25 / 45
本編
LEVEL22 / 王様は誰だ?
しおりを挟む
えっ?おかしいだろ。少なくとも、こんな面倒な課題を出し、生徒を苦しめる。玉野はまさしく「魔王そのもの」じゃないか!
そして、それを倒すために自分は塾に通い、そしてその倒し方を教えているのが学進ゼミ。だからどう考えたって王様はこちらのはず。
「勇者ってさ、別に魔王を倒したいわけじゃないだろ?」
「えっと、一体何を言ってるんでしょうか?」
「王様が倒せって言ったから。だから仕方なく」
「いや、そういう問題じゃ……」
「ゲーム感想文を書いてこいって言ったのは誰だっけ?」
「玉野ですよ」
「じゃあ、やっぱり玉野先生は王様だ」
なるほど。確かにそう言われてみれば納得が行く。
確かに、勇者は魔王が憎いとか、あるいは家族や友人の仇をとるとか、そんな感じじゃなかったな。
いや、そういう話もシリーズの中には存在していたかもしれない。しかし言われてみれば、主人公である勇者が魔王を倒す動機は「王様の命令」だ。
あるいは自分が勇者の血を引いているから。むしろ「王様の許可も得ずに」一人で旅立つなんて話、ドラクエシリーズの中に存在していただろうか……
「確かに、言われてみればそうですね」
「だろう?それがわからなかったから、減点-5」
「また減点ですか!」
「しょうがないだろ、重要な部分なんだから」
勇斗は「そんなの黙ってりゃいいじゃん!」と言い返したかったが、ここで反論してもあまり意味はないと思い、敢えて何も言わなかった。
「じゃあ、残りの-10点は一体何なんですか?」
現在、勇斗が減点-10になっている原因は「課題の要旨を十分に理解していない」というのが原因だ。しかし杉田の採点は「80点」である。
だとすれば、あと-10点は一体何なのか?
「まあ、誤字脱字による減点はお約束として……」
「何点ですか?」
「-2~4点くらいかな?」
「それと龍崎、字の上手い奴だって提出するわけだろ?」
「まあ、確かにそうですね」
さすがの勇斗もそこまでは考えていなかった。
確かに。書道教室に通っていて、小学校の頃から習字ではいつも高評価を貰っている生徒は存在する。
そういった彼等が作文を書いたとすれば、やっぱり字は綺麗なもので、実際以上に高く評価されるというのは何となく理解できる。
「お前、字は上手い方?」
「普通……いや、あんまり上手くないです」
「じゃあ、-2点」
「そんな、酷いじゃないですか!」
「それが現実だよ」
現実……確かにそうだ。悔しいが事実なのかもしれない。
「だから、内容で挽回するんだよ」
「内容で挽回……ですか?」
「そのとおり」
現在の持ち点は「90点」。そして誤字脱字や字が汚いというマイナス点を含めるとさらに-4~6点の減点がされるとする。
だとすれば、現在の持ち点は「84~86点」ということになる。
「でも、80点といいましたよね?」
「そのとおり」
「じゃあ残りの4~6点はどうやって減点するんですか?」
「分からん」
「分からんっ、て何ですか!」
「心証。つまり先生の判断次第だよ」
「先生の判断……ですか?」
「そう、先生の判断」
要は「採点者の気分次第」ということらしい。あの玉野のことだ、おそらく男子よりも女子生徒に有利な採点をするだろう。
いや、待てよ。今回、女子は課題を免除されている。だとすれば、一体誰が有利な採点の恩恵を受けるのだろうか?
自分は玉野に対してあまりいい印象がない。一方、玉野はどうだろうか?もしかしたら自分の事なんか「好きでも嫌いでもない」のかもしれない。
「依怙贔屓」はされないとして……かといって、減点されるわけでもないのではないか?
「だから、今の完成度だと「80点は確実」なんだ」
「なるほど」
「でも、それ以上は「採点者次第」なんだよ」
「じゃあ、杉田先生が採点者の場合は?」
「一番、厳しく採点をしてみた」
「そうなんですか……」
おそらく、過去に玉野に「喧嘩を売った」。あるいは極端に成績が悪い生徒の評価は低いのかもしれない。とはいえ、そんな生徒でも「80点」はとれるということだ。
「別に、玉野は僕のことなんか眼中にないですよ」
「なら、減点は1~2点くらいにして欲しいな」
「そうだといいですけどね」
そんな杉田の「採点」が終了した頃、50分の経過を示すチャイムが鳴った。
「とりあえず10分間休憩な」
「この後はどうするんですか?」
「せっかくだから感想文、ここで書いていけよ」
「あっ……そうか」
今回、勇斗が書いてきたのはあくまで「下書き」だ。
(果たして、ちゃんと書けるのだろうか……)
しかし、下書きを書いた時点では何となく文章も書けそうな気がしていたし、実際に杉田の下書きの内容は褒めてくれているようだ。
「一応、午後1時まではこの教室、使っていいから」
「ありがとうございます」
「原稿用紙が必要だったら、スタッフルームに取りに来いよ」
そう言い残し、杉田は教室を去って行った。
(ここからは「自習」って感じだな)
あとは下書きの内容に従って感想文を仕上げるだけだ。それに、昨日の宿題では思いつかなかった「減点事項」も盛り込んで書いてみよう。
(もしかしたら、今日中に終わるかもしれない)
勇斗はそんな期待を抱きつつ、下書きと一緒にカバンの中に入れていた真っ新な原稿用紙を取り出し、感想文の作成に取り掛かった。
