俺の妹が前世の恋人で前前世の姉で前前前世の嫁だった。

隣のカキ

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第7話 健全なお付き合い

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 連休も明け、今日からは学校だ。

(はあ……。)

 別に学校が嫌なわけではない。いじめられたりもしてないし、友達だっている。

 怜と過ごす時間が減ってしまうから嫌なだけだ。

「早く行かなきゃ遅刻だよ?」

「今行く。」

 俺達は並んで登校する。怜とは同じ学校だ。記憶を取り戻してからの怜は積極的で、歩きながら俺の腕にしがみついてきている。

 そのせいで、腕に柔らかな感触が伝わってくるのだ。

「もう少し普通の距離感で接して欲しいんだが……。」

 そう言いつつも、組んだ腕を離さないでくれとも思っている。

「嬉しいくせに。」

 否定はしない。実際、嬉しくて太陽へ向かって駆け出してしまいそうだ。




 教室へ入ると、皆こっちを見てきた。

(いったい何だ?)

 友人たちが駆け寄ってきて……

「とうとう怜ちゃんと付き合ったのか?」
「やっと付き合うようになったの?」
「連休だったし、大分進展したの?」

 俺を一斉に質問攻めしてくる友人たちは一太郎いちたろう花子はなこ幸子さちこだ。

 事情があって一緒に住んでいる妹みたいな女の子…彼らには怜との関係をそう説明してある。

 三人で結婚している親ってのが世間から見れば非常識なのは疑いようのない事実。馬鹿正直に全部言えない事くらいは俺だって理解している。

 三人の様子から察するに、どうやら怜と腕を組んで登校しているところを見られたようだ。

「付き合ってるわけじゃない。」

 俺は咄嗟の言い訳も思いつかず、事実のみを告げた。

「照れ隠しか?」

 一太郎はその古風な名前に反して、茶髪にピアスの一見チャラそうなイケメンだ。

「楠君は照れ屋だからね。」

 そして花子は、おばあちゃんみたいな名前の癖にイケイケのギャルみたいな可愛い女の子。

「怜ちゃんのおっぱい触った?」

 最後に幸子は、巨乳童顔の清楚系女の子。ちょっと下ネタが好きだったりする。

 三人とも美形だが、あくまでそれなり…だ。

 学校一の美少女と~しました。とかアイドル顔負けの可愛い幼馴染が…なんて最近流行っているが、そんな超絶美少女が身近にいて急接近みたいな展開…あるわけねぇだろ!

 そこそこ可愛い妹が前世の記憶持ち…しかも恋人だったり姉だったりで、めっちゃ迫って来るとかならあり得るけどさ。


 あと幸子。お前はいきなり何を聞いてるんだ?

「本当に付き合ってないんだって。」

「何だよ。いい加減付き合えよ。誰が見ても付き合ってるようにしか見えなかったぞ。」

「そうそう」

「もしかして、怜ちゃんのおっぱいと付き合ってるの?」

(妹だから付き合いたくても無理なんだよ…。)

 家庭の事情をおいそれと言う訳にもいかない為、状況を上手く説明できないのがもどかしい。

 それと幸子。お前の言ってる事マジで意味わかんない。

「今後の事はゆっくり考えていこうと思ってるさ。」

「じれったいな。早く決めろよオラッ!」

「何だとコラッ!」

「なーんてね! ちゅっ。」

 オエぇぇぇ

「それやめろよ…。」

 一太郎の奴、頭オカシイんじゃねえか?

「そのやり取りって毎日やんなきゃダメなん?」

 ホント花子の言う通りだ…。ふざけてやってんのは分かるんだけど、いい加減キモイぞ。

「おっぱいと付き合う方法を考えてるって事?」

「幸子。さっきから何言ってんの?」

 そもそもおっぱいと付き合うってどういう事なんだよ…。そんな奴見た事も聞いた事もねぇよ!

「あれ? 分からない?」

 何それ? 俺がオカシイみたいな反応やめてくんない?

「分かりません。」

「それじゃあ、私のおっぱいと付き合ってみる?」

「だから、おっぱいと付き合うの意味が分かんないんだって!」

 うそ!? と幸子は驚いて言う。

「高校生にもなっておっぱいと付き合うが分からないの?」

 待って! それってマジで常識だったりすんの?!

「花子ちゃんは知ってるでしょ?」

「知ってる知ってる! 私のおっぱいの元カレもこのクラスに居るし。」

 は?

「一太郎と花子って付き合ってるんじゃなかったっけ?」

「おう! その通りだぞ。」

「自分の彼女が違う奴と付き合っても平気なのかよ!?」

 だったらマジで常識を疑う。

「いや、花子が他の奴と付き合ってんじゃなくて、おっぱいが違う奴と付き合ってるだけだろ?」

 はいぃ?

「マジで分かんないの?」

 花子…お前は普通の奴だと思ってたのに……。

「マジかよ…。」

 一太郎…お前は……。そう言えば元から変な奴だったな。うん。

「えーとね。おっぱいと付き合うってのは、人と付き合うのと同じだよ。相手を思いやったり尊重したり…デートしたり。」

 幸子の言ってる事が分かんねえ……。つか分かる人いる?

 おっぱいを思いやるって何? 今日は元気ないね。とか話しかけろって事?

 尊重? おっぱいの意見を聞くの? どうやって?

 デート? 連れて行く方法が分かんねーよ!


 俺は意味が分からな過ぎて頭を抱えてしまった。


  「そろそろネタばらししてやった方が良いんじゃね?」
  「ダメダメ! このくらい衝撃を与えなきゃ怜ちゃんとの関係が進まないじゃん。」
  「もう一押しいってみよっか」

「分からないんだったら私のおっぱいと付き合ってみない? 教えるからさ。」

 幸子……。お前、良い奴だな。

「どうすれば良いか分からんけど、お願いします。」

 俺は素直に頭を下げる。三人の話を聞く感じだと、意外と普通の事だったりする可能性がある。

(今まで知らなかった俺って、めっちゃ恥ずかしいんじゃないか?)
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