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ーー尚の気持ちーー
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傑からの告白に動揺している尚だったが、男に告白されるという初めての経験も、いやな気持ちは全くなかった。傑に対して、恋心を抱いていないことは確かだか、人としてとても好きだしこれからも一緒にいたいと感じていた。ただ、傑の気持ちを考えると本当に友達に戻ってもいいのか迷っていた。大切な演奏会もあと10日をきって、とりあえずそっちに集中してその後傑のことはゆっくり考えようと思った。
家についてサックスを出し自主練習を始めた。しかし、なかなか思うように進まない。いつもの音が出せない。考えないようにしていたのだが、傑のことを考えずにいられなかった。やっぱり、傑との関係をはっきりさせたいと思い、傑に電話した。
傑「尚?」
尚「傑?ごめん、いきなり電話して。今家?」
傑「今外なんだよね、綾といる」
尚「何時になってもいいから、今日どっかで会えないかな?」
傑「んー、ごめん、今日は無理。今週から文化祭の実行委員も始まって忙しいかも。尚も演奏会前で練習大変だろ?しばらくそっちに集中していいから。俺のことは気にしないで。落ち着いたら話そう。連絡する」
尚「傑、少しでいいから」
傑「ごめん、また」
傑は電話を切った。優しい声だったが、突き放されたような気分になった。それゃそうだろう。告白した相手からその日のうちに電話が来るなんで。。。
尚の心は乱れていた。おそらく、告白のことを綾に話しているのだろう。綾は傑のことをどう思っているのか。本当に友達?俺に気持ちがないことを知ったら、離れていっちゃうんじゃないかと思うと、不安が募った。傑とこのまま会えなくなるのは嫌だと強く思ったが、会えないと言われ、どうしていいかわからなかった。
尚はこれまで恋愛をしたことがなかった。これまで数名から好意を寄せられることはあったものの、付き合うことはしなかった。部活や勉強、友達で十分充実してたし、彼女が欲しいと思ったことがなかった。自分は他の人とは違うと感じることもあった。
尚の気持ちは不安定のままだったが、自分を鼓舞してサックスの練習に没頭した。
水曜日、尚は準備室で練習をしていた。
窓の外の広場に文化祭の実行委員が集まって何か作業をしていた。そこには傑の姿もあった。綾や千鶴も実行委員のようだ。傑は綾といるととても自然体でかっこいい。余裕があって大人びて見えた。看板作りの最中、ふざけていた男子数名が、ペンキのついたハケでペンキを飛ばして遊んでいた。そのペンキが少し綾の髪にかかった。尚はハッとしてサックスを止めた。傑は男子達に何か言って、綾を連れて手洗い場の方へ向かった。その後ハンカチを持った千鶴が後を追う姿が見えた。
綾「大丈夫だってこれくらい」
傑「うるせぇじっとしろ」
千鶴「良かったらこれ使って」
千鶴がハンカチを濡らして渡した。
傑「ありがとう、うん、こっちの方が取れそう」
千鶴「メイク落としとかあればすぐ取れそうだけど誰か持ってないかな」
傑「薬局で買ってくる」
傑は走って薬局に向かった。千鶴はハンカチをもらって綾の髪を優しく拭いた。
綾「千鶴ちゃんまでごめんね、ほんとこんなの大したことないのに」
千鶴「いや、こんな綺麗な髪にペンキついたら嫌だよ、優しいねすぐるくん」
綾「あぁ見えて優しいとこあるよね。」
千鶴「2人ってずっと仲良いの?」
綾は、ゆっくり話し始めた。
2人の出会いは高1で同じクラスになったことと、2人ともスポーツ推薦で入学したこと。共通の趣味や話が合うこともあり、お互い気兼ねなく一緒にいれる友達だと話した。
千鶴「そこに友達以上の感情はないの?」
綾「ないね。そういうのがないのがわかるから楽なんじゃないかな。」
千鶴「傑くんてさ、どういう子がタイプなのかな?」
千鶴は顔を赤らめながら思い切ってきいた。
綾は少し驚いたが、何かを察したように続けた。
綾「傑のタイプねー、実は今はじめて夢中になってる子がいるみたいなんだ。ただちょっと行き詰ってるみたいなんだけど。。。。私も詳しく聞けなくて。もう少し落ち着いたら千鶴ちゃんも頑張ってみたら?」
綾は笑顔で答えた。
千鶴「そうなんだ、うん、わかった。傑くんでも両想いになれないこともあるんだね」
綾「あいつ外面いいけど中身最悪だから。たまにはいいよ、人生そんな甘くないって今痛感してると思う。これを機に少しは改めて欲しいくらいだよ」
綾は笑いながら言った。千鶴もクスッと笑った。話していると、傑が戻ってきた。
傑「あれ、ペンキほぼ取れてんじゃん。おい綾、これ買った金返せ。」
