀明高校の練習場の一角に案内された淳平と健太郎。
そこにはすでに、全国から集まった推薦選手たちが顔をそろえていた。
どの顔も自信に満ち、
言葉少なに準備を進めながらも、
その場の空気にはピリピリとした緊張感が漂っていた。
「お前らが淳平と健太郎か?」
低く響く声に振り向くと、
そこには190cmはあろうかという長身の少年が立っていた。
短く刈り込まれた髪、鋭い目つき。
その立ち姿だけで、彼がフィールドでどれほどの存在感を放つのかが伝わってくる。
「俺は宮城啓介。関西の北条中学から来た。ポジションはセンターバックや」
しっかりとした握手を交わすと、
啓介は隣に立つ少年を指さした。
「こいつは福岡の柳田翔太。ウィングフォワードやそうや。速さが武器やってよ」
柳田はシャープな目つきで軽く会釈を返す。
その細身の体からは、俊敏さと鋭さがにじみ出ていた。
「それから、あっちの2人は――」
啓介が顎で示した先には、
別の推薦者たちが談笑していた。
ひとりはがっしりとした体格のゴールキーパー。
黙々とストレッチをこなすその名は、佐々木大樹。
東北の名門校から来たという。
もうひとりは、小柄ながらキレのある動きを見せるミッドフィールダー。
関東のユースチーム出身、青木海翔。
「みんな全国クラスの選手ばかりだな……」
健太郎が思わずつぶやくと、
啓介がニヤリと笑った。
「当然や。ここにいるってことは、
それなりの覚悟と実力を持ってるってことやろ?」
その言葉に、淳平はまっすぐな目でうなずいた。
「僕も、負けるつもりはないさ」
静かに、しかし確かに火が灯る。
こうして6人の推薦者たちが顔をそろえ、
秀明高校の練習会が本格的に幕を開けた。
その頃、流伽は自室で鏡に向かっていた。
鏡に映る自分の姿を、
じっと見つめる。
何度も頭をよぎるのは、
千堂からの言葉。
「あなたの魅力をもっとたくさんの人に知ってもらえたら素敵だと思ったの」
その声を思い出すたびに、
心の奥がふわりと揺れる。
「ひと夏の経験だと思えば、やってみてもいいのかな……」
自分に言い聞かせるように、
小さくつぶやく。
そして、意を決してスマートフォンを手に取った。
千堂の名刺に書かれた番号を見つめ、
しばらくの間、指先が止まる。
けれど、どこかで背中を押されるように、
電話のアイコンをタップした。
「……ルミナスプロダクションの千堂です」
電話越しの声は、
変わらず穏やかで、
その響きが流伽の緊張を少し和らげた。
「あの……白石流伽です。
モデル体験の話、もう少し詳しく聞かせてください」
その一言に、
千堂の声が一段と明るくなるのが伝わってきた。
「流伽さん! ご連絡ありがとう。もちろん、詳細をお伝えするわ。
体験は来週からスタートする予定で、撮影の基本から丁寧に教えるから安心してね」
流伽は小さくうなずきながら、
千堂の言葉に耳を傾ける。
「ひとまず、事務所に一度来てもらって、
スケジュールや詳細をお伝えするわ。いつが都合いいかな?」
「明日なら……大丈夫です」
控えめな声だったが、
その中にある決意を、千堂はしっかりと受け取った。
「ありがとう。それじゃ、明日の午後、事務所で待っているわね」
電話を切ると、
流伽はそっと息を吐いた。
まだ胸の奥には緊張が残っていたけれど、
確かに何かが動き出した感覚があった。
「ひと夏だけ……だから」
そうつぶやきながら、
もう一度鏡を見つめる。
さっきよりも、ほんの少しだけ背筋を伸ばして。
未知の世界に向かう自分を、
そっと見つめていた。
夏の始まりを告げるように、
眩しい朝日が街をやわらかく照らしていた。
流伽は、薄手のカーテン越しに差し込む光で目を覚ました。
窓を開けると、
一斉に響くセミの声が、耳を包み込む。
少し熱を帯びた風が、
カーテンをふわりと揺らしながら、
夏の香りを部屋の中へと運んできた。
「今日から8月か……」
窓の外を見つめながら、
流伽はぽつりとつぶやいた。
リビングでは、
母・久美子と並んで朝食をとっていた。
トーストの香ばしい匂いと、
冷たい麦茶のグラスに浮かぶ水滴が、
夏の朝を静かに彩っていた。
ふとした会話の中で、
久美子が明るい声を上げる。
「そういえば、流伽。昨日、千堂さんから連絡があったのよ」
流伽は一瞬、手を止めて母を見つめた。
「え? また連絡が?」
久美子は頷きながら続ける。
「この夏に、モデルの体験イベントがあるんですって。
プロの現場を見られる良い機会だから、どうかなって。
もちろん、強制じゃないけど」
「モデルの体験……」
トーストを置いた流伽の表情に、
戸惑いと、ほんの少しの好奇心が浮かぶ。
華やかな世界。
自分には縁遠いと思っていた場所。
けれど、千堂が言っていた
「あなたの魅力」という言葉が、
ふと胸の奥でよみがえる。
一方その頃、淳平はいつもより早く目を覚ましていた。
「よし、今日から本番だ」
布団を跳ねのけ、
勢いよく立ち上がる。
スポーツバッグを肩にかけ、
リビングへ向かうと、
テーブルには炊きたてのご飯と味噌汁が並んでいた。
「おはよう。早いわね、淳平」
「おはよう!
