秘密

魔羅

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秘密

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 ある所にいつも明るく笑顔が絶えない1人の女の子が居ました。彼女はよくこんな事を言われます。「君は悩みが無さそうで良いね。」と。彼女は決まって「それが唯一の私の取り柄だから。」と、笑うのでした。
でも、本当の彼女はこんなに明るい子ではありません。彼女はその事を周りにバレないようにいつも笑っているのです。
これは私と彼女しか知らない物語ですが少しだけ皆さんに教えてあげますね。

私と彼女はいつも一緒に居ます。だから彼女が辛い時もずっと傍に居ます。
ある日私は彼女に気分転換をして欲しくて、ある場所を教えました。彼女はその場所をとても気に入り後にそこは彼女の居場所になりました。
そして暫くして彼女はある人と出会いました。

その人は不思議な魅力を持っていて彼女はすぐにその人を好きになりました。
私は何とか2人が恋人同士になれるようアドバイスなどをしたりしました。
でもその人は、別の人の恋人になりました。
彼女は酷く落ち込みました。私は「諦めるのか」と聞くと彼女は「諦めきれない。あの人が今の人と別れるのを待つ。そして次は告白する。」と言いました。

暫くしてその人は別れました。彼女はチャンスだと思いその人に告白しました。その人は「少し考えてみるから待って欲しい」と言ったのです。彼女はその人の返信を待つ事にしました。それから数日後2人は恋人同士になりました。でもこの2人には問題があったのです。

ここで1つ彼女の秘密を教えましょう。彼女は大の通話嫌いなのです。彼女は人と通話をすると気分が悪くなるのです。彼女はこの事を話してしません。そしてある日その人に「通話をしてみたい」と言われたのです。彼女は悩んでいました。私は「あの人と通話してみたい?」と聞くと「してみたい。でも怖い」と彼女は言いました。「怖いけど何もしない方が怖いし後悔すると思うよ。勇気出してみな」と背中を押し彼女はその人と通話する事になりました。

ここで1つの奇跡が起きました。彼女はその人と通話しても気分が悪くならなかったのです。私はこの事を知った時とても嬉しくなりました。彼女はこの秘密をその人に言ったのです。その人は「自分の声だけが大丈夫なんて凄く嬉しいよ」と喜んでくれました。

これで問題が解決したと思いきや今度はその人にとても困った癖があったのです。
その人はこことは別に居場所を作り別の人の恋人になる癖がありました。その人はこの事を彼女に伝えその癖を受け入れたのです。
この癖を受け入れてしまったからなのか後に彼女は変わっていってしまったのです。

その人は彼女に言った通りこことは別の場所で恋人を作っては別れるを繰り返していました。ですが、彼女とだけは別れる事無くどんどん月日が経っていきました。彼女は困った癖があるがちゃんと戻ってきてくれると信じていました。そんな事を思っていた矢先その人は彼女の前から姿を消しました。
その時  ___ミシッ___っと彼女の中で何かにヒビが入った音がしました。

その日から彼女は毎晩その人の事を思い出しては静かに涙を流してしました。私は彼女に新しい居場所を作るように言い彼女はそれに従いました。それから数ヶ月後その人が戻ってきたのです。彼女は嬉しくて涙が止まりませんでした。それも束の間その人はまた姿を消しました。そして今度は___ピキッ___っと前より大きいヒビが入りました。それから数ヶ月また戻ってきてまた消えました。
___パキッパキッ___とどんどんヒビが入っていきました。

月日が流れ彼女の誕生日が近づいて来ました。その人と出会ってからは毎年祝ってくれました。彼女は「今年は無理かな」と諦めてまたその人の事を考え涙を流していた時その人が戻ってきたのです。「ふと君の誕生日を思い出したんだ。そしたら戻らなきゃと思ったんだ」と言いました。そして彼女はその人とある約束をしたのです。

『辛い時とか苦しい時はちゃんと頼る事』
『もう絶対姿を消さない事』

これらを約束しました。
その人は了承しお互い辛い時はちゃんと頼ったりしました。約束してからはその人は消える事はありませんでした。全てが順調に進んで行ってると思っていました。

ですがその人の癖はどんどん悪化していきました。今も彼女とその人は恋人同士です。でも、その人には別の恋人が居ます。そして今はあいつを優先にしています。彼女は薄々と感じています。「あぁ、またあなたは姿を消してしまうのね」と。それと同時に彼女にはある感情が芽生え始めました。それは____独占欲そして嫉妬____

彼女はこの感情に気づいた途端胸が苦しくなりました。そして彼女の中にあったヒビだらけの心がまた___パキッ___と鳴ったのでした。

彼女はこの気持ちがバレないように心に頑丈な鎖を付けました。ですがそれをあいつが壊していきました。私は彼女に「もうその人から離れよう」と言いました。ですが彼女は「もうその人からは離れられないの。確かにとても苦しいし腹が立つ。でもそれ以上にその人の事が大好きなの。ずっと傍に居たいの。」と泣きながら言われました。
そして彼女はその壊れかけた心をもって自分自身にも蓋をしました。
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