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第一章 出逢い
第33話 歓迎会(上)
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紅葉の料理は、どれも美味だった。テーブルの上には和洋折衷、色々な種類の料理が並び、ユウは遠慮なく箸を運んだ。
「ふふっ、凄い食欲ね。男の子はそうでなくっちゃ。・・お味は、どうかしら?」
「本気で美味いです!この酢豚なんか野菜もシャキシャキで、豚肉の揚げ具合も最高です」
「そう、よかった。頑張った甲斐があったわ」
そう言って、忙しく箸を動かすユウを嬉しそうに見つめる紅葉。よくよく味わってみると彼女の料理は、どれも手間を掛けたものばかりだった。
ローストビーフや、今が旬の筍やフキの煮物、山菜の天ぷら、などなど前日から仕込んでおかないと出来ない料理や、鳥のから揚げや、大きな手作り焼売など如何にも男子が好きそうな料理も用意してくれているのが嬉しい。
しかしユウは、がっつきながらも不安になっていた。それは・・ いくら美味しいといっても量が多すぎないか?と、いう不安だ。
テーブルの上に並べられた料理たちは、どれもボリューム感たっぷりで、春日でもいない限り食べ切れる量ではなかったのだ。
男は俺、一人だけ・・
それに自分以外の三人は皆、食が細そうに見える。
案の定チラリと横を見ると、金森が大きな唐揚げに果敢に挑んでいる。が、彼女は一つの唐揚げを食べるのに、いったい何分かけるつもりだろうか? ・・戦力外だな。
一方の紅葉はというと、料理をしたことで満足してしまったのだろう。彼女はずっと箸を置いたままで、ユウを嬉しそうに眺めているだけだった。もちろん戦力外。
黒木先輩も如何にも食が細そうだしさ、どうすんだよこの大量の料理・・
しかし、チラッと青葉を確認したユウは驚愕した。彼女は全く箸を止めることなく、無表情のまま淡々と料理を口へ運び続けている。
ユウが気が付いた時には、彼女の周りにあった料理たちの姿はキレイに消えていた。そしてそれだけに飽き足らず、彼女は少し離れた場所に置いてある料理にも箸を伸ばし始めているではないか・・ ユウは特にお気に入りだった酢豚が一瞬で姿を消していくのを、ただ見つめていた。
・・おい、まずいぞ。このままじゃ、俺の食べる分が無くなる。
逆の意味で不安を感じたユウが、更に箸のスピードを上げたのは言うまでもなかった。そしてあっという間にテーブルの上にあれだけ並べられていた料理たちは、全て綺麗に姿を消した。
「ふふっ皆、凄い食べっぷりね。ありがとう、本当に作った甲斐があったわ」
空になったテーブルを見つめる紅葉が、幸せそうに笑っている。
「本当にご馳走様でした。俺、もう何も食べられないです」
その笑顔を椅子の背もたれに凭れ掛かったユウは、大きくなった腹を摩りながらボンヤリと見とれていた。きっとこの人は、夫と子共に愛される良い奥さんでありお母さんに、何時かなるのだろう。その人達が羨ましい限りだ。
・・それにしても、少々食べ過ぎた。ここでユウは、大事なことを思い出す。
「そうだ。俺、手土産持って来てたんですよ」
慌ててリュックから、今朝、ユメと一緒に並んで買ったチーズケーキを取り出す。
「わあ!話題のチーズケーキのお店のだ。これ食べてみたかったんだよね!」
すると早速金森が、そのチーズケーキに飛び付いてきた。
「美味しそうね。今、紅茶を入れてくるから、皆で頂きましょうよ」
「あ、先生。俺はもう食べれないんで、皆で食べて下さい。紅茶は頂きますけど」
紅葉はコクリと頷くと、キッチンへと消えていった。金森は、これ絶対おいしいやつだよ~!如月くん、ナイスチョイス!などと一人で興奮している。