綾「ほらね、どー思う?」
千鶴「ほんとだ。。。」
綾と千鶴が笑う姿を見て傑は何が面白いかわからなかったが、笑い合う2人を見て自然と笑みがこぼれた。その後、作業に戻った3人は、ふざけていた男子達に謝られた。
尚は、3人が作業を再開するのを見て、なんだか自分だけが蚊帳の外のような気がして寂しくもあった。
家についてサックスを出し自主練習を始めた。しかし、なかなか思うように進まない。いつもの音が出せない。考えないようにしていたのだが、傑のことを考えずにいられなかった。やっぱり、傑との関係をはっきりさせたいと思い、傑に電話した。
傑「尚?」
尚「傑?ごめん、いきなり電話して。今家?」
傑「今外なんだよね、綾といる」
尚「何時になってもいいから、今日どっかで会えないかな?」
傑「んー、ごめん、今日は無理。今週から文化祭の実行委員も始まって忙しいかも。尚も演奏会前で練習大変だろ?しばらくそっちに集中していいから。俺のことは気にしないで。落ち着いたら話そう。連絡する」
尚「傑、少しでいいから」
傑「ごめん、また」
傑は電話を切った。優しい声だったが、突き放されたような気分になった。それゃそうだろう。告白した相手からその日のうちに電話が来るなんで。。。
尚の心は乱れていた。おそらく、告白のことを綾に話しているのだろう。綾は傑のことをどう思っているのか。本当に友達?俺に気持ちがないことを知ったら、離れていっちゃうんじゃないかと思うと、不安が募った。傑とこのまま会えなくなるのは嫌だと強く思ったが、会えないと言われ、どうしていいかわからなかった。
尚はこれまで恋愛をしたことがなかった。これまで数名から好意を寄せられることはあったものの、付き合うことはしなかった。部活や勉強、友達で十分充実してたし、彼女が欲しいと思ったことがなかった。自分は他の人とは違うと感じることもあった。
尚の気持ちは不安定のままだったが、自分を鼓舞してサックスの練習に没頭した。
水曜日、尚は準備室で練習をしていた。
窓の外の広場に文化祭の実行委員が集まって何か作業をしていた。そこには傑の姿もあった。綾や千鶴も実行委員のようだ。傑は綾といるととても自然体でかっこいい。余裕があって大人びて見えた。看板作りの最中、ふざけていた男子数名が、ペンキのついたハケでペンキを飛ばして遊んでいた。そのペンキが少し綾の髪にかかった。尚はハッとしてサックスを止めた。傑は男子達に何か言って、綾を連れて手洗い場の方へ向かった。その後ハンカチを持った千鶴が後を追う姿が見えた。
綾「大丈夫だってこれくらい」
傑「うるせぇじっとしろ」
千鶴「良かったらこれ使って」
千鶴がハンカチを濡らして渡した。
傑「ありがとう、うん、こっちの方が取れそう」
千鶴「メイク落としとかあればすぐ取れそうだけど誰か持ってないかな」
傑「薬局で買ってくる」
傑は走って薬局に向かった。千鶴はハンカチをもらって綾の髪を優しく拭いた。
綾「千鶴ちゃんまでごめんね、ほんとこんなの大したことないのに」
千鶴「いや、こんな綺麗な髪にペンキついたら嫌だよ、優しいねすぐるくん」
綾「あぁ見えて優しいとこあるよね。」
千鶴「2人ってずっと仲良いの?」
綾は、ゆっくり話し始めた。
2人の出会いは高1で同じクラスになったことと、2人ともスポーツ推薦で入学したこと。共通の趣味や話が合うこともあり、お互い気兼ねなく一緒にいれる友達だと話した。
千鶴「そこに友達以上の感情はないの?」
綾「ないね。そういうのがないのがわかるから楽なんじゃないかな。」
千鶴「傑くんてさ、どういう子がタイプなのかな?」
千鶴は顔を赤らめながら思い切ってきいた。
綾は少し驚いたが、何かを察したように続けた。
綾「傑のタイプねー、実は今はじめて夢中になってる子がいるみたいなんだ。ただちょっと行き詰ってるみたいなんだけど。。。。私も詳しく聞けなくて。もう少し落ち着いたら千鶴ちゃんも頑張ってみたら?」
綾は笑顔で答えた。
千鶴「そうなんだ、うん、わかった。傑くんでも両想いになれないこともあるんだね」
綾「あいつ外面いいけど中身最悪だから。たまにはいいよ、人生そんな甘くないって今痛感してると思う。これを機に少しは改めて欲しいくらいだよ」
綾は笑いながら言った。千鶴もクスッと笑った。話していると、傑が戻ってきた。
傑「あれ、ペンキほぼ取れてんじゃん。おい綾、これ買った金返せ。」
綾「ほらね、どー思う?」
千鶴「ほんとだ。。。」
綾と千鶴が笑う姿を見て傑は何が面白いかわからなかったが、笑い合う2人を見て自然と笑みがこぼれた。その後、作業に戻った3人は、ふざけていた男子達に謝られた。
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