今日は秀明高校の練習会の初日だから、気合い入れていくよ」
箸を握る手に、自然と力が入る。
外に出ると、
すでに日差しはじりじりとアスファルトを焼きつけていた。
「暑くなりそうだな……でも、負けられない」
青空に続く一本道を見上げ、
淳平はまっすぐに歩き出した。
バスを降りた淳平と健太郎が、
秀明高校の門をくぐる。
その先に広がっていたのは、
まるで別世界のような光景だった。
まず目に飛び込んできたのは、
美しく整備された複数のサッカーコート。
どのコートにも、
それぞれ異なる練習メニューに取り組む選手たちの姿があった。
一面では紅白戦、
別の面ではシュート練習、
さらにその隣ではフィジカルトレーニング。
「コートがこんなにあるなんて……」
健太郎が目を丸くして、
思わず淳平に耳打ちする。
さらに奥へ進むと、
最新の設備が整ったクラブハウスが姿を現す。
選手専用のトレーニングルーム、
分析映像を確認するシアタールーム、
疲労回復のためのアイスバスやサウナまで完備されていた。
「これ、本当に高校の設備なの?……
プロ顔負けじゃないか……」
淳平は息を呑みながら、
周囲を見回した。
校舎の一角には、
サッカー部専用の掲示板が設置されていた。
そこには、過去の全国大会での優勝・準優勝の記録、
歴代の卒業生がプロチームに進んだ経歴が、
誇らしげに飾られていた。
その隣には、
今年のスケジュールがびっしりと書き込まれている。
一目で分かる、
このチームがどれほど計画的に、
本気で勝利を目指しているか。
練習開始前、
選手たちはロッカールームに集合していた。
その様子を外から見ていた淳平と健太郎は、
緊張と興奮が入り混じる感覚を覚えていた。
「すげえな……これが強豪校ってやつか」
「でも、ここで頑張れば、
もっと上に行けるかもしれないよ」
淳平は拳を握りしめ、
目の前に広がる環境に、
胸の奥から熱がこみ上げてくるのを感じていた。
******
秀明高校の練習場の一角に案内された淳平と健太郎。
そこにはすでに、全国から集まった推薦選手たちが顔をそろえていた。
どの顔も自信に満ち、
言葉少なに準備を進めながらも、
その場の空気にはピリピリとした緊張感が漂っていた。
「お前らが淳平と健太郎か?」
低く響く声に振り向くと、
そこには190cmはあろうかという長身の少年が立っていた。
短く刈り込まれた髪、鋭い目つき。
その立ち姿だけで、彼がフィールドでどれほどの存在感を放つのかが伝わってくる。
「俺は宮城啓介。関西の北条中学から来た。ポジションはセンターバックや」
しっかりとした握手を交わすと、
啓介は隣に立つ少年を指さした。
「こいつは福岡の柳田翔太。ウィングフォワードやそうや。速さが武器やってよ」
柳田はシャープな目つきで軽く会釈を返す。
その細身の体からは、俊敏さと鋭さがにじみ出ていた。
「それから、あっちの2人は――」
啓介が顎で示した先には、
別の推薦者たちが談笑していた。
ひとりはがっしりとした体格のゴールキーパー。
黙々とストレッチをこなすその名は、佐々木大樹。
東北の名門校から来たという。
もうひとりは、小柄ながらキレのある動きを見せるミッドフィールダー。
関東のユースチーム出身、青木海翔。
「みんな全国クラスの選手ばかりだな……」
健太郎が思わずつぶやくと、
啓介がニヤリと笑った。
「当然や。ここにいるってことは、
それなりの覚悟と実力を持ってるってことやろ?」
その言葉に、淳平はまっすぐな目でうなずいた。
「僕も、負けるつもりはないさ」
静かに、しかし確かに火が灯る。
こうして6人の推薦者たちが顔をそろえ、
秀明高校の練習会が本格的に幕を開けた。
その頃、流伽は自室で鏡に向かっていた。
鏡に映る自分の姿を、
じっと見つめる。
何度も頭をよぎるのは、
千堂からの言葉。
「あなたの魅力をもっとたくさんの人に知ってもらえたら素敵だと思ったの」
その声を思い出すたびに、
心の奥がふわりと揺れる。
「ひと夏の経験だと思えば、やってみてもいいのかな……」
自分に言い聞かせるように、
小さくつぶやく。
そして、意を決してスマートフォンを手に取った。
千堂の名刺に書かれた番号を見つめ、
しばらくの間、指先が止まる。
けれど、どこかで背中を押されるように、
電話のアイコンをタップした。
「……ルミナスプロダクションの千堂です」
電話越しの声は、
変わらず穏やかで、
その響きが流伽の緊張を少し和らげた。
「あの……白石流伽です。
モデル体験の話、もう少し詳しく聞かせてください」
その一言に、
千堂の声が一段と明るくなるのが伝わってきた。
「流伽さん! ご連絡ありがとう。もちろん、詳細をお伝えするわ。
体験は来週からスタートする予定で、撮影の基本から丁寧に教えるから安心してね」
流伽は小さくうなずきながら、
千堂の言葉に耳を傾ける。
「ひとまず、事務所に一度来てもらって、
スケジュールや詳細をお伝えするわ。いつが都合いいかな?」
「明日なら……大丈夫です」
控えめな声だったが、
その中にある決意を、千堂はしっかりと受け取った。
「ありがとう。それじゃ、明日の午後、事務所で待っているわね」
電話を切ると、
流伽はそっと息を吐いた。
まだ胸の奥には緊張が残っていたけれど、
確かに何かが動き出した感覚があった。
「ひと夏だけ……だから」
そうつぶやきながら、
もう一度鏡を見つめる。
さっきよりも、ほんの少しだけ背筋を伸ばして。
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