一方、青葉はテーブルの上のチーズケーキを無表情でじっと見つめている。大方、ユウと同じで満腹なのだろう。まあ、あれだけ食べれば納得である。
暫くすると、紅葉が紅茶の用意をして戻ってきた。
「如月君は本当に頂かないの?すごく美味しそうよ?」
「はい。俺はもうギブです。ギブ」
ユウは大袈裟にお腹をさすりながら、満腹をアピールする。そんなユウに紅葉はふふっと可笑しそうに笑って「じゃあ、如月君の分まで頂くわね」と言った。
紅葉はユウの前に紅茶を置いてからチーズケーキを6等分にカットし、ユウを除いた三人に1ピースづつ配ると、残りの半分をテーブルの中央に置いた。
「何これ!すっごい濃厚!」
「あら、本当に美味しいわ、噂通りね」
一口、口に運んだ金森が声を上げる。どうやら二人共、気に入ってくれたらしい。
「よかったです。朝早くから妹と並んだ甲斐がありました。朝から凄い行列でしたよそのお店」
「朝から並んでくれたのね。ふふっ、嬉しいわ。でも、このチーズケーキなら本当に直ぐ売り切れてしまいそうね。本当に美味しいもの」
「本当に朝から行列出来てるんだ。なかなか、買えないってテレビで言ってたの。
すっごい美味しいもんね!」
「本当にね。妹さんにもお礼を言わないとね。妹さん、おいくつなの?」
「二つ下の15歳です。スイーツの事とか俺、疎いもんで妹に教えてもらいました」
「如月くんに、妹さんがいるなんて知らなっかったよ。お名前なんていうの?」
「ユメだよ。如月ユメ。妹には、いつも助けてもらってる」
「へー、ユメちゃんっていうんだ。可愛い名前だね。ユメちゃんにも、ありがとうって伝えておいてね」
「ああ、伝えておくよ。そんなに喜んで貰えて、妹も喜ぶと思う」
などなど・・三人でユメの話題で盛り上がっていると、唐突に金森が悲鳴を上げた。
「きゃー!残りのチーズケーキが無い!」
・・本当だった。
三人で話している間に、残っていた半ホールのチーズケーキが姿を消していたのだ。
自然と三人の視線が青葉に向けられる。すると青葉が少しバツが悪そうな顔でこう呟いた。
「みんな食べないから、要らないのかと思いました・・」
「ふふっ、凄い食欲ね。男の子はそうでなくっちゃ。・・お味は、どうかしら?」
「本気で美味いです!この酢豚なんか野菜もシャキシャキで、豚肉の揚げ具合も最高です」
「そう、よかった。頑張った甲斐があったわ」
そう言って、忙しく箸を動かすユウを嬉しそうに見つめる紅葉。よくよく味わってみると彼女の料理は、どれも手間を掛けたものばかりだった。
ローストビーフや、今が旬の筍やフキの煮物、山菜の天ぷら、などなど前日から仕込んでおかないと出来ない料理や、鳥のから揚げや、大きな手作り焼売など如何にも男子が好きそうな料理も用意してくれているのが嬉しい。
しかしユウは、がっつきながらも不安になっていた。それは・・ いくら美味しいといっても量が多すぎないか?と、いう不安だ。
テーブルの上に並べられた料理たちは、どれもボリューム感たっぷりで、春日でもいない限り食べ切れる量ではなかったのだ。
男は俺、一人だけ・・
それに自分以外の三人は皆、食が細そうに見える。
案の定チラリと横を見ると、金森が大きな唐揚げに果敢に挑んでいる。が、彼女は一つの唐揚げを食べるのに、いったい何分かけるつもりだろうか? ・・戦力外だな。
一方の紅葉はというと、料理をしたことで満足してしまったのだろう。彼女はずっと箸を置いたままで、ユウを嬉しそうに眺めているだけだった。もちろん戦力外。
黒木先輩も如何にも食が細そうだしさ、どうすんだよこの大量の料理・・
しかし、チラッと青葉を確認したユウは驚愕した。彼女は全く箸を止めることなく、無表情のまま淡々と料理を口へ運び続けている。
ユウが気が付いた時には、彼女の周りにあった料理たちの姿はキレイに消えていた。そしてそれだけに飽き足らず、彼女は少し離れた場所に置いてある料理にも箸を伸ばし始めているではないか・・ ユウは特にお気に入りだった酢豚が一瞬で姿を消していくのを、ただ見つめていた。