そして、それを倒すために自分は塾に通い、そしてその倒し方を教えているのが学進ゼミ。だからどう考えたって王様はこちらのはず。
「勇者ってさ、別に魔王を倒したいわけじゃないだろ?」
「えっと、一体何を言ってるんでしょうか?」
「王様が倒せって言ったから。だから仕方なく」
「いや、そういう問題じゃ……」
「ゲーム感想文を書いてこいって言ったのは誰だっけ?」
「玉野ですよ」
「じゃあ、やっぱり玉野先生は王様だ」
なるほど。確かにそう言われてみれば納得が行く。
確かに、勇者は魔王が憎いとか、あるいは家族や友人の仇をとるとか、そんな感じじゃなかったな。
いや、そういう話もシリーズの中には存在していたかもしれない。しかし言われてみれば、主人公である勇者が魔王を倒す動機は「王様の命令」だ。
あるいは自分が勇者の血を引いているから。むしろ「王様の許可も得ずに」一人で旅立つなんて話、ドラクエシリーズの中に存在していただろうか……
「確かに、言われてみればそうですね」
「だろう?それがわからなかったから、減点-5」
「また減点ですか!」
「しょうがないだろ、重要な部分なんだから」
勇斗は「そんなの黙ってりゃいいじゃん!」と言い返したかったが、ここで反論してもあまり意味はないと思い、敢えて何も言わなかった。
「じゃあ、残りの-10点は一体何なんですか?」
現在、勇斗が減点-10になっている原因は「課題の要旨を十分に理解していない」というのが原因だ。しかし杉田の採点は「80点」である。
だとすれば、あと-10点は一体何なのか?
「まあ、誤字脱字による減点はお約束として……」
「何点ですか?」
「-2~4点くらいかな?」
「それと龍崎、字の上手い奴だって提出するわけだろ?」
「まあ、確かにそうですね」
さすがの勇斗もそこまでは考えていなかった。
確かに。書道教室に通っていて、小学校の頃から習字ではいつも高評価を貰っている生徒は存在する。
そういった彼等が作文を書いたとすれば、やっぱり字は綺麗なもので、実際以上に高く評価されるというのは何となく理解できる。
「お前、字は上手い方?」
「普通……いや、あんまり上手くないです」
「じゃあ、-2点」
「そんな、酷いじゃないですか!」
「それが現実だよ」
現実……確かにそうだ。悔しいが事実なのかもしれない。
「だから、内容で挽回するんだよ」
「内容で挽回……ですか?」
「そのとおり」
現在の持ち点は「90点」。そして誤字脱字や字が汚いというマイナス点を含めるとさらに-4~6点の減点がされるとする。
だとすれば、現在の持ち点は「84~86点」ということになる。
「でも、80点といいましたよね?」
「そのとおり」
「じゃあ残りの4~6点はどうやって減点するんですか?」
「分からん」
「分からんっ、て何ですか!」
「心証。つまり先生の判断次第だよ」
「先生の判断……ですか?」
「そう、先生の判断」
要は「採点者の気分次第」ということらしい。あの玉野のことだ、おそらく男子よりも女子生徒に有利な採点をするだろう。
いや、待てよ。今回、女子は課題を免除されている。だとすれば、一体誰が有利な採点の恩恵を受けるのだろうか?
自分は玉野に対してあまりいい印象がない。一方、玉野はどうだろうか?もしかしたら自分の事なんか「好きでも嫌いでもない」のかもしれない。
「依怙贔屓」はされないとして……かといって、減点されるわけでもないのではないか?
「だから、今の完成度だと「80点は確実」なんだ」
「なるほど」
「でも、それ以上は「採点者次第」なんだよ」
「じゃあ、杉田先生が採点者の場合は?」
「一番、厳しく採点をしてみた」
「そうなんですか……」
おそらく、過去に玉野に「喧嘩を売った」。あるいは極端に成績が悪い生徒の評価は低いのかもしれない。とはいえ、そんな生徒でも「80点」はとれるということだ。
「別に、玉野は僕のことなんか眼中にないですよ」
「なら、減点は1~2点くらいにして欲しいな」
「そうだといいですけどね」
そんな杉田の「採点」が終了した頃、50分の経過を示すチャイムが鳴った。
「とりあえず10分間休憩な」
「この後はどうするんですか?」
「せっかくだから感想文、ここで書いていけよ」
「あっ……そうか」
今回、勇斗が書いてきたのはあくまで「下書き」だ。
(果たして、ちゃんと書けるのだろうか……)
しかし、下書きを書いた時点では何となく文章も書けそうな気がしていたし、実際に杉田の下書きの内容は褒めてくれているようだ。
「一応、午後1時まではこの教室、使っていいから」
「ありがとうございます」
「原稿用紙が必要だったら、スタッフルームに取りに来いよ」
そう言い残し、杉田は教室を去って行った。
(ここからは「自習」って感じだな)
あとは下書きの内容に従って感想文を仕上げるだけだ。それに、昨日の宿題では思いつかなかった「減点事項」も盛り込んで書いてみよう。
(もしかしたら、今日中に終わるかもしれない)
勇斗はそんな期待を抱きつつ、下書きと一緒にカバンの中に入れていた真っ新な原稿用紙を取り出し、感想文の作成に取り掛かった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる