美形しかいない乙女ゲームの中の悪役令嬢に転生してしまったのですが誰か助けてください…。

私が…公爵令嬢ですって！？

どうやら公爵令嬢として生まれ変わった様です…。

　おぎゃーーーー！！

赤子の元気な産声が宮廷内に響き渡った。一人のベテラン召使いが赤子を取り上げる。

「おめでとうございます！元気なお嬢様にございます！！」

その声を聴いて、母親は喜びと安堵で崩れ落ちそうになったが、別の召使いに支えられる。

「生まれたか！！」

喜びに満ちた大きな声を出して父親が部屋に入ってこようとするも、

「お待ちください！セインド公爵殿下！」

と、はたまた別の召使いに止められていた。


しばらくして赤子が眠りについた頃、父　テオドア・セインドは部屋に入る事が出来た。

「テオドア様。」

母　リリィ・セインドが赤子を抱え、優しく微笑みかける。

「この子の名前は、もう決まっていらっしゃるの？」

「ああ。この世界で一番きれいな声で歌うと言われる伝説の鳥、リズルにちなんでリズリにしようと思っている。」

リリィはクスッと笑って

「ロマンチストなテオドア様らしいですわ。」

と言った。

これが公爵令嬢　リズリ・ヘレン・セインド。後の乙女ゲーム『光の花園』の悪役令嬢の誕生の瞬間だった。