・・おい、まずいぞ。このままじゃ、俺の食べる分が無くなる。
逆の意味で不安を感じたユウが、更に箸のスピードを上げたのは言うまでもなかった。そしてあっという間にテーブルの上にあれだけ並べられていた料理たちは、全て綺麗に姿を消した。
「ふふっ皆、凄い食べっぷりね。ありがとう、本当に作った甲斐があったわ」
空になったテーブルを見つめる紅葉が、幸せそうに笑っている。
「本当にご馳走様でした。俺、もう何も食べられないです」
その笑顔を椅子の背もたれに凭れ掛かったユウは、大きくなった腹を摩りながらボンヤリと見とれていた。きっとこの人は、夫と子共に愛される良い奥さんでありお母さんに、何時かなるのだろう。その人達が羨ましい限りだ。
・・それにしても、少々食べ過ぎた。ここでユウは、大事なことを思い出す。
「そうだ。俺、手土産持って来てたんですよ」
慌ててリュックから、今朝、ユメと一緒に並んで買ったチーズケーキを取り出す。
「わあ!話題のチーズケーキのお店のだ。これ食べてみたかったんだよね!」
すると早速金森が、そのチーズケーキに飛び付いてきた。
「美味しそうね。今、紅茶を入れてくるから、皆で頂きましょうよ」
「あ、先生。俺はもう食べれないんで、皆で食べて下さい。紅茶は頂きますけど」
紅葉はコクリと頷くと、キッチンへと消えていった。金森は、これ絶対おいしいやつだよ~!如月くん、ナイスチョイス!などと一人で興奮している。
一方、青葉はテーブルの上のチーズケーキを無表情でじっと見つめている。大方、ユウと同じで満腹なのだろう。まあ、あれだけ食べれば納得である。
暫くすると、紅葉が紅茶の用意をして戻ってきた。
「如月君は本当に頂かないの?すごく美味しそうよ?」
「はい。俺はもうギブです。ギブ」
ユウは大袈裟にお腹をさすりながら、満腹をアピールする。そんなユウに紅葉はふふっと可笑しそうに笑って「じゃあ、如月君の分まで頂くわね」と言った。
紅葉はユウの前に紅茶を置いてからチーズケーキを6等分にカットし、ユウを除いた三人に1ピースづつ配ると、残りの半分をテーブルの中央に置いた。
「何これ!すっごい濃厚!」
「あら、本当に美味しいわ、噂通りね」
一口、口に運んだ金森が声を上げる。どうやら二人共、気に入ってくれたらしい。
「よかったです。朝早くから妹と並んだ甲斐がありました。朝から凄い行列でしたよそのお店」
「朝から並んでくれたのね。ふふっ、嬉しいわ。でも、このチーズケーキなら本当に直ぐ売り切れてしまいそうね。本当に美味しいもの」
「本当に朝から行列出来てるんだ。なかなか、買えないってテレビで言ってたの。
すっごい美味しいもんね!」
「本当にね。妹さんにもお礼を言わないとね。妹さん、おいくつなの?」
「二つ下の15歳です。スイーツの事とか俺、疎いもんで妹に教えてもらいました」
「如月くんに、妹さんがいるなんて知らなっかったよ。お名前なんていうの?」
「ユメだよ。如月ユメ。妹には、いつも助けてもらってる」
「へー、ユメちゃんっていうんだ。可愛い名前だね。ユメちゃんにも、ありがとうって伝えておいてね」
「ああ、伝えておくよ。そんなに喜んで貰えて、妹も喜ぶと思う」
などなど・・三人でユメの話題で盛り上がっていると、唐突に金森が悲鳴を上げた。
「きゃー!残りのチーズケーキが無い!」
・・本当だった。
三人で話している間に、残っていた半ホールのチーズケーキが姿を消していたのだ。
自然と三人の視線が青葉に向けられる。すると青葉が少しバツが悪そうな顔でこう呟いた。
「みんな食べないから、要らないのかと思いました・・」
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