溢れる涙は世界を越えて。

えりっぱ★

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溢れる涙は世界を越えて。

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 わたしはいつでも、ボッチだった。
 ひとりボッチということ。
理由はふたつ。
 地毛の金髪と、天音涙。
 あまね、なみだという、変な名前のせいだ。
 お父さんは、わたしが幼いときに事故で死んだ。
 その髪の色が金色だったらしい。
 そのせいで、学校では、いつもボッチだった。
 お母さんが、酒に溺れて、食事を作ってはくれなかなった。
 だから自分でお弁当を用意していたけど、いつも1人で、食べていた。
 寂しかった。
 わたしも一緒に、仲間に入れてほしかった。
 わたしは、この髪の毛も大嫌いだった。
 よく引っ張られたし、気持ち悪い、呪われていると言われた。
 
いつからか、だんだん学校に行かなくなった。

お母さんは気づきもしなかったから。

そして、公園で、1人でいるあいだ、黒い猫と遊ぶようになっていた。

不思議な猫ちゃんだった。
こんなわたしでも、仲良くしてくれた。

その猫ちゃんに、みいみい鳴くので、

「みいちゃん。」

と名前を付けて、遊ぶようになった。

「みいちゃん。」

と、愛称でよぶと、

「みゃ~ゴロゴロ。」

と、鳴いてくれて、凄くすごく嬉しかった。
初めて友達が出来た気持ちになって。

わたしは、毎日、みいちゃんのところに行った。
夕方まで、一緒に遊んだ。
とても楽しかった。
ボールを持っていって、キャッチボールしたり、
猫じゃらしで、ゴロゴロしたり。

そして、聞いてみた。

「みいちゃん、わたし達、友達だよね!。」

「んにゃ、うにゃうにゃうにゃ!。」

「くす!
何その鳴き声!
アハハハ!。」

「えっ?。」

わたしは、自分でもびっくりした。

「わたしって、笑うこと、出来るんだ。」

そしたら、涙が止まらなかった。

自分の名前が嫌いだから、何年も泣かなかったのに。

「うにゃ~?。」

どうしたの?

と、みいちゃんが、心配そうに、わたしを見ていた。

違う、ちがうの、みいちゃん。
わたし、嬉しくて、しょうがないの。
初めてなの。
こんな満たされた、あたたかい気持ちになったのは。
あんなに嫌いだった
『なみだ』
が、ぽろぽろ流れるようにわたしからとまらない。

「ありがとう、みいちゃん。
わたし、あなたのこと、大好きだよ。」

そしたら、みいちゃんが、ペロペロ、わたしのほっぺをなめてくれた。
また、あたたかいなみだが止まらなかった。


でも、この時、わたしは思いもしなかった。
こんな優しい時間が、突然、終わってしまうなんて。


この日も、いつものように、みいちゃんと遊んで、家に帰る時だった。


「えっ?。」

お母さんが、凄く怖い顔をして、わたしを待っていた。

「お母さん、どうして?。」

「どうしてしゃないわよ。
あんた、学校行ってないんだって!。」

「え!
なんで知ってるの?。」

「なんでじゃないわよ!
あんたの担任の先生が来たのよ!
どこで油売ってたのよ!。」

「そんな!
お、お母さん話しを聞いて!
わたし、学校で!」

どうしよう!
お母さん、すごく怒ってる!

「あんたのボッチは今始まったもんじゃないでしょ!
恥かかせないでよ!あんたなんか!。」

「え?。」

「ダンナと一緒にいなくなればよかった!」

「!」

わたしは、走り出していた。
痛いくらい涙か止まらなかった。

みいちゃんとのあの日流した涙とは、全然違う、刺さる様な涙。

やっぱり、ダメだったかな?

学校に行ってないことは、もちろん悪いことだけど、
わたしの居場所、無いんだよ?

どうすればいい?
どうすればいいの?

また、大嫌いな涙が、溢れる。
この名前も、この髪も、大嫌い。

お母さんなんて大嫌い。

なによりわたしは

「わたしなんて、大嫌い!」

でも、どんなに泣いても、なにも変わらなかった。

「みいちゃんに会いたいな。」

その思いが、溢れる。

たった1人のわたしの友達。

わたしは、

「あの公園に行こう。」

今、一番会いたい友達に、会いにいくことに決めた。

雨が降ってきた。
物凄く。
みいちゃんは、あ!

「みいちゃん!」

「にゃにゃ!」

「みいちゃん!
会いたかったよ!」

わたしがみいちゃんを抱きしめると、みいちゃんは初めは驚いていたけど、

「うにゃ?」

と、優しくペロペロしてくれた。

これからどうしよう。
もう、家には帰れない。

帰りたくない。

と、その時だった。

「なみだちゃん。」

え?

「なみだちゃん、オレとココじゃなく、違う時間の世界へ行こうにゃ。」

「みいちゃん、話せるの?。」

「そうだにゃ。
オレも、なみだちゃんがくるまで、ずっとボッチだったにゃ。
オレ、人に飼われていた猫だったにゃ。
でも、ご飯なんかもらえなかったし、ナデナデもされたことないにゃ。
寂しいにゃ!
ってどんなに云っても、飽きたって、
邪魔だって言われたにゃ。
そして、この公園にきたら、なみだちゃんと出会った
オレに、初めて友達ができて、凄くすごく嬉しかったにゃ。
もう1人じゃないんだ!
って、思ったにゃ。」

「みいちゃん。
そうだったんだね。」

「そうだにゃ。
でも
オレは禁忌を起こした。
多分、もうすぐ神さまに、別の世界に飛ばされるにゃ。」

「禁忌?。」

「そう。
オレ達、動物は、鳴き声以外、人間とはなしちゃイケナイんだ。」

「どうして?
わたし、もっとみいちゃんと話してたいよ?。」

「ダメなんだ。
それが、決まりだから。」

「だったら、わたしも罪を受ける!
みいちゃんと一緒なら、何にも怖くないもの。」

「そっか!
オレも、もう怖くないにゃ
なみだちゃん、オレの手、さわってて。」

「うん。」

「絶対、離さないでにゃ」

「うん!」

その直後、わたしとみいちゃんを、あたたかいなにかが包んできた。


不思議な感じだった。


「なみだちゃん!。」

名前…わたしの名前?

「なみだちゃん!」

この声は…

「みいちゃん!」

「良かった!
気がついたにゃ!」

わたしが目を覚ますと、大好きなみいちゃんが、わたしのほっぺをなめて、嬉しそうに、抱きしめてくれた。

ん?

抱きしめた?

あれ?

み、みいちゃん?

「あなただれー!」

「にゃに云ってるにゃ!。」

そう。
声はみいちゃん。
大好きなみいちゃん。

でもでも、

そこに居たのは、二十歳くらいの男の人だった。

「あの…あなたは…みいちゃんなの?。」

「なみだちゃんひどいにゃ!
…アレ?」

みいちゃんは、やっと気づいたらしい…。

「オレ、二足歩行になってるにゃ!
っていうか、人間になってるにゃー!」

何がどうしてこうなったの!

「なみだちゃん、信じてほしいにゃ!
オレはみいちゃんなのニャ!。」

確かに、声はみいちゃん。
でも、姿は男の人。

「ど、どうすればいいのー!。」

その時だった。

『ふたりとも、落ち着くのじゃ。』

え?

大きな棒を持った、白い猫がいた。

「何ニャ!
怪しい猫!。」

『怪しいとは、失礼じゃなあ。
わしは、神様じゃ。』

「え?」
「は?」

『おぬしら、ここがどこか、分かっておるのかにゃ?
ここは転生と次元の狭間じゃ。』

「転生と…次元の狭間?」

『そうじゃ。
そこの黒い猫。
お前、禁忌を犯したにゃ?。
これからお前を別の世界へ転生させるにゃ。』

「待って!
わたしも連れて行って!。」

「なみだちゃん…。」

「みいちゃんが禁忌を犯したのは、わたしの為なの!
だから、わたしも罰を受ける!。」

『んにゃ?
それは、おぬしの考えるほど簡単なことじゃにゃいぞ?』

「それでも良い!
わたしはみいちゃんと生きていきたい!。」

『ふむ…おぬし…本気で云っているのじゃな?。』

「はい!。」

「オレも、なみだちゃんと一緒が良いにゃ!。」

『おぬしら、忘れているみたいじゃが、そのみいちゃんとやらは、人間の姿じゃぞ?。』

「ああ!
そうだったわ!。」

「んにゃ!。」

『まあ良い。
ふたりで仲良く生きていきたいという気持ちは、本気なようじゃ。
…良いじゃろう。
おぬし達に、選別を渡してをこう。』

神様は、わたしに、1枚の、キラキラしたコインをくれた。

『それだけで、だいサービスだにゃ。
では、二人とも、準備は良いにゃ?。』 

「はい!」

「うにゃ!」

『扉を開けるのにゃ!。』

眩い光が、体を包む!

「みいちゃん!。」

「なみだちゃん!。」

わたしはそのまま、意識を失った。




ん…




「なみだちゃん!。」

「みいちゃん?。」

そっか。
わたし、異世界転生したんだ。
みいちゃんと一緒に。
それで…

「みいちゃんはやっぱり、人間になったんだね…」

そう。
みいちゃんは、色黒の二十歳位の男の人…
しかも